地域看護師のブログ

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2-4.【慢性腎不全】腎代替療法【血液透析 腹膜透析 腎移植】のメリット・デメリット



慢性腎不全は、不可逆的に病状が進行します。


腎機能を維持することはできても、回復することは現代の医療では非常に難しいのです。


末期腎不全までに病状が進行すると、命に関わる重大な合併症を引き起こします。

例としてあげますと、


  • 老廃物の蓄積による「尿毒症
  尿毒症は様々な症状を引き起こします。
  進行すると、死亡にまで至ります。


  • カリウム蓄積による「高カリウム血症」
  カリウムは心臓の働きに関係しています。
  進行により、致死的不整脈が発生します。


  • 循環血液量過多による「心不全
  全身・各種臓器の循環不全を起こします。
  多臓器不全を起こすと、死に至ります。


このように、末期腎不全は非常に危険な合併症を引き起こします。


したがって、機能が低下した腎臓に代わる治療を行わなければなりません。


これを、「腎代替療法」といいます。


一般的には以下の3つの治療法のことを指しています。

  1. 血液透析
  2. 腹膜透析
  3. 腎移植

腎代替療法は、本来有している自分の腎機能が10%未満(推算糸球体濾過量:eGFR<15未満)になった場合に適応となります。

また、薬物療法でコントロールできない心不全や尿毒症症状、高カリウム血症がある場合に適応となります。

透析療法は、体内に増えた老廃物・尿毒素を除去し、偏った電解質異常(高カリウム血症など)や酸塩基平衡の異常を改善します。

一方、腎移植を行うと、
腎臓の機能のすべてを満たすことができます。



血液透析

血液透析はその名のごとく、血液を浄化する方法です。


2012年末のデータでは、日本の透析患者の96.9%が血液透析を行っています。


実際の透析方法は、バスキュラーアクセスを使用して、血液を透析機器へと通していきます。


透析機器を通して過剰な水分や尿毒素を除去するとともに、電解質異常や酸塩基平衡(主にアシドーシス)などを是正します。


透析のスケジュールは週に3回は必要で、1回の治療期間は通常3〜5時間となります。


なかには、6〜8時間の長時間の透析を行っている施設もあります。


治療に必要となるバスキュラーアクセスは、患者の心機能や合併症などに応じて選択します。


  • バスキュラーアクセス

自己血管内シャント増設術

もっとも一般的に行われており、もともとある自分の動脈と静脈とを吻合して作製します。


シャントの発達を待ち、動脈から流入した血液で拡張した自己静脈を穿刺して血液透析を行います。


人工血管内シャント増設術

人工血管を用いてシャントを増設する方法で、穿刺可能な自己静脈が乏しい場合に対象となります。


動脈表在化術

内シャント作製が困難の時や、心機能の低下があるときに行われます。

透析による穿刺を容易にするために、動脈を皮膚のすぐ下まで持ち上げる手術になります。


透析用カテーテル(ブラッドアクセス)挿入

首の内頸静脈か、太腿の大腿静脈に専用のカテーテルを挿入して留置し、バスキュラーアクセスとして使用します。

内シャント作製前、シャント発達待ちの時点などで血液透析が必要な患者さまや、内シャントが狭窄・閉塞し、シャントが使えなくなった時の緊急用として使われています。




血液透析透析を選択すると、多くの場合、透析施設への通院の問題が生じることとなります。


最近では、自宅に透析装置を設置して透析のできる環境を整え、家族の支援に加えて、透析クリニックのバックアップを得ながら家庭で透析を行う「在宅血液透析」も一部で行われています。




腹膜透析

血液透析では血液を体外に取り出して血液を浄化します。


一方、腹膜透析は腹膜を使用することで透析を行います。


腹腔内に腹膜透析用のカテーテルを挿入し、直接透析液を注入して一定時間貯留させます。


その間、腹膜を介して血中の尿毒素や水分、塩分を透析液に移動させるのです。


血液透析と比べ、以下のメリットがあります。

  1. 循環動態に与える影響が少ない(内シャントを作成すると、静脈へ送られる血液量が増えて心臓の負担が増す)
  2. 残存腎機能の保持に優れる(血液透析は腎臓に代わり血液濾過するため、残存腎機能はほぼ機能しない≒尿量が減る)
  3. 家庭や職場などで行うことが可能となるので生活の自由度が高い
  4. 社会復帰しやすい
  5. 食事制限がおだやかである

一方、デメリットとしては、

  1. 透析としての効率は悪く、残存腎機能が残っていないと体調の維持が困難
  2. 腹膜は徐々に劣化し、7〜8年程度が継続の限界。その後はほかの腎代替療法に切り替える必要がある。
  3. 安定した透析の維持には患者の自己管理能力が大きく影響する
などが挙げられます。


また、腹膜カテーテル挿入に伴う腹膜炎、カテーテル出口部・トンネル感染や位置異常などのトラブルも起きることがあります。


末期腎不全の最初の段階での治療法として、腹膜透析を優先して導入し、尿量をできるだけ温存するという考え方を「PDファースト」とよびます。


しかし、残存腎機能が低下してくる段階になると、腹膜透析だけではいずれ透析不足となってしまいます。


この欠点を補うため、週1〜2回の血液透析を併用(ハイブリッド)することも行われています。


これらの治療は保険適用になっています。


腎移植

日本において腎移植は、
2011年時点で約1600件が実施されています。


治療成績も改善しており、2000〜2009年以後に実施した生体腎移植の生着率は、5年で91%です。


60歳前に腎移植を行った場合の寿命は、透析患者に比較して10年以上延長すると予測されています。


腎移植は提供される腎臓によって、生体腎移植献腎移植とに別れますが、近年実施されている腎移植の約85%は生体腎移植です。


また、免疫抑制薬の進歩により、最近では血液型不適合での腎移植も可能になっています。


腎移植のメリットはなんといっても、食事制限がないことなど、透析療法に比べると生活上の制約がかなり緩和されることで、患者にとってはきわめて魅力的です。


腎移植の対象となる患者は、手術に耐えられる全身状態であり、免疫抑制療法が可能なすべての末期腎不全患者です。


患者さま(レシピエント)の平均年齢は、生体腎移植が約45歳、献腎移植が約50歳とされていますが、70歳以上に行われることもあります。


医療費については、腎移植も透析と同様にほとんど公費負担となるために、患者の経済的な負担に大きな差はありません。


最近では、維持透析を行わずに腎移植を行う「先行的腎移植」も行われています。透析を行った場合に比べると、生存率・生着率が良好になるとの報告があります。


一方、腎移植のデメリットとしては、

  1. 生体腎移植:手術に際しての提供者の安全性の問題
  2. 献腎移植:提供者が見つかるまでの待機時間が長いこと(10〜20年以上かかることも多い)
  3. 拒絶反応予防のため使用する免疫抑制薬により、感染症などに代表される合併症がある
などがあります。


3つの腎代替療法の特徴
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腎代替療法は、


患者の年齢、
原疾患を含めた病歴、
性格、
ライフスタイル、
職業の有無、
家族、
生活環境など、


さまざまな生活情報から、
どの治療法がふさわしいのかを医師は判断し、決定をしています。


看護師は、
それぞれの治療法のメリットとデメリットを十分に理解しておくことが大切です!(・∀・)


患者さまの治療に対する意識、知識の程度を常に把握するようにしましょう(*´∀`)


患者さまがうまく治療を続けるためには、コミュニケーションを通して、その人に合わせた説明や指導を看護師が行うことが大事です(*^^*)


腎代替療法の決定は、患者さまの人生にとってとても大きな転機となることは、まず間違いありません。


患者さまと出来る限り意識を共有し、頑張って治療に望めるように、丁寧なメンタルケアができるようになりましょう!(*´∀`)


以上になります( ´∀`)



みなさんのご意見をお待ちしています。