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9-1.心電図、不整脈の基礎知識と十二誘導心電図の取り方



心電図について私が以前行った勉強会の内容をまとめてみました。

臨床での基礎知識として参考になれば幸いです !

 

 

心電図・十二誘導心電図

 

目次 

 

1.心電図とは

  • モニター心電図
  • 十二誘導心電図
  • ホルター心電図
  • R- R心電図

2.波形を知りましょう
  • P波
  • QRS波
  • T波
  • R-R間隔
  • ST部分
  • PQ時間
  • QT時間

 

3.危険な不整脈
  • 心室細動(VF)
  • 心室頻拍(VT)
  • 洞不全症候群(SSS)
  • 房室ブロック
  • 心房細動(Af)
  • 心房粗動(AF)
  • 発作性上室頻拍(PSVT)
  • 心室期外収縮(PVC)

 

4.ペースメーカー心電図
  • モードについて(AAI、VVI、DDD)
  • ペーシング不全、センシング不全

 

5.アーチファクト
  • ノイズ
  • 筋電図
  • ドリフト

 

6.十二誘導心電図
  • 十二誘導心電図のやり方

 


○心電図とは
 心臓の動きを電気的にとらえ、波形として表したもの。
 患者さまの状態変化を早期に発見し、 適切な処置を行う上で重要な役割を持つ。


・モニター心電図
 看護師が最も活用する心電図。 いつ起きるかわからない心臓の異常を、 装着している間ずっと確認できる。すなわち、 急変時の対応に役立つ。
 離れた場所でも患者さまの心拍数・SpO2.・呼吸数・ 心電図波形を確認できる。


・十二誘導心電図
 12方向から心臓の動きを電気的にとらえることができる心電図。
 不整脈を詳しく診察することができ、 心臓の虚血部位や梗塞部位がよくわかる。
 
・ホルター心電図検査
 24時間の間、 ホルター心電図用の専用の機器を取り付けて行う検査の1つ。
 日常生活でいつ不整脈や心筋虚血が起きるのか、また、 いつ症状が出るのかが分かる。
 不整脈や狭心症の詳しい診断をするのに役立つ。


・R-R心電図検査
 心拍数変動検査。
 ふつうの心電図検査と同じように10分間くらい心電図をとる検査 。
 心拍数の変動を記録することが特徴。 自律神経失調症がある人は急に脈が速くなったり、 脈が飛んだりすることがある。

 自律神経失調症が疑われる患者さま( 主に糖尿病や甲状腺機能亢進・低下症の患者) に実施することが多い。

 

2.波形を知りましょう


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  • P波とは

 1番目に出る小さ目の山のこと。
 洞結節からでた刺激が心房全体に伝わる様子を表したもの。
 形が不自然だったり、なかったりしたら不整脈です。
  

  • QRS波とは

 2番目に出る一番大きな山のこと。 

 房室結節に集まった刺激が、心室全体に伝わる様子を表したもの。
 まずは、ある・なしに注目し、高さや幅や向きもチェックする。

 

  • T波とは

 3番目に出る幅広の大きな山のこと。

 興奮した心臓が、元に戻り、落ち浮くときの様子を表したもの。

 

  • R-R間隔とは

 R波と次のR波の間隔のこと。
 この長さが乱れていたら、不整脈です。
  

  • ST部分とは

 QRS波の終わりから、 T波の始まりの部分のこと。

 心筋の異常がわかる。

 

  • PQ時間とは

 P波の始まりから、 QRS波の始まりまでの時間のこと。心房から心室への電気の伝わる時間を表している。

 

  • QT時間とは

 QRS波の始まりから、 T波の終わりまでの時間のこと。

 心臓が収縮して、元に戻るまでの時間を表している。


3.危険な不整脈


・心室細動(危険度:★★★★★)
 心室のあちこちがバラバラに興奮している危険な状態。
 心臓からの血液は全く送り出せていないため、 血圧はほほゼロになる。
 心停止と同じ状況であるため、最も危険な波形。 よって直ちに心肺蘇生を開始する。

 

・心室頻拍(危険度:★★★★)
  ほぼ規則正しく、広いQRS波がえんえんと続く。
 心室期外収縮が頻発・ 多発していると心室頻拍に移行することがある。
 意識があれば動機や胸部不快感などの症状がおこる。
 持続すれば血圧低下によって意識低下や失神が起きる。
 また、心室細動に移行する可能性も高い。
 脈がなく血圧が保たれていない心室頻拍は、 直ちに心肺蘇生を開始する。

 
・洞不全症候群(SSS)

 ・洞性徐脈(危険度:★)

 ・洞停止(危険度:★★★) 

 ・徐脈頻脈症候群(危険度:★★★)
 

 洞性徐脈、洞停止、徐脈・頻脈症候群の3つの総称。

  虚血性心疾患や心筋炎や心膜炎や迷走神経緊張状態、 加齢でも起こる。
 原因不明のこともある。
 短時間でも心臓が動いていないため、めまいや失神・ 痙攣をおこすことがある。
 自覚症状などから判断してペースメーカー治療の適応が決定される 。

 
・房室ブロック
 

・1度房室ブロック(危険度:★)
PQ時間が延長する。自覚症状はほとんど起こらない。
 あわてる必要もないが2度・ 3度房室ブロックに移行することがある。


・2度房室ブロック(危険度:★★)
 突然QRS波がなくなるモビッツⅡ型と、
だんだんPQ時間が長くなり、最後はQRS波がなくなるが、 また次には復活…を繰り返すウェンケバッハ型がある。
 モビッツⅡ型は連発しやすく、 3度房室ブロックに移行することがあるので危険性が高い。
 一方、ウェンケバッハ型は連発が起こりにくく、 3度房室ブロックに移行しにくいため予後は悪くない。


・3度房室ブロック(完全房室ブロック)(危険度:★★★)
  PP間隔とRR間隔は一定であり、波形も正常だが、
P波とQRS波がそれぞれ別のリズムで独自に興奮している状態。 脈拍は20~30台まで低下するもともあり、 めまいや失神を起こすことがある。 心筋梗塞や心筋症や抗不整脈薬による副作用で起こることがある。 ペースメーカーの適応となるが、 血圧が測れないなど緊急の場合は蘇生処置を開始する。


・心房細動(Af)(危険度:★★) 
 心房のあちこちでバラバラに興奮が起きている状態。
 P波は見えない。 代わりにf波という細かいゆれた波形が連続する。
 動悸・胸部不快感が起こることがある。
 頻脈が続くと血圧低下を生じやすくなる。また、 血栓症も生じやすくなる。
 カテーテルアブレーションによる治療の適応となる。


・心房粗動(危険度:★★) 
 心房の1か所でえんえんと刺激が生じている状態。
 P波は見えない。代わりにF波という鋸歯状の波形が連続する。
 動悸を起こすことがある。頻脈が強い場合は呼吸困難、血圧低下、 意識低下になる場合もある。

 虚血性心疾患・僧房弁狭窄症・ 抗不整脈による副作用が原因となることが多い。


・発作性上室頻拍(PSVT)(危険度:★★) 
 心室以外での興奮が原因で起こる頻脈。
原因の多くは房室結節や心房内で起こる「リエントリー回路」 の存在による興奮。
 心疾患や電解質異常などが原因になるが、 特別に異常のない人にもみられることがある。症状は、 急な動悸が最も多く、胸痛、脱力感、失神に至るケースもある。
 発作を止める第一選択は迷走神経刺激(①冷水を飲ませる② 深く息を吸ったままの状態を保つ:バルサルバ法)。 症状が続く場合は抗不整脈薬投与、心房ペーシングを検討。 緊急な場合は除細動を行う。


・心室期外収縮(PVC)(危険度:★~★★★) 
 最も遭遇しやすい不整脈。
 洞結節からの興奮を待たず、急に心室で異常な興奮が起こるため、 QRS波がいつもより早く、幅の広い異なった形で出現する。
 心房の興奮よりも先に心室の興奮が起こるので、 P波は無いのが特徴。
 「ドキン」と一瞬の動悸が生じることがある。 連続した心室期外収縮が起こると、 めまいや失神を起こすこともある。
 原因は高血圧、狭心症、心筋梗塞など。過労・ ストレスでも発生頻度は増す。
 連発・頻発する心室期外収縮は心室細動・ 心室頻拍に移行しやすい。
 特に、RonT型は心室期外収縮の中で、 最も移行しやすいので注意が必要。


4.ペースメーカー心電図
  
 ・ペースメーカーには、①一時的に緊急使用する一時的(体外式) と②半永久的な植え込み式(体内式)がある。
 ・ペースメーカーは、本体(ジェネレータ)と、右心房(A)、 右心室(V)のどちらか(または両方)に留置される同線( リード)から構成される。


 ・主な機能は、ペーシング(刺激)とセンシング(感知) に分かれる。
 ・ペーシングは、本人の心拍が出なかった場合に電気刺激を出し、 心房や心室を興奮させる機能。波形では、鋭い縦線の「スパイク」 として現れる。
 ・センシングは、本人の心拍が出ている場合に、 それを感知する機能。
ペースメーカーには、自己心拍を感知したら、 不必要な電気刺激は出さない(抑制)機能が備わっている。 この機能がないと、 本人の心臓がちゃんと動いているにもかかわらず、 電気刺激を出し続けてしまう。
 
モード
 
・AAI
本人のP波がでなかった場合、右心房(A)を刺激(ペーシング) するモード。
本人のP波がある場合はそれを感知(センシング)して、 ペーシングを抑制(I)させる。 P波の直前にスパイクがみられる。
徐脈や洞不全症候群が適応。
 


・VVI
 本人のQRS波が出なかった場合に心室をペーシングする。 本人のQRS波がある場合は、それを右心室で感知して、 ペーシングを抑制させる。QRS波の直前にスパイクがみられる。 適応は慢性心房細動や房室ブロックなど。
  
・DDD
 心室と心房、両方(ダブルのD)ともにペーシング、 センシングを行うモード。


 自己のP波あれば、それを感知してP波のペーシングを抑制する。
なければ、心房をペーシングし、続いて心室をペーシングする。


自己のQRS波があれば、 それを感知してQRS波のペーシングを抑制する。
適応は洞不全症候群+房室ブロックの併発、 完全房室ブロックなど。


・ほかにも、DDI、AOO、VOOといったモードもある。
・とDDDを、波形によって切り替える(R) という機能を持つものもある。


5.アーチファクト(人工産物)
 不整脈ではないが、不整脈のような波形が生じる現象。
 主な原因は接触不良・人為的な問題である。


1.ノイズ

近くの電流が流れ込んだもの 
規則正しい基線のゆれが生じている。
原因は電気毛布、輸液ポンプ、携帯電話などの電流の混入。
電極がちゃんとついていれば、起こりにくい。 あとは近くの電源はできれば抜く。


2.筋電図

緊張や寒さなどによる体のふるえにより不規則で細かい基線のゆれが生じている。 心房細動や心房粗動に似ている。
原因は、患者の身体に力が入っている。緊張、寒さ、痙攣など。
対策は、緊張を解きほぐす。 筋肉の動きが少ない場所に電極を貼りなおす。 身体の中心に近い位置は筋電図が生じにくい。 前もってトイレを済ますことも大事。


3.ドリフト

電極と心臓とのズレが原因で大きく基線がゆれる。主に呼吸が大きすぎる、発汗、衣服のこすれなどが原因。
対策は、呼吸は静かに整えさせる。
汗は拭く。衣服はできるだけ掛からないようにする。

 

 


6.十二誘導心電図


・十二誘導心電図のやり方

 

  • 電源をまず入れる。
  • 患者さまの診察券をカードリーダーに通す。
  • 患者さまに心電図を実施することを説明する。
  • 胸部誘導をつける。順番(アキミちゃんブラむらさき: 赤黄緑茶黒紫)

緑を貼る前に、茶を貼ると、しっかり貼れます。

  • 四肢誘導を付ける

(右手:赤 左手:黄 右足:黒 左足:緑)

  • 毛が少ないところにパッドがつくように取り付ける。
  • 手足切断の患者さまは、反対側と合わせて電極を取り付ける。(片腕の前腕がない場合は左右の上腕に取り付ける など)
  • 電気毛布を使用している場合は電源を切らないとノイズが生じるか ら注意。
  • 患者さまに、記録中は動かず落ち着いて呼吸するように説明する。
  • アーチファクトがないことを確認し、記録を開始する。
  • 医師到着していれば、医師に記録した心電図を渡す。
  • 機械を片づける。
  • 経過記録、備考を記載し、コストをとって終了。

 
 以上です!

心電図をまずは基礎から学ぶと、臨床で経験をしていくうちにだんだんと慣れて理解できると思います!

ぜひ心電図を患者さまの観察と急変予防に活かしていってくださいね(゜∀゜)

 

ご意見をおまちしています。