地域看護師のブログ

在宅看護について、つらつらと綴ります。

褥瘡治療薬の基剤のはなし



あたり前だけど、
褥瘡治療薬は、基本的に外用薬である。
つまり、軟膏。

ぬりぐすりである。


ところで、軟膏というのは
2つの組み合わせで構成されている。

1.基剤
2.主薬 

である。


基剤に求められる効果は、
褥瘡の湿潤環境を保持すること。


主薬に求められる効果は、
1.壊死組織の除去 
2.抗菌作用 
3.血管新生・上皮化の促進
 

である。
それで、今回お話ししたいのは
湿潤環境の保持を担当する方の、基剤のおはなしである。

基剤の話


褥瘡からは大なり小なりの浸出液を生じるが、
褥瘡の深さやサイズの程度により、浸出液の量は変化する。

褥瘡は乾燥すると、上皮化が妨げられて治りが遅くなる。
また、壊死組織が乾燥すると黒色化し、その下で感染を生じる危険性が高まる。

よって、
褥瘡を早く安全に治すには、基本的に創の湿潤環境を保持することが大事である。

しかし、過度に湿潤状態にすると、
外用薬が創部から流れてしまい、主薬の効果が減ったり、
褥瘡周囲の皮膚がふやけてしまい、摩擦や外圧等で表皮剥離を起こす危険が増加する。

よって、適度な湿潤環境を保持できるようにコントロールをすることが求められる。
そこで重要なのが、湿潤環境の保持を司る、外用薬の基剤というわけである。


基剤は大きく分けると2つあり、
浸出液を吸収しない、1.疎水性基剤
浸出液を吸収する、2.親水性基剤である。

疎水性基剤

油脂性であり水分がない。
ワセリン、アズノール、プロスタンディン等は疎水性基剤である。
効果は創部の保護のみであり、創部の補水や浸出液の吸収はしない。
浸出液が多い褥瘡に外用すると、過度な湿潤環境にしてしまいやすいため、そうした褥瘡には向いていない。
(そもそも創部にくっつかない場合も多い。)
褥瘡周囲の健常な皮膚に褥瘡治療薬が付着しないよう、創周囲にバリアのように外用するというパターンもある。
浸出液が少なく、カサカサに乾燥しているわけでもない創部への外用に適している。
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親水性基剤

親水性基剤は、
さらに乳剤性基剤水溶性基剤に分類される。

乳剤性基剤は、水分と油分が混合して乳化しており、
創部の補水、創部の保護、浸出液の吸収の効果がある。
水分と油分の比率がどちらが多いかによって、油中水型水中油型に分けられる。

油中水型は創部の保護効果が高く、湿潤環境を長く保つことができる。
リフラップ、ソルコセリル(幼牛血液抽出物)等である。
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対して、水中油型は補水効果が高く、乾燥気味の創部や、黒色壊死がある等で乾燥させたくない創部に向いている。
ゲーベンクリーム、オルセノン等である。
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水溶性基剤は、浸出液を吸収する作用が特に強い。
よって、浸出液が多い褥瘡に向いている。
カデックス、アクトシン、ユーパスタ、ブロメライン等である。
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浸出液の程度によって、
適切な基剤の褥瘡治療薬を使うと、悪化しにくく早く治りやすいんですよ~
という、お話でした。