栗看

~くりかん~

ノロウイルスの予防・嘔吐物の処理方法【決定版】

こんにちは。栗鈴です。

今回の記事は、『ノロウイルスの感染予防と嘔吐後の処理方法!』になります。

よろしくお願いいたします。

 

はじめに

 今年の夏は猛暑でしたが、ようやく少し肌寒くなり、秋らしくなってきましたね。異常気象が毎年続いておりますが、秋から冬は穏やかに過ぎてくれればと願うばかりです。

 ところで皆様!からは、気温低下乾燥の季節ですよ!

 インフルエンザや新型コロナウイルス、風邪に引き続き気を付けながら、きちんと体を暖かくして、手洗い・うがいで感染予防をしていきましょう。

 そして、もうひとつ気を付けなければならないのが、感染性胃腸炎。

 ずばり、ノロウイルスです。

嘔吐は、出るまでが本当にキツいです…

 ノロウイルスも冬季に流行するため、適切に対応するための知識・情報を得て、感染拡大の予防に努めていきましょう!

 

ノロウイルスの感染対策

ノロウイルスの特徴

  • 主に経口感染によって起こり、下痢や吐き気、嘔吐、時に腹痛,発熱などの症状を起こします。
  • 秋~冬にかけて流行し、10~100個程度の少ないウイルスの量でも感染します。
  • 潜伏期間は24~48時間。
  • 有効な治療薬はありません。
  • 風邪と同じように、対症療法が主な治療になります。
  • アルコール消毒は効果がありません。

ノロウイルスの感染経路

  • 主に、食中毒型と、二次感染型に分類されます。
食中毒型


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  • ノロウイルスに汚染された牡蠣などの二枚貝を食べる。
  • ノロウイルスに感染している調理者を介して、汚染された水や食物の飲食をすることで起こります。
二次感染型
  • 便嘔吐物などから、直接または間接的に感染したり、や、などの環境表面、物品を介して感染することで起こります。
  • 感染対策が不十分だと、便や嘔吐物を処理した人や近くにいた人が感染してしまい、家庭内で感染が広がる恐れがあります。
  • 特に、子ども高齢者は免疫力が低いので、感染のリスクは高まります。

ノロウイルスの対応

  • ノロウイルスに有効な治療法はありません。
  • したがって、感染予防および二次感染予防が重要です。

ノロウイルスの感染予防

1.手洗い・うがい
  • 最も基本的なことは、手洗い、うがいです。
  • 特に、トイレの後、調理の前、食事の前必ず手洗いをしましょう。
  • 手洗いは石けんを使用し、しっかりと流水で洗い流します。
  • できればタオルの共用はせずに、ペーパータオルなどの使用をしましょう。
2.食品の十分な加熱
  • ノロウイルスは、85℃~90℃で90秒間以上の加熱により感染力を失うとされています。
  • ノロウイルスが含まれている可能性のある食品は、中心部までよく加熱します。
3.消毒
  • 調理器具の消毒が大切です。
  • まな板、包丁、食器、ふきん、タオル等は熱湯による消毒が有効です。
  • ノロウイルスは、石けんやアルコールでは消毒効果が不十分なので、次亜塩素酸ナトリウム(ピューラックス、ミルトン、ハイターなど。また、手の消毒には適さないので注意!)を用います。
  • 感染の拡大を防ぐため、汚染した衣服や器具,部屋の中も消毒する必要があります。

ノロウイルスの二次感染予防

 

二次感染予防が一番大事かもしれません!必見!
  • 家庭内で嘔吐や下痢が発生したら、直ちに処理が必要です。

嘔吐物の処理

  • 嘔吐を確認後、直ちに清掃しましょう。範囲は半径2m内を清掃します。
  • 清掃中は、他の人が清掃の範囲に近づかないようにしましょう。
  • 処理する人は、自分が感染しないように、清掃する前に個人防護をすることが必要です。
  • 使い捨ての手袋(手からの感染を予防)
  • マスク(ノロウイルスは舞い上がるので、口・鼻からの感染を予防)
  • 使い捨てのガウン(衣服の感染を予防ダイソーなどの100円均一などでも売っていますが、なければゴミ袋に穴を開けてかぶったり、使い捨てのエプロンでもいいです)
  • レジ袋2つ(床からの感染予防のため、レジ袋を履きます。靴下のように足を包んで取っ手を結べばOKです)
  • 大きいゴミ袋(嘔吐物や、使用したタオル、ペーパータオル、手袋、レジ袋などを入れます)

事前に準備しておくと楽ですね!

消毒液の作り方

  • ノロウイルスは、石けんやアルコールでは消毒効果が不十分なので、次亜塩素酸ナトリウムを用います。

スーパーやドラッグストアに、

  • ピューラックス(次亜塩素酸6%)
  • ミルトン(次亜塩素酸1.1%)
  • ハイター(次亜塩素酸6%)

などの商品名で売っています。

 

これを、0.1%に薄めます。

 

バケツや洗面器に入れて、清掃を行います。

  • ピューラックス、ハイター(次亜塩素酸6%)なら、

水3Lに対して消毒液50ml

水600mlに対して消毒液10ml

になります。

  • ミルトンなら、

水3Lに対して消毒液300ml

水600mlに対して消毒液60ml

になります。

 

また、0.1%に希釈済みの商品(ウイルバス1000、ハクゾウ ジアパック等)も売っていますが、なかなかお店にはないかもしれません。

 

Amazonなどの通販ならば、確実に手に入れることができます!

ウイルバス1000

ハクゾウ ジアパック

嘔吐物処理の手順

1、まずは嘔吐物を拭き取る

  • まず、嘔吐物をタオルやペーパータオルで外側から中心に向かって拭き取ります。感染の範囲を広げないように気を付けます。
  • 拭いた嘔吐物やタオル、ペーパータオル、手袋、レジ袋は、ゴミ袋に入れます。
  • 拭き終わったら、使い捨て手袋を交換し、ゴミ袋の口を密閉します。

2.嘔吐物を除去したら、床を消毒する

  • 嘔吐物を拭き取った所に、0.1%の次亜塩素酸の消毒液を染み込ませたタオルを広げ、外側から中心に向かって拭きます。
  • また、ペーパータオルなどの紙では、消毒液の効果が低下するため、できれば使用せずにタオルなどの布を使用しましょう!
  • 消毒液や嘔吐物の臭いで気分を悪くすることがあります。処理中、処理後は窓を開けたり、換気扇を回して換気をしましょう。

トイレでの嘔吐や下痢した時の消毒

次亜塩素酸0.1%の消毒液で、

  1. ドアノブ
  2. 手すり
  3. ぺーパーホルダー
  4. 便座
  5. スイッチ類
  6. 便座のフタ
  7. 水洗レバー

をきちんと拭きましょう。

  • また、できれば毎回のトイレの後に消毒をすることが望ましいです。
  • できるなら、家族全員が消毒できるように、消毒のやり方を説明しておきましょう。(特に子どもと高齢者は感染しやすいです。)

嘔吐物を処理後も油断せず!

手洗いする!
  • 手袋、マスク、ガウン、レジ袋などの個人防護を外した後は、すぐに石鹸で手洗いします。
  • 指先、指の間、親指、手首を忘れずに!
  • 15秒以上石鹸で洗い、15秒以上流水で洗い流しましょう。
汚れた布類はどうする?
  • 消毒に使ったタオルや汚れたシーツやカバー等の布類は、0.02%の次亜塩素酸の消毒液に60分、バケツなどに入れて浸し消毒します。

 

  • ピューラックス、ハイター(次亜塩素酸6%)なら、

水3Lに対して消毒液10ml

水600mlに対して消毒液2ml

になります。

 

  • ミルトンなら、

水3Lに対して消毒液60ml

水600mlに対して消毒液12ml

になります。

  • こちらの濃度も、希釈済みの商品があるので、希釈済み商品を検討してもよいかと思います。

 

ウイルバス200

消毒の後は、他のものと分けて最後に洗濯をして処理完了です!

お疲れさまでした。

嘔吐物が入ったゴミ袋の廃棄方法は?
  • 自治体の8割は、感染性の廃棄物でも一般ごみとして廃棄可能です。
  • ですが、市町村のホームページなどで確認して廃棄することをおすすめします。
  • 東京23区では、一般ごみで廃棄可能です。

おわり!

 

 

おわりに

 


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ノロウイルスは正しく対応することで、感染の拡大を予防できます!

自分と家族を感染から守りましょう!

 

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脱水の看護計画の例【看護診断、OP・TP・EPも!】

皆さんこんにちは、栗鈴です。
今回は『脱水の看護計画』です!宜しくお願い致します。

 

はじめに

人体の60%は水って、テレビでよく耳にしますね。

水≒生命の源

食事が摂れないことよりも、水分が摂れないことの方が、身体恒常性(ホメオスタシス)を維持することができず、命に関わります。

 

人間は代謝(発熱、発汗、排尿、排便)によって日常的に水分を失っています。失った分を口から補給しなければ、いずれは脱水になります。

 

また、外気温が高ければ高いほど、空気の「飽和水蒸気量」というのが上がります。すると、皮膚からの蒸散(=不感蒸泄=見えない汗とも呼ばれる)が多くなり、さらに体内の水分が失われやすくなります。

 

暑いと洗濯物がすぐ乾く」のと原理は一緒で、暑ければ当然に人間の身体は乾きやすくなります。したがって、四季の中でも気温が上がる夏は、春や秋と比べるとはるかに脱水が起こりやすいです。

 

最近の夏は、地球温暖化等の影響で、35℃以上の気温になることが当たり前のようになってしまいました。毎年のように脱水から熱中症を引き起こし、死亡してしまう事例が発生しています。

 

病院で看護をしていると、入院中に脱水を生じる患者さんは(お看取りのケースや、低アルブミン血症を生じる疾患等を除くと)滅多にいません。

 

24時間看護師が配置されていて、適切な室温調整、点滴療法や食事・飲水の介助等が施されるからです。

 

しかし、在宅では療養環境がそれぞれに全く違うため、状況は変わってきます。

 

脱水は、症状が出現してからでは、すでに重症となっている場合があるため、あらかじめ予防することが大切です。

 

ですので、夏はきちんと脱水予防を意識して過ごしていきましょう!

 

それでは宜しくお願いします。

 

 

脱水の病態生理

脱水とは体液量が減少した状態をいい、主に細胞外液の減少を指す。この際、水分とともに電解質(特にナトリウム:Na)の喪失も伴い、喪失程度の差に応じて3つの病型に分類される。

 

①高張性脱水症(水欠乏性脱水症)

Naに比べ水分が多く失われ、体液の浸透圧が上昇する脱水症

②低張性脱水症(Na欠乏性脱水症)

水分に比べNaが多く失われ、体液の浸透圧が低下する脱水症

③等張性脱水症(混合性脱水症)

水分とNaが同じ割合で失われる脱水症

 

  • 水分や電解質の喪失により細胞内液細胞外液の間に浸透圧差が生じ、細胞内外で浸透圧差が解消するように水の移動が起こる。これが要因となり脱水症の症状が発症する。

 

  • 臨床的には高張性・低張性に明確に分けることは困難で、等張性脱水症を呈する場合が多い。しかし、脱水症を治療する場合は、水とNa、どちらの喪失が優位かを考慮することが重要である。

 

  • 細胞外液間質液(細胞と細胞の間にある液体)+血漿(血液の血球以外の成分)からなる。

 

  • ネフローゼ症候群、肝硬変、悪性腫瘍(がん)等の疾患では、膠質(こうしつ)浸透圧の低下≒低アルブミン血症が顕著になり、間質液が貯留し、血漿は減少する。このような場合は全体の体液量が増加しているにも関わらず、血管内の循環血漿量は減少しており、一般的な脱水とは異なり、血管内脱水とよばれる。

 

脱水の症状

脱水の臨床症状は病型によって特徴がある。

  • 高張性脱水症:細胞外液の浸透圧が高くなり、水が細胞内から細胞外へ移動することにより、細胞内脱水が起こる。口喝、皮膚・粘膜の乾燥を生じやすい。脱水が高度になると興奮、不安、せん妄など精神症状を呈することがある。
  • 低張性脱水症:細胞外液の浸透圧が低くなるため、水が細胞外から細胞内へ移動し細胞外液が減少する。症状は、循環血液量減少、脳浮腫に由来するものが主体となっている。全身倦怠感、立ちくらみ、皮膚ツルゴール低下、血圧低下、頻脈、蒼白、四肢冷感、悪心・嘔吐、頭痛を生じやすい。進行すると、傾眠・昏睡となる。
  • 等張性脱水症:細胞内外で浸透圧は等張のため、水分の移動は起こらない。高張性脱水による口喝、低張性脱水によるめまい、血圧低下など、両方の症状が出現する。

高張性脱水の原因

水分摂取不足

  • 全身衰弱、食欲不振、意識障害、渇中枢障害、嚥下障害

腎外性水分喪失

  • 皮膚からの発汗・発熱
  • 肺からの過換気や気管切開

腎性水分喪失

  • 高血糖、高カロリー輸液、造影剤などによる浸透圧利尿
  • 尿崩症などによる尿濃縮力の低下

低張性脱水の原因

腎外性体液喪失

  • 嘔吐・下痢・消化管出血などによる消化管からの喪失
  • 熱傷・滲出性皮膚疾患などによる皮膚からの喪失

腎性体液喪失

  • 塩類喪失性腎症
  • 副腎皮質機能不全(アジソン病)
  • 利尿薬の過剰投与

血管外への体液移行

  • 腸閉塞・腹膜炎などによる、腹腔内や腸管への貯留
  • 熱傷による浮腫、水疱形成

脱水の治療・対症療法

第一にバイタルサインの確認を行い、ショックや意識障害などの異常があれば急速輸液を行うなどの緊急処置をとり、バイタルサインの安定化を図る。

  • 意識が正常かつ嚥下が可能で消化管障害がなければ経口からの補液を行う。
  • 経口摂取困難、中等度の脱水(体重の5%前後程度の減少が目安)がある場合は、経静脈的に輸液を行う。
  • 高度の脱水(体重の10%前後程度の減少が目安)があれば急速輸液を行う。

 

脱水の看護問題の例

  1. 大量の発汗により体液量が不足している
  2. 悪心・嘔吐による水分摂取量の不足から電解質異常を生じる可能性がある
  3. 皮膚・粘膜の乾燥、尿量減少により、呼吸器・尿路感染症の可能性がある
  4. 循環血液量の減少に伴う血圧低下等により転倒、身体損傷の可能性がある
  5. 患者・家族が症状悪化、再発に対する不安を生じている

脱水の看護計画の例

1.大量の発汗により体液量が不足している

看護診断:体液量不足

関連因子:実在する体液喪失(発熱による不感蒸泄の増加 等)

長期目標:水分摂取量・電解質異常が改善し、症状の軽減がみられる

短期目標:皮膚・口腔粘膜の乾燥が改善する 

OP

  • 水分摂取量
  • 発汗の有無
  • 口喝・口腔粘膜乾燥の程度
  • 眼球陥凹
  • 尿検査:尿量、尿比重、蛋白、糖、Na、Cl、Ca、浸透圧など
  • 血液検査:赤血球、ヘモグロビン、ヘマトクリット、血清総蛋白、アルブミン、Na、K、Cl、Ca、尿素窒素、クレアチニン、血糖、血液ガス分析など
  • 体重
  • 水分出納

TP

  • 水分、食事、輸液、尿量、便、発汗の有無・程度を定期的に記録する
  • 経口での水分補給を促す
  • 経口摂取できない場合は含嗽を促す
  • 医師の指示により輸液、薬剤を投与する
  • 室温・衣類・掛け物を調整し、体温を調節する
  • 皮膚・粘膜をマスクや外用薬などで保護する

EP

  • 状況に応じて、輸液の必要性について説明する
  • 経口からの水分・栄養摂取の必要性を説明する
  • 脱水症状の観察方法を説明する
  • 水分出納のチェック方法を説明する
  • 皮膚・粘膜の乾燥を防ぐ方法を説明する

 

2.悪心・嘔吐による水分摂取量の不足から電解質異常を生じる可能性がある

看護診断:電解質平衡異常リスク状態

関連因子:嘔吐

長期目標:悪心・嘔吐がなくなり、電解質が正常範囲内に維持される

短期目標:悪心が軽減し、嘔吐の回数、量が減少する

OP

  • 悪心の有無、程度
  • 嘔吐の回数、量、性状、食物残渣の有無、胆汁・血液混入の有無
  • 口腔・皮膚の乾燥の程度
  • 精神症状の有無、程度

TP

  • 安静を保持できるよう臥床、安楽体位姿勢での休息を促す
  • 嘔吐時は含嗽や口腔清拭を行う
  • 室温・湿度調整、換気により体温を調節する

EP

  • 状況に応じて、輸液の必要性について説明する
  • 経口からの水分・栄養摂取の必要性を説明する
  • 脱水症状の観察方法を説明する
  • 水分出納のチェック方法を説明する

 

3.皮膚・粘膜の乾燥、尿量減少により、呼吸器・尿路感染症の可能性がある

看護診断:感染リスク状態

関連因子:不適切な第1次防御機構、免疫抑制など

長期目標:感染の危険因子と感染予防に必要な注意事項を説明できる

短期目標:感染経路の清潔が保たれる

OP

  • 発熱、白血球数上昇、CRP値上昇の有無
  • 尿量、尿の性状、排尿回数、排尿時痛、残尿感
  • 自覚症状の有無と変化
  • 感染症の既往の有無と症状に対する態度

TP

  • 状況に応じて皮膚処置を行う
  • 皮膚・粘膜を保護する
  • 褥瘡を予防する
  • 水分と十分なエネルギー、たんぱく質摂取を促す

EP

  • 感染の可能性と予防の必要性を説明する
  • 皮膚・粘膜の乾燥を防ぐ方法を説明する
  • 感染徴候の観察方法を説明する
  • 経口からの水分・栄養摂取の必要性を説明する

 

www.aikoandsibajyun.info

 

 

4.循環血液量の減少に伴う血圧低下等により転倒、身体損傷の可能性がある

看護診断:身体損傷リスク状態

関連因子:立ちくらみ、めまい、血圧低下、倦怠感

長期目標:転倒・転落や身体損傷なく療養生活を過ごすことができる

短期目標:安全対策がとられた状況で療養することが出来る

OP

  • バイタルサイン
  • 尿・血液データ
  • 自覚症状の有無と変化
  • ベッド周囲の環境

TP

  • 柵、ベッド周囲物品などの環境整備を行う
  • 意識状態、バイタルサインに応じて移動時の介助を行う

EP

  • 安静の必要性を説明する
  • 身体の変化が出現した場合は、すぐに伝えるよう説明する

 

5.患者・家族が症状悪化、再発に対する不安を生じている

看護診断:不安

関連因子:表情の緊張、注意障害

長期目標:身体・心理的不安が軽減し、生活環境を整えることが出来る

短期目標:不安や苦痛を言語化して表出できる

OP

  • 表情、落ち着きがない様子
  • 冷汗、蒼白などの不安を示す生理的変化の有無
  • 不安・心配の訴え
  • 状態や治療に対する質問の有無・内容
  • 夜間の睡眠状態
  • 食欲と食事摂取量

TP

  • 感情を表出しやすい環境づくりをする
  • 患者・家族の訴えに丁寧に対応する
  • 不安を助長させないように、相手の表情をみながらゆっくりと患者のペースに合わせて声掛けする
  • 必要時には不安や緊張を取り除く音楽、リラクゼーション法やマッサージなどを取り入れる

EP

  • 分からないことや心配なことがあれば質問するように伝える

 

以上になります!

おわりに

脱水は高齢者に起こりやすいです!

高度の脱水は死に至る危険性もあります!

そのため、迅速な対応が必要です!

まずはバイタルサインをすぐチェック!

意識は、はっきりとしていますか?

血圧は普段より下がっていませんか?

意識障害・ショック(血圧低下)がある場合は、超・緊急です!

すぐに人(在宅なら、家族、隣人、ケアマネージャー、訪問看護師、ホームドクター、救急隊など)を呼びましょう!

急速補液などの対応が行えるように体制を整えましょう!

 

また、私の体感ですが

脱水を起こしたことのある患者さまは、気温が上がる5~7月頃から、毎年のように脱水を繰り返す、という方が多いように思います。

 

脱水の再発予防に向けて、脱水が起こらないような環境づくりをあらかじめ準備しておきましょう!

 

看護・介護計画を立てて、

水分・食事を1日どのくらいとればいいのか、

体重はどのくらいだと安全か、

尿の回数や量はどの程度なら問題ないか等、

あらかじめ話し合っておきましょう!

異常の予防・早期発見に向けたセルフチェックが脱水予防ではとても重要です!

徹底して行えるようにしていきましょう!

 

おしまい。

 

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参考文献

緊急度・重症度からみた症状別看護過程 104‐117P:編集 井上智子/佐藤千史:医学書院

 

褥瘡予防のアセスメントと観察・ケアの方法を解説!

こんにちは、栗鈴です。

今回の記事は、『褥瘡予防のアセスメントと観察・ケアの方法を解説!』です。

よろしくお願いします。

 

 

 

 

 

 

はじめに

褥瘡予防のケアは、看護・介護をする上で欠かせない重要なスキルになります。

褥瘡が発生するかしないかは、

褥瘡予防のケアがいかに適切に行えているかどうかによって決まるといっても過言ではありません。

 

担当するスタッフによる観察・ケア・家族指導などの介入次第で結果が決まります。

 

逆に言うと、褥瘡ケアはまさに

看護師の腕の見せ所です!

 

褥瘡予防のアセスメント、ケアをマスターして、【治るべくして治る】環境が整えられるように、勉強をしていきましょう!

 

褥瘡のアセスメント・予防

 
<褥瘡の予防>

褥瘡のリスクアセスメント

  • アセスメントデータは患者の皮膚統合性や褥瘡発生の危険性、そして治癒過程の予測に関する重要な情報となる。
  • アセスメントは定期的な間隔、術後など、状態が変化したときに行う。

褥瘡の予防と発生後のケアについて、

  1. 「皮膚の観察」
  2. 「褥瘡発生の予測」
  3. 「圧迫、ずれの排除」
  4. 「スキンケア」
  5. 「栄養管理」
  6. 「リハビリテーション」
  7. 「患者教育」

の7つの視点を常にもつ。

 

 

褥瘡リスク因子の観察項目

褥瘡危険因子の評価のため、以下を観察する。

  1.  基本的動作能力の程度
  2. 知覚異常の有無(脊髄損傷など)
  3. 循環障害(糖尿病による末梢神経障害など)
  4. 病的骨突出の有無
  5. 関節拘縮の有無
  6. 栄養状態低下の有無
  7. 貧血の有無
  8. 脱水症の有無
  9. 多汗・失禁などによる皮膚湿潤の有無・程度
  10. 浮腫の有無、程度
  11. 褥瘡や創傷の有無および既往歴


褥瘡発生リスクの評価スケール

褥瘡発生予測方法として、

  • ブレーデンスケール
  • K式スケール
  • OHスケールなどが用いられる。

国際的には、ブレーデンスケールがよく用いられる。

 

ブレーデンスケール 
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https://goo.gl/images/vobYio

 

  • 日本褥瘡学会のガイドラインでは、ブレーデンスケールを用いることが勧められている(推奨度B)。
  • ただし、高齢者には、褥瘡危険因子による評価、高齢者寝たきり患者においては、OHスケールを使用してもよいとしている (推奨度C1)。

 

OHスケール 
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https://goo.gl/images/ybk6jv

 

OHスケールのリスクランク判定、マットレス選択基準(介護力あり・なし)
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  • 寝たきり入院高齢者ではK式スケール(金沢大学式褥瘡発生予測尺度)を使用してもよいとしている (推奨度C1)。
  • スケールの使用により簡便に評価できる。また、評価者によるばらつきが少なくなり、継続的な評価が可能となる。

 

体圧分散マットレスの使用

  • 患者の状態やリスクに応じて体圧分散マットレスを選択する。
  • 日本褥瘡学会のガイドラインでは、褥瘡予防のために体圧分散マットレスを使用することが強く勧められている(推奨度A)。
  • 高齢者には、2層式エアマットレスの使用(推奨度B)
  • 急性期患者には低圧保持用エアマットレスの使用(推奨度B)
  • 周手術期患者には圧切替型エアマットレスの使用(推奨度C1)が勧められている。
  • 接触圧の体圧値が40mmHg以上のときは、褥瘡ができやすい。ブレーデンスケールの可動性2点以下の時は、体圧分散マットレスの使用を検討する。
  • すでに使用している場合はマットレスの使用状況が適切かを確認し、必要時にはマットレスの変更を検討する。
  • マットレスは底付きしないよう、圧力を調節する。
  • マットレスの下(骨突出部の真下)に手掌を上にして手を差し込み、中指または示指を曲げて確認する。すぐに骨突出部に触れる状態を底付き状態という
  • 底付き状態の場合はマットの内圧を高くする。指を2.5cm曲げると骨突出部に触れる状態が適切な圧である。曲げても骨突出部に触れない場合は、過剰な圧力のため、マットの内圧を低くする。
  • マットレス使用による患者の安楽や日常生活動作への影響についてもアセスメントする。
  • マットレスは体圧分散に有効だが、体がマットレスに沈み込むと、自力での起き上がりや座位保持が困難となり、リハビリテーションを妨げることがあるため、リスクアセスメントと必要性の判断を定期的に行う。

 

体位変換
f:id:aiko-and-sibajyun:20170806060641j:image

https://goo.gl/images/jm0Veh

 

  • 体位は枕やクッションを使用し、褥瘡好発部位の圧迫を避ける。
  • 30度側臥位が褥瘡を予防するのに効果的であるが、患者にとって安楽な体位を工夫する。
  • 同一体位による圧迫を解除する。
  • 90度側臥位は下側の腸骨、大転子が圧迫されるのに比べ、30度側臥位は殿筋に圧が加わるため褥瘡発生のリスクが低いとされている。
  • ただし、日本褥瘡学会のガイドラインでは、30度側臥位、90度側臥位ともに行ってもよい(推奨度C1)が、日本人の体格では検討されていないことと、30度側臥位は患者の安楽な姿勢に反していると報告されていることに留意する必要があるとしている。
  • 体位変換の頻度は、可動性のレベル、全身状態、皮膚の状態のアセスメントおよび使用している体圧分散マットレスによって決定するが、最低でも4時間ごとを目安とする。
  • 以前は2時間毎に体位変換を行うべきとすることもあった。患者・介護者の身体的負担や安楽・入眠が妨げられることから、特に在宅の場では推奨されなくなってきた。
  • 体位変換時に、寝具や寝衣のしわが生じないように整える。
  • 摩擦は褥瘡発生の要因であるため、患者を引きずらないよう注意する。
  • ギャッチアップの実施は、ずれが発生しないよう注意し、背抜き(体を一度浮かせてずれを解除する)を行う。
  • ギャッチアップ、ギャッチダウン後は、マットレスと体の接触面にずれが生じるため、背抜き(体を一度浮かせてずれを解除する)を行う。

 

スキンケア

  • 皮膚の湿潤により皮脂を保護している皮脂膜が取れ、皮膚のバリア機能が損なわれると、浸軟、損傷、感染と皮膚の抵抗力は弱まる。
  • また、皮膚の乾燥は摩擦ずれによって表皮が剥離しやすくなる。
  • 日本褥瘡学会のガイドラインでは、高齢者の骨突出部位の褥瘡発生予防に、ポリウレタンフィルムドレッシング材、すべり機能つきドレッシング材を貼付することが勧められている(推奨度B)。
  • 汗、便、尿を除去し、皮膚を清潔に保つ。
  • 皮膚乾燥時には親水性クリーム、皮膚の摩擦部位には半透過性フィルムなどを使用する。
  • 清拭をする際は、皮膚を強くこすって傷つけないよう注意する。
  • 入浴や足浴などを行い、循環を促進させる。

 

栄養評価

定期的なリスクアセスメントを行い、血清アルブミン値3.0g/dl以下で、かつ血清ヘモグロビン値11.0g/dl以下の場合は、褥瘡のリスクが高いとし、必要に応じて栄養状態改善の看護計画を立案する。

  • 低栄養、特に低蛋白は褥瘡発生のリスクを高めるため定期的にアセスメントし、早期に介入をはかる。
  • 脱水によって、数値の上ではアルブミン値が高値となる場合もあるので注意する。
  • 体重変化、消化器症状(悪心、嘔吐、下痢など)、電解質バランスも考慮してアセスメントする。
  • 必要に応じて管理栄養士と連携し、栄養方針を検討する。

 

<褥瘡発生時の評価と観察>

1.褥瘡が発生したら、褥瘡の深さを評価する。

発生した褥瘡の深さは、NPUAP (National Pressure Ulcer Advisory Panel:米国褥瘡諮問委員会)分類で分類される。

knowledge.nurse-senka.jp

  • 客観的指標で評価し、医療従事者間の共通認識をはかる。
  • 2007年よりNPUAP分類に「DTI(Deep Tissue Injury)疑い」と「判定不能(unstageable)」が加わった。「DTI疑い」とは、初期の段階では一見軽度な褥瘡に見えるが実際には皮下組織がすでに壊死に陥っているものを指す。
  • DTIへの対策として大切なのは、まずDTIを疑うことである。

www.almediaweb.jp

2.褥瘡局所状態の観察を行う。

  • DESIGN®およびDESIGN-R®ツールを使用し、発生している褥瘡の重症度を分類し、治癒過程を数値で表して経過をみる。
  • 客観的指標で評価し、医療従事者間の共通認識をはかる。
  • DESIGN®およびDESIGN-R®は、基本的に医師と評価を行う。
  • 毎日、褥瘡の状態を観察し、大きさやケア内容をカルテに記載する。必要に応じて褥瘡部の写真を撮る。写真を撮ると、状態や変化が把握しやすい。

www.almediaweb.jp

 

以上になります!

いかがでしたでしょうか。

 

おわりに

今回の褥瘡予防のアセスメント・ケアを、自分だけが実践したとしても、それだけでは24時間、常に行き届いた褥瘡予防が出来るわけではありません。

褥瘡予防は、途切れることなくケアが持続できていなければ、いずれ褥瘡は発生し、悪化していきます。

 

褥瘡予防に携わる医療チーム全員が、統一したアセスメント・ケアができるように、実践していく看護を主体的に計画していきましょう!褥瘡ケアは1人でやるのではなく、チーム全員でやるものです!みんなで頑張りましょう!

 

おわり!

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血液透析の手順・看護上の観察・注意点【必要物品・穿刺方法も】

みなさんこんにちは、栗鈴です。

今回の記事は『血液透析の実施手順・看護上の観察と注意点【必要物品、穿刺、開始~終了まで】』です!

それではやっていきましょう!



 

 

はじめに

私は現在訪問看護師なのですが、以前は総合病院の腎臓内科病棟で6年ほど勤務した経験があります。

その間、透析室の看護業務、腎臓内科外来、腹膜透析外来、腎移植術前後の看護などを経験させて頂く機会に恵まれ、腎臓に関する看護に関しては、あらかた経験をしたのかなと感じます。

私がブログを書き始めたときは、腎臓内科に関する記事ばかり書いていたのですが、恥ずかしいレベルの文章と内容だったため、大半は一旦投稿を終了して、下書きの中に入れています…。

今回は久しぶりに腎臓に関する記事を書けて、なんだかうれしいです!

気合を入れて書きましたので、11000文字以上の長い記事になってしまったのですが…良かったらお付き合い頂ければと思います!

 

血液透析の手順・看護上の注意点【必要物品、穿刺、開始・終了の手順】

血液透析の必要物品

  1. 透析用監視装置
  2. 血液回路
  3. ダイアライザー
  4. 水処理装置
  5. 生理食塩水(血液回路用)
  6. 指示された補液
  7. 指示された透析液
  8. ペアン鉗子
  9. 使い捨て手袋
  10. マスク
  11. 袖付きビニールガウン
  12. 滅菌ドレープ
  13. 金属針または透析用留置針16~19G
  14. 駆血帯
  15. 針捨て容器
  16. シリンジ
  17. 単包のアルコール綿
  18. 消毒薬
  19. 綿球
  20. 滅菌ガーゼ
  21. 固定用テープ
  22. 指示された抗凝固薬
  23. ディスポーザブルシーツ

[必要時]

  1. ゴーグル
  2. フェイスシールド
  3. 生理食塩水(注入用)
  4. 18G針

 

血液透析の準備 

1.患者本人であることを確認する。

  • 施設の基準に従い複数の患者識別法を用いて行う。

JCI(Joint Commission International)では、国際基準として2種類の患者識別法を用いた確認方法を推奨している(氏名+生年月日、氏名+IDなど)。

 

2.目的を説明し、同意を得る。


3.穿刺部痛が強い患者の場合は、貼付用局所麻酔薬(ペンレステープなど)を1回1枚、穿刺予定部位に約30分間貼付する(詳細な使用方法については添付文書を参照)。

  • 穿刺時の疼痛緩和を目的に貼付する。

 

4.患者に排泄の有無を確認する。

  • 透析の中断を避けるため、なるべく事前に排泄を済ませてもらう。

 

5.患者に手を洗ってもらう。

  • 液体石けんを泡立ててシャント部を中心に腕全体をよく洗い、ペーパータオルで水分を拭き取る。
  • 穿刺に伴う血流感染を防止する 。
  • 固形石けんを清潔に使用するのは困難。
  • できるだけ液体石けんを使用するのが望ましい。

 

6.体重測定を行う。

  • ドライウェイト(心胸郭比、血圧、浮腫の有無などから設定した理想体重)からの体重増加量を把握する。
  • 風袋(服や靴下などの重み)を同じにする。

 

7.バイタルサインを測定する。

  • 血圧・体温は非シャント側で測定する。(シャント側は体温が高めに出る。加圧によりシャントの血流を遮断しないように非シャント側で血圧測定する。)
  • 血圧計、聴診器、体温計を複数の患者に使用する場合は、患者ごとに必ず洗浄または消毒を行う 。
  • 必要ならば、心電図モニター、パルスオキシメーターを装着する。
  • 循環動態が不安定な患者は継続的にモニタリングを行い、異常の早期発見に努める。

 

8.前回透析後から以下の変化がないか確認する。一般状態を確認し、透析時に注意すべきことを判断する。

  1. 体調の変化
  2. 内服薬の変更
  3. 転倒や打撲の有無
  4. 血便の有無
  • 血便などの消化管出血が疑われる場合、体調の変化が著しいなど、処置や透析条件の変更が必要と考えられる場合は医師に報告する。

 

9.シャント肢の観察を行う。

  • 透析開始前に、シャント肢の異常の有無を確認し、必要ならば医師に報告する。
  • シャント肢に、血管走行に沿う発赤熱感腫脹疼痛などの異常がないか。
  • シャント肢に感染や血栓の可能性など、異常がないか観察する。
  • 血管の位置や走行、内出血血腫形成の有無、弁の位置。
  • 内出血や血腫、弁の部位の穿刺はシャントトラブルの原因となるため、事前に確認し、穿刺部位を決定する。
  • 内シャントの場合、シャント部を触診し、動静脈吻合部から中枢側まで、スリル(血流の振動)が感じられるか。
  • スリル触診範囲の狭小化、減弱、消失がある場合は、シャント狭窄の可能性がある。
  • 内シャントの場合、シャント部を聴診し、シャント音が正常であるか。シャント音聴取範囲の狭小化、高調性雑音の聴取がある場合は、シャント狭窄の可能性がある。
  • 施設の基準に応じて、シャントトラブルの評価表などを用いて内シャントの状況を客観的に評価する。

 

10.観察内容をカルテや透析用記録用紙に記録する。

 


<血液透析の血液回路の準備>

 ※手順4までは事前に行っておいてよいが、手順5のプライミング以降は透析開始直前に行う。

  • 状況に応じ、患者準備と同時進行で行う。


1.医師の指示書、看護記録を見ながら以下を確認する。

  • 透析開始前に、バイタルサイン測定、体重測定、臨床検査など、必要な項目が終了しているか確認する。
  1. 血管アクセス
  2. 透析治療時間
  3. ダイアライザー、透析監視装置の種類
  4. 血流量(流量制限の有無)
  5. 抗凝固薬の種類、濃度、注入速度、モニタリング項目
  6. バイタルサインの測定項目
  7. 体重(ドライウェイトと透析前体重)
  8. 臨床検査項目

 

2.必要物品を準備する。

必要物品の不足で、処置が中断されないようにする。

  • ダイアライザ-および血液回路が、透析指示と合致すること、滅菌有効期限と包装に不良がないかを確認する。

 

3.手指衛生を行い、使い捨て手袋を装着する。

  • 微生物の伝播を予防する。

 

4.指示された薬剤を清潔区域で準備する。

  • プレフィルドシリンジ製品がある場合は、極力それを使用する。バイアルからシリンジに吸引する場合は、透析室から区別された区画で行う。
  • 抗凝固薬は出血性疾患(眼底出血、消化管出血など)の有無や血液凝固データに応じ、医師から薬剤や投与濃度の指示が出るため、正確に調剤する。

 

5.製品説明に従い、透析用監視装置に回路を取り付け、洗浄およびプライミングをする。

  • ダイアライザーと血液回路内の微小な塵、膜の保護剤を充填液で洗浄し空気を除去する。
  • 感染予防のため透析開始直前に行う。
  • 回路開封時、外観および内部に不良・破損・異物混入がないかを確認する。
  • 血液回路はねじれや折れ、汚染が生じないように装着する。

 

6.指示された抗凝固薬を血液回路に取り付ける。

  • 脱血した血液が回路内で凝固することを防止するために、必要ならば抗凝固薬を使用する。
  • 接続時、気泡が入らないように接続する。

 

7.医師の指示に従い、透析用監視装置の初期設定をする。

  • 指示書を見ながら行い、疑問や不明点があれば医師に確認する。

 

8.以下の項目を医師の指示書を見ながら看護師もしくは臨床工学技士2人で確認する。

  • 総(目標)除水量は、体重増加量(透析前の体重-ドライウェイト)+透析中予定水分摂取量+体内に入る生理食塩水の量で計算されることが多い。施設の基準、患者の状態に沿って計算する。
  1. ダイアライザー、透析監視装置の種類
  2. 透析液の濃度
  3. 総(目標)除水量などの初期設定状況
  4. 透析用監視装置の検知機能、警報機能が正常であるか
  5. 抗凝固薬の種類、濃度、注入速度
  6. 回路の組み立てに誤りがないか、接続部に緩みはないか
  7. クランプは適切な部位にされているか

 

9.使用した物品を適切な方法で片付ける。


10.使い捨て手袋を外し、手指衛生を行う。

  • 微生物の伝播を予防する。

 

11.初期設定の内容をカルテや透析用記録用紙に記録する。

  • 透析用記録用紙は常にベッドサイドに置いておく。

 

<内シャントの穿刺>

※透析の開始は、

  1. 穿刺を行うもの
  2. 穿刺の介助および機械操作を行うもの

上記の原則医療従事者2名以上で行う。

どの医療従事者が行うかは各施設の基準に従う。

  • 動脈表在化は動脈穿刺にあたるため医師が穿刺する


<透析用留置針の場合>

1.
患者本人であることを確認する。施設の基準に従い複数の患者識別法を用いて行う。

  • JCI(Joint Commission International)では国際基準として2種類の患者識別法を用いた確認方法を推奨している。

 

2.目的を説明し、同意を得る。

  • 穿刺前に体重測定など、透析前の必要な処置が終了しているか、透析用監視装置の準備が終了しているかを再確認する。

 

3.必要物品を準備する。物品の不足により、処置が中断されることのないようにする。

  • 滅菌処理をしたディスポーザブルキットの使用が望ましい。

 

透析開始用の必要物品

  1. 消毒綿・消毒綿棒
  2. ディスポーザブルシーツ
  3. ガーゼ
  4. ピンセット
  5. 穿刺部保護テープなど。

 

透析終了用の必要物品

  1. 止血圧迫ガーゼ
  2. 消毒綿・消毒綿棒
  3. ピンセット
  4. インジェクションパッドなど。
  • キットの準備が不可能な場合は開始・終了直前に患者ごと別々に無菌的に用意することが推奨される。

 

4.穿刺しやすいように周囲の環境・衣服・体位を整える。

  • 袖をまくり上げる、照明をつけるなど、血管の確認がしやすい環境を整える。

 

5.実施者は、手指衛生を行い、使い捨て手袋、マスク、袖付きビニールガウンを装着する。介助者は、手指衛生を行い、使い捨て手袋、マスクを装着する。

  • 微生物の伝播を予防する。
  • HIV感染者の場合は、フェイスシールドマスクあるいはゴーグルを装着する。

 

6.ディスポーザブルシーツの上に、シャント肢を置く。

 

7.必要に応じて、穿刺予定部位の中枢側に駆血帯を巻く。

  • 穿刺部位を決定しやすくなる。
  • シャントトラブルの原因となるため、駆血帯は強過ぎないよう、長時間締め過ぎないようにする。
  • 動脈表在化、人工血管の場合、駆血帯を使用しないこともある。

 

8.穿刺部位を選択する。

  • 可能な限り、吻合部から5cm以上離れた部位にする
  • 穿刺による狭窄が吻合部に近い部位に生じるとシャントの寿命が短縮する原因となる。吻合部に近い部位を穿刺して失敗した場合、再穿刺部位がなくなることにつながる 。
  • 可能な限り、動脈穿刺部と静脈穿刺部は5cm以上離れた部位にする
  • 体外循環した血流の再循環を防ぐ。
  • 前回の穿刺痕から5mm程度ずらした部位にする。
  • 仮性動脈瘤や穿刺部前後の血管の狭窄の原因となるため、できるだけ広い範囲にまんべんなく穿刺するようにする。
  • 内出血や血腫形成などの異常のある部位、弁の位置は避ける。狭窄や閉塞の原因となる。

 

9.消毒薬を染み込ませた綿棒またはガーゼで、穿刺予定部位から徐々に外側に向かって5~7.5 cm程度の円を描くように消毒する。

 

乾燥まで数分要する場合は、一度駆血帯を外し、消毒後に乾燥させてから再び駆血帯を巻き直す。

  • 微生物の伝播を予防する。
  • CDC(米国疾病管理予防センター)ガイドラインでは0.5%以上のクロルヘキシジンアルコール製剤の使用を推奨しており、クロルヘキシジンが禁忌の場合はヨードチンキ、ヨードホールまたは70%アルコールを代替消毒薬として使用可能としている。
  • 日本ではポビドンヨードが第一選択とされている。
  • 消毒用エタノールを使用することもあるが、人工血管の穿刺時の消毒には不適切とされている。
  • 消毒薬を浸した綿球は使用する直前に滅菌トレイなどに用意する。ポビドンヨードを綿棒に浸透させる構造のキット製品を使用してもいい。
  • 消毒薬が最大限に効果を発揮するために、乾燥させなければならない。
  • 駆血時間は1分を超えないようにし、必要に応じて、駆血帯をいったん緩める。

 

10.透析用留置針の破損や異常がないか目視で確認し、外筒に内筒を押し付けてあそびをなくす。

  • 外筒と内筒の間のあそびをなくすことで、スムーズに穿刺できるようにする。

 

11.利き手の拇指と示指で透析用留置針の把持部を針の切り口を上に向けて持つ。利き手でない方の手の拇指で皮膚を伸展させる。

  • 穿刺部痛が強い場合は、希望に応じて、貼付用局所麻酔薬(ペンレステープ等)を貼付する。
  • リドカイン(キシロカイン)の皮内注射はしない。

 

12.患者に穿刺することを伝え、針と皮膚の角度が25度前後となるように、シャント血管を穿刺する。人工血管の場合は、25度より鈍角で(角度をつけて)穿刺する。

  • 穿刺する血管が浅い、あるいは細い場合は刺入角度を鋭角とし、深いあるいは太い場合は鈍角とする。
  • 人工血管は壁が厚いため、浅い角度で穿刺すると、穿刺針がグラフトの壁を通過する際の抵抗が大きくなる。また、グラフト血管は内腔が大きいので、たとえ深い角度で穿刺しても穿刺針の先端が人工血管の裏側の壁を貫く危険は小さい。

 

13.内筒の把持部に血液の逆流がみられたら、針の角度を浅くしてさらに針を進める。

  • 針の角度を浅くすることで、針を進める際に、血管壁を突き破る危険性を減らす。

 

14.外筒のカニューレに血液の逆流がみられたら、内筒を保持しながら、外筒のみを血管内に適切な深さまで押し進める。

  • 外筒針のみを進めることで、血管を傷つけないで進めることができる。

 

15.駆血帯を巻いている場合は、外す。

 

16.内筒を抜き、針捨て容器に破棄する。

  • 針刺し事故のリスクを低減させるため、内筒は直ちに針捨て容器に破棄する。

 

17.外筒のキャップを緩め、プラスチック部分に血液を逆流させて外筒内の空気を抜き、再びキャップを閉める。

  • 逆流の確認でシャントの開存性を確認すると同時に、外筒内の空気を抜く。
  • キャップのない製品の場合は、シリンジを取り付け、空気を抜く方法もある。

 

18.穿刺部に異常がないことを確認し、透明の滅菌絆創膏で穿刺部を固定する。

  • 留置針が血管壁やグラフト壁に触れないように角度に注意する。

 

19.11~18同様の手順で、2本目のアクセスを確保する。

  • ただし、1本目の穿刺部より、可能な限り5cm以上離して穿刺する。
  • 体外循環した血流の再循環を防ぐ。
  • 血液の凝固を防ぐため、挿入後、速やかに血液回路に接続する。

 

20.留置針のチューブ部をペアン鉗子でクランプする。

  • 血液が逆流することを防ぐ。
  • ペアン鉗子でクランプせずに、指でチューブ部を抑えて、血液回路を接続する場合もある。

 

21.透析前採血の指示がある場合、穿刺後すみやかにシリンジを接続し、必要量採取する。

  • フラッシュ液が混入すると、採血データに影響を与えるため、採血の指示がある場合は、原則、金属針ではなく透析用留置針で穿刺する。
  • 駆血時間が長いと採血データに影響を与えるため、穿刺時の駆血時間に注意する。
  • 動脈ガス分析値を測定する場合は、原則動脈側から採取する。

 

 

<血液透析の開始手順>

1.患者本人であることを確認する。施設の基準に従い、複数の患者識別法を用いて行う。

2.透析治療を開始すること、透析中に体調の変化があればすぐに知らせることを説明し、同意を得る。

 

3.患者、血液透析回路の準備が終了していることを確認し、必要物品を準備する。

  • 物品の不足により、処置が中断されることのないようにする。

 

4.
実施者は患者側の動脈、静脈アクセス部がクランプされていることを確認する。

  • 血液が逆流することを防ぐ。
  • ペアン鉗子でクランプせずに、指でチューブ部を抑えて、血液回路を接続する場合もある。

 

5.実施者は静脈アクセス部のシリンジまたはキャップを外し、消毒する。

  • 血流感染を防止する。
  • 消毒用アルコール綿など、施設や製品の基準に従う。

 

6.
介助者は回路内に気泡の混入がないことを確認し、静脈回路を実施者に渡す。

  • 実施者は静脈アクセス部と血液回路の静脈ラインを接続する。穿刺時に回路をつなげてもよい。血液回路の先端は可能な限りロック式のものを使用する。
  • ロック式でない場合は、回路が偶発的に外れることを防ぐために、テープで接続部をしっかり固定する。
  • 必要に応じて、接続後に血液回路を患者の拇指にかけて持ってもらい、穿刺部がずれないようにする。

 

7.実施者は動脈アクセス部のシリンジまたはキャップを外し、消毒する。

  • 血流感染を防止する。
  • 消毒用アルコール綿など、施設や製品の基準に従う。

 

8.介助者は回路内に気泡の混入がないことを確認し、動脈回路を実施者に渡す。

  • 気泡を確認し体内に空気が入ることを防ぐ。
  • 実施者は動脈アクセス部と血液回路の動脈ラインを接続する。
  • 血液回路の先端は可能な限りロック式のものを使用する 。
  • ロック式でない場合は、回路が偶発的に外れることを防ぐために、テープで接続部をしっかり固定する。
  • 必要に応じて、接続後に血液回路を患者の拇指にかけて持ってもらい、穿刺部がずれないようにする。

 

9.実施者は患者側の動脈、静脈アクセス部のクランプを外す。介助者は血液回路のクランプを外す。

  • 回路に血液が流れるようにする。
  • クランプの外し忘れは、液圧、静脈圧が上昇し、ダイアライザー破損の原因となるため確実に外す。

 

10.
介助者は血流量を50~100ml/分に設定し、ゆっくりと血液ポンプを作動させる。

  • 低流量で開始し、脱血、返血の状態、体外循環開始に伴う患者の状態を観察するため、血流量は100ml/分以下とする。
  • 循環動態が不安定な患者や、血圧低下を引き起こしやすい患者は50ml/min程度にするなど、患者の状態に応じて血流量を調整する。

 

11.
血液ポンプ作動開始後の状態を観察する。施設の基準に応じて、シャントトラブルスコアリングなどを用いて評価する。

① 動脈穿刺部から十分な脱血が得られ、回路のピローがしっかり膨らんでいるか?

  • 回路のピローが薄い状態、中心がへこんでいる状態は脱血不良の可能性が高い。
  • 脱血不良の場合は、血管壁に針の先端があたっている場合があるため、位置を修正し改善するか観察する。
  • 改善が見られない場合は、再穿刺を考慮する。

②静脈圧が過度に上昇していないか?

  • 静脈圧の上昇は、クランプの外し忘れや、静脈穿刺部の問題の可能性が高い。
  • 静脈圧が高い場合、クランプの外し忘れはないか、回路のねじれはないか確認
  • 血管壁に針の先端があたっている場合があるため、位置を修正し改善するか観察する。
  • 改善が見られない場合は、再穿刺を考慮する。

③静脈穿刺部の腫脹、疼痛はないか?

  • 静脈穿刺部の腫脹、疼痛は血液漏出の可能性が高く、再穿刺の必要性がある。

12.脱血、返血に問題がないことを確認後、回路をそれぞれ3枚以上のテープで固定する。

  • 余剰回路は、ループを作り、クリップ、ペアン鉗子などで寝衣またはベッドに固定する。体動などで穿刺針が抜けたり、回路が外れたりしないように安全性を確保する。
  • 動脈側、静脈側それぞれ3カ所以上の固定が望ましい 。
  • テープかぶれなどを考慮し、患者に合った絆創膏を選択する。絆創膏かぶれがある部位には絆創膏は貼付しない。
  • 必要に応じて、シャント部に離被架を使用し、シャント部を保護する。

 

13.透析回路全体が血液で満たされたことを確認後、透析開始ボタンを押す。

 

14.
抗凝固薬を医師の指示書で再度確認後、開始する。

  • 血液の凝固を予防する。
  • 指示書で確認後に開始する。

 

15.透析条件、警報機能の設定、回路の接続、抗凝固薬の投与量を再確認する。

  • 設定条件を誤ると、患者に大きな影響を与えるため、事前に設定していても、再確認をする。

 

16.
患者の状態を観察しながら、血流量を指示速度まで徐々に上昇させる。

  • 急激な脱血による合併症を防止する。

 

17.患者に透析が開始したことを告げ、寝衣や周囲の環境を整える。

  • ベッド柵を下ろしている場合は上げる等、周囲の環境を整え、透析中の危険防止に努める。

 

18.使用した物品を適切な方法で片付ける。

 

19.使い捨て手袋、マスク、袖付きビニールガウンを外し、手指衛生を行う。

 

20.透析中は、患者の状態と透析用監視装置を継続的にモニタリングする。

  • 合併症を予防し、かつ透析による身体への影響を最小限に抑える。
  • 施設の基準に沿って、チェックリストを用いて行うとよい。
  • 必要に応じて、シャント肢に酸素飽和度モニターを装着しモニタリングする。
  • 以下を観察。

①バイタルサイン

②不均衡症状の有無

③透析装置の作動状

④穿刺部の状態


21.トイレなどベッドからの移動時は、バイタルサインを測定し、移動が可能な状態か観察し、医師に一時離脱の許可を得てから行う。

  • 患者の状況に応じ、車椅子移動や、床上排泄を検討する。

 

22.処置の内容と結果をカルテや透析用記録用紙に記録する。

 


<血液透析の終了手順(血液ポンプを用いた生理食塩水置換法)>

  • 返血の方法はいくつかあり、施設の基準に沿って行う。
  • 返血は抜針等を行う者と介助者の2名以上で行うことを基本とする。
  • 事故防止のため、返血は複数の患者を同時に担当せず、開始から終了まで一貫して行い、途中交代は行わない。返血中にほかの作業を行わない。

1.患者本人であることを確認する。施設の基準に従い複数の患者識別法を用いて行う。

  • JCI(Joint Commission International)では国際基準として2種類の患者識別法を用いた確認方法を推奨している(名前+IDなど)。

 

2.返血を開始することを説明し、同意を得る。

  • 不安の軽減をはかる。

 

3.以下を確認する。

  • 総除水量
  • 透析終了時間
  • 指示の輸液・輸血が終了していること
  • 終了時の採血がないか?


4.バイタルサインを測定する。

  • 異常の有無を観察して、返血開始可能な状態であるか、判断する。

 

5.必要物品を準備し、ほかのスタッフに返血を開始することを伝える。

  • 返血中はその場を離れず、他の作業や業務を行えないことを周囲のスタッフに伝える。

 

6.手指衛生を行い、使い捨て手袋、マスクを装着する。必要に応じて、実施者は袖付きビニールガウンを装着する。

  • 微生物の伝播を予防する。

 

7.指示がある場合、透析終了時の採血を動脈側の患者側に最も近い混注ポートを2回消毒し、シリンジを使用し採取する。

  • 採取位置を誤ると採血データに影響を及ぼす。
  • 血流感染のリスクが高く、特に清潔操作に注意する。

 

8.指示がある場合、終了時の薬剤を看護師2人で指示書を確認後、以下のいずれかの方法で投与する。

①静脈側エアートラップ前の混注ポート

  • 患者に薬剤が確実に投与されるように、静脈側より投与する。投与の方法は医師の指示、施設の基準に準ずる。
  • 看護師が静注可能な薬剤か確認後に投与する。

 
②静脈側エアートラップ内

  • 静脈側エアートラップ内より投与する場合、液面レベルを3分の2から4分の3を保ちながら投与する。
  • 血圧低下を引き起こす可能性のある薬剤は、血圧が低値の場合は医師に確認後に投与する。

 

9.すべての検知警報装置が作動していること、除水が終了していることを確認する。

  • 検知警報器装置が作動している状態で返血操作を行う。

 

10.抗凝固薬のポンプを停止する。ただし、医師の指示にて、透析終了の30分~1時間前に停止することもあるため、事前に投与中止時間を確認しておく。

  • 透析終了前に抗凝固薬の投与を中止することで、透析後直ちに凝固時間を正常化させる。

 

11.返血に十分な量の生理食塩水が回路内に残っているか確認し、必要に応じて、新しい生理食塩水バッグを準備する。

  • 返血時に空気塞栓症が生じる危険性を最小限とする。
  • 必要に応じて、生理食塩水バッグに線を引いてマーキングし、返血時の生理食塩水の量が把握できるようにする。
  • 返血にはソフトバッグの生理食塩水を用いる。
  • 使用する生理食塩水の量はダイアライザーの種類や施設の基準に従う。

 

12.補液ラインのクランプを開放し、気泡、凝固塊を血液ポンプ側に移動させる。

  • 気泡、凝固塊が血管内に入ることを防止する。

 

13.血液ポンプを停止させ、補液ラインから動脈側アクセス部方向に自然落差で生理食塩水を送り、血液回路内の血液を置換する。

  • 血液回路内の血液を患者に戻す。
  • 動脈側の圧力が強く、自然落差で置換できない場合にはソフトバック生理食塩水を手で握り圧力をかける。

 

14.血液回路の動脈側をクランプする。

  • 血液が漏出することを防ぐ。

 

15.血液ポンプの流量を50~100ml/分に下げポンプを作動させて、血液回路、ダイアライザー内の血液を生理食塩水で置換する。

  • 回路に空気が混入するのを防ぐため、エアートラップの液面レベルをエアートラップ長の4分の3に維持する。
  • 血流量は80ml/分前後を基本とし、血圧が高いときは血流量を適宜下げる。

 

16.静脈側エアートラップの液面がピンク色になったことを確認し、血液ポンプを停止する。

  • 静脈側エアートラップの液面がピンク色になったことが、置換が終了した目安である。

 

17.
静脈側エアートラップ以降の血液回路を2カ所以上クランプする。

  • 血液が漏出することを防ぐ。

 

18.動脈側穿刺部の固定テープを剥がし、滅菌ガーゼを刺入部にあてて、穿刺針を抜針する。

  • 針刺し事故のリスクを低減させるため、穿刺針は直ちに針捨て容器に破棄する。
  • 安全装置機能付きの穿刺針の場合は、安全装置を作動させて抜針する。針刺し事故防止のため、可能な限り安全装置付きの穿刺針を用いる。
  • 自然抜去予防のため、静脈側穿刺部の固定テープは剥がさないでおく。

 

19.滅菌ガーゼの上から3本の指で抜去部を圧迫し、止血確認後にテープを貼付する。

  • 穿刺針の皮膚上の刺入点と、血管壁上の刺入点の間には少なくとも数mmのずれが生じるため、3本の指で止血する。
  • 指に血管拍動が感じられる程度の強さで圧迫する。
  • 圧迫の強さを確認するため、圧迫しながら、吻合部を触知しスリルを確認する。
  • 目安の圧迫時間は内シャント10分、人工血管、動脈表在化は15分であるが、施設の基準、患者の状態に応じて行う。
  • 止血は最後まで用手が望ましいが、必要に応じて止血バンドを使用する。その際も、内シャントの場合は1~2分、動脈表在化の場合は3~4分、用手止血後に止血バンドを使用する。
  • 再出血の恐れがあるため、十分に止血する。ただし、指示時間以上の圧迫はシャントの寿命を縮める可能性があるため避ける。
  • 必要に応じて、タイマーをかけるなどの工夫をする。
  • 人工血管の止血には注意が必要である。ePTFE(延伸ポリテトラフルオロエチレン)で作られた人工血管は、ポリウレタンの人工血管よりも止血に要する時間が長い。
  • 止血の際には皮膚の穿刺部と血管の針穴の両方を圧迫する。
  • 圧迫の強さは人工血管を潰して血流を止めてしまわないように、スリルや拍動を指先に感じる程度とする。
  • 特にポリウレタンでは血管壁がやわらかいので、強く穿刺部を押さえると血流が止まって人工血管閉塞の危険が増す。

 

20.静脈側穿刺部の固定テープを剥がし、滅菌ガーゼを刺入部にあてて、穿刺針を抜針する。

  • 針刺し事故のリスクを低減させるため、穿刺針は直ちに針捨て容器に破棄する。

 

21.動脈側穿刺部と同様に、滅菌ガーゼの上から3本の指で抜去部を圧迫し、止血確認後にテープを貼付する。

  • 動脈側穿刺部より比較的止血時間が短くて済む。
  • 目安の圧迫時間は内シャント10分、人工血管は15分であるが、施設の基準、患者の状態に応じて行う。
  • 止血は最後まで用手がのぞましいが、必要に応じて止血バンドを使用する。その際も、内シャント、静脈は1~2分間用手止血後に止血バンドを使用する。
  • 再出血の恐れがあるため、十分に止血する。ただし、指示時間以上の圧迫はシャントの寿命を縮める可能性があるため避ける。
  • 必要に応じて、タイマーをかけるなどの工夫をする。

 

22.使用した物品を適切な方法で片付ける。

  • 施設の基準に従い、透析装置を適切な方法で消毒する。

 

23.使い捨て手袋、マスク、袖付きビニールガウンを外し、手指衛生を行う。

  • 微生物の伝播を予防する。

 

24.バイタルサインの測定、シャント音の聴診、体重測定を行い、透析終了後の状態を観察する。


25.処置の内容と結果をカルテや透析用記録用紙に記録する。

 

以上になります!

いかがでしたでしょうか。

 

おわりに

透析開始から終了までを安全に実施する上で注意すべきポイントはたくさんありますが、大事なのは経験をしっかり積むことと、経験を積んだ後も基本を怠らずに慣れだけで手順を踏まないことが一番大事だと思います!

透析患者さまはただでさえ日常生活に制限が多いので、いかに快適かつ安心・安全に透析を実施できるかどうかが、患者様のQOLを大きく左右するといっても全く過言ではありません!責任とプライドを持って実施していきましょう!

 

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おわり!ご意見をお待ちしています。

CVポート(皮下埋め込み型ポート)の看護【穿刺・抜去の方法、挿入中のケア】

こんにちは。栗鈴です。

今回の記事は、『CVポート(皮下埋め込み型ポート)の看護【穿刺・抜去の方法、挿入中のケア】』です!

宜しくお願い致します。

意外と穿刺は難しくありません!

 

 

 

 

はじめに

CVポートの穿刺は、経験業務によっては、あまり実施したことがない看護師は多いと思います。実際にやってみると、静脈穿刺より手順は簡単ですが、穿刺や固定方法は少しコツがありますので、実施したことがなくて自信がない方は、ぜひ今回の記事を見ていただけると参考になると思います!でも初めて実施する際は、必ず先輩看護師に見てもらいながら実施するようにして下さいね!場数は大事です!

 

 

皮下埋め込み型ポート:ポート針穿刺・抜去・ケア
 

<ポート専用針穿刺>

必要物品

  1. ポート専用針
  2. フラッシュ液(可能な限り10ml以上のプレフィルドシリンジ)
  3. ポビドンヨードなど消毒薬付き綿棒2本、またはポビドンヨード液などの消毒薬・綿球・鑷子
  4. ドレッシング材
  5. ガーゼ
  6. 固定用テープ
  7. 指示された輸液、輸液ルート、消毒用アルコール綿
  8. 使い捨て手袋
  9. マスク
  10. 針捨て容器

 

[必要時]

  1. 袖付きビニールガウン
  2. 10ml以上の容量のシリンジ
  3. 18G針
  4. 生理食塩水ボトル 

 

手順

1.
患者本人であることを確認し、処置の目的と内容を説明し同意を得る。

患者誤認防止のため、リストバンドでフルネームを確認する。

可能であれば患者に氏名を名乗ってもらう。

 

2.
羞恥心に配慮し、ドアやカーテンを閉め、周囲の環境や患者の体位を整える。

患者が安楽に処置を受けられるようにするとともに、処置を行いやすくする。

 

3.
手指消毒し、使い捨て手袋を装着する。

必要に応じてマスク、袖付きビニールガウンを装着する。

滅菌手袋の使用を推奨している製品もあるが、現時点でポート管理における手袋装着についてのエビデンスは確立されていない。本手順では使い捨て手袋を使用。

 

4.
ポート部を露出し、ポートの縁部、セプタムの中心部分を触診にて確認する。

穿刺位置を確認する。

 

5.
発熱、ポート周囲の発赤、熱感、硬結、疼痛など、感染徴候やポートの漏れを示唆する徴候がないか確認する。

  • 異常が認められた場合、直ちに医師に報告する。 

 

6.
フラッシュ液でポート専用針を満たす。

  • セプタムの損傷を防ぐため、必ずポート専用針を使用する。ポート専用針は、治療に必要な最小の針径の針先がポートの底に軽くあたり、皮膚から翼部が離れすぎない長さのものを選択する。
  • フラッシュ液は、生理食塩水を使用することが一般的であるが、製品説明、医師の指示に従い使用する。
    フラッシュ液は極力プレフィルドシリンジ製品を使用する 。
  • 使用するシリンジのサイズは製品説明に従い、通常10ml以上のものを使用する。過度の圧力がかかることを防ぐため、10ml以上のシリンジを使用をする。
  • 必要ならば、閉鎖式の静脈ライン用コネクタを取り付ける。閉鎖回路にすることで、血流感染のリスクを減らす。
  • 輸血、採血を行う際は、静脈ライン用コネクタで溶血などのリスクがあるため、製品説明に従い使用する。

 

7.
空気の混入がないこと、ポート専用針に異常がないことを確認し、ルートのクランプを閉じる。


8.
穿刺部周囲を広範囲(10~13cm)に中心から外側へ向かって円を描くようにポビドンヨード液で3回程度消毒する 。

  • ポビドンヨードにアレルギーがある場合は、消毒薬を変更する。
  • 日本では0.5%クロルヘキシジンアルコールまたは10%ポビドンヨードが推奨されている。

9.
消毒後、2分以上乾燥させる。

  • ポビドンヨードが作用するためには皮膚との接触時間が少なくとも2分程度必要であり、ポビドンヨード液の乾燥がその目安である。

 

10.
利き手でない方の拇指と示指、中指でポートの外側を挟み、皮膚を伸展させる。

  • ポートのほとんどは、円形であるため、3点でポートを固定するのが望ましい。
  • 針刺し事故防止と、血流感染防止のため、ポートより可能な限り離れた部位の皮膚を押さえて伸展させる。

 

11.
利き手でポート専用針の保護キャップ部または翼部を持ち、ポートに対して垂直に穿刺する。

  • コアリングを避けるため、専用針を使用し、針先がセプタム内に確実に進むように垂直に穿刺する。
  • 穿刺部位は、穿刺するたびに少しずつずらす。中心部分に集中的に穿刺すると、セプタムが損傷されやすく、穿刺耐用回数が少なくなる可能性がある。



12.
針先が底にあたる感覚があるまでゆっくり針を押し進める。

  • 針先をタンク内に確実に刺入させ、薬剤の皮下漏出を防止する。針先を過度に刺入させると、針先がセプタム底面に押しつけられて変形し、抜去時にセプタムを損傷する恐れがある。

 

13.
ポート専用針のルートのクランプを開ける。


14.
必要ならば、シリンジをゆっくり引いて、血液の逆流を確認する。

  • 穿刺針が適切な位置に留置されているか、カテーテルの閉塞がないかを確認する。特にカテーテル・ピンチオフなど、注入された場合に重大な有害事象を引き起こす可能性の評価のために行う。
  • 血液の逆流を確認すべきか否かは事前に医師に確認してから行う。カテーテルの閉塞や感染の原因となる恐れもあるため、製品説明、施設の基準や医師の指示に従う。 
  • 製品によっては血液逆流の確認を行ってはならないものがあるため、添付文書を確認した上で実施する。逆流確認により破損する恐れがある製品もある。

 

15.
抵抗の強さを確認しながら、フラッシュ液をゆっくり注入する。

  • 過度の圧力をかけてフラッシュ液を注入すると、ポート本体やカテーテルを損傷する危険があるため、通常、10ml以上のサイズのシリンジを用い、ゆっくり注入する。
  • 抵抗が大きい場合、無理に注入せずに医師に報告する。カテーテルの閉塞の恐れがあり、無理に注入すると、カテーテルの破損、断裂や、皮下漏出などの危険性がある。
  • 抵抗が極端に小さい場合や、ポート周囲に冷感や違和感が出現した場合、医師に報告する。カテーテルの破損、皮下漏出などの恐れがある。

 

16.
必要量をフラッシュしたのち、ルートのクランプを閉じる。

  • 必要なフラッシュ液の量は製品により異なるが、最低でも、カテーテル内部容量の2倍にする。

 

17.
ポート専用針の翼部をテープで固定する。

  • セプタム内でのポート専用針の動きを最小限に抑える。
  • 固定すると滴下状況に影響を及ぼす可能性があるため、全体の固定は輸液開始後に滴下状況を確認しながら行う。
  • 皮膚面と翼部が離れている場合は、滅菌ガーゼなどを翼部の下に敷いてから固定する。
  • 刺入された針がぐらつくと、ポートを損傷する可能性があるため、ポート専用針をセプタムに対して垂直に保ち、針先の位置がずれないようにする。

 

18.
医師の指示に従い、輸液を開始する。

  • カテーテル関連血流感染を防ぐため、三方活栓は可能な限り使用せず、閉鎖式の輸液ルートを使用し、清潔操作で行う。
  • 抗がん剤の場合、皮下漏出により、重大な有害事象を引き起こす危険性が高いため特に注意が必要である。可能な限り、生理食塩水など、皮下漏出で重大な有害事象を起こすリスクの低い薬剤を先に投与し、問題がないことを確認してから投与することがのぞましい。
  • 自然滴下があることを確認する。
  • 滴下不良の場合、ポート専用針の不完全穿刺、カテーテル先端の位置異常あるいはカテーテルの破損、断裂などの疑いがある。
  • ポート周囲の皮膚の腫脹、疼痛や冷感、違和感がないことを確認する。カテーテルの破損、断裂、皮下漏出などの恐れがある。

 

19.
穿刺部、翼部を覆うようにドレッシング材を貼付する。

  • 患者の状況に応じ、透明ドレッシング材、ガーゼ付きドレッシング材、ガーゼをあてテープ保護をする。発汗、出血、浸出液などがみられる場合は、ガーゼ付きドレッシング材が適している。

 

20.
貼付した日時、ポート専用針の針径、長さをドレッシング材に記載する。

  • 貼付日時を記載することで、交換時期の確認が容易となる。ポート専用針の針径、長さを記載することにより、次回穿刺時の専用針の選択の目安となる。

 

21.
個人防護具を外し、手指洗浄をする。


22.
患者に輸液を開始したことを告げ、寝衣を整える。

  • 刺入部に違和感がある場合は看護師に連絡するよう伝える。

 

23.
使用した物品を適切な方法で片付ける。


24.
処置の内容と結果をカルテに記録する。

 


<ポート専用針の抜針>

手順

1.
患者本人であることを確認し、処置の目的と内容を説明し同意を得る。

  • 患者誤認防止のため、リストバンドでフルネームを確認する。可能であれば患者に氏名を名乗ってもらう。

 

2.
羞恥心に配慮し、ドアやカーテンを閉め、周囲の環境や患者の体位を整える。

  • 患者が安楽に処置を受けられるようにするとともに、処置を行いやすくする。

 

3.
手指消毒し、使い捨て手袋を装着する。必要に応じてマスク、ガウンを装着する。

  • 血液および体液への偶発的な曝露を防ぐ。

 

4.
輸液終了後、必要ならば(抗がん剤投与後や先端が開口型のポート専用針の場合など)生理食塩水のボトルをつなぎ、ルート・ポート内のタンク部分・カテーテルの全体を洗い流す。

  • 抗がん剤投与後の場合、抗がん剤漏出による薬液曝露を防ぐ。
  • 先端が開口型(逆流防止弁がついていないもの)の場合、ヘパリンロックの前に生理食塩水によりカテーテル内をよく洗い流す。製品説明、医師の指示に従い使用する。

 

5.
輸液ルート、ポート専用針のルートをクランプし、必要ならば、輸液ルートを外す。 

  • 抗がん剤投与後は、ルートは外さない。[詳細][理由] ルートを外すことで薬液曝露の危険性がある。

 

6.
接続部を消毒後、フラッシュ液の入ったシリンジをルートに取り付ける。

  • カテーテルの閉塞や接続を外す際の薬液への曝露を防ぐため、フラッシュした後に抜去する。抗がん剤投与後は特に薬液曝露に注意する。
  • 先端が開口型(逆流防止弁がついていないもの)の終了後のフラッシュ液は、ヘパリン加生理食塩水などを使用することが一般的であるが、製品説明、医師の指示に従い使用する。
  • フラッシュ液は極力プレフィルドシリンジ製品を使用する 2)。
  • 先端に逆流防止弁付きのものは、生理食塩水でルート全体を洗い流していれば、シリンジでのフラッシュは不要であり、製品説明、医師の指示に従う。
  • 先端に逆流防止弁付きのものは、ヘパリンロックの必要はないとされている。しかし、血流感染を防止するため、生理食塩水または注射用蒸留水でルート内をしっかり洗い流す必要がある。

 

7.
ポート専用針のルートのクランプを開け、ゆっくりフラッシュする。

  • 過度の圧力をかけてフラッシュ液を注入すると、ポート本体やカテーテルを破損する危険があるため、通常、10ml以上のサイズのシリンジを用い、ゆっくり注入する。

 

8.
必要量フラッシュしたのち、シリンジを押している状態でポート専用針のルートをクランプする。

  • シリンジにフラッシュ液が少量残った状態でシリンジを押しながらクランプすることで、血液の逆流を防ぎ、カテーテルの閉塞を予防する。
  • 必要なフラッシュ液の量は製品により異なるが、最低でも、ルート・ポート内タンク部分・カテーテル内部容量の2倍にする。

 

9.
貼付していたドレッシング材やテープを緩める。

  • 針刺し事故を防ぐため、翼部やルートについている部分のテープは無理に全て剥がさず、皮膚への固定部のみ剥がす。

 

10.
利き手でない方の手で、皮膚を押さえ、利き手でポート専用針を持ち、まっすぐ上に引き抜いて抜針する。

  • 抜去時の針刺し事故、セプタムの損傷を予防する。患者の不快感を最小限に抑える。
  • 安全装置がついているものは作動させて抜針する。針刺し事故を防止する。
  • 安全装置の作動方法は製品により異なるため、製品説明に従う。

 

11.
速やかにポート専用針を針捨て容器に破棄する。

 

12.
出血がある場合、滅菌ガーゼで抜去部を圧迫して止血する。


13.
抜去部周囲の皮膚の発赤、腫脹、疼痛や違和感がないことを確認する。

  • 感染徴候、皮下漏出の有無など、異常がないか確認する。

 

14.
抜去部周囲を中心から外側に向かって円を描くようにポビドンヨード液で消毒し2分以上乾燥させる。ポビドンヨードにアレルギーがある場合は、消毒薬を変更する。

  • カテーテル関連血流感染を防止する。
  • ポビドンヨードが作用するためには皮膚との接触時間が少なくとも2分程度必要であり、ポビドンヨード液の乾燥がその目安である。

 

15.
ガーゼまたは、ドレッシング材を抜去部に貼付する。


16.
個人防護具を外し、手指洗浄をする。


17.
患者に終了したことを告げ、寝衣を整える。


18.
使用した物品を適切な方法で片付ける。


19.
処置の内容と結果をカルテに記録する。

 


<皮下埋め込み型ポート挿入中の看護>

手順

1.
輸液中は、滴下の状態、ポート周囲の皮膚の腫脹、疼痛や冷感、違和感がないことを定期的に確認する。

  • カテーテルの破損、断裂、皮下漏出、感染などの異常を早期に発見する。

 

2.
ドレッシング材を定期的に交換する。

  • カテーテル関連血流感染を防止する。
  • 透明ドレッシング材は5~7日ごと、または剥がれたとき、明らかに汚染されたとき、穿刺部位の確認が必要なときに交換する 。
  • ガーゼドレッシング材は、2日ごとまたは、明らかに汚染されているときに交換する。


3.
施設の基準に従って、疼痛を評価する。


4.
持続輸液に用いるポート専用針は7日ごとに交換する。

  • 針の交換頻度に関しては、INS(米国輸液看護協会)、ONS(米国がん看護協会)は、7日ごとの交換は一般的な方法であるとしている 。

 

5.
使用していないポートは、医師の指示および製品説明に従い、2~4 週間に1 回以上の頻度でフラッシュを行う。

  • 開存性を維持する。フラッシュ液は、生理食塩水または注射用滅菌蒸留水を使用することが一般的であるが、製品説明、医師の指示に従い使用する。

 

以上になります!

 

おわりに

CVポートは、中心静脈栄養の目的と仕組みを理解して実施することが大事です。CVポートの技術を熟知して、トラブルや緊急時の適切な対処法を身に付けて、安全に穿刺・抜去と挿入中の観察・ケアが行えるようにしていきましょう!

 

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おわり!ご意見をお待ちしています。

気管カニューレ・気管切開孔の管理【交換手順・緊急時の対応】

こんにちは。栗鈴です。

今回の記事は、
「気管カニューレ・気管切開の管理【交換手順・緊急時の対応】」です!
よろしくお願いします。

気管カニューレは管理を怠ると大きなミスに繋がることがあります…





はじめに

気管カニューレの看護って、経験しないと結構怖いですよね。
人工呼吸器の患者さまの場合、カニューレが抜けてしまうと、呼吸が停止してしまうリスクがあり、最悪の場合は死亡につながる可能性もあります…
先輩看護師と一緒に実際のケアを繰り返せば、不安なく看護ができるようになると思いますが、体で覚えるだけではなく、事故防止のために知識をつけておくことは必ず必要です。
大きな事故を起こさず、患者さまの安全・安心を守り、自分自身を守るためにも、あらためて気管カニューレについて学んでみましょう。

気管カニューレとは

気管カニューレの目的

呼吸機能の障害により、十分な肺換気ができない患者の気道確保、気道分泌の除去、気管および気管切開孔の狭窄防止や保持、発生・呼吸訓練を行う際に使用される。

気管カニューレの概要

気管切開をして、気管切開孔から気管カニューレを挿入し、気道を確保する。

気管カニューレの種類

気管カニューレには「単管」と「複管」がある。
痰が多い、また、長期にわたる呼吸管理が必要な療養者には「複管」を用いることが多い。
人工呼吸器の使用や、誤嚥リスクがある場合は、カフ付きの気管カニューレを選択する。

気管カニューレの適応

  • 換気が不十分で、長期にわたる呼吸管理を必要とする場合。
  • 意識障害などで、誤嚥や舌根沈下による窒息が考えられる場合。
  • 気道分泌物の喀出が自力では困難な場合。
  • 在宅では、神経難病、長期の意識障害、慢性呼吸疾患、重度の脳血管障害の後遺症などがある場合。




気管カニューレの管理

気管カニューレ交換の必要物品

  1. 気管カニューレ
  2. 消毒綿あるいは滅菌綿棒
  3. 消毒液(0.025%ザルコニン液など)
  4. 滅菌ガーゼ
  5. カニューレ固定用綿テープ または、固定用ベルト
  6. キシロカインゼリー または、付属の潤滑剤
  7. カフ用のシリンジ(10ccなど)
  8. カフ圧計
  9. 吸引器
  10. 手袋

気管カニューレ交換の手順

  1. 手を洗う。
  2. 気管カニューレの交換について患者に説明し、同意を得る。
  3. カフが確実に膨らむか、空気が漏れていないかを確認する。気管カニューレに固定用綿テープを取り付け、挿入部にキシロカインゼリーを塗る。
  4. 気管カニューレの抜去時に気道分泌物が期間内に流入しないように、上部にたまっている分泌物を吸引する。
  5. 挿入されている気管カニューレの固定用綿テープを外す。カフの空気をシリンジで抜き、手早く気管カニューレを抜去する。
  6. 痰がある場合は吸引しながら、気管切開部に炎症、出血、肉芽などが無いかを確認する。
  7. 消毒液で気管切開孔周囲を消毒する。イソジン液は皮膚への刺激が強く肉芽形成の原因となるリスクがあることかた使用しない方が良い。
  8. 気道を損傷しないよう、気管カニューレをゆっくり挿入する。
  9. 気管切開部に滅菌ガーゼを当て、綿テープまたはベルト(カニューレバンド)で固定する。交換中に咳などで抜けないように、カフを膨らませるまでは気管カニューレの端を介助者の指で押さえておく。
  10. カフのふくらみ具合を確認し、交換終了。

気管カニューレの在宅療養に向けた患者指導

  • 気管カニューレ装着の目的と今後の見通しについて、医師・看護師から患者と家族に説明する。
  • 在宅療養に向けて、病棟看護師は訪問看護師、地域医療連携看護師と連携し、在宅で必要な気管カニューレのケアについて患者・家族に指導する。その際、ケア技術の習得状況と合わせて、在宅での気管カニューレ装着に対する患者・家族の理解状況についても適宜把握をする。家族・介護者の理解度に合わせてパンフレットを作成することも有効である。
  • また、気管カニューレの交換などの管理に必要な衛生材料と入手方法を患者・家族に説明し、準備をしてもらう。退院してからも、心配なこと、わからないことがあれば、訪問看護師に相談できることを伝える。

気管切開部の異常と対処方法

  • 気管切開孔周囲の皮膚障害

汚染したガーゼが長時間皮膚に当たらないように、汚染のたびにガーゼを交換する。気管カニューレ周囲の痰などによる汚れは綿棒などで拭き取る。消毒の頻度、消毒液が適切かどうかなど、皮膚の状態に合わせてアセスメントし、改善に努める。改善がなければ医師に相談し、軟膏塗布等の指示を受ける。軟膏は綿棒で塗布する。

  • 気管切開孔からの出血

気管カニューレ交換直後から翌日程度までは、出血する可能性がある。出血が持続するときは医師に報告し、指示のもとに対処をする。

  • 気管切開孔肉芽

気管カニューレ交換時に肉芽から出血することがある。出血や肉芽による気道閉塞によりカニューレ交換が難しくなる場合は、肉芽を硝酸銀で焼灼して除去することもある。

気管カニューレ装着により起こりうる異常・トラブルと対処方法

  • カフ漏れ、カフ損傷

適切なカフ圧かどうかは1日1回は確認し、異常の予防に努める。
症状が改善されない場合は、医師に報告し、指示のもと対処する。

  • 気管カニューレの閉塞や内腔の狭窄が疑われる

加湿・ネブライザーを行い、体位ドレナージ、呼吸理学療法(スクイージング、バイブレーション、ハッフィング等)を取り入れ、排痰を促して痰の吸引を行う。

↓呼吸理学療法の手順について下記にまとめてあります!
www.aikoandsibajyun.info




  • 気管カニューレ抜去

抜けた気管カニューレのカフの空気を抜いてそのまま挿入し、医師に報告、指示のもと対処する。抜去の経緯を確認し、再発防止に努める。
気管カニューレの内筒を外して洗浄し、観察・アセスメントを行う。
症状が改善されない場合は、医師に報告し指示のもと対処する。

気管カニューレの固定方法

  • 綿テープの場合

気管カニューレの両端に綿テープを通し、首に回して固結びにする。その際、テープがきつすぎないように、頸部の側面に指が2本入る程度の余裕を持たせると良い。また、綿テープは細いため、皮膚に圧迫がかからないようにガーゼを当てるなどの工夫をする。

  • カニューレバンド(マジックテープ付き固定ベルトの場合)

皮膚に優しい布で作るなど、手作りのものを用いてもよい。カニューレバンドは簡単で使いやすく洗濯が可能のため便利だが、洗濯を重ねるたびにマジックテープの密着が弱くなり剝がれやすくなるため、固定状況に注意が必要である。

気管カニューレの汚染防止

  • 気管切開部を常に清潔に保てるように汚染を除去し、分泌物による炎症や感染を予防する。
  • Y字に切り込みを入れた滅菌ガーゼを気管カニューレと皮膚の間に挟むと、切開孔周囲の汚染が防げるので有効である。気管カニューレが安定するようにガーゼを2枚重ねにする等、厚さを調整すると良い。

カフ圧の管理

  • 気管カニューレの適切なカフ圧は20~25cmH₂Oである。療養者の状態に応じてカフ圧を設定し、適切に保てるように管理する。
  • カフ圧は、耳たぶの柔らかさのふくらみ程度が目安とされているが、手の感触による調整には個人差があるため、カフ圧計の使用が望ましい。
  • カフ圧が低すぎると、唾液や分泌物の気管の垂れ込みによる誤嚥や、人工呼吸管理においてエアリークなどが生じる危険がある。反対に、カフ圧が高すぎるとカフと接触している気管粘膜の壊死や出血、肉芽形成の危険がある。

気管カニューレの内筒の清掃

  • 気道確保と感染予防のため、最低1日1回は気管カニューレ内筒を清掃する。内筒に付着した分泌物は、洗浄用ブラシやガーゼ等を用いて洗い流す。その後、薬液消毒し、生理食塩水や滅菌蒸留水で洗い流す。
  • 吸引しても痰の絡みがあるときには、内筒を外して吸引すると除去できることがある。この時、吸引カテーテルが気管切開チューブの開窓部から突き出て、気管壁を損傷する恐れがあるので注意する。

日常生活に関わる指導のポイント

口腔ケア

気管への誤嚥を防ぐため、口腔ケアの前に気管カニューレのカフを一時的に膨らませる。
在宅療養では、口腔の状態に応じて口腔ケアを介護者に指導する。

入浴
  • 入浴時は気管切開部をタオルでガードしたり、シャンプーハットに切り込みを入れたものを当てるなど、気管切開孔からお湯が気管に入らないように工夫する。
  • 入浴後は気管切開孔を消毒し、洗えなかった部分は清拭する。その後、清潔なガーゼで保護する。
  • 在宅療養では、家族や介護者にも入浴時の注意点を指導する。訪問入浴サービスを利用する場合は、事業者との間で十分な情報交換を行い、連携を図る。
コミュニケーション

患者の状態に合わせて、筆談や文字盤、カード、呼び鈴、コールなど交換的な方法を選択し、コミュニケーションを図る。

在宅療養における家族の介護力
  • 気管カニューレの管理は、介護者への負担が大きく、家族・介護者の疲労は大きい。訪問看護師は、介護相談や指導を適宜行い、家族の負担を軽減できるように努める。また、患者や家族の状況に応じて、訪問回数を増やしたり、電話での相談や指導、緊急訪問などを行い、介護の状況を把握する。
  • 在宅療養をどのようにサポートしていくと良いか、療養の継続が可能かどうか等、患者・家族・主治医などの関係者と適宜話し合いの場を持つことが重要である。

緊急時の対応について

  • カフ圧が適切かどうかを1日1回は確認し、異常の早期発見に努める。カフ漏れやカフ損傷がある時は、原因を確認する。気管カニューレの閉塞や内腔の狭窄が疑われるときは、加湿、ネブライザー、呼吸理学療法などを取り入れ、排痰を促して痰を吸引する。
  • 在宅療養では、緊急時に備えて、予備の気管カニューレを自宅に用意しておく。気管カニューレが抜けた場合は、医師に報告して指示を受ける。状況により、緊急時対策として新しい気管カニューレに交換する。再挿入困難な場合は、医師に報告する。
  • バイタルサインの異常、意識レベルの変化、チアノーゼの出現、SpO2の変化など呼吸状態の異常がみられるときは、主治医に報告し、指示を受ける。

おわりに

気管カニューレの管理では、患者様の生命に関わる観察や処置が多く、一層の責任感を持って行う必要があります。
実際に気管カニューレの患者様への看護をする前に、必ず気管カニューレの知識と管理の手順、注意点、緊急時の対応方法を学んでから段階的に実践していくようにしていきましょう!

おわり
ご意見をお待ちしております。



参考文献

角田直枝編集:知識が身につく!実践できる!よくわかる在宅看護. 2012, 学研, p75-81.

腓骨神経麻痺の予防【病態・症状・看護計画もこれで完璧!】

みなさんこんにちは。栗鈴です。

今回の記事のテーマは、『腓骨神経麻痺の予防【病態・症状・看護計画もこれで完璧!】』になります。

おろしくお願いします。

はじめに

腓骨神経麻痺は寝たきりの患者さまや、整形外科領域における術後の患者さまなどによく起こる症状であります!

とくに注意なのが、褥瘡予防のために体交枕を使用して下肢を挙上したりしている場合です。

腓骨神経麻痺は、腓骨周囲が体交枕などで圧迫されるだけでも簡単に発生してしまいます。

きちんとした知識を持っていなかったばかりに、良かれと思って実践していた体位交換が、実は患者さまの腓骨神経麻痺を起こす原因になっていた…なんてことも、実際に起こった例があります。

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腓骨がどこの骨か、ちゃんと知ってますかぁ?

私はかなり怪しかった!

『腓骨神経麻痺?聞いたことはあるけど、ようわからん! 』

そう思っている方は、ぜひ今回の記事を読んで頂きたいと思います!

腓骨神経麻痺の予防を行う責任は、ほぼ看護師にあるといっていいと私は考えています。

看護師のケア次第で、腓骨神経麻痺が起こるか起こらないかがほぼ決定づけられるからです。

転倒・褥瘡と同じくらいの気持ちで、腓骨神経麻痺を予防していく意識を持って看護師全員が取り組んでいけたらなと思います!

ぜひ一緒に勉強していきましょう!

前置きが長くなりました!

それでは、やっていきましょう!
 

 

腓骨神経麻痺の予防

 
【腓骨神経麻痺の概念・病態生理】

腓骨神経麻痺は、外傷や骨折・脱臼などに合併して起こることが多い。

整形外科的治療・処置後に圧迫神経麻痺として医原性に起こることもある。

  • 医原性のものは、下肢のギプス固定や、強いサポーターの使用、挙上枕や手術台などでの腓骨頭部への圧迫に起因する。
  • 頻発する麻痺で、腓骨小頭部の浅い部位を総腓骨神経が走行するため、圧迫・外傷により運動麻痺を起こしやすい。

【腓骨神経麻痺の症状】

  • 腓骨神経領域の運動障害と知覚障害が起こる。
  • 腓骨神経領域は、第1・2趾間の付け根の皮膚における感覚第5足趾以外の足趾の運動、前脛骨筋・足関節の背屈運動などを支配しており、腓骨神経麻痺が生じると、支配領域の疼痛やしびれ感、感覚障害・運動障害を引き起こす。
  • 運動が障害されることにより、足底は低屈し、下垂足となる。


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左下肢側が下垂足。

 

腓骨神経麻痺の診断

  • 臨床症状に加えて、ティネルサイン(麻痺部位への刺激に生じる放散痛)があることを確認する。
  • 筋電図検査、X線検査、MRI検査、超音波検査などの検査により確定診断が行われる。

 


腓骨神経麻痺の看護問題の例

  • 下肢の外旋位の持続に関連する腓骨頭部の圧迫により疼痛・痺れ感を生じている

看護目標の例

  • 腓骨神経麻痺を起こさない

腓骨神経麻痺の看護計画

腓骨神経麻痺の観察計画

O:定期時間毎に知覚固有域の1-4足趾間の知覚異常の有無を観察する

O:同時に総趾伸筋の伸展、前脛骨筋・足関節の背屈など、腓骨神経支配領域の運動ができるかどうかを観察する

O:足趾の運動では趾を底屈だけすると、見た目はいかにも動かせるように見えるが、実は背屈できないという場合がある(腓骨神経 麻痺)。足趾の運動を見るときは、必ず背屈できるかどうかを観察する

腓骨神経麻痺のケア計画

T:下肢の肢位は回旋中間位をし、外旋位にならないように保持する

T:膝窩部が除圧されるように下肢の体勢を調整する

腓骨神経麻痺の教育計画

E:足関節・足趾の運動障害や腓骨神経領域のしびれ・知覚障害が出現したら速やかに看護師に申し出るよう指導する。

【腓骨神経麻痺で考えられる看護診断名候補と共同問題の例】

  • 末梢神経血管性機能障害のリスク

以上になります!
いかがでしたでしょうか。

 

おわりに

腓骨神経麻痺の看護のポイントは3点あります。

1つは、神経のフィジカルアセスメントを確実に行うこと。

下肢の疼痛やしびれ感、MMT、浮腫の有無や循環動態まで、しっかり観ましょう!

もう1つは、良肢位を保持すること。

定期的な体位交換を行いつつも、家族や医療スタッフではない人でもひと目で自然な姿勢だと分かるように体位を保ちましょう!( ´∀`)

最後に、腓骨を圧迫しないこと。
そのためには、体向枕の配置に注意することです。

腓骨骨頭に体向枕が当たらないように配置することを徹底していきましょう!

患者様に危害が加わることのない、安全・安楽なケアをぜひ目指していきましょうね!

おわり!

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転倒リスク状態の看護計画の例【OP・TP・EP】

こんにちは、栗鈴です。

今回の記事は、『転倒リスク状態の看護計画【OP・TP・EP】』です!

よろしくお願いします。

 

 

 

はじめに

患者さまの安全を守るために、看護師がすべきことはなんでしょうか?

 

私はやはり、「事故を防止する」ということが第一かなぁと思います。

 

では、実際にはどんな事故があるでしょうか。
 
色々ありますが、私がすぐに思いつくのは患者さまの「転倒」および「転落」です。
どこの病院でもそうだと思うのですが、患者さまの転倒は、どうしても少なからず発生してしまうものだと私は思います。
 
看護師だって、何もない所でつまづいて、ずっコケちゃうこともありますからね。

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人生の中で一度も転んだことのない人は、誰一人いないんじゃないですかね
とはいえ、可能な限り転倒が起こらないような看護師は色々な角度から対応をしなくてはいけません。
転倒は時に交通事故レベルのダメージを身体に与えます!
例えば骨折とか‥
当たりどころ次第では、重い障害が残ることもしょっちゅうあります。
おどしてすみません!本題に入りましょう。
 
 

転倒リスク状態のリスク因子

転倒の3因子
早速ですが、転倒はなぜ起こるのでしょうか?
 
転倒が起こる要因には、大きく分けて3つの因子があります!
  1. 患者さま自身から生じる「生理的因子
  2. 患者さまのまわりから生じる「環境因子
  3. 薬による薬理作用から生じる「薬物因子

これらを、これから一つずつ勉強していきます!(^^)

1.生理的因子
いきなりですが、例えば、みなさんトイレに行きたくなったとします。
そうしたら、トイレまで歩いていきますよね。
 
「じゃあ、目を閉じたままトイレまで行ってきてください」
みなさんがこう言われたら、言うとおりに目を閉じたまま、トイレにたどり着くことができるでしょうか?
まぁなんとか気合でたどり着けるかもしれませんね。
 
では、知っている場所ではなく、知らない場所だった場合はどうでしょうか?
おそらく、たどり着くのは困難ではないでしょうか。そしたら失禁ですね( ゚д゚)
 
このように、
「目」が見えなくて転ぶとか、
「耳」が聞こえなくて、近くの人に気づかずにぶつかって転ぶとか、
「足」の筋力が低下していて、それだけで、立ったり座ったりしているだけでもバランスが取れずに転んでしまうとか‥
 
そうしたリスクのことを「生理的因子」とよびます。
 
ほかに例を挙げますと、
  1. 下肢切断、痛み、足の障害などによる「歩行困難
  2. 麻痺などによる身体の「可動性の障害
  3. メニエル病などによる「平衡機能の障害
  4. 起立性低血圧、貧血などによる「ふらつき、めまい
  5. 頻尿や過敏性腸症候群などの「排泄切迫」(慌てたり焦りなどで転んでしまう)
  6. 不眠」などにより視界不良な夜間に歩いて転んでしまう
  7. 急性期」における苦痛を伴う症状の存在
  8. 悪性新生物や低血糖などによる「倦怠感
  9. 移動に介助が必要にも関らず理解ができないことによる「認知機能の障害
などがあります。
わりと挙げるとキリが無いです。
 

 

 2.環境因子
「生理的因子」は、身体に関する転倒のリスク因子でした。
つまり、患者さまそのものに存在している「内的因子」である
といいかえることができると思います。
 
「内的因子」があれば、その反対の「外的因子」もあります。
「外的因子」それがイコール「環境因子」になります。
 
患者さまの周囲が原因で生じる転倒のリスクです。
 
例を挙げますと、
  1. 慣れない療養環境(普段布団で寝ていた患者さまが、ベッドに変わったことで眠れなくなったり、十分に休めなくなる等)
  2. 散らかった環境(チューブ、コード類等)
  3. 夜間の薄暗い照明による視界不良
  4. 排泄環境(トイレまでの距離が遠い、ポータブルトイレによる臭気や羞恥心等)
  5. 医療機器(酸素チューブや点滴、モニターのコード等)
  6. 補助器具(車椅子、歩行器、松葉杖等)
  7. 身体拘束
  8. 天候(雨や曇りで薄暗くなる等)
などがあります。
 
看護師は環境整備を日頃から行っていますが、
それを怠れば、転倒のリスクが高まると言いきっていいでしょう。
 
患者さまが気持ちよく生活できるために環境整備を行う事は、転倒の予防につながります!
 
決して手を拔かずにきっちりやっていきましょう!
 
また、入院中だけでなく退院後の生活も考えた場合は、
退院後の生活環境についても考慮しなければいけない場合もあります。
 
例えば、65歳以上で転倒リスクが高く、独居(一人暮らし)などの患者さまの場合は、必要に応じて介護保険サービスの導入や変更が必要になることもあるでしょう。
 

 

 3.薬物因子
患者さまにとって、治療のためのお薬は欠かせない場合が多々あるかと思います。
ただ、お薬は基本的に体のシステム(生理的機能)に直接働きかけるものが多く、それに伴う副作用の出現に注意が必要になります。
 
副作用の中には、転倒のリスクを高めるものがあります。
そうしたお薬を内服している患者さまは、十分な観察が必要かと思われます。
 
下記のお薬を内服している患者さまは転倒のリスクが高まりますので、注意していきましょう!
  1. 催眠薬』(中途覚醒により、足もとのふらつきが生じやすくなります:マイスリーなど)
  2.  『利尿薬』(尿回数の増えることで、移動回数も増えるため、転倒リスクが高まります:フロセミドなど)
  3.  『降圧薬』降圧作用により、ふらつきがでやすくなる(起立性低血圧を生じる:アダラートなど)
  4.  『麻薬』(約50%程度の患者さまが眠気の副作用を生じる:オキシコンチンなど)
  5.  『抗精神病薬』(不穏、せん妄、興奮など気分変動により、危険な行動や転倒の可能性が高まります:パキシルなど)
  6.  『抗うつ薬』(眠気、注意力低下などの中枢神経症状が出やすくなる:トリプタノールなど) 
  7. 抗不安薬』(注意力低下などの症状がでやすくなる:アタラックスPなど)
  8.  『アルコールの飲用』(注意力の低下が生じる:アルコール中毒など)
   
このように、転倒のリスクをずらりと上げると、かなりの量になることが分かりました。
 
実際には、ここで挙げている以外にも、様々な要因で転倒が起きてしまっているかと思います。
 
患者さまの転倒リスクの要因を1つでも除去し、転倒が少しでも減るように行動出来るようになりましょう!
 

 

転倒リスク状態の観察計画(OP)

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1.意識レベル、精神状態(穏やかであるかどうか)

見当識がない患者さまは、時間・空間の感覚が理解できないことがあります。
すると、夜に徘徊したり、歩いている道がわからずに迷ったりすることがあります。
不穏・興奮などを生じている患者さまは、異常行動の有無に注意が必要です。
 
歩けないレベルのADLであっても、ベッドから転落する可能性があります!

2.認知症の既往の有無

認知機能低下により、異常行動や夜間徘徊、不穏を生じている場合は、転倒リスクが高い!!
 

3.治療のコンプライアンス(治療拒否、入院理由が分からないなどの訴え)

認知機能低下の有無の評価に繋がる観察となります。認知機能低下≒転倒リスク高い!!

4.麻痺の有無

麻痺で生じる感覚機能障害により、移動が困難になります。


5.運動障害の有無(下肢切断、外傷、関節拘縮、下肢筋力低下など) 

下肢切断などで移動が困難な患者さまは、転倒リスクが高まるといってよいでしょう。
 

6. ADLの状態(食事・更衣・入浴・排泄・移動)

 補助具の使用の有無を確認しましょう(杖、松葉杖、車椅子、シルバーカー、歩行器など)。

 

補助具の使用の有無によって、環境要因として転倒リスクにつながってきます。
 

7. 視力・聴力の程度(眼鏡や補聴器の使用の有無) 

麻痺と同様に、感覚障害のある患者さまは転倒リスクが高まるといってよいでしょう。
 

8.めまい、ふらつき、気分不快の有無

めまいやふらつきの程度によっては、立っていられずに倒れ込んでしまうことがあります。
 

9. 環境(ベッドの高さ、柵・ポータブルトイレの有無、廊下の障害物)

散らかっていたり、不適切な場所に補助具を置くなどの要因により転倒リスクが高まります。
 

10.衣服・靴(活動しやすいものであるかどうか) 

患者さまの身につけているものも環境要因として観察するようにしていきましょう。
 

11.検査データ(Hb、血糖、その他異常値)、 脱水症状、出血傾向の有無 

貧血や脱水症状により、めまいやふらつきを生じやすくなります。
循環血液量の低下により、ショックを起こすことがあるからです。
 

12.ドレーン、ルート類の有無・状態(固定の状態や部位、絡んでいないか等)

整理れていないルート類は、転倒や自己抜去のリスクが高まります。

 
13.薬物の使用状況と離脱症状の有無

薬物

  1. 降圧薬
  2. 利尿薬
  3. 睡眠薬
  4. 抗うつ・抗不安薬
  5. 麻薬

離脱症状

  1. 眩暈
  2. せん妄
  3. 発熱
  4. 嘔吐
  5. 痙攣
  6. 不穏 
薬剤によってはめまい、ふらつき、意識レベル低下などを起こすことがあります。
確認しておくようにしましょう。
 

14.羽ばたき振戦、痙攣発作の有無(肝機能の異常、アンモニア値の異常など)   

肝性脳症の既往に注意しましょう。
 
意識レベル低下や異常行動をおこすことがあります。
 

 

転倒リスク状態のケア計画(TP)

1. 転落アセスメントスコアシートを用いたアセスメント

 施設によりますが、患者様が入院した時点で転倒リスクの程度を評価することが多いですね。転倒リスクの程度を、点数として表示している施設が多いのではないでしょうか。例えば、
  • 歩行に見守りや介助が必要なら 1点
  • 歩けなければ         2点
  • 軽度の認知症があれば     1点
  • 重度の認知症があれば     2点
  • 頻尿・失禁があれば      1点
など、転倒のリスク因子を点数化して評価をします。
 

ちなみに、私が以前勤めていた病院では、上記の評価項目で、5点以上となった患者さまは要注意としてリストアップしていました。患者識別用の腕ベルトに黄色いリボンをつけ、転倒への注意喚起を行っていました。

2. ベッド周囲の環境整備 

  •  ベッドは座った状態で床に足底がつく高さにする 。
  • 患者の状態に応じてベッド柵を使用し、使いやすいように柵の種類や位置を選択する。
  • 床頭台、オーバーテーブル、ポータブルトイレ、尿器の位置を使いやすいように整理する 。

3. 離床センサーの使用

  • ナースコールを押さずに移動するなど、指示が守れない患者さまは少なくありません。離床センサーを使用して、早期に危険行動を察知し転倒を予防しましょう。

4. 転倒を起こしやすい症状があれば安静を促す

痙攣発作、意識レベル低下、めまい、ふらつきの症状の可能性がある場合は、安静を促す!

5.チューブ類の管理を行う

 ドレーンや点滴ルート類で移動が制限されている患者さまは、ルート類を整理しましょう。

• 不要なルート類がある場合は除去しましょう。• 歩行時の転倒のリスクが高い場合、一旦ルート類を外し、ヘパリンロックするのもアリ!

6. 入院前の生活に近づける

入院前の患者の環境や生活リズムに近づけるように支援しましょう。


例えば、

  • トイレまでの距離を自宅の環境に近づける。
  • 自宅で使用していた寝具を用意していただく。

など。

7. 日中の活動を促す

出来る限り日中の活動を増やし、筋力の低下の予防や気分転換を図りましょう。

8.履き物を変える 

履き物は、滑りにくくつまづきにくい運動靴などをすすめましょう。運動靴をご家族様に購入してもらうことも検討します。

9. 排泄リズムを把握しておく

排泄行動に介助を要する患者さまは、排泄が切迫しないように早めに誘導しましょう。

  • 状況に応じて尿器、ポータブルトイレをベッドサイドに準備しましょう。
  • ポータブルトイレ時の移動で転倒が懸念される場合は滑り止めマットを敷きましょう。
  • 夜間は足もとの照明やヘッドライトで適切な照度を保ちましょう。
  • 必要時、病室やトイレに目印やラインを引き、わかりやすく表示するのもアリ!

10.補助具を用いる 

歩行が不安定な時は付き添い、必要時は車椅子などで移動を行いましょう。

11. オリエンテーションを行う

病院では転倒が起こりやすくなるということを根拠を持って説明しましょう。治療や検査、手術などで療養環境が変化する場合も、時にはあるでしょう。事前に、今後の環境の変化についてイメージできるようオリエンテーションを行いましょう。 

12. 手すりや滑り止めを使用する

入浴・シャワー時には浴槽の滑り止めや手すりについて説明し、使用してもらいましょう。

 

 

転倒リスク状態の教育計画(EP)

患者さまがはじめて入院するとき、患者さま・ご家族さまはこう考えているかも…

病院は、家よりも安全な場所だ」と。

 

一般的には、それで間違いないでしょう。

病院は、治療を行いながら落ち着いて過ごすことができる環境であるべきです。

安全・安心が保証されることは当然だと思います。

 

ですが、


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  • 廊下にモニター類などの機器があり、障害物がある
  • 車椅子、歩行器、ストレッチャーなどの用意で廊下が阻まれることがある
  • 点滴類に繋がれながら生活するなどにより、歩きづらくなる
  • 状態により、行動範囲を制限されたり、ベッド上に安静にしなくてはいけなくなる
  • 慣れない環境である
  • 医師・看護師・他の患者様などの出入りでぶつかってしまうなどの可能性がある
など、実は病院は事故が起こりやすい環境の温床になっています
したがって、病院は事故および転倒の危険性がある施設だといえるのです。
 
入院時や検査・手術の際に、患者様とご家族様に転倒リスクについて説明をした方がよいでしょう。
 
事前に転倒の可能性を意識してもらうことで、「転ばないように気をつけよう!」と思っていただけますよ。

1.ベッドサイドの環境調整方法を説明する   

  • ベッドの高さの調整やベッド柵の上げ下ろしの方法を説明しましょう。
  • ヘッドライト、床頭台、オーバーテーブル、ロッカーの使用法を説明しましょう。
  • 散らかすことなく、安全な環境で生活するように説明しましょう(*´∀`)
  • 転倒のリスク因子について説明しましょう。
  • 転倒を起こしやすい要因について、できるかぎり簡単な言葉を使って説明しましょう。

また、転倒を予防するための方法について説明しましょう。

 

例えば、降圧剤や催眠薬を内服している患者さまは、めまい・ふらつきを起こす可能性が高まります。なので、そのことについて分かりやすく説明しましょう。

それに加えて、起き上がり時や立ち上がり時は急に動かずにゆっくり動くようにお伝えしましょう。

そうすることで、患者さま自身が転倒に対する予防行動をしてくれることにつながりますよ。

2.可能ならば、日中はできるだけ活動を増やすよう説明する

安静が必要でなければ、できるだけ日中の活動を促すことが望ましいでしょう。

日中の活動が少ないと、夜間における不眠や倦怠感が起こりやすくなります。

それによってふらつきや注意力の低下など、転倒に直結する症状に繋がる可能性があります。

日中の活動の必要性について説明することで、転倒リスク因子を減らすことができますよ。

3.家族にも転倒のリスクについて説明する

患者さまの本来の生活の場は病院ではありません。

病院を退院すれば、自宅で過ごしたり、介護施設などに転院するでしょう。

病院を退院しても、患者さまの転倒のリスクは完全になくなるわけではありません。

患者様だけでなく、サポートを行うご家族様にも、転倒のリスク因子や安全な環境の必要性について説明しましょう。

自宅や介護施設での転倒を防ぐことは、骨折や脳出血などの重篤な外傷を防ぎ、臨時の再入院を減らすことにつながります。

 

以上になります!

いかがでしたでしょうか。

 

 

おわりに

日頃から転倒のリスク因子の有無を評価し、意識的に観察を行いましよう!

すると、自然に患者様・ご家族様への説明・指導ができるようになっていくと思います!若い人でも、病気のない人でも、全ての人に転倒が起こる可能性があるということを意識しましょう。

日頃から、全ての患者さまに対して転倒のリスク因子が無いかアセスメントしましょう。

そうすることで、転倒を予防するあなたの「看護力」が鍛えられると思います!

私も日々の中で五感を研ぎすまし、家のなかでも家族の転倒ゼロを目指していますよ。

 

おわり!

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経口エアウェイ・経鼻エアウェイの使用方法

こんにちは。栗鈴です。

『経口エアウェイ』と『経鼻エアウェイ』の使い方をまとめました!

 

 

 

はじめに

経口・経鼻エアウェイといいますと、救急カートには必ず入っている物品ですよね。
 
舌根沈下の時、医師がサッと気道確保をする時に使うものですね(^^)
 
意識レベル低下し、昏睡』を起こしていたら、舌根沈下を起こす可能性がある」
 
と、ベッドサイドに赴く際は念頭に置いておきましょう!
舌根沈下はやばいです
 
実際に目にすると、看護がいかに人の命を左右するかがよく理解できます。舌根沈下にはホントに気を受けて欲しいと思います!
 
また、看護師が判断して経口・経鼻エアウェイを使用することもあります。
 
ただし!手技が手軽とはいえ、挿入が『禁忌』の患者さまは使用しないようにしましょう。
 
エアウェイ挿入自体が患者さまの気道閉塞を助長してしまうリスクもあります。
 
よって、リスクを考えずに経口・経鼻エアウェイを使用するのは控えたほうがいいです!「過信は禁物!」ということですね。
 
看護の基本は、知識をきちんと理解しないと実践はしちゃいけないってことです…
 
命を預かる仕事ですから。のあたりが適当に出来ないところが看護の辛いところだと書きながら思う次第です。
 
救命救急センターや救急病棟で勤務する看護師は、必ず注意点を理解して使用しましょう。基本が大事です。
 
余裕があれば、事前に医師か上司に相談をしてから使用するのが無難です。
 
では前置きが長くなりましたので、使い方の項にまいります。
 

1.経口エアウェイ


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経口エアウェイの目的 
  舌根沈下の時に気道確保を行うために使用する 
 
経口エアウェイの使用法

1. 水かキシロカインゼリーを先端につける。

2.口腔内を通過するまでエアウェイの先端を頭部側にして挿入する。 

 
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3.咽頭後壁手前まで差し掛かったところで徐々に180度回転させながら挿入する。 

 

経口エアウェイのサイズ
  • 様々なサイズがあるが、3号〜5号を使用することが多い。
  • 口角から下顎角(耳の下の顎が出っ張っているところ)までの長さのサイズを選択する。(もしくは前歯から下顎角)
経口エアウェイの適応
  • 咽頭反射の消失している患者 (深昏睡) 
 ☆睫毛反射(まつげを触ると周囲の筋肉がピクピクと動く)が無い場合、咽頭反射が消失している可能性が高いので、判断材料となる。
 
咽頭反射

咽頭反射 とは?

飲食物などが咽頭に入ると、脳神経から運動神経に直接介して反射的に喉頭蓋が閉じることによって飲食物を食道に通している。
 
これによって、気管に物が入るのを防いでいる。誤って気管に入ってしまったときは咳を出す反射が起きて、誤嚥性肺炎などを防いでいる!
経口エアウェイ挿入のメリット
  • 正しい挿入を行うことにより、舌根沈下による咽頭後壁圧迫を防ぎ、気道確保が行える。(舌根沈下で咽頭後壁が圧迫されると、気道が閉塞する)
経口エアウェイの注意点
  • 使用前に咽頭反射の有無を確認する必要がある。
  • 口腔エアウェイは固定をする必要がない。だが、不適当なサイズのものを用いると、エアウェイがただの気道異物になる可能性がある。
  • 口腔エアウェイ内部に唾液や痰などの分泌物が貯留すると、気道確保出来ていても換気が出来ない場合があるため、適宜エアウェイ内部の吸引を行う。
  • 短すぎると舌をさらに圧迫して気道閉塞を助長する。
  • 長すぎると喉頭蓋を圧迫し完全気道閉塞をおこす可能性がある。 
経口エアウェイは使わないことが多い?
 みなさんが勤める病院では、経口エアウェイを使用していますか?
 
私は内科病棟で働いていたのですが、実際の臨床で使っているのを見たことがありません。
 
私の勤める病院では、救急カートの物品リストから経口エアウェイは途中から削除されました。使用するメリットに乏しいのかもしれませんね。
 
では、次に経鼻エアウェイの使い方について参ります!
 

2.経鼻エアウェイ

経鼻エアウェイは挿入が容易であるため、コチラは実際に結構使われています。コチラの方はしっかり覚えときましょう!
 

この記事の内容で本当に覚えておきたいのが、この経鼻エアウェイの使い方です。特に注意点はしっかりおさえておきましょう。


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経鼻エアウェイの目的
  • 咽頭下部に気道を確保するために使用する。
経鼻エアウェイの使用方法
  • キシロカインゼリーを塗って挿入する。(鼻出血予防のため、エピネフリンにより鼻粘膜血管を収縮させてから使用する場合もある。 )
  • 基本的に右の鼻孔に挿入する(下記も参照)。
  • キーゼルバッハ部位からの出血を予防するためカット面がある(切れ込みの長い方が外側)。
  • 左右どちらでもカット面が鼻中隔に沿うように入れる。
  •  先鋭部が鼻中隔をこすると出血する。
  •  ただ、必ずしも右から挿入する必要はない。 しかし持ち手の関係上、右ききの人は右が入れやすい
  • 抵抗があるときは抜去し、左から挿入する。 
  • 経鼻エアウェイに安全ピンが付属しているものは、安全ピンを用いて挿入した長さに合わせて固定することが出来る。
  • エアウェイが途中で抜けそうになる場合は、エアウェイのフランジ部位に優肌判などの適当な固定用テープを鼻翼に貼り付けて固定する。
  • エアウェイの長さに余裕があるならば、エアウェイに固定用テープを巻き付けて鼻翼に固定してもよい。
 
やったことはないのですが、安全ピンに固定用テープを巻き付けても理論的には問題ないと思います。
 
普通にテープを貼っても留めにくい場合は医師に相談してOKだったらやってみて下さい。

 

経鼻エアウェイのサイズ 
  • 鼻孔から耳朶下端(耳たぶの一番下)までの長さのものを使用。
  • 長さが不適当である場合は、安全ピンなどを用いて、挿入した長さに合わせてエアウェイを差し留めることで長さを調整することが出来る。 
  •  太さは6〜7mm(もしくは小指の太さ)。
  • サイズを間違えるとかえって気道を閉塞させるリスクがある。 
経鼻エアウェイの適応 
  • 咽頭反射の残存している意識障害患者
  • 意識レベル低下があるものの睫毛反射がある場合(半昏睡) 
経鼻エアウェイ挿入のメリット
 経口エアウェイと同様だが、経口エアウェイと比べて適応範囲が広く、使用法が簡単である。
経鼻エアウェイの注意点 
  • 必ず患者にあったサイズを使用する。
  • また、挿入時に 疼痛を伴うため、血圧上昇を招く。 
  • 脳出血や頭蓋骨骨折の患者は症状を悪化させるため『禁忌』である。
  • 挿入後は直ちに呼吸の有無を確認する。
  • また、肺聴診を行い、呼吸音に異常がないことを観察する。
  • 挿入時に鼻出血のリスクがあるため、鼻血の有無を観察する。
  • 胃管挿入中の患者様の場合は、どうしてもエアウェイが入らない場合がある。状況によって医師に相談すると良い。
(胃管挿入患者にエアウェイを入れることはあまりないです。舌根沈下のある患者さまに経鼻経管栄養は不適切です。) 
 

以上!いかがでしたでしょうか!

 

おわりに

エアウェイの適応と注意点を理解して、
挿入による事故を起こさないようにしましょう!
 
大事なのは、油断しないこと。無理をしないこと。安心・安全なケアに努めていきましょう!
 
ここまで読んでくださって、ありがとうございました!また、救急カート関連で、別の記事も載せています。よかったら見てみて下さい!
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