地域看護師のブログ

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4-2.【ネフローゼ症候群】ネフローゼ症候群の診断について、もっと深く知りませんか?



うちの腎臓内科は、


『ネフローゼ症候群』


という診断名で多くの患者さまが入院します。


そもそも
ネフローゼ症候群という言葉って、
疾患の名称ではないです。


これは
『腎不全』とか『心不全』もそうですね。



腎不全や心不全は「病態」です。


疾患の名称ではないです。


診断名に疾患の名称が付かないのは、たまにあることです。


ですが、なんかしっくりこない(・へ・)


なんとなく、ややこしい。


「診断名って疾患名じゃなくていいの?」と思うわけです。


そういうわけで、今回は


「ネフローゼ症候群の診断名」について

勉強しようと思います(・∀・)


まずは、
ネフローゼ症候群の診断基準を
のせておきます。



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ネフローゼ症候群の診断基準

1.タンパク尿
 3.5g/日以上が持続する

2.血清アルブミン値
 3.0g/dL以下
(血清総蛋白量6.0g/dL以下も参考とする)

3.コレステロール 数値
 高LDLコレステロール血症
  LDLコレステロール値 140mg/dl以上

 低HDLコレステロール血症
  HDLコレステロール値 40mg/dl未満

 (日本動脈硬化学会
 「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」   2007年版より)
 
4.浮腫を認める


1〜4を満たすと
ネフローゼ症候群と診断されます。


『ネフローゼ症候群』という診断名は

「症候診断」


という、れっきとした診断名です。

症候診断。


みなさん
これからこの言葉がたくさんでてきます!( •̀ㅁ•)


「症候診断」は、
症状や所見から臨床的に判断される診断です。


症候が確認できた時点で

「こういう症状があって、検査値にこういう異常があるから、○○ですね」

と診断をしておくのです。


あらかじめ診断することによって、今後の検査や治療方針を考えるのに役立ちます。


ただ実際の診療では、

症候をきちんと見極めるために、
『腎生検』なる検査を行い、病理所見を確認する時もあります。


我が病棟も、
腎生検をするために多くの人数が入院してきます(*´∀`)



診断名にはまだまだ分類があります…


臨床所見による「症候診断」と違い、


腎生検などによる病理所見による診断があります。

それを「組織診断」といいます。


例えば、
AさんとBさん
2人の「ネフローゼ症候群」の患者がいるとします。


この2人は、
症候診断では同じ
「ネフローゼ症候群」ですが、


腎生検を施行することにより、
新たに「組織診断」がつけられます。


腎生検の結果、
Aさんは「微小変化型病変」
Bさんは「膜性腎症」でした。


Aさんの微小変化型ネフローゼ症候群は、
ステロイドがよく効く特徴があります。

よって、ステロイドの治療を開始すれば、今後の症状の改善が期待できます。


一方、Bさんの
膜性腎症によるネフローゼ症候群は、進行が穏やかで無症状なことが多いです。

ただし、ステロイドが効きにくい場合があるため、必要時は、免疫抑制剤の開始を検討することもあります。


このように、同じ症候診断であっても、
組織診断の違いがあれば、治療の見通しが異なることがあるのです。



診断の決定は、まだ終わりません。



第1の症候診断、
第2の組織診断が分かると、
さらに、第3の診断がつけられます…



糸球体疾患には、
病変が腎臓のみに限られ、
原因が明らかではない
一次性」(原発性)と、


腎病変をきたす全身性疾患が基に存在する
二次性」(続発性)があります。


このように、
病気の原因がどの場所なのかを決定づける診断を、

「病因診断」といいます。



余談ですが、
腎疾患の診断名は、
臨床での長い歴史的背景と慣習が、
根強く入り込んでいるようです。

診断名の中には
「症候診断名」と「組織診断名」が組み合わさった名前の疾患名もあります。

(『急速進行性糸球体腎炎』など。
  この疾患は、糸球体疾患の中でも
  特に予後が悪く、緊急性がある。

 『急速進行性腎炎症候群』という
 「症候診断名」に

 『半月体形成性糸球体腎炎』という
 「組織診断名」が

  組み合わさっている。)




ここまで読んでみて、
みなさんいかがでしたでしょうか。


けっこう、ややこしいですよね。


ややこしや腎臓病…( ;∀;)




実際の場合に沿って、整理しましょう。
 


例えば、カルテ上の診断名に、
『ネフローゼ症候群』と記載されている患者さまがいるとします。


それは
「症候診断名」での呼び方だということです。


ネフローゼ症候群の患者さまには、
さらに病理所見から名付けられた
「組織診断名」がついている場合があります。


例えば、ネフローゼ症候群の場合、

『微小変化形病変』

『膜性腎症』

『膜性増殖性糸球体腎炎』


などの「組織診断名」がついている場合があります。



ただし、「組織診断名」は、
実際に腎生検などの病理検査を行って組織を確認しないと、名付けられません。


なので、腎生検をしていないネフローゼ症候群の患者様には「組織診断名」はまだついていないことになります。


「症候診断名」と「組織診断名」が決定すると、病気の原因の場所がどこなのかを検索できるようになります。


そこで最後に「病因診断名」が名付けられ、診断はおわりです。



腎臓病のきちんとした診断をするのは手間がかかるもんなんですね(✽ ゚д゚ ✽)


例を挙げると、
一次性(腎臓が原因のネフローゼ症候群)には、
『微小糸球体病変』
『巣状糸球体硬化症』
『膜性腎症』
『膜性増殖性糸球体腎炎』などがあります。
 
 

病因診断によっては、
そのまま「組織診断名」と同じ診断名が付くことがあります(むしろそのほうが多い)


二次性(全身疾患が原因のネフローゼ症候群)には、
①『糖尿病性腎症』
②『ループス腎炎』
③『アミロイド腎症』などがあります。


それぞれ、
①『糖尿病』
②『SLE(全身性エリテマトーデス)』
③『アミロイドーシス』が原疾患です。


全身疾患から、続発的に腎症が起きているのです。
このあたりは分かりやすいです。



 
とまあこんな感じで、
ネフローゼ症候群の診断名をまとめてみました\(^o^)/


ネフローゼ症候群の診断名がややこしいのは、治療を行う上で「臨床所見」と「病理所見」と「病因」をきちんと見極めて、それぞれの診断名を付けていく必要があるからだったんですね(๑•̀ㅁ•́๑)
 

今後は、それぞれの「病因診断名」における治療の違いについて勉強したいですね。



腎臓病は、簡単なようで奥が深いです。

(*´∀`)


今回は以上です!


ご覧になっているみなさんからもたくさんのご意見をお待ちしています!