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~くりかん~

肺炎の看護計画の例(OP・TP・EP)【これでばっちり】

こんにちは、栗鈴です。

今回の記事は、『肺炎の看護計画の例(OP・TP・EP)【これでばっちり】』になります。

よろしくお願いします。

 

はじめに

肺炎は、実際に看護をする機会が非常に多く、死亡率も高い危険な疾患です!

基本的に早期の抗菌薬による薬物療法が必須です!

迅速かつ確実な投薬を行うことが、治療のカギを握っています!

 

病院によると思いますが、抗生剤の内服管理や、点滴の実施は、看護師が中心に行っていることが大半かと思います。

したがって、肺炎の患者様への看護は、薬物療法の重要性を十分に理解した上で看護に臨みましょう!

呼吸のアセスメント、感染拡大防止、確実な投薬、セルフケア支援、精神的支援…様々な看護介入が求められます! 

 

肺炎の病態生理

肺炎は何らかの病原微生物が肺に侵入して発症する肺実質性の急性感染性の炎症である。

  • 病原微生物が咳反射粘液線毛輸送系などの防御機構を通り抜けて肺胞領域に達しても、常に肺炎が生じるわけではない。
  • 病原性の強い病原微生物が多数侵入し、肺胞マクロファージだけでは処理できず、好中球マクロファージが動員され、肺に炎症が生じて肺炎となる。
  • 空気の通りが悪い末梢の気管支から炎症が始まる。好中球が主体となった炎症が起こり、一部に膿性の分泌物が溜まることもある。
  • 一般社会生活を営んでいる人に発症する肺炎を市中肺炎と呼ぶ。高齢者や糖尿病、膠原病など、種々の基礎疾患を有する人に発症した場合も、入院中の発症でなければ市中肺炎と呼ぶ。
  • 病原微生物と抗生物質の感受性から、市中肺炎はさらに細菌性肺炎非定型肺炎に分類される。
  • 入院時すでに感染していた症例を除き、入院後48時間以上経過して発症した肺炎は院内肺炎とよぶ。院内肺炎の発症機序には、①宿主が易感染性である場合が多いこと②誤嚥などによる病原体の過剰侵入③病院内が交差感染しやすい場所であること、などが関与する。

肺炎の病因・増悪因子

市中肺炎の原因となる病原微生物は、

  1. 肺炎球菌
  2. インフルエンザ菌:Hib(ヒブ。インフルエンザウイルスとは別物)
  3. マイコプラズマ
  4. クラミジア
  5. レジオネラ菌

などの頻度が高い。

 

院内肺炎の原因となる病原微生物は、

  1. 緑膿菌
  2. インフルエンザ菌:Hib
  3. クレブシエラ菌
  4. 黄色ブドウ球菌

などの頻度が高い。

  • 院内肺炎では、慢性呼吸器疾患、心不全、糖尿病、坦癌状態(癌キャリア。癌を保有している状態のこと)、人工呼吸器管理下、誤嚥などが悪化の危険因子となる。

肺炎の疫学・予後

  • 罹患率、死亡率とも男性がやや多い。罹患率は高齢になるにつれ急激に増加する。
  • 日本における肺炎全体の死亡順位は第4位で、年間約9万人が肺炎のため死亡している。罹患率、死亡率とも年齢と共に増加し、85歳以上の男性では死因の第2位、90歳以上の男性では死因の第1位である。
  • 予後は年齢や基礎疾患なども含めた重症度によって異なり、若年者で基礎疾患がなく軽症であれば死亡率は1%未満だが、最も重症な群では死亡率は30%に及ぶ。

肺炎の症状

主要症候は、発熱、咳、痰、呼吸困難である。

  • 典型例では、咳、痰、胸痛、呼吸困難などの局所症状と、発熱・全身倦怠感などの全身症状が組み合わさって急激に出現する。年齢や基礎疾患の有無で必ずしも典型的な症状が出現しない場合もあり、高齢者では食欲不振、不活発などの漠然とした症状の場合もある。

肺炎の診断・検査値

  1. 咳、痰、発熱など肺炎が疑われる症状がみられる
  2. 胸部X線写真で新たな浸潤影(白く写る)がみられる
  3. 急性炎症を反映する血液検査所見(白血球数増加、CRP増加、赤沈の高値など)がみられる

の場合は、ほぼ肺炎と診断される。

  • 肺炎の確定診断、病原微生物の確定のためには痰の細菌検査や抗原検査、遺伝子検査が必要となる。
  • 抗菌薬によって改善しない場合、①使用している抗菌薬が無効な感染性の肺炎、②その他の肺炎(薬物性、好酸球性、器質化肺炎:間質性肺炎など)、③ほかの疾患(肺癌、心不全、肺塞栓症など)を考える。
  • 鑑別診断には胸部CTが重要である。

肺炎の治療法

  • 抗菌薬を早期に開始する。
  • 治療前に原因となる病原微生物が判明する率は低く、早期に治療を開始しなければ予後が悪くなることが知られている。
  • 肺炎と診断した時点で、病原微生物を予測して抗菌薬を使用する。
  • 診断後4時間以内の抗菌薬の開始が推奨されている。
  • 病原微生物が判明した場合は抗菌薬の感受性を再検討する。
  • 病原微生物が判明しない場合は治療開始後3日間の治療効果を判定し、抗菌薬の続行・変更・追加を検討する。
  • 抗菌薬の終了は、解熱、白血球数の正常化、CRPの改善、胸部X線陰影の明らかな改善などを目安とする。

肺炎の主な治療薬の例

  • マクロライド系抗菌薬:クラリスロマイシン(クラリス)、ロキシスロマイシン(ルリッド)、アジスロマイシン(ジスロマック)、エリスロマイシン(エリスロシン)
  • ニューキノロン系抗菌薬:レボフロキサシン(クラビット)、モキシフロキサシン(アベロックス)、ガレノキサシン(ジェニナック)、シプロフロキサシン(シプロキサン)、パズフロキサシン(パズクロス)
  • ケトライド系抗菌薬:テリスロマイシン(ケテック)
  • ペニシリン系抗菌薬:アモキシシリン(サワシリン)、スルタミシリン(ユナシン)
  • ペネム系抗菌薬:ファロペネム(ファロム)
  • テトラサイクリン系抗菌薬:ミノサイクリン(ミノマイシン)
  • セフェム系抗菌薬:セフトリアキソン(ロセフィン)、セフタジジム(モダシン)、セフェピム(マキシピーム)
  • カルバペネム系抗菌薬:メロペネム(メロペン)、ビアペネム(オメガシン)、ドリペネム(フィニバックス)

 

肺炎の看護問題の例

#1 気道に痰が貯留し換気が障害されている

#2 身体症状に伴う安楽の変調を生じている

#3 食欲不振やエネルギー消費増加により低栄養状態を生じている

#4 腔内の乾燥・衛生状態不良による二次感染リスクを生じている

#5 病状の経過に対する不安を生じている

#6 組織の酸素過不足、エネルギー消費増加により、活動が抑制されている

#7 ガス交換障害が起こる危険性がある

#8 肺炎を発症しやすい身体状態および環境状況である

#9 病原体を媒介して肺炎を拡大させる可能性がある

#10 肺炎の治療や予防行動を生活に取り入れ、積極的に管理しようとしている

#1 気道に痰が貯留し換気が障害されている

看護診断

非効果的気道浄化

診断指標

咳嗽、喀痰貯留、異常な肺音

長期目標

気道における痰の貯留が消失し、換気が改善する

短期目標

正常な肺音が聴取できる

観察計画(OP)

  • 呼吸状態(呼吸数、呼吸パターン、肺音)
  • 咳嗽・喀痰の有無・性状
  • 痰の貯留の有無・貯留部位
  • 食事・水分摂取状況、脱水症状の有無

ケア計画(TP)

  • 気道の保湿(湿度調整、水分摂取、含嗽、口腔ケア、吸入)により、痰の粘稠度を低くして、喀痰を促す。
  • 体位ドレナージを行う。排痰体位(痰の貯留部位が肺全体で最も高く、区域気管支が垂直になる体位)を介助し、排痰を促す。
  • スクイージングを実施し、喀痰を促す。
  • 腹式深呼吸、ハッフィング、催咳法などを援助する。
  • 状態・必要に応じて、喀痰吸引を行う。

教育計画(EP)

  • 効果的な喀痰方法が実施できるように説明する。
  • 痰の採取、吸引、吸入、検査、治療や医療処置の目的、それらに伴う体への負担(侵襲)について説明する。
  • 喫煙者の場合は、必要に応じて禁煙指導を段階的に行う。

 

www.aikoandsibajyun.info

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#2 身体症状に伴う安楽の変調を生じている

看護診断

安楽障害

診断指標

咳嗽、発熱、呼吸困難感、倦怠感、胸痛

長期目標

不快な症状が緩和し、安楽な状態で療養できる

短期目標

苦痛の軽減がみられ、十分な睡眠がとれる

観察計画(OP)

  • 症状の程度、経過
  • 睡眠・休息の状況、食欲・活動意欲の程度
  • 表情の苦しさや苦痛の表出の有無

ケア計画(TP)

  • 室温・湿度の調整、口腔ケアを行う
  • 締め付けの少ない衣服の着用を促す
  • 必要に応じて、食事形態の調整や、水分摂取・緩下剤による排便周期のコントロールを行う
  • 必要に応じて、呼吸法(腹式深呼吸、口すぼめ呼吸)の実施を促す
  • 体熱感や発汗時は保清や水分摂取を行う
  • 病室環境や病室位置、トイレ位置に配慮して休息しやすい環境を調整する
  • 定期的に声掛けを行い苦痛の表出を促す
  • 苦痛緩和に向けた投薬(解熱薬、睡眠薬など)の必要性を患者・医師と相談する

教育計画(EP)

  • 苦痛をできる限り我慢せず相談するように伝える
  • 想定される苦痛の予防方法を指導する
  • 睡眠・休息が阻害されている原因について話し合い、解決策を相談する

 

#3 食欲不振やエネルギー消費増加により低栄養状態を生じている

看護診断

栄養摂取消費バランス異常:必要量以下

診断指標

食事摂取量の低下、高熱の持続、アルブミン値の低下

長期目標

必要な食事量が摂取でき、栄養状態が改善する

短期目標

食欲の改善がみられる

観察計画(OP)

  • 食欲、食事摂取状況、食事量
  • 栄養状態(総蛋白、アルブミン値、体重、脱水の有無)
  • エネルギーを消費する因子(発熱、咳嗽など)の有無

ケア計画(TP)

  • 食事中・食後の姿勢(1~2時間程度の起座位保持など)を支援する
  • 口腔ケアを実施する
  • 食事内容・量を調整する
  • 食事の嗜好に配慮する
  • 医師の指示に従い、輸液を確実に実施する

教育計画(EP)

  • 体力の回復や感染防御能と関係づけて、食事摂取の必要性を説明する
  • 嗜好に合わせた補食について患者・医師と相談する

 

#4 口腔内の乾燥・衛生状態不良による二次感染リスクを生じている

看護診断

口腔粘膜障害

診断指標

口内の乾燥

長期目標

口腔内の衛生が保たれ、不快感や障害が起こらない

短期目標

定期的な口腔ケアが実施できる

観察計画(OP)

  • 口腔内の乾燥、食物残渣、喀痰の有無、不快感の程度
  • 清潔ケアの実施状況(歯磨き、技師洗浄、含嗽)
  • 水分摂取状況
  • 発熱・呼吸器症状(口呼吸や喀痰)の有無

ケア計画(TP)

  • 水分摂取、含嗽を促し、口腔内の保湿環境を整える
  • 口腔内の清潔を促し、セルフケア力の程度に応じて保清を支援する
  • 毎食後、就寝前の歯磨き、義歯洗浄、食物残渣や痰の除去を行う

教育計画(EP)

  • 感染予防と関連付けて、口腔ケアの必要性の説明を行う
  • 必要に応じて、口腔ケアの方法を説明する

 

#5 病状の経過に対する不安を生じている

看護診断

不安

診断指標

睡眠障害、食欲低下、呼吸困難感、活動意欲低下

長期目標

不安をコントロールできていることを表出できる

短期目標

不安が表出できる

観察計画(OP)

  • 発熱、呼吸状態、胸痛等の程度・経過
  • 睡眠や休息障害、食欲低下の有無
  • 生活価値動画抑制されている認識や思いの有無
  • 不安の表現や表出の状態
  • 症状や治療に関する認識や、治療経過に関する思い

ケア計画(TP)

  • 睡眠・休息がとれる環境の調整
  • 感情に寄り添って思いを傾聴する
  • 定期的に声かけを行い、患者の不安に対する関心を示す

教育計画(EP)

  • 現在の生活目標(お風呂に入りたい、等)について話し合う
  • 睡眠や休息が阻害されている原因について話し合う
  • 不安の原因になっている状況をコントロールする機会をつくる(深呼吸、瞑想など)

 

#6 組織の酸素過不足、エネルギー消費増加により、活動が抑制されている

看護診断

活動耐性低下リスク状態

長期目標

日常生活の活動範囲が拡大する

短期目標

活動と休息の時間を調整することができる

観察計画(OP)

  • 活動中または活動後のバイタルサインの変化の有無・程度
  • 活動中または活動後の呼吸状態の変化の有無・程度
  • 血液データにおける炎症所見(白血球、CRP)
  • 活動意欲、活動内容・量・時間・頻度
  • 休息の時間・頻度

ケア計画(TP)

  • 1日の生活の中で活動と休息の時間の調整を促す
  • 出来る限り活動範囲の拡大を促し、行動の機会を設ける

教育計画(EP)

  • 1日の生活スケジュールを患者とともに計画する
  • ストレッチや座位での運動など、酸素消費の少ない運動を指導する

 

#7 ガス交換障害が起こる危険性がある

看護診断

ガス交換障害

診断指標

動脈血液ガス分析値の異常、呼吸状態の異常

長期目標

動脈血液ガス分析値のデータの改善がみられる

短期目標

動脈血酸素飽和度が正常値で維持できる

観察計画(OP)

  • SpO2の低値、チアノーゼ、呼吸困難感の有無
  • 動脈血液ガス分析値(PaO2、PaCO2、PH、HCO3)
  • 日常生活動作能力の程度

ケア計画(TP)

  • 医師の指示に従い、酸素療法を実施する
  • ベッド上での安静を促す
  • 障害されている日常生活動作を支援する

教育計画(EP)

  • 酸素使用時の注意点やCO2ナルコーシスについて説明する
  • 呼吸困難時における口すぼめ呼吸を指導する

 

#8 肺炎を発症しやすい身体状態および環境状況である

看護診断

感染リスク状態

長期目標

治療後を想定した肺炎予防の対策が実施できる

短期目標

感染予防の方法を説明できる

観察計画(OP)

  • 基礎疾患、治療薬、年齢、栄養状態、嗜好、嚥下機能
  • 入院前の生活状況、環境
  • 基礎疾患や肺炎に対する知識、学習能力

ケア計画(TP)

  • 栄養・水分摂取、活動・休息を促す
  • 必要に応じて食事形態の変更や食事時の姿勢を調整し誤嚥を予防する
  • 換気など、環境調整を行う
  • 含嗽、口腔ケア、手洗い、入浴などの保清を増やす

教育計画(EP)

  • 肺炎を起こした原因を患者と話し合う
  • 栄養状態の改善など、感染防御力を高めるための要素について患者と話し合う
  • 本人の嗜好に応じて、禁煙、節酒の目的・方法を指導する
  • 住環境やペットの飼育の有無など、生活環境を振り返り、感染防止の必要性を説明する
  • スタンダードプリコーションに基づく衛生学的手洗いの方法を説明する

 

#9 病原体を媒介して肺炎を拡大させる可能性がある

看護診断

感染仲介リスク状態

長期目標

感染の拡大を防ぐ方法が実施できる

短期目標

感染経路に応じた予防方法を話し合うことが出来る

観察計画(OP)

  • 肺炎の感染経路など、肺炎に関わる知識の有無・程度

ケア計画(TP)

  • 感染経路(接触感染・飛沫感染・空気感染)に基づくスタンダードプリコーションの実践
  • 喀痰に用いたティッシュの廃棄など、簡単な環境整備の実施を促す

教育計画(EP)

  • 感染経路(接触感染・飛沫感染・空気感染)について指導する
  • 衛生学的手洗い、マスク着用、喀痰の廃棄方法などを説明する
  • 療養指導については同居する家族も参加できるように調整する

 

#10 肺炎の治療や予防行動を生活に取り入れ、積極的に管理しようとしている

看護診断

効果的治療計画管理

診断指標

疾患の治療に対する自己管理を希望する様子がみられる

長期目標

肺炎の治療における服薬管理が自身で行える

短期目標

服薬・点滴の作用を説明できる

観察計画(OP)

  1. 与薬開始時期と症状の変化
  2. 与薬に伴う有害作用の出現の有無
  3. 肺炎の治療に対する理解の程度

ケア計画(TP)

  • 正確な与薬を行う
  • 与薬に伴う有害作用が生じた場合はすぐに医師に報告し対処方法を確認、実施する

教育計画(EP)

  • 薬の作用・副作用について説明し、正確に服薬するよう指導する
  • 治療後の定期受診を促す

おわりに

肺炎の治療は、基本的に薬物療法が必須です!

ですが、食事・飲水・活動・休息・保清など、基本的な生活部分が改善されるかによっても経過が大きく変化する疾患です!

肺炎の治療が完了しても、その間の栄養が摂れていなかったり、活動が減少してしまっていると、体力は元通りになっておらず、筋力低下などから廃用症候群(フレイル)や転倒、骨折などの別の問題を起こしてしまう可能性があります!

したがって、肺炎の治療を行いながらも、きちんと元通りの日常生活が送れるように、セルフケアの支援やリハビリテーションを通して生活機能の改善を促していくことを念頭に置きながら、ケアを実践していきましょう!

 

おわり!

参考文献

病期・病態・重症度からみた疾患別看護過程+病態関連図 15‐40P:編集 井上智子/佐藤千史:医学書院

 

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貧血の看護計画の例(OP・TP・EP)【これでばっちり】

こんにちは、栗鈴です。

今回の記事は、『貧血の看護計画の例(OP・TP・EP)【これでばっちり】』です。

よろしくお願いします。

 

はじめに

『なんだか体がだるい。もしかしたら、貧血かも…』と感じたことはありますか?

感じたことがある方は、おそらく大多数が「女性」の方だと思います。

 

ほとんどの貧血は、「赤血球の血管外での喪失」で起こっています。

つまり「出血」が原因です。

 

女性であれば「月経」で定期的な出血が起こるため、そこで貧血を起こしている方が多いということですね。

 

もちろん、出血だけが貧血の原因とは限りません。

衰弱していたり、特定の疾患を持っている患者様では、出血以外で貧血を起こしている方も多くみられます。

 

また、重度の貧血では「輸血」が必要になることもあります。

貧血の原因、治療、ケアについて、しっかりと勉強しておきましょう!

 

それでは、やっていきます。

貧血は全身の症状なので、あらゆる症状が起こり得ます。思ったより怖いかも…!?

 

貧血の病態生理

貧血とは、様々な原因により、末梢血液中の赤血球(RBC)数、へモグロビン(血色素)量、ヘマトクリット(Ht)値が減少することを指す。診断はヘモグロビン量が減少していることで行われ、起立性低血圧(いわゆる脳貧血)とは異なる病態である。

  • ヘモグロビンの役割は肺から取り込んだ酸素を各臓器へ運ぶことであり、ヘモグロビンの減少により各臓器の酸素が不足して貧血の症状が現れる。
  • ヘモグロビンの基準値は年齢・性別で異なるが、男性では14g/dl、女性では13g/dlが1つの目安となる。高齢者では11g/dl程度が目安となる。

赤血球が失われる原因は、大きく分けて2つある。

  1. 出血により赤血球(ヘモグロビン)が血管外に失われる
  2. 赤血球の寿命による損失のほか、溶血などのさまざまな原因で血管内で失われる

貧血の症状・訴え方

  • 貧血の症状は血液中のヘモグロビンの減少により各臓器の酸素が不足することで引き起こされる。大きく2つに分けられる。

1、臓器の酸素不足による症状

  • 全身症状:倦怠感、易疲労感
  • 中枢神経症状:頭痛、めまい、耳鳴り
  • 心臓の症状:狭心痛(心窩部痛)
  • 消化器の症状:食欲不振、下痢、便秘

2、酸素不足を補うための生体の代償作用による症状

  • 動悸、頻脈、収縮期心雑音(代償作用により、心拍数を上げ、1回拍出量を増大させる働きが起こることで症状が出現する)
  • 労作時呼吸苦、頻呼吸(肺からより多くの酸素を取り込もうとする働きが起こることで症状が出現する)

 

貧血の診断

  • 貧血の原因を調べるには、まず平均赤血球容積(MCV:赤血球の大きさ)と、平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC:赤血球中のヘモグロビンの量)を計算する。
  • MCVとMCHCがともに低値のとき、小球性低色素性貧血という。
  • MCVとMCHCがともに正常のとき、正球性正色素性貧血という。
  • MCVが高値のとき、大球性貧血という。
  • 腎障害があるとエリスロポエチンという造血に関わるホルモンな産生が低下し、赤血球の産生低下が起こる(腎性貧血)。

鉄欠乏性貧血

  • 貧血の原因として最も多くみられる疾患である。
  • 末梢血液検査(血算):小球性低色素性貧血
  • 血液生化学検査:血清鉄(Fe)の低値、総鉄結合能(TIBC)の高値、血清フェリチンの低値(体内の貯蔵鉄の減少)
  • 原因:骨髄の造血機能は正常だが、ヘモグロビンの材料である鉄の不足で貧血が起こる。主な原因疾患は、成長期における体内の鉄の需要の増加、月経による出血、婦人科疾患(子宮筋腫、子宮癌など)、消化器疾患(胃潰瘍、胃癌、大腸癌など)、慢性炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)である。

溶血性貧血

  • 末梢血液検査(血算):正球性正色素性貧血、網状赤血球の増加(赤血球の造血の亢進による)
  • 血液生化学検査:乳酸脱水素酵素(LDH)の高値、間接ビリルビンの高値、ハプトグロビン(Hp)の低値
  • 原因:先天性疾患(遺伝性球状赤血球症、サラセミアなど)、後天性疾患(自己免疫性溶血性貧血、溶血性尿毒症症候群、発作性夜間ヘモグロビン尿症など)
  • 多くは自己免疫性溶血性貧血であり、血管外溶血(脾臓などでの溶血)がみられる。クームス試験が陽性となる。
  • 発熱、倦怠感などの先行する感冒症状に注意する。

再生不良性貧血

  • 末梢血液検査(血算):正球性正色素性貧血、骨髄での造血細胞の減少により白血球減少、血小板減少がみられる(汎血球減少)
  • 血液生化学検査:血清鉄の高値、総鉄結合能の低値、血清フェリチン高値
  • 原因:不明であることが多い(特発性)。薬剤性、放射線、ウイルス感染(肝炎後など)の原因で特定される場合がある。
  • 部位により骨髄細胞密度にばらつきがある可能性があり、骨のMRI(特に椎骨)も実施される。

巨赤芽球性貧血

  • 末梢血液検査(血算):大球性貧血、汎血球減少がみられることも多い。
  • 血液生化学検査:LDHの高値、間接ビリルビンの高値、血清ビタミンB12、葉酸の低値により診断される。
  • 原因:胃切除によりビタミンB12吸収に必要な内因子の欠乏を起こす。胃癌が原因となりうるので注意が必要である。抗胃壁細胞抗体、抗内因子抗体などの自己免疫が原因となる場合がある。
  • ビタミンB12欠乏が原因で、胃粘膜萎縮と自己免疫が関与しているものを特に悪性貧血と呼ぶ。悪性貧血では深部知覚低下、反射低下、筋力低下などの神経症状を伴うことがあり、貧血が改善した後も症状が残る。
  • 舌、消化管粘膜の細胞増殖の異常により、ハンター舌炎(舌乳頭萎縮)や消化器症状がみられる。

 

貧血の治療・対症療法

鉄欠乏性貧血の治療

  • 鉄の補充を行うとともに、原因の検索を実施する。
  • 悪性腫瘍の可能性に注意する。
  • 鉄剤投与開始後2週間で貧血の改善が始まるが、血清フェリチン低値で体内の貯蔵鉄はほとんど失われた状態であるため、貧血が改善した時点で鉄剤投与を中断すると短期間で再発する。鉄剤は少なくとも3-4か月以上は連続して服用する必要がある。

溶血性貧血の治療

  • 自己免疫性溶血性貧血では副腎皮質ホルモン(ステロイド)の投与が行われる。
  • ステロイドが無効な例では免疫抑制剤の投与を実施する。
  • 遺伝性球状赤血球症では、赤血球が破棄される場の1つとなっている脾臓の摘出が行われる(摘脾術)。

再生不良性貧血の治療

治療法は重症度により決定される。

  • 軽症例:経過観察またはタンパク同化ホルモンの投与が行われる。
  • 中等症例:免疫抑制療法が行われる。
  • やや重症~重症例:免疫抑制療法が行われる。年齢、ドナーの有無、臓器機能により造血幹細胞移植を検討する。
  • 頻回の赤血球輸血により、鉄過剰を起こし臓器障害を起こすことがあるため、鉄キレート剤の使用を考慮する。
  • 頻回の血小板輸血により、抗HLA抗体の産生を招くことがあり、その場合は血小板輸血が困難となる。
  • 高度の貧血、出血を伴う血小板減少に対しては輸血が実施されるが、上記理由により最小限の回数のみ行われる。

巨赤芽球性貧血の治療

  • ビタミンB12欠乏症ではビタミンB12製剤の筋肉注射を行う。経口投与は無効である。

貧血の主な治療薬の例

  • 鉄欠乏性貧血鉄剤(フェロミア錠、フェジン注)
  • 溶血性貧血→副腎皮質ホルモン製剤:ステロイド(プレドニン錠)、免疫抑制薬(イムラン錠)、抗がん剤(エンドキサン錠)
  • 再生不良性貧血→タンパク同化ホルモン(プリモボラン錠)、免疫抑制薬(ネオーラルカプセル)、抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリン(ATG)製剤(サイモグロブリン点滴静注)、顆粒球コロニー刺激因子製剤(グラン注)
  • 巨赤芽球性貧血ビタミンB12製剤(フレスミンS注)

 

貧血の看護問題の例

#1 組織の酸素不足に伴う症状によって必要な活動が出来ない

#2 組織の循環不全に伴う粘膜損傷・皮膚トラブルのリスクがある

#3 貧血を改善するための自己管理が不足している

#1 組織の酸素不足に伴う症状によって必要な活動が出来ない

看護診断

活動耐性の低下

診断指標

倦怠感、労作時の呼吸困難

長期目標

症状が出現しない範囲で、適度な活動がが行える

短期目標

貧血によって生じる症状を述べることができる

OP(観察計画)
  • 貧血の程度、血液データ(Hb、Ht、MCV、MCHC、血清フェリチン、尿素窒素、クレアチニン)
  • ふらつき、息切れ、動悸等の随伴症状の有無 
  • 貧血の原因、治療方法とその効果の程度
  • 活動量、活動時の症状、安静時の症状軽減の程度
  • 発熱、不眠など、貧血以外に活動を阻害する因子の有無
TP(ケア計画)
  • 貧血の程度と自覚症状に応じて適切な行動範囲を示し、それが守れるように支援する
  • 活動前後な安静が保てるように配慮する  
  • 可能な範囲で安全に活動ができるように環境調整を行う
  • セルフケアを制限する場合は制限に応じてセルフケアを支援する
  • 指示された薬剤を正確に投与する
EP(教育計画)
  • 起き上がりや起立の際に、ふらつきなどがないことを確かめてから次の動作に移るよう指導する
  • 活動によって症状が出現する時は、活動を中止するよう説明する

 

#2 組織の循環不全に伴う粘膜損傷・皮膚トラブルのリスクがある

看護診断

身体損傷のリスク状態

診断指標

組織の低酸素症、低栄養

長期目標

皮膚・粘膜のトラブルが出現しない

短期目標

皮膚・粘膜が損傷しやすいことを言語化して表出できる

OP(観察計画)
  • 皮膚、粘膜の色調、口内炎、舌炎、浮腫の有無・程度
  • 皮膚・粘膜が傷つきやすいことの認識の有無
  • 皮膚・粘膜のスキンケアや保護の実施状況および実施方法の理解の程度
TP(ケア計画)
  • 皮膚、粘膜のケアを行う
  • 口角炎や舌炎がある時は口腔内の清潔を保ち、指示された軟膏を塗布する
  • 衣類、寝具などで保温し、室温調整を行う
EP(教育計画)
  • 貧血に伴う皮膚・粘膜の保護の必要性や、保護の方法を説明する
  • 口角炎や舌炎がある場合は、鉄分、ビタミン、葉酸を多く含む食品が食事に取り入れられるように食事指導を行う

 

#3 貧血を改善するための自己管理が不足している

看護診断

非効果的自己健康管理

診断指標

指示された治療方法を実施するのが難しいと話す

長期目標

貧血改善の自己管理ができる

短期目標

指示された薬剤を確実に服用する

OP(観察計画)
  • 貧血の原因疾患についての患者・家族の知識、認識
  • 入院前の生活習慣、食事内容、活動量
  • 退院後の生活調整に対する意欲
TP(ケア計画)
  • 貧血による症状が現れた場面を振り替えってもらい、症状の予防方法と、症状が出現した場合の対処方法を一緒に考える
  • 活動の範囲に応じた症状出現の有無や程度について把握し、活動量の目安を一緒に考える
EP(教育計画)
  • 貧血による症状について説明する
  • 薬の作用・副作用を説明し、自身で服薬管理が出来るように支援する
  • 鉄剤は、ビタミンCを同時に摂取すると吸収しやすくなること、服用により便が黒色になることを説明する

おわりに

貧血は、症状と血液検査の結果から、貧血の程度と病因を把握することが大切です!

栄養だけでは治療しきれないことが多いので、鉄剤などの薬物療法、輸血療法が正しく行われるように管理することも超重要です!

貧血の治療によって日常生活への影響や変化がみられるか確認し、少しずつでも活動範囲やQOLの向上がみられるように、看護師は励ましながら介入していきましょう!

 

おわり!

 

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浮腫の看護計画の例(OP・TP・EP)【これでばっちり】

こんにちは、栗鈴です。

今回の記事は、『浮腫の看護計画の例(OP・TP・EP)【これでばっちり】』になります。

よろしくお願いします。

 

はじめに

浮腫は、むくみの事です。むくみっていうのは皆さんご存じですよね。

でも、むくみって要するにどういう状態ですか?って言われたら、皆さんは即答できますか?

 

むくみっていうのは、むくんでいる状態っていう事ですよ…それ以上でも、それ以下でもありませんよ…。」…と、なってしまうようでは、ちょっと良くありませんよね!

 

とはいえ、実は浮腫って、意外と複雑なメカニズムで起きているんですよね。

うん、勉強してみると、結構難しかったです。

 

ある程度、解剖整理が体系的に分かっていないと、なかなかすんなりとは浮腫の仕組みは理解できないところがある気がします。

 

あらためて勉強してみて、なるほど、そうなんだな…という事が多くありました!

浮腫は実際に看護をする機会も非常に多いので、ぜひ勉強していきましょう!

 

それでは、やっていきます。

むくみを起こしている水分は、どこに溜まっているのか、分かりますか~?

 

浮腫の病態生理

  • 浮腫とは皮下に水分が貯留した状態であり、むくみともいう。
  • 浮腫は血管内の静水圧の上昇膠質浸透圧の低下により血管外に水分が移動し、間質(血管外の組織)に貯留することで生じる。
  • 静水圧とは、毛細血管内圧間質の圧の差の事で、血管内の静水圧が高いと浮腫が生じる。どちらが高いかで水分の移動の方向が決まる。
  • 例えば、心不全などで心拍出量が低下すると、静脈に血液のうっ滞が生じ、毛細血管内圧が高くなり、結果として下腿などに浮腫が出現する。浮腫の時に弾性ストッキングなどの処置をするのは、間質の圧を高めるためである。
  • 膠質浸透圧とは、たんぱく質(主としてアルブミン)の濃度により生じる浸透圧をいう。血管壁には小さな穴が開いており、たんぱく質などの高分子は通れず、水分やイオンは通過できる。水分は膠質浸透圧が高い方へ移動する性質があるため、血管内の膠質浸透圧が低く、間質の膠質浸透圧が高ければ、水分は血管外へ漏出し、浮腫につながる。
  • 例えば、肝硬変低栄養の場合で血中アルブミンの低下があると、血管内の膠質浸透圧が低下し、相対的に間質の膠質浸透圧の方が高くなるので、水分は血管外へ漏出し浮腫となる。
  • 間質に貯留した水分はリンパ管に吸収されるため、浮腫はリンパ管の閉塞でも生じうる。
  • 毛細血管の透過性が亢進すると局所性浮腫をきたす。

浮腫の訴え方

  • 眼瞼(まぶた)の浮腫の場合、「朝、まぶたが腫れぼったい」という訴え方が多い。また、顔の浮腫で徐々に増悪するものは自分では見慣れてしまうため、他人に指摘されて初めて気づくこともある。
  • 喉頭浮腫は、普段は普通の声の人が急にしわがれたり、声を出しづらくなることで気付かれる(嗄声)。
  • 上肢の浮腫の場合、「手が腫れぼったい」という訴え方が多い。手指の浮腫の場合は「指輪がきつくなった」という訴えを認めることがある。
  • 下腿の浮腫では、「脛骨前面を指で押すとへこむ」「靴下の跡がつく」「足背にむくみがある」という訴えが多い。「夕方になると足がむくむ」という訴えもよく聞かれるものである。

 

浮腫の原因

全身性浮腫か、局所性浮腫かで分類が可能である。

全身性浮腫の原因

  • 急性心不全、慢性心不全
  • 腎不全
  • ネフローゼ症候群
  • 肝硬変
  • 低栄養
  • 吸収不良症候群
  • 甲状腺機能低下
  • 薬剤性:解熱鎮痛剤(NSAIDs)、甘草(グリチルリチン)等
  • 特発性(原因不明)

局所性浮腫の原因

  • 静脈閉塞(上大静脈症候群、深部静脈血栓症など)
  • 悪性腫瘍(リンパ節転移、悪性リンパ腫など)
  • アレルギー(アナフィラキシー、蕁麻疹)
  • リンパ浮腫
  • リンパ管炎
  • 炎症(熱傷、蜂窩織炎、外傷など)

浮腫の随伴症状と考えられる疾患

全身性浮腫

  • 喘鳴、呼吸困難、血圧低下もしくは高血圧、頻脈、体重増加⇒心不全
  • 貧血、高血圧、体重増加、呼吸困難⇒腎不全
  • 腹部膨満、横断、羽ばたき振戦、体重増加⇒肝硬変
  • 蛋白尿、高コレステロール血症、体重増加⇒ネフローゼ症候群
  • 甲状腺腫大、徐脈、皮膚乾燥、体重増加⇒甲状腺機能低下
  • 低アルブミン血症⇒肝硬変、ネフローゼ症候群、低栄養高齢など

浮腫の診断

浮腫の診断は、まず病歴(基礎疾患、体重増加、摂食状態、内服歴)で得た情報を考慮の上、浮腫の場所により全身性か局所性かを鑑別していく。

全身性浮腫

  • 重力の影響により下腿浮腫として現れることが多い。
  • 長期の臥床者では背部や臀部に認められる。
  • 全身性なので手指、顔面、眼瞼など他の部位に現れることも多いが、全例に全てそろった形で出現するわけではない。
  • 下腿では脛骨の前面を指で10秒程度軽く押した後にできる圧痕の有無を確認する。圧痕を認めれば軽度の浮腫を診断することが出来る。

局所性浮腫

  • 左右差がみられる。
  • 上大静脈症候群では、両側または一側の上肢、顔面、眼瞼の浮腫が著明となるが、通常下肢には浮腫が出現しない局所性の浮腫に分類される。
  • 深部静脈血栓症は下肢の静脈に起こる頻度が圧倒的に高く、上肢と下肢両方同時に起こることは極めて稀である。
  • 乳がんの術後でリンパ節切除後に起こる上腕の浮腫の場合、左右差が著明で、上腕から前腕まで全体的に主張している所見を認めることがある。

 

浮腫の治療法・対症療法

治療は浮腫の原因となっている疾患の確定診断の後、それぞれの治療法が選択される。原因疾患の治療により浮腫も改善することが多い。

  • 心不全、腎不全、肝硬変などの全身性浮腫に対しては利尿薬が処方される。
  • 利尿薬の投与により血清カリウム値が低下する場合は、カリウム製剤を投与したり、カリウム保持性利尿薬を併用したりする。
  • 腎不全の患者では血清カリウム値が上昇していることが多いため、カリウム保持性利尿薬を使用する際は投与前にカリウム値を確認することが必須である。
  • 利尿薬の長期投与により脱水をきたしたり電解質異常をきたすことがあるので、投与患者では腎機能(BUN:尿素窒素、Cr:クレアチニン)や電解質(Na:ナトリウム、クロール:Cl、カリウム:K)などを定期的に検査する。
  • リンパ浮腫は乳がんの手術によりリンパ管が切除された患者に多く出現する。弾性包帯や弾性ストッキングを着用する。リンパマッサージが有効な場合もある。
  • 高齢者で、日中車いすに座っている時間の長い患者では下肢の浮腫をきたしやすいため、下肢はなるべく挙上させておく。
  • 深部静脈血栓症の場合は、血栓の生成予防のためワルファリンが投与される。
  • アレルギー性の浮腫は掻痒感を緩和せる軟膏や内服のアレルギー薬が処方される。
  • 蜂窩織炎のような炎症性浮腫の場合は抗菌薬の内服や外用薬で対応することが多い。

浮腫で考えられる看護問題の例

#1 浮腫がある

#2 浮腫による身体変化への不安がある

#3 浮腫による皮膚損傷のおそれがある

#4 浮腫により日常生活活動が障害されている

#5 感染症を起こす可能性がある

 

浮腫の看護計画

#1 浮腫がある

看護診断

体液量過剰

診断指標

浮腫、呼吸副雑音、短期間での体重増加、水分摂取量が排泄量より多い

長期目標

浮腫が消失する

短期目標

浮腫による二次障害が起こらない

観察計画(OP)
  • 浮腫の部位
  • 浮腫の程度(上肢・下肢・腹囲などの周囲径を測定する)
  • 下着や靴下の跡、衣類のしわの跡の有無
  • 浮腫に伴う四肢の屈曲困難、把持困難の有無
  • 食事量、飲水量、輸液量、尿量、体重
  • 治療内容と効果の程度、薬剤の副作用の有無
  • 随伴症状の有無、症状の変化(倦怠感、呼吸困難、食欲低下、末梢冷感など)
  • 検査データ(心機能、腎機能、肝機能、総蛋白、アルブミン、胸部X線所見)
  • 皮膚の損傷の有無
ケア計画(TP)
  • 安静を保持する
  • 安楽な体位を工夫する(ファーラー位や起座位)
  • 衣服による圧迫を取り除く
  • 浮腫のある部位を枕・クッションなどで挙上する
  • 決まった時間で体重測定、腹囲・上下肢の周囲を計測する
  • 定期的に声掛けを行い、浮腫に対する不安の有無の表出を促す
教育計画(EP)
  • 浮腫の現状や治療内容などを分かりやすい言葉で説明する
  • 浮腫の原因疾患の治療の継続と、生活管理の必要性を説明する
  • 身体的苦痛や不安の増強などある場合には遠慮せず話すように説明する

 

#2 浮腫による身体変化への不安がある

看護診断

ボディイメージ混乱

診断指標

身体の変化に対する非言語的な対応、身体に対する否定的な感情

長期目標

浮腫に伴う身体的変化を受容したことを言葉に出して表出できる

短期目標

身体的変化への不安が軽減したことを言葉に出して表出できる

観察計画(OP)
  • 不安や緊張の表情、落ち着きがない様子などの有無
  • 活気、精神症状の有無
  • 睡眠の状況
  • 身体の変化に対する否定的な言葉や不安の訴え
  • 状態や治療に対する質問の有無、内容
ケア計画(TP)
  • 定期的な声掛けを行い、落ち着いた態度で接する
  • 感情や悲嘆などを声掛けで表出させる
  • 足浴、温罨法、リラクゼーションなどを用いて安楽を促す
教育計画(EP)
  • 浮腫に対する質問を積極的に受け入れ、必要に応じてカウンセリングなどの資源の活用を提案する

 

#3 浮腫による皮膚損傷のおそれがある

看護診断

皮膚統合性障害リスク状態

長期目標

創傷・褥瘡を起こさない

短期目標

創傷・褥瘡の予防方法について話すことが出来る

観察計画(OP)
  • 浮腫の部位・程度
  • 皮膚の乾燥・湿潤状態の程度
  • 皮膚の発赤・紅斑の有無
  • 衣類や寝具による皮膚のしわや圧迫の様子
  • ベッドや寝具の硬さ
  • 自力での体位交換の頻度
  • 食欲、食事摂取量、血液データ(総蛋白、アルブミン)
  • 利尿薬の服薬状況
  • おむつ使用、尿失禁の有無
ケア計画(TP)
  • 締め付けや圧迫の少ない衣服を選ぶ
  • 体位変換の援助を状態に応じて定期的に行う
  • 体圧分散寝具(エアーマットやウレタンフォームマットレスなど)を使用する
  • 発赤部位の保清は刺激の少ない洗浄剤を用いる
  • 腋窩、鼠径部、陰部等、皮膚の2面が接する部位は十分に乾燥させる
  • 浮腫を認める部位での注射は避ける
教育計画(EP)
  • 体位変換や体重移動の必要性について説明する
  • 栄養状態を改善する必要性について説明する
  • 清潔を維持する必要性について説明する

 

#4 浮腫により日常生活活動が障害されている

看護診断

活動耐性の低下

診断指標

労作時の疲労感、呼吸困難、倦怠感の訴え

長期目標

日常生活動作の活動範囲が拡大する

短期目標

活動範囲の拡大に向けた積極的な発言が認められる

観察計画(OP)
  • 表情、活気
  • 倦怠感、呼吸困難感の程度
  • 浮腫による活動制限(体位変換、座位、立位、歩行、関節可動域など)
  • 睡眠状況、熟眠感の程度
  • 日中の休息の有無・程度
  • 活動への不安に関する発言・訴え
ケア計画(TP)
  • 必要な日常生活の援助を行う(体位変換、移動、排泄、清潔、整容、更衣、食事)
  • 栄養状態改善に向けて食事摂取を促す
  • バイタルサインの安定、自覚症状の有無を確認しながら徐々に活動範囲を拡げていく
  • ベッドのギャッチアップや枕・クッションを用いて休息・睡眠時の体位を調整し、安楽な睡眠を促す
教育計画(EP)
  • 毎日の活動・休息のスケジュールを一緒に計画し、活動・休息時間の配分を調整できるように説明する

 

#5 感染症を起こす可能性がある

看護診断

感染リスク状態

長期目標

感染を起こさない

短期目標

皮膚・粘膜の清潔が保たれる

観察計画(OP)
  • 倦怠感、疲労感の有無
  • 皮膚・粘膜の損傷の有無、程度
  • 外傷、褥瘡の有無、程度
  • カテーテルや点滴刺入部の状態
  • 栄養状態(総蛋白、アルブミン、体重、BMI)
  • 感染徴候を示す検査データ(白血球数、CRP)
ケア計画(TP)
  • 全身の清潔ケアを行う
  • カテーテル挿入部位の清潔保持に努める
  • 皮膚・粘膜の清潔保持に努める
  • 軟らかい寝衣、寝具を選択する
  • 爪による擦過傷の予防にために爪切りを行う
  • 医療者・面会者の手洗いを徹底する
  • 処置時の清潔操作を徹底する
教育計画(EP)
  • 感染予防における清潔や栄養補給の重要性を説明する
  • 患者・家族に感染の徴候と症状について指導を行い、それがみられた場合は報告するように説明する

以上になります!

おわりに

浮腫は単なるむくみだと油断してはいけません!

浮腫を生じた皮膚は常に緊張しており、皮膚トラブルが起こりやすくなっています。

また、原疾患により栄養状態が低下している患者さまも多いため、軽い皮膚の擦過傷や外傷から、短期間で蜂窩織炎などの皮膚感染症を起こすことがあります。

浮腫がある患者さまは、皮膚トラブル防止に向けた介入を徹底していきましょう!

 

おわり。

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参考文献

緊急度・重症度からみた症状別看護過程+病態関連図 120‐151P:編集 井上智子/佐藤千史:医学書院

パーキンソン病の看護計画の例【知識、看護診断、OP・TP・EPもこれでばっちり!】

こんにちは、栗鈴です。

今回の記事は、『パーキンソン病の看護計画の例【知識、看護診断、OP・TP・EPもこれでばっちり!】』です。

よろしくお願いします。

 

 

はじめに

 パーキンソン病を一言で表すとするなら、『神経難病の代表格』です。

 難病とは何かというと、『発病の機構が明らかでなく、かつ、治療方法が確立していない希少な疾病であって、当該疾病にかかることにより、長期にわたり療養を必要とすることとなるものをいう』とに定められています(難病の患者に対する医療等に関する法律)。つまり、難病は基本的には長期間、もしくは一生を共にすることになるんですね。

 代表格といっても、パーキンソン病は、テレビ等のメディアではあまり特集や報道がされないので、一般的にはマイナーな病気かもしれません。

 身近にパーキンソン病の方がいない方も多いでしょうし、パーキンソン病なんて病気は一度も聞いたことないよ?という人もいるかと思います。

 芸術家の岡本太郎さんや、推理小説家の江戸川乱歩さん、プロボクサーのモハメド・アリさん等がパーキンソン病であったと言われております。

 また、定かではありませんが、性格が真面目で、几帳面な方はパーキンソン病を発症しやすいという論文もあるようです。

 たばこを吸っている人では、パーキンソン病の方は少ないという疫学調査も出ているようで、まだまだ謎の多い疾患です。

 他の神経難病には、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、脊髄小脳変性症、多発性硬化症などがありますが、それらに比べると、パーキンソン病の研究は著しく進歩しており、治療薬の開発も盛んにおこなわれています。

 まだ完全に治すことはできないと言われているパーキンソン病ですが、いつか治せる日がくるといいなと思います!

 高齢化が進むにつれて、パーキンソン病の方も増加しているため、ぜひ、共に勉強していきましょう!それでは、やっていきます。

動きたいけど動けない!でも、焦らず、ゆっくり、がポイントです。

 

パーキンソン病の病態生理

パーキンソン病は、脳内のドパミン不足と相対的に過剰になったコリン作動性刺激によって起こる運動機能障害を主体とした神経変性疾患である。

  • 神経系は、神経細胞から脳内のさまざまな部位に連絡がある。
  • パーキンソン病に関連するのは、ドパミン作動性神経コリン作動性神経が関与する連絡の部分である。
  • パーキンソン病は、中脳の黒質の神経細胞から、神経終末である線条体への繊維連絡(ドパミン作動性神経)が障害を受ける。
  • 線条体は大脳深部にある大脳基底核の一つであり、運動の調節に関与している。
  • ドパミン作動性神経は、神経伝達物質であるドパミンを産生・輸送するものであり、パーキンソン病の病態は、線条体でのドパミン低下が原因である。
  • パーキンソン病の第二の原因は、ドパミン作動性神経の働きが低下したことで、相対的にコリン作動性神経の活動が高まっていることである。
  • コリン作動性神経から放出されるアセチルコリンは、ドパミンの反対の作用があり、運動の調節に関与している。
  • ドパミンは線条体を抑制する作用があり、アセチルコリンは興奮させる作用がある。
  • 正常な線条体ではドパミン作動性神経とコリン作動性神経のバランスが取れているが、パーキンソン病ではドパミンの作用が低下しているため、線条体でのアセチルコリンの働きが相対的に高まり、自律神経のバランスが崩れる。

パーキンソン病の病因・増悪因子

  • 家族性パーキンソニズムと特発性パーキンソン病に分類される。
  • 圧倒的に特発性が多いが、特発性パーキンソン病の原因として遺伝的要因が80%、環境要因が20%とされている。
  • ドパミン作動性神経が脱落してしまう原因はいまだ不明である。

パーキンソン病の疫学・予後

  • 日本では10万人あたり有病率120~130人、発症率10~15人と推定されている。
  • 女性が男性より1.5~2倍多い傾向がある。
  • 50歳以上に多く、加齢とともに発症頻度は増加する。
  • 経過は緩徐進行性で慢性の経過をたどる。個人差はあるが一般に発症してから10年以上は独立した日常生活が可能であるが、それ以降は介助が必要となることが多い。
  • 高齢者では脱水、栄養障害、悪性症候群に注意する。生命予後は、臥床生活となってからの合併症によることが多く、最も高率な死因は、肺炎・気管支炎である。

 

パーキンソン病の症状

  • 安静時振戦(体がふるえる)
  • 筋固縮(筋肉が固くなる)
  • 無動・寡動(動きがなくなる・少なくなる)
  • 姿勢反射障害(姿勢が保持できない、転倒しやすくなる)

四大徴候である。

  • 他の特徴的な症状として、仮面様顔貌(能面のような表情のない顔貌)、特有な姿勢(屈曲姿勢、前かがみの姿勢)、歩行障害すくみ足、小刻み歩行、突進歩行、腕の振りがない等)、小声、小書字がある。
  • 嚥下障害、流涎、自律神経症状便秘、脂漏性顔貌、膀胱機能障害)も合併する。
  • 精神症状としては、40%に抑うつ症状、20%に認知機能低下が合併するが、初発症状・主症状とはならない。

パーキンソン病の診断・検査値

  • パーキンソン症状(パーキンソニズム)を問診と診察によって確認したら、パーキンソニズムをきたす他の疾患を除外する。鑑別すべき疾患としては、神経変性疾患(多系統萎縮症など)、脳血管障害、薬剤性パーキンソニズムがある。ドパミン前駆体補充薬(L‐dopa、レボドパ)に対する反応性によっても判断される(パーキンソン症状であればL-dopaに反応し症状が改善する)。
  • 血液検査・髄液検査では特異な異常を呈するものはない。脳画像上もパーキンソン病に特異的な異常はない(異常がないことが鑑別に重要)。
  • 医療面接と身体診察での特異的な所見と症状によって、ほぼ診断が確定する。
  • 近年はパーキンソン病と他のパーキンソニズムを来す疾患の診断に、IMBG(123I-メタヨードベンジルグアニジン)心筋シンチグラフィが用いられる。健常者では心筋全体に取り込みがみられるが、パーキンソン病では123Iの心筋への取り込みが著明に低下する。鑑別を要する多系統萎縮症、脳血管性パーキンソニズムなどでは心筋への取り込みは正常である。
  • 重症度の診断にはホーン・ヤールの重症度分類が使用される。

 

ホーン・ヤールの重症度分類

ステージⅠ

一側性障害で体の片側だけの振戦、固縮を示す。軽症例である。

ステージⅡ

両側性の障害で、姿勢の変化がかなり明確となり、振戦、固縮、寡動~無動とも両側にあるため日常生活がやや不便となる。

ステージⅢ

明らかな歩行障害がみられ、方向転換の不安定など立ち直り反射の障害がある。日常生活動作障害もかなり進み、突進減少もはっきりとみられる。

ステージⅣ

規律や歩行など日常生活動作の低下が著しく、労働能力は失われる。

ステージⅤ

完全な廃失状態で、介助による車いす移動または寝たきりとなる

パーキンソン病の合併症

  • 精神症状:抑うつ症状、幻覚・妄想(パーキンソン病治療薬の副作用でも起こる。)、認知症
  • 自律神経症状:起立性低血圧、便秘・腸閉塞、排尿障害、性機能障害、発汗障害、睡眠障害
  • 悪性症候群

 

パーキンソン病の治療法

  • パーキンソン病の主治療薬はドパミン作動性薬剤であり、ドパミンを補充する薬剤(レボドパ製剤)、ドパミン受容体作用薬(ドパミンアゴニスト)の単独あるいは組み合わせが基本となる。
  • レボドパの長期使用により、ジスキネジア(くねるような姿勢や不随意運動が起こる)、精神症状(幻覚・妄想)、ウェアリング‐オフ減少(レボドパの薬効時間が短縮し、症状の日内変動が出現する)などの副作用が出現するので、長期的にレボドパの副作用をいかに軽減するかが課題となる。そのため、ドパミン受容体作用薬、外科的療法等を初期から組み合わせてレボドパ服薬量を必要最小限とする治療を行うことが主流となっている。

パーキンソン病の主な治療薬

  • ドパミン前駆体補充薬(レボドパ):ドパストン、ドパゾール
  • ドパミン受容体作用薬(ドパミンの放出を促進する):パーロデル、カバサール、ロピニロール、レキップ、ハルロピテープ(貼り薬)、ニュープロパッチ(貼り薬)、ペルマックス、ペルゴリド、プラミペキソール、ビ・シフロール
  • アドレナリン前駆体(起立性低血圧、すくみ足の改善):ドプス、ドロキシドパ
  • COMT阻害薬(レボドパの作用を延長する):コムタン、エンタカポン、オンジェンティス
  • レボドパ・脱炭素酵素阻害薬(脳内に移行するレボドパの量を増やす)配合薬:デュオドーパ(点滴)、ネオドパストン、メネシット、ドパコール、イーシー・ドパール、ネオドパゾール、マドパー
  • レボドパ・脱炭素酵素阻害薬・COMT阻害薬配合薬:スタレボ
  • NMDA受容体拮抗薬(ドパミンの放出を促進する):シンメトレル、アマンタジン
  • MAOB阻害薬(ドパミン量の低下を抑える):エフピー、セレギリン、アジレクト、エクフィナ
  • 抗コリン薬(コリン作動性神経を抑えて自律神経のバランスを整える):アーテン、トリヘキシフェニジル、アキネトン、ビペリデン
  • アデノシンA2a受容体阻害薬(レボドパの作用を延長する):ノウリアスト

 

パーキンソン病の看護問題の例

#1 治療や日常生活管理に対して、守るべきことが守れない

看護診断

非効果的治療計画管理

診断指標

疾患に対して知識不足を表す言動がみられる

長期目標

治療を受け入れて望ましい療養生活を送ることが出来る

短期目標

日常生活行動を可能な限り自立して行うように努める姿勢を表すことが出来る

OP

  1. 日常生活の過ごし方を観察する
  2. 治療計画に対する認識と行動を観察する

TP

  1. パーキンソン治療薬の管理に困難な部分があれば、どの点で困難が生じているのか確認し、声掛けや服薬介助などの必要な支援を行う

EP

  1. 疾患の特徴や、疾患上の日常生活の注意点について説明する
  2. リハビリテーションの必要性と方法について説明する
  3. 薬物の作用・副作用および管理方法について説明する
  4. 本人の自立を促すとともに、家族にも日常生活の注意点を説明する

 

#2 運動障害のために転倒や外傷の可能性がある

看護診断

転倒リスク状態

診断指標

運動障害

長期目標

日常生活において、転倒による外傷や骨折を起こさない

短期目標

転倒のリスクに対する留意点について述べることが出来る

OP

  1. 寡動、無動、筋固縮の有無・程度
  2. 家具、段差、手すりの有無、通路などの周囲の環境の状態
  3. 起立時、歩行時など動作に対する危険性の認識の程度

TP

  1. ADL能力に応じて動作の支援を行う
  2. トイレ歩行時など切迫する可能性のある動作には付き添いを行う
  3. ベッドの高さを適切にし、柵、手すり、踏み台などの用意を行う
  4. 点滴ラインやカテーテル、コード類、コンセント等の存在に注意する
  5. 滑りにくく脱げにくい履物を履くようにする
  6. ADLの程度に応じて、杖・歩行器等の福祉用具を使用する

EP

  1. 現在のADLの状況を説明する
  2. 転倒しやすい状況、転倒の予防対策について患者・家族と話し合う

 

www.aikoandsibajyun.info

 

 

#3 運動障害のために身の回りのことで自立できないことがある

看護診断

摂食or清潔/入浴or更衣/整容or排泄セルフケア不足

診断指標

食事、清潔、更衣、排泄行為に関するセルフケア不足

長期目標

可能な範囲で摂食、清潔/入浴、更衣/整容、排泄が自立できる

短期目標

(具体的内容で)独力で可能な動作が増える

OP

  1. 食事or入浴/清潔or更衣・整容or排泄行動で、可能な動作と困難な動作を確認する

TP

  1. 動作時に、ゆっくりで良い、焦らなくても良いことを伝えて、できる限り自分で可能な動作は自力で行えるように声掛けする
  2. 環境整備、動作時の声出しなど、出来る限り自力で動作が行えるような工夫を本人と共に考える
  3. 必要な補助具、福祉用具があれば導入する
  4. できる動作に対する介助を可能な限り行わず、できない部分のみ介助を行い、本人の自立を促す

EP

  1. 自力で可能な動作を継続することが、ADL能力の維持に繋がることを説明する
  2. 家族にも同様に指導を行っていく

 

#4 自律神経障害による排尿障害(尿閉または尿失禁)がある

看護診断

排尿障害

診断指標

尿閉、膀胱の膨満、残尿、尿失禁

長期目標

排尿障害の程度が軽減する

短期目標

(尿閉)適切な量の排尿ができる

(尿失禁)尿失禁の頻度が減少する、排尿を自制することができる

OP

  1. 水分出納量
  2. 尿意、残尿感、腹部膨満感
  3. 尿回数
  4. 失禁の有無

TP

  1. 医師の指示に従い薬物っを投与する
  2. 尿閉時には必要に応じて導尿を実施する
  3. トイレに近い病室や、ポータブルトイレを準備してトイレまでの移動距離を短くする

EP

  1. 薬物療法や導尿の必要性について説明する
  2. 尿意があれば我慢せず排泄するように説明する

 

#5 薬の副作用、運動不足により便秘を起こすことがある

看護診断

便秘

診断指標

固い有形便、排便に時間がかかる、排便困難感、排便が週2回以下、直腸の充満感

長期目標

排便の量、性状、排便周期が改善する

短期目標

2~3日に1回の排便がみられる

OP

  1. 排便の有無
  2. 便の性状、量
  3. 腹部膨満感
  4. 水分出納量、食事摂取量

TP

  1. 毎日、定時に排便を試みる
  2. 1日に摂取する水分量を定めて、適切に水分摂取する
  3. 起床時などに冷水を摂取して胃腸をへの刺激を試みる
  4. 腹部マッサージや温罨法を行う
  5. 医師指示に従い、緩下剤の使用、坐薬、浣腸、摘便の実施を検討する

EP

  1. 便秘の予防方法を指導する
  2. 便秘の予防やケアの必要性を説明する

 

#6 構音障害により言語的コミュニケーション障害がある

看護診断

言語的コミュニケーション障害

診断指標

発語、発声の困難

長期目標

会話によるコミュニケーションがとれる

短期目標

明瞭な発語がみられる

OP

  1. 声の大きさ、発語の明瞭さの程度、表情
  2. 振戦、筋固縮、無動の程度

TP

  1. 言語聴覚士の計画に合わせて言語療法等のリハビリテーションを行う
  2. 鏡の前でのリハビリテーションや、発声練習、舌の運動、唇・顎の運動、表情筋の訓練、家族・同室者・医療者との会話などを積極的に行う

EP

リハビリテーションの必要性・方法について説明する

 

#7 誤嚥による気道感染を起こす危険性がある

看護診断

感染リスク状態:気道感染

診断指標

誤嚥

長期目標

感染を起こさない

短期目標

感染のリスク因子、感染予防方法について述べることが出来る

OP

  1. 誤嚥の有無
  2. 喘鳴、むせ込みの有無
  3. 感染徴候の有無・程度
  4. 検査データ(WBC、CRP、BSR)

TP

  1. 食前に嚥下体操などの準備運動を行う
  2. 食事時に見守りを行い、必要時は介助を行う
  3. 飲み込みやすい形態の食事を活用したり、食事を細かくする、とろみをつける等の工夫をする
  4. 食事時の姿勢の変化に注意する
  5. 食事を焦らずゆっくり行えるように環境整備する
  6. 食事摂取不良を認める場合は、医師と相談して栄養補助食品の導入などを検討する
  7. 食後にすぐ横にならず、30~60分は頭部を挙上して過ごす
  8. 食後、就寝前に口腔ケアを行う
  9. 経口摂取禁止や困難がある場合は口腔ケアを積極的に実施する

EP

  1. 誤嚥の危険性と予防法を説明する
  2. 自分のペースでゆっくり食事をとるように説明する

 

#8 運動障害のために身体が徐々に動かなくなる

看護診断

身体可動性障害

診断指標

四肢の関節可動域低下、歩行障害、巧緻動作の低下

長期目標

目的に応じた動作能力が維持できる

短期目標

関節可動域が維持される

OP

  1. 関節可動域の程度
  2. MMT(徒手筋力テスト)の程度
  3. パーキンソン病治療薬の効果の程度
  4. 振戦、固縮、無動の程度

TP

  1. 理学療法士、作業療法士の計画に合わせたリハビリテーションを行う
  2. リハビリ室での訓練を促す

EP

  1. リハビリテーションの必要性、方法を説明する

 

#9 運動障害により褥瘡をつくる危険性がある

看護診断

皮膚統合性障害のリスク状態

診断指標

運動障害、感覚障害

長期目標

褥瘡が発生しない

短期目標

持続する発赤・紅斑がみられない

OP

  1. 褥瘡好発部位の発赤・紅斑の有無
  2. 表皮剥離、皮膚表面の破綻の有無
  3. 発汗、皮膚の汚染の有無
  4. 寝衣やシーツのしわの有無
  5. 血液データ(ヘモグロビン、血清総蛋白、血清アルブミン値)
  6. るい痩の有無

TP

  1. 自力での動作が困難な場合は、定期的に体位変換を行う
  2. 入浴ができない気管は全身清拭を行う
  3. 可能であればシャワー浴、入浴介助をできる限り行う
  4. 褥瘡が無い場合に限り、褥瘡好発部位のリラクゼーションを行う
  5. 十分な食事摂取がとれるように支援する

EP

  1. 褥瘡発生の危険性と予防方法について説明する

 

おわり!

いかがでしたでしょうか。

おわりに

パーキンソン病では、病歴やステージの程度によりますが、基本的に薬物療法が必須になってきます。

そのため、薬物の作用・副作用の有無を常に観察することが重要です!

副作用に伴う苦痛があれば、それを最小限に抑えていく看護が必要になってきます!

また、運動障害を認めることから、ADL・セルフケア能力を維持できるように介入していくことも大切です!

転倒予防策、セルフケアに対する支援リハビリテーションを適切に継続していきましょう!

また、『便秘が治ればパーキンソン病は治る』と誰かが言うほどに、パーキンソン病は便秘発症率がとても高いです。便秘が改善するように、十分な食事と水分の摂取、下剤等の薬物療法を効果的に使用することが安定した日常生活を送る上で大事です!

誤嚥性肺炎、尿路感染などの感染リスクも高くなりやすいため、口腔ケアや身体の保清を徹底していきましょう!

全身の運動が減少することで、会話等のコミュニケーションも乏しくなりがちなため、快適かつ充実した療養生活が維持できるように、疾患に関わらない何気ない談話をすることも、QOLを維持する上では絶対に忘れてはいけないポイントです!難病は基本的には長期間、もしくは一生を共にすることになるんです。身体的な部分のケアだけでなく、精神的な支援も必ず実施していきましょう!

 

以上!ご意見お待ちしております。

参考文献

病期・病態・重症度からみた疾患別看護過程+病態関連図 1157‐1176P:編集 井上智子/佐藤千史:医学書院

 

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発熱時の看護計画の例【看護問題・看護診断の例、OP・TP・EPも!】

こんにちは、栗鈴です。

今回の記事は、『発熱の看護計画の例【看護問題・看護診断の例、OP・TP・EPも!】』になります。宜しくお願い致します。

 

はじめに

 発熱といえば、だれもが経験したことのある、よくある症状の一つですね。37℃くらいの熱なら、それ程大したことはありませんが…

 38℃に近づいてくると、一気に全身が重怠くなったり、体の節々が痛くなったり、ブルブルっと悪寒がするようになりますよね。

 このブルっと悪寒がしたと思ったらすごい熱になっているというのは、シバリングと呼ばれる生理現象によるものです。

 体温調節中枢になっている脳の視床下部から、発熱のシグナルを受け取った運動神経が骨格筋の収縮とふるえを起こし、熱の産生を促している。そうすると、体温が上昇するという仕組みなんですね。

 体温が上昇すると、体内に侵入した細菌やウィルスが弱まって、病原体の増殖が抑制されます。さらに免疫系も活性化されます。

 発熱というのは病原体から体を守るための正常な反応というわけですね。とても大事な体の仕組みなんです。

 ただ、あまりにも体温が高くなって、栄養や水分、体力が失われてしまうとせっかくの身体の防衛システムも本末転倒になりかねませんね。

 症状をコントロールしながら身体を回復させていくのが重要です。

 そこはしっかり看護師の知識と技術がお役に立てるように、よーく勉強しておきましょう!

それではやっていきます!

 

発熱って、ありふれているけれど、普通にかなりしんどいですよね…

発熱の病態生理

  • 発熱とは体温が上昇した状態をいい、臨床的には37.5℃以上とすることが多い。
  • 感染症、自己免疫性疾患、悪性腫瘍、アレルギーなどに伴う炎症によって、体内でインターロイキン1インターロイキン6などの炎症性サイトカインが産生される。こっれらは脳内の血管内皮細胞に作用し、プロスタグランジンE₂の産生を促す。
  • プロスタグランジンE₂は、視床下部にある体温調節中枢に働き、体温上昇に関わるシグナル(発熱シグナル)を活性化させる。
  • 発熱シグナルは、主に交感神経運動神経を通して末梢組織に送られ、熱産生および体表面からの熱放散抑制によって体温が上昇する。

発熱の症状と随伴症状

  • 主な自覚症状は熱感と寒気である。
  • 全身症状として、体重減少、倦怠感、易疲労感、ショックなどのバイタルサイン以上、意識障害を伴うことがある。
  • 局所症状として、頭痛、耳痛、咽頭痛、鼻汁、咳、痰、胸痛、腹痛、腰痛、関節痛、下痢、皮疹などの病変部位の炎症症状を伴う。

発熱の原因、考えられる疾患

感染症

病変部位による感染
  1. 中枢神経感染症(脳炎、髄膜炎)
  2. 頭部感染症(副鼻腔炎、中耳炎)
  3. 気道感染症(上気道炎、気管支炎、肺炎)
  4. 消化器感染症(感染性胃腸炎、虫垂炎、大腸経室炎)
  5. 胆道系感染症(胆嚢炎、胆管炎)
  6. 尿路感染症(腎盂腎炎、膀胱炎、尿道炎)
  7. その他(敗血症、感染性心内膜炎など)
病原体による分類
  1. 細菌感染症(肺炎球菌、グラム陰性桿菌など)
  2. ウイルス感染症(インフルエンザ、コロナ、麻疹、風疹、水痘など)
  3. その他(真菌感染症、原虫感染症、寄生虫感染症など)

非感染症

自己免疫性疾患
  1. 全身性エリトマトーデス(SLE)
  2. 血管炎
  3. リウマチ熱、リウマチ性多発筋痛症 など
薬剤性(薬剤性アレルギー)
  1. 抗菌薬
  2. 抗けいれん薬
  3. 抗不整脈薬
  4. 麻酔薬

上記が原因となることが多いが、すべての薬剤が原因になり得る。

悪性腫瘍
  1. リンパ腫
  2. 白血病 など

発熱の治療法・対症療法

  • 治療の原則は、原因疾患の治療である。
  • 治療が開始されている発熱、または発熱自体が病態を悪化させている場合は解熱を目的とした治療を行うことがある。
  • 解熱薬としては非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を通常用いるが、血圧低下、ショックを伴うときにはステロイド(副腎皮質ホルモン製剤)を用いることもある。
  • 体温が41℃以上の場合は輸液などで直接解熱を行うことがある。
発熱時の処方例
  • カロナール錠(アセトアミノフェン):解熱薬(抗炎症作用は弱くNSAIDsに分類されていない)
  • ロキソニン錠(ロキソプロフェン):NSAIDs
  • ブルフェン錠(イブプロフェン):NSAIDs
  • ボルタレン(ジクロフェナク):NSAIDs
  • ハイドロコートン注(ヒドロコルチゾン):ステロイド
  • ソル・コーテフ注(ヒドロコルチゾン):ステロイド

発熱の看護問題の例

#1 発熱がある

#2 発汗・不感蒸泄増加、水分摂取困難により、体液が不足する

#3 発熱、炎症に関連して呼吸困難の可能性がある

#4 発熱により口腔粘膜が障害される

#5 口腔内乾燥により栄養摂取が困難である

#6 抵抗力、免疫力が低下している

#7 発熱による関節痛・筋肉痛があり、安楽が障害される可能性がある

#8 患者・家族が発熱に対する不安を抱えている

 

#1 発熱がある

看護診断

高体温

診断指標

紅潮した皮膚、頻脈、頻呼吸

長期目標

解熱し、平熱まで体温が低下する

短期目標

解熱し、脈拍、呼吸数が安定する

OP

  1. 緊急性のある症状(悪寒、戦慄、頻脈、意識障害、低血圧、乏尿)の有無
  2. 発熱の経過、程度、出現時間、間隔、熱型
  3. 倦怠感の有無・程度
  4. 呼吸状態・回数
  5. 発汗・尿量・尿の性状
  6. 口腔内乾燥の有無・皮膚の乾燥の有無と程度
  7. 頭痛、悪心の有無と程度、食欲、食事摂取量
  8. 睡眠状態

TP

  1. 必要に応じて冷罨法を実施する
  2. 水分摂取を促す
  3. 悪寒戦慄時は、電気毛布などで掛け物の調整や温罨法を行う
  4. 口腔内乾燥時は含嗽や口腔内清拭を行い保清する
  5. 発汗時は清拭もしくは乾いたタオルで汗を拭きとる
  6. 発汗時はできるだけ早く乾いた寝衣に交換する
  7. 室内を適切な温度に調整する
  8. 各ルート挿入部がある場合は刺入部の清潔を保持する
  9. 発熱の持続、発汗等による脱水症状を認める場合は、医師の指示等に従って補液のための静脈ルートの確保を行う

EP

  1. 衣服や寝具が発汗で濡れてしまった場合、すぐ交換する必要性があることを説明する

#2 発汗・不感蒸泄増加、水分摂取困難により、体液が不足する

看護診断

体液量不足

診断指標

血圧の低下、体温の上昇、尿量の減少、口喝、皮膚の乾燥

長期目標

適切な水分摂取が出来る

短期目標

尿量が維持されている

電解質の血液データが基準値内にある

OP

  1. 尿量、尿の色、尿比重
  2. 血液データ(血中尿素窒素、血性クレアチニン値、総蛋白、ヘマトクリット値、電解質:Na、K、CL、P、Ca)
  3. 水分出納、体重
  4. 脱力感、悪心・嘔吐、めまいの有無

TP

  1. 医師に指示された輸液、薬物を投与する
  2. 薬剤投与後の副作用の出現に注意する
  3. 適宜、乾燥部位などに対しスキンケアを行う

EP

  1. 輸液の必要性について説明する
  2. 経口摂取の許可があれば水分摂取を促す

#3 発熱、炎症に関連して呼吸困難の可能性がある

看護診断

非効果的気道浄化

診断指標

咳嗽の消失、呼吸副雑音、呼吸数の変化、大量の喀痰

長期目標

気道分泌物がなくなり呼吸が穏やかになる

短期目標

副雑音が消失する

喀痰が減少する

OP

  1. 喀痰の性状、量
  2. 副雑音の有無、発熱、発汗
  3. 呼吸数、呼吸のリズム、チアノーゼの有無
  4. 胸部X線所見、動脈血液ガス分析

TP

  1. 体位ドレナージ、深呼吸、口すぼめ呼吸を促す
  2. 咳嗽後、食後などのタイミングで休息時間を設ける

EP

  1. 喀痰がある時は飲み込まずに吐き出すことを説明する
  2. 呼吸困難時の安楽体位を説明する
  3. 必要に応じて、気道内分泌物を吸引する

#4 発熱により口腔粘膜が障害される

看護診断

口腔粘膜障害

診断指標

摂食困難、口腔内乾燥

長期目標

口腔粘膜の炎症や乾燥が消失し、二次的な合併症を起こさない

短期目標

口腔内の乾燥や炎症が軽減される

OP

  1. 口腔、舌の乾燥
  2. 口腔粘膜の炎症、充血、舌苔、潰瘍
  3. 疼痛の有無、程度
  4. 唾液の量
  5. 口唇の乾燥、口臭の有無

TP

  1. 口腔ケア、口腔内の清潔を保つ
  2. 口腔内の湿潤を保つ
  3. 口唇の保湿を行う

EP

  1. 口腔ケアの必要性、方法、観察方法について説明する
  2. 飲水・含嗽を促す
  3. 水分摂取の必要性を説明する

#5 口腔内乾燥により栄養摂取が困難である

看護診断

栄養摂取消費バランス異常:必要量以下

診断指標

1日推奨食物摂取量よりも少ない食物摂取

長期目標

1日の栄養必要量が摂取でき、栄養状態が改善する

短期目標

血清総蛋白、アルブミン値が基準値以内になる

OP

  1. 食事による口腔内の痛みの有無
  2. 痛みを感じる食べ物や濃さの程度
  3. 食事摂取量
  4. 口腔内乾燥、口内炎の有無・程度
  5. 活気、表情、機嫌
  6. 血液データ(血清総蛋白、アルブミン)

TP

  1. 口腔内への刺激が少なく軟らかい食べ物を選択する
  2. 口腔内を刺激しないよう食べ物の温度を考慮する
  3. 食物を小さく食べやすい大きさにする
  4. 好みを踏まえて食べやすい食物を選択する
  5. 疼痛なく摂取できている場合は徐々に量や種類を増やしていく

EP

食べやすい食事内容について本人・家族に指導する

#6 抵抗力、免疫力が低下している

看護診断

非効果的抵抗力

診断指標

咳嗽、悪寒戦慄、発汗、倦怠感、呼吸困難

長期目標

感染のリスク因子に対して予防行動をとることができる

短期目標

発熱・悪寒戦慄がない

OP

  1. 検査データ(白血球、好中球、血小板、血液凝固データ、CRP)
  2. 細菌が侵入しやすい静脈・動脈ライン、ドレーン等の有無
  3. 活気、精神症状の有無・程度

TP

  1. 感染徴候を早期に発見する
  2. 創部処置時は感染源とならないように努める
  3. 食事を適切に摂り栄養が確保できるように支援する

EP

  1. 感染予防の手洗いやうがい、清潔な衣類の着用の必要性を指導する
  2. 感染の徴候について説明する

#7 発熱による関節痛・筋肉痛があり、安楽が障害される可能性がある

看護診断

安楽障害

診断指標

苦痛、安楽が妨げられているという訴え

長期目標

発熱・疼痛が軽減し、日常生活上の苦痛の訴えが減少する

短期目標

発熱・疼痛への対処行動がとれる

OP

  1. 疼痛、倦怠感、脱力感の有無・程度
  2. 睡眠状況(睡眠時間、熟眠感、入眠困難・中途覚醒の有無)
  3. 行動範囲の減少、活動の拒否の有無

TP

  1. 体熱感がある時は氷枕等で冷罨法を適宜実施する
  2. 発熱に伴う悪寒戦慄がみられる場合は電気毛布などで温罨法を行う
  3. 医師指示に従い、解熱鎮痛薬を使用する
  4. 必要時は体位変換を行い、安楽な体位を確保する
  5. リラックスできるように光や音に配慮して環境整備を行う

EP

  1. 発熱時の症状を説明し、症状出現時は早期対処が必要と伝える
  2. 安楽な体位について説明し、体位交換器・クッション等の使用を勧める

#8 患者・家族が発熱に対する不安を抱えている

看護診断

不安

診断指標

緊張した表情、落ち着きがない、心配、不眠や倦怠感

長期目標

発熱が軽減し不安の訴えがなくなる

短期目標

不安や疑問を言葉や表情で表出できる

OP

  1. 表情、言動、怒り、無視、落ち着きがない様子、うつろな目など
  2. 家族との会話の様子、家族の表情
  3. 不安、心配の訴え
  4. 状態や治療に対する質問の有無
  5. 医師からの説明内容
  6. 疾患や症状に対するとらえ方、それに対する怒り、不安感の有無
  7. 家族の協力体制

TP

  1. 不安が表出できるように患者・家族の側にいる時間をできる限り設ける
  2. 不安を表出することは精神的安定につながることを伝える
  3. 患者の不安を促進している要因を除去する
  4. 治療や処置前の説明を十分に行い、質問や心配な点は丁寧に答える
  5. 適宜、タッチング等の非言語的コミュニケーションを行う

EP

  1. 家族が患者にできるケアや支援があれば、方法を説明する
  2. わからないこと、心配なことは遠慮せず質問するように伝える

以上になります!

おわりに

発熱の原因は多種多様のため、原因を早期発見し、早期治療が行われることが重要です!また、発熱時のケアは、発熱および随伴症状を抑えながら、安静・休息を保つことが基本になります。そして、全身状態の観察、食事の十分な摂取、感染予防の徹底、輸液の確実投与、内服の作用・副作用の確認、定期的な保清、血圧低下(ショック)時の準備など、必要な看護ケアを丁寧に実施していくことも大切です。敗血症など、生命に直結するパターンもあるため、病態を十分に把握して介入することを常に心がけていきましょう!

参考文献

病期・病態・重症度からみた疾患別看護過程+病態関連図 2‐20P:編集 井上智子/佐藤千史:医学書院

 

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胸水貯留時の看護計画の例【看護診断、OP・TP・EPも!】

こんにちは、栗鈴です。

今回の記事は、『胸水貯留時の看護計画の例』です!

よろしくお願いします。

 

はじめに

呼吸器の症状には、呼吸困難、咳、痰など、よくみられる症状が多くありますね。

ですが、『胸水』については実際に看護をしたことはあるけれど、実はあんまりピンときていない、という看護師の方も、もしかしたらいるのではないでしょうか?

 

『胸水』は、肺の周囲に生じる症状なのですが、胸水を生じる原因というのは様々で、肺ではなく心臓が原因であったり、肝臓が原因であったり、がんが原因であったりして、一概に呼吸器症状であると言い切れない部分があります。

 

また、患者様にとっては、咳や息切れなどに比べると、よくある症状ではないため、イメージがしにくい部分があると思います。いきなり胸水という言葉を聞くと、『胸に水?得体の知れない症状だ…こわい…』等と感じてしまうかもしれません。ストレスや不安感が強まりやすい症状のため、病状を適切に理解した上で治療やケアが受けられるように、きちんとした説明や精神的ケアが必要です。

 

胸水の状態によっては、治療するために胸に針を刺して水を抜く(胸水穿刺)といった処置も必要になることがあります。少しでも検査や治療に伴う苦痛が軽減できるように、看護師はきちんと支援していくことが大事です!

 

それでは、やっていきましょう!

肺には膜があって、膜と膜の間に水がたまります。

胸水の病態生理

  • 肺の表面は肺胸膜(臓側胸膜)に覆われている。
  • また、胸壁の内面は壁側胸膜に覆われている。
  • 肺胸膜と壁側胸膜は袋状になっていて、その内部を胸腔(胸膜腔)という。
  • 胸膜腔にはわずかな体液(胸膜液)が存在し、潤滑液になっている。
  • 胸膜液は毛細血管の静水圧(せいすいあつ)膠質浸透圧(こうしつしんとうあつ)のバランスによって量が調節されているが、バランスが何らかの理由で崩れた時、胸膜液が異常に増加して胸腔内に胸水として貯留する。

胸水による症状

  • 胸水貯留が少量であれば、無症状ということもある。
  • 胸水貯留による呼吸の仕事量増加や、胸膜の炎症で、呼吸困難胸痛咳嗽が生じるが、原因の疾患によって症状が異なる。
呼吸困難

胸水による換気量の低下と、換気仕事量の増加によって生じる。呼吸困難の程度は胸水の量や原因疾患の状態により影響される。

胸痛

炎症などによって壁側胸膜に分布する肋間神経終末が刺激されることによって起こる。鈍痛から刺し込むような鋭い痛みなど様々で、咳嗽、くしゃみ、深呼吸等によって症状は増強する。

咳嗽

胸水による肺の圧迫や、肺胸膜の炎症などによって、壁側胸膜からの迷走神経刺激によって起こると考えられている。多くは痰を伴わない乾性咳嗽であるが、肺炎や肺結核などの細菌感染症では膿性の痰を伴う。また、肺がん、肺結核などでは血痰を生じることがある。

胸水の随伴症状

胸壁の運動低下、肺の換気量低下、横隔膜周囲の圧迫感、チアノーゼ、口腔内乾燥、浅呼吸、頻呼吸、不整脈、動悸、浮腫、倦怠感、低栄養、発熱などを随伴することがある。

胸水の診断

  • 胸水貯留の有無は、胸部X線写真、超音波検査、胸部CT検査で確認できる。
  • 立位背腹撮影では、患側の肋骨横隔膜角の鈍化、患側部位のX線透過性低下がみられ、大量胸水の場合は胸腔が全体的に真っ白になる。
  • 患側を下にした側臥位撮影では、50ml程度の胸水も検出が可能。立位背腹撮影では、200ml以上の胸水が貯留していないと検出できないことがある。
  • 仰臥位背腹撮影では、肺尖部キャップ徴候という、貯留した胸水が肺尖部にかぶさるような像になる。背中側に胸水が貯留し、全体的に患側肺野のX線透過性が低下する。
  • 原因疾患を調べる際は、胸水貯留部位を穿刺して胸水をスピッツに採取する。肉眼的な性状を観察したのち、生化学検査、細菌学的検査、細胞診検査を行う。
  • 胸水は性状によって漏出液滲出液に分けられる。
  • 胸水に伴う随伴症状や基礎疾患、両側性か片側性か、胸水の性状(透明、混濁、血性)かによって原因疾患を鑑別していく。

胸水貯留時の随伴症状と、考えられる疾患

  • むくみ⇒心不全、ネフローゼ症候群、低蛋白血症(両側性が多い)、肝硬変(右側が多い)
  • 発熱+胸痛⇒肺炎、膿胸、結核性胸膜炎(片側が多い)
  • 突然の胸痛、頻呼吸⇒肺血栓塞栓症、外傷(片側が多い)
  • 胸痛⇒悪性胸膜中皮腫(アスベスト等が原因で片側が多い)
  • 腹痛、背部痛⇒急性膵炎(左側が多い)

胸水の治療・対症療法

  • まず原疾患に対する治療を行う。
  • 合併症のない肺炎、肺血栓塞栓症、手術等が原因の場合、胸水は自然に再吸収されるので、無症状であれば胸水に対する治療の必要はない。
  • 胸水が大量に貯留し呼吸困難を有する場合は穿刺排液する。ただし、一度に大量の胸水を除去すると、肺が急激に再膨張することにより肺水腫を引き起こす場合がある(再膨張性肺水腫)ため、1.5L以上除去することは避け、日を分けて除去する。 

    www.jaam.jp

  • 癌性胸膜炎で胸水貯留を繰り返す場合は、カテーテルを留置して持続して排液し、完全に排液させたのち、肺胸膜と壁側胸膜を癒着させて間隙をなくす処置を行う(胸膜癒着術)

    pulmonary.exblog.jp

  • その他の対症療法としては疼痛に対する鎮痛薬の投与や、呼吸困難に対する酸素療法を行う。

胸水の看護問題の例

#1 胸水貯留により呼吸機能が低下している

#2 胸水貯留や原疾患により運動耐用能が低下している

#3 胸腔穿刺に伴う苦痛やストレスがある

#4 患者・家族が疾患、検査、治療に対する不安を抱えている

 

 

#1 胸水貯留により呼吸機能が低下している

  • 看護診断:ガス交換障害
  • 関連因子:換気量の低下、換気仕事量の増加、胸痛、咳嗽
  • 長期目標:呼吸機能が改善する
  • 短期目標:胸水貯留が減少する、呼吸が安楽である、血液ガス分析で悪化の徴候がない

OP

  1. バイタルサイン、SpO2、血液ガス分析
  2. 胸郭の大きさの左右差、肋間の傍流、胸壁呼吸運動の低下、声音振盪の減弱・消失、触診による濁音・無反響、患側呼吸音の減弱、呼吸音の左右差の有無
  3. 呼吸困難感、胸痛、咳嗽の有無
  4. 換気量低下、横隔膜圧迫、胸壁運動低下、チアノーゼ、口腔内乾燥、浅・頻呼吸、頻脈、不整脈、動悸、浮腫、倦怠感、低栄養、発熱の有無

TP

  1. 胸水貯留による症状が軽減できるように安楽な体位をとる
  2. 医師の指示に従って適切な酸素療法を実施する
  3. 安全・安楽に検査が実施できるように説明・精神的支援を行う
  4. 保清、口腔内の清潔を保持して感染予防に努める

EP

  1. 安静度の範囲と安静の必要性について説明する
  2. 酸素療法実施時はその必要性を説明する
  3. 症状や胸水貯留の原因に関する疑問点などを表現できるように声掛けする

#2 胸水貯留や原疾患により運動耐用能が低下している

  • 看護診断:活動耐性低下
  • 関連因子:心・肝・腎不全、癌性胸膜炎、結核性胸膜炎、悪性中皮腫
  • 長期目標:活動量が増加する
  • 短期目標:胸水や原疾患による症状が軽減する

OP

  1. 日常生活動作のセルフケ能力の程度
  2. 原疾患に関連する徴候・症状

TP

  1. 患者の病状に応じた日常生活の援助を行う
  2. 疼痛の程度に応じて鎮痛薬、湿布薬などで症状の軽減を図る
  3. 医師指示に従い、咳嗽が著しい場合は鎮咳薬で症状を軽減する
  4. 急変時等の状態変化に備え、一次救命の用意を近い場所で準備しておく

EP

  1. 呼吸困難、胸痛、咳嗽の生じやすい理由を、わかりやすい表現で説明する
  2. 咳嗽時の胸痛を軽減する方法(枕やクッションを抱える、手掌で胸をおさえる等)を説明する

#3 胸腔穿刺に伴う苦痛やストレスがある

  • 看護診断:安楽障害
  • 関連因子:胸腔ドレーンの持続挿入、体動制限
  • 長期目標:胸腔穿刺に伴う苦痛症状の訴えが軽減される
  • 短期目標:胸腔穿刺に伴う苦痛を言葉で表出できる

OP

  1. 倦怠感、苦痛表情、意欲低下、神経過敏の有無
  2. 穿刺後の出血の有無
  3. ドレナージ中の胸郭の大きさの左右差の有無
  4. 排液された胸水の性状・量
  5. 胸腔ドレーン水封室中の水面の呼吸性・拍動性の動き(動きがない場合は凝血などによる閉塞の疑いあり)
  6. ドレーン挿入部の状態(発赤、圧痛、皮下気腫の有無など)

TP

  1. 胸腔穿刺、胸腔ドレーン挿入における説明と同意が適切になされるように患者・家族を支援する
  2. 胸腔穿刺、排液時は、安楽な体位がとれるように援助を行う
  3. 胸腔ドレーン挿入中の生活援助(保清・移動など)を行う

EP

  1. 胸腔穿刺の手順などを簡潔に説明する
  2. 胸腔ドレーンの安全管理に対する説明を行う(チューブの屈曲・抜去防止など)
  3. 患者・家族の不安や疑問、生活上の不便さなどを把握して、適切な説明を行う
  4. ドレーン抜去時の、最大吸気位または最大呼気位での息止めについて説明や励ましを行う

pulmonary.exblog.jp

#4 患者・家族が疾患、検査、治療に対する不安を抱えている

  • 看護診断:不安
  • 関連因子:療養の長期化
  • 長期目標:不安の軽減を表出できる
  • 短期目標:不安を言葉に出して表出できる

OP

  1. 不安、緊張、怒り、悲しみの表情、落ち着きがない様子などの有無
  2. 不安、心配の訴えの有無
  3. 頻脈、頻呼吸、震えなどの有無
  4. 病状や検査、治療に対する質問の有無、内容など

TP

  1. 不安が表出できる受容的な態度で接する
  2. 患者の健康状態や検査・治療など、不安の表出を促す

EP

  1. 検査、治療実施時の説明を、患者・家族の理解状況に合わせてパンフレットなどを用いて説明する
  2. 心配なことや質問は遠慮なく看護師に伝えるように説明する

 

以上になります!

おわりに

 胸水を生じる原因は様々で、原疾患によって治療方針が異なってきます。患者様が病状を適切に理解できるように、丁寧な説明と丁寧なケアが最重要です!胸腔穿刺や胸腔ドレーン挿入が必要となる場合は、医師との連絡を密に行いながら、患者様が安心・安全に治療が受けられるように病状説明と治療管理を行いましょう!また、胸水貯留が消失しても、長期の薬物療法や酸素療法が必要となる場合があります。必要な日々の健康管理について患者さまが理解でき、不安が少しでも解消して日常生活が過ごせるように、暖かい支援をしていきましょう! 

おしまい。

参考文献

『緊急度・重症度からみた症状別看護過程』545P~560P 編集:井上智子/佐藤千史 医学書院   

 

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脱水の看護計画の例【看護診断、OP・TP・EPも!】

皆さんこんにちは、栗鈴です。
今回は『脱水の看護計画』です!宜しくお願い致します。

 

はじめに

人体の60%は水って、テレビでよく耳にしますね。

水≒生命の源

食事が摂れないことよりも、水分が摂れないことの方が、身体恒常性(ホメオスタシス)を維持することができず、命に関わります。

 

人間は代謝(発熱、発汗、排尿、排便)によって日常的に水分を失っています。失った分を口から補給しなければ、いずれは脱水になります。

 

また、外気温が高ければ高いほど、空気の「飽和水蒸気量」というのが上がります。すると、皮膚からの蒸散(=不感蒸泄=見えない汗とも呼ばれる)が多くなり、さらに体内の水分が失われやすくなります。

 

暑いと洗濯物がすぐ乾く」のと原理は一緒で、暑ければ当然に人間の身体は乾きやすくなります。したがって、四季の中でも気温が上がる夏は、春や秋と比べるとはるかに脱水が起こりやすいです。

 

最近の夏は、地球温暖化等の影響で、35℃以上の気温になることが当たり前のようになってしまいました。毎年のように脱水から熱中症を引き起こし、死亡してしまう事例が発生しています。

 

病院で看護をしていると、入院中に脱水を生じる患者さんは(お看取りのケースや、低アルブミン血症を生じる疾患等を除くと)滅多にいません。

 

24時間看護師が配置されていて、適切な室温調整、点滴療法や食事・飲水の介助等が施されるからです。

 

しかし、在宅では療養環境がそれぞれに全く違うため、状況は変わってきます。

 

脱水は、症状が出現してからでは、すでに重症となっている場合があるため、あらかじめ予防することが大切です。

 

ですので、夏はきちんと脱水予防を意識して過ごしていきましょう!

 

それでは宜しくお願いします。

 

 

脱水の病態生理

脱水とは体液量が減少した状態をいい、主に細胞外液の減少を指す。この際、水分とともに電解質(特にナトリウム:Na)の喪失も伴い、喪失程度の差に応じて3つの病型に分類される。

 

①高張性脱水症(水欠乏性脱水症)

Naに比べ水分が多く失われ、体液の浸透圧が上昇する脱水症

②低張性脱水症(Na欠乏性脱水症)

水分に比べNaが多く失われ、体液の浸透圧が低下する脱水症

③等張性脱水症(混合性脱水症)

水分とNaが同じ割合で失われる脱水症

 

  • 水分や電解質の喪失により細胞内液細胞外液の間に浸透圧差が生じ、細胞内外で浸透圧差が解消するように水の移動が起こる。これが要因となり脱水症の症状が発症する。

 

  • 臨床的には高張性・低張性に明確に分けることは困難で、等張性脱水症を呈する場合が多い。しかし、脱水症を治療する場合は、水とNa、どちらの喪失が優位かを考慮することが重要である。

 

  • 細胞外液間質液(細胞と細胞の間にある液体)+血漿(血液の血球以外の成分)からなる。

 

  • ネフローゼ症候群、肝硬変、悪性腫瘍(がん)等の疾患では、膠質(こうしつ)浸透圧の低下≒低アルブミン血症が顕著になり、間質液が貯留し、血漿は減少する。このような場合は全体の体液量が増加しているにも関わらず、血管内の循環血漿量は減少しており、一般的な脱水とは異なり、血管内脱水とよばれる。

 

脱水の症状

脱水の臨床症状は病型によって特徴がある。

  • 高張性脱水症:細胞外液の浸透圧が高くなり、水が細胞内から細胞外へ移動することにより、細胞内脱水が起こる。口喝、皮膚・粘膜の乾燥を生じやすい。脱水が高度になると興奮、不安、せん妄など精神症状を呈することがある。
  • 低張性脱水症:細胞外液の浸透圧が低くなるため、水が細胞外から細胞内へ移動し細胞外液が減少する。症状は、循環血液量減少、脳浮腫に由来するものが主体となっている。全身倦怠感、立ちくらみ、皮膚ツルゴール低下、血圧低下、頻脈、蒼白、四肢冷感、悪心・嘔吐、頭痛を生じやすい。進行すると、傾眠・昏睡となる。
  • 等張性脱水症:細胞内外で浸透圧は等張のため、水分の移動は起こらない。高張性脱水による口喝、低張性脱水によるめまい、血圧低下など、両方の症状が出現する。

高張性脱水の原因

水分摂取不足

  • 全身衰弱、食欲不振、意識障害、渇中枢障害、嚥下障害

腎外性水分喪失

  • 皮膚からの発汗・発熱
  • 肺からの過換気や気管切開

腎性水分喪失

  • 高血糖、高カロリー輸液、造影剤などによる浸透圧利尿
  • 尿崩症などによる尿濃縮力の低下

低張性脱水の原因

腎外性体液喪失

  • 嘔吐・下痢・消化管出血などによる消化管からの喪失
  • 熱傷・滲出性皮膚疾患などによる皮膚からの喪失

腎性体液喪失

  • 塩類喪失性腎症
  • 副腎皮質機能不全(アジソン病)
  • 利尿薬の過剰投与

血管外への体液移行

  • 腸閉塞・腹膜炎などによる、腹腔内や腸管への貯留
  • 熱傷による浮腫、水疱形成

脱水の治療・対症療法

第一にバイタルサインの確認を行い、ショックや意識障害などの異常があれば急速輸液を行うなどの緊急処置をとり、バイタルサインの安定化を図る。

  • 意識が正常かつ嚥下が可能で消化管障害がなければ経口からの補液を行う。
  • 経口摂取困難、中等度の脱水(体重の5%前後程度の減少が目安)がある場合は、経静脈的に輸液を行う。
  • 高度の脱水(体重の10%前後程度の減少が目安)があれば急速輸液を行う。

 

脱水の看護問題の例

  1. 大量の発汗により体液量が不足している
  2. 悪心・嘔吐による水分摂取量の不足から電解質異常を生じる可能性がある
  3. 皮膚・粘膜の乾燥、尿量減少により、呼吸器・尿路感染症の可能性がある
  4. 循環血液量の減少に伴う血圧低下等により転倒、身体損傷の可能性がある
  5. 患者・家族が症状悪化、再発に対する不安を生じている

脱水の看護計画の例

1.大量の発汗により体液量が不足している

看護診断:体液量不足

関連因子:実在する体液喪失(発熱による不感蒸泄の増加 等)

長期目標:水分摂取量・電解質異常が改善し、症状の軽減がみられる

短期目標:皮膚・口腔粘膜の乾燥が改善する 

OP

  • 水分摂取量
  • 発汗の有無
  • 口喝・口腔粘膜乾燥の程度
  • 眼球陥凹
  • 尿検査:尿量、尿比重、蛋白、糖、Na、Cl、Ca、浸透圧など
  • 血液検査:赤血球、ヘモグロビン、ヘマトクリット、血清総蛋白、アルブミン、Na、K、Cl、Ca、尿素窒素、クレアチニン、血糖、血液ガス分析など
  • 体重
  • 水分出納

TP

  • 水分、食事、輸液、尿量、便、発汗の有無・程度を定期的に記録する
  • 経口での水分補給を促す
  • 経口摂取できない場合は含嗽を促す
  • 医師の指示により輸液、薬剤を投与する
  • 室温・衣類・掛け物を調整し、体温を調節する
  • 皮膚・粘膜をマスクや外用薬などで保護する

EP

  • 状況に応じて、輸液の必要性について説明する
  • 経口からの水分・栄養摂取の必要性を説明する
  • 脱水症状の観察方法を説明する
  • 水分出納のチェック方法を説明する
  • 皮膚・粘膜の乾燥を防ぐ方法を説明する

 

2.悪心・嘔吐による水分摂取量の不足から電解質異常を生じる可能性がある

看護診断:電解質平衡異常リスク状態

関連因子:嘔吐

長期目標:悪心・嘔吐がなくなり、電解質が正常範囲内に維持される

短期目標:悪心が軽減し、嘔吐の回数、量が減少する

OP

  • 悪心の有無、程度
  • 嘔吐の回数、量、性状、食物残渣の有無、胆汁・血液混入の有無
  • 口腔・皮膚の乾燥の程度
  • 精神症状の有無、程度

TP

  • 安静を保持できるよう臥床、安楽体位姿勢での休息を促す
  • 嘔吐時は含嗽や口腔清拭を行う
  • 室温・湿度調整、換気により体温を調節する

EP

  • 状況に応じて、輸液の必要性について説明する
  • 経口からの水分・栄養摂取の必要性を説明する
  • 脱水症状の観察方法を説明する
  • 水分出納のチェック方法を説明する

 

3.皮膚・粘膜の乾燥、尿量減少により、呼吸器・尿路感染症の可能性がある

看護診断:感染リスク状態

関連因子:不適切な第1次防御機構、免疫抑制など

長期目標:感染の危険因子と感染予防に必要な注意事項を説明できる

短期目標:感染経路の清潔が保たれる

OP

  • 発熱、白血球数上昇、CRP値上昇の有無
  • 尿量、尿の性状、排尿回数、排尿時痛、残尿感
  • 自覚症状の有無と変化
  • 感染症の既往の有無と症状に対する態度

TP

  • 状況に応じて皮膚処置を行う
  • 皮膚・粘膜を保護する
  • 褥瘡を予防する
  • 水分と十分なエネルギー、たんぱく質摂取を促す

EP

  • 感染の可能性と予防の必要性を説明する
  • 皮膚・粘膜の乾燥を防ぐ方法を説明する
  • 感染徴候の観察方法を説明する
  • 経口からの水分・栄養摂取の必要性を説明する

 

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4.循環血液量の減少に伴う血圧低下等により転倒、身体損傷の可能性がある

看護診断:身体損傷リスク状態

関連因子:立ちくらみ、めまい、血圧低下、倦怠感

長期目標:転倒・転落や身体損傷なく療養生活を過ごすことができる

短期目標:安全対策がとられた状況で療養することが出来る

OP

  • バイタルサイン
  • 尿・血液データ
  • 自覚症状の有無と変化
  • ベッド周囲の環境

TP

  • 柵、ベッド周囲物品などの環境整備を行う
  • 意識状態、バイタルサインに応じて移動時の介助を行う

EP

  • 安静の必要性を説明する
  • 身体の変化が出現した場合は、すぐに伝えるよう説明する

 

5.患者・家族が症状悪化、再発に対する不安を生じている

看護診断:不安

関連因子:表情の緊張、注意障害

長期目標:身体・心理的不安が軽減し、生活環境を整えることが出来る

短期目標:不安や苦痛を言語化して表出できる

OP

  • 表情、落ち着きがない様子
  • 冷汗、蒼白などの不安を示す生理的変化の有無
  • 不安・心配の訴え
  • 状態や治療に対する質問の有無・内容
  • 夜間の睡眠状態
  • 食欲と食事摂取量

TP

  • 感情を表出しやすい環境づくりをする
  • 患者・家族の訴えに丁寧に対応する
  • 不安を助長させないように、相手の表情をみながらゆっくりと患者のペースに合わせて声掛けする
  • 必要時には不安や緊張を取り除く音楽、リラクゼーション法やマッサージなどを取り入れる

EP

  • 分からないことや心配なことがあれば質問するように伝える

 

以上になります!

おわりに

脱水は高齢者に起こりやすいです!

高度の脱水は死に至る危険性もあります!

そのため、迅速な対応が必要です!

まずはバイタルサインをすぐチェック!

意識は、はっきりとしていますか?

血圧は普段より下がっていませんか?

意識障害・ショック(血圧低下)がある場合は、超・緊急です!

すぐに人(在宅なら、家族、隣人、ケアマネージャー、訪問看護師、ホームドクター、救急隊など)を呼びましょう!

急速補液などの対応が行えるように体制を整えましょう!

 

また、私の体感ですが

脱水を起こしたことのある患者さまは、気温が上がる5~7月頃から、毎年のように脱水を繰り返す、という方が多いように思います。

 

脱水の再発予防に向けて、脱水が起こらないような環境づくりをあらかじめ準備しておきましょう!

 

看護・介護計画を立てて、

水分・食事を1日どのくらいとればいいのか、

体重はどのくらいだと安全か、

尿の回数や量はどの程度なら問題ないか等、

あらかじめ話し合っておきましょう!

異常の予防・早期発見に向けたセルフチェックが脱水予防ではとても重要です!

徹底して行えるようにしていきましょう!

 

おしまい。

 

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参考文献

緊急度・重症度からみた症状別看護過程 104‐117P:編集 井上智子/佐藤千史:医学書院

 

COPD(慢性閉塞性肺疾患)の看護計画(OP・TP・EP)【これでばっちり】

こんちには、栗鈴です。
今回は、COPD(慢性閉塞性肺疾患)の看護計画です。宜しくお願い致します。

はじめに

 医療用語ってアルファベットの略語が多いですよね!

SpO2とか、ADLとか、AEDとか…

だんだん使い慣れてくるのですが、英語が苦手だと、なかなかスッと入ってこない。

きちんと理解できてないまま、わかってるふりして言葉を使っちゃうことが、看護師歴10年超えても、割とあります…。

デクビとか、ケモとかも…妙な略語も使われがちだし…

女性が多い仕事だから、ですかね??(と言ったら怒られそう…)

COPDというのも、覚えたてのうちは、ピンとこなかった看護学生さんは、多いんじゃないでしょうか?

COPDも、慢性閉塞性肺疾患も、どっちも言いづらい!!

 

COPDの正式名称は、Chronic Obstructive Pulmonary Disease です。

Chronic(クロニック:慢性的な)

Obstructive(オブストラクティブ:閉塞性の)

Pulmonary(パルモナリー:肺)

Disease(ディジーズ:疾患)

ということで、COPDの和名は、慢性閉塞性肺疾患です。

和名でも、なかなかピンときませんね。何が閉塞してんの?って感じで…

医療用語で使われる閉塞というのは、血液や物質や空気等の出入りが悪くなることをいいます。

つまり、COPD(慢性閉塞性肺疾患)というのは、肺・気道の中の空気の出入りが悪くなる(気流制限)病気ですよ、という事です!

ここまできたら、なるほど~という感じですよね!

 

というわけで、やっていきましょう!

COPDの病態生理

COPDは、たばこの煙などの吸入によって生じた肺・気道の炎症反応による進行性の気流制限を呈する疾患である。

  • 気流制限の主要因は、末梢気道病変である。
  • 肺胞の破壊が進行して気腫(肺胞の弾力が失われて酸素が取り込みにくい状態)が多くなる型(気腫優位型)と、気道の状態悪化が進行する型(気道病変優位型)になるものとがある。
  • リスク因子の回避と適切な管理で有効な予防と治療が可能である。

COPDの病因・増悪因子

  • COPDのリスク因子には、喫煙や大気汚染などの外因性危険因子と、患者側の内因性危険因子がある。
  • 喫煙が最大の外因性危険因子だが、発症するのは喫煙者の15%程度で、喫煙に対する感受性が高い人が発症しやすいと考えられている。
  • 内因性危険因子は、α1-アンチトリプシン欠乏症(指定難病231)などの先天性疾患があるが、日本では稀である。

COPDの疫学・予後

  • 喫煙歴のないCOPDは稀である。喫煙者の約15%がCOPDを発症する。
  • 在宅酸素療法(HOT)を導入した患者の5年生存率は40~50%とされる。
  • 薬物療法、呼吸リハビリテーション、栄養療法などを組み合わせることで、全体の5年生存率は70~80%に改善している。

COPDの症状

労作性呼吸困難と、慢性的な咳・痰が主症状である。

  • 気腫優位型では、労作性呼吸困難が主体であり、喫煙を継続すると進行していく。進行例では樽状胸(肺が膨張して球状の形になる)やばち指(爪周囲を中心に指先が厚くなる)がみられる。
  • 気道病変優位型では、慢性的な咳、痰が主症状であり、進行すると呼吸困難を生じるが、症状の乏しい症例も存在する。

COPDの診断

症状、画像所見(胸部X線撮影、CT)、喫煙歴などから疑い、肺機能検査(スパイロメトリー)で確定する。

  • ガイドラインによる診断基準では気管支拡張薬を吸入後の肺機能検査で、1秒率( 深く息を吸い、一気に吐き出した空気の量に対して、最初の1秒間で吐き出した量の割合) が70%未満で、他の気流制限を生じる可能性がある疾患(気管支喘息、肺がんなど)を除外できたものをCOPDと定義している。

COPDの合併症

肺がん、虚血性心疾患、消化性潰瘍、肺高血圧症、肺性心などの合併率が高い。

COPDの治療法

基本的に根本的治療法はなく、対症療法が主体となる。

  • COPDの大部分が喫煙によって生じることから、禁煙指導を徹底し、病状の進展を阻止することが必須である。その上で薬物療法、呼吸リハビリテーション、酸素療法を組み合わせる。外科療法が適応になる症例もある。
  • 感染による増悪が病状を進行させるため、インフルエンザワクチン等の予防接種が推奨される。
  • 気道閉塞に対する気管支拡張薬(β₂刺激薬、抗コリン薬)、テオフィリン製剤や、痰の多い患者に対する去痰薬、抗炎症作用としてのステロイド薬、感染合併例への抗生物質などの使用が一般的である。

COPDの薬物療法

  • 禁煙補助剤(ニコチネルパッチ 等)
  • 去痰薬(ムコダイン、カルボシステイン 等)
  • 気管支拡張薬(テオドール、セレベント:吸入薬、サルタノールインヘラー:吸入薬、ホクナリンテープ:貼付薬 等)
  • 抗コリン薬:気管支収縮を抑制する(スピリーバ:吸入薬 等)
  • ステロイド薬(キュバール:吸入薬 等)

COPDの酸素療法

COPDによる慢性呼吸不全のうち、動脈血酸素分圧(PaO2)が55mmHg以下、またはPaO2が60mmHg以下で睡眠時・運動時に著しい低酸素血症を示す者、肺高血圧を合併しているものが適応となる。

 

COPDの看護計画

COPDの看護問題

  1. 効果的な咳嗽が行えない
  2. 呼吸困難や窒息に対する恐怖から不安を抱いている
  3. ADLに必要な酸素供給が低下している
  4. 不適切な栄養摂取量のために体重減少をきたしている
  5. 症状、治療、感染予防、急性増悪の徴候についての知識が不足している
  6. 在宅酸素療法について不安がある
  7. 家族が療養生活を支援する過程で、身体的・精神的・社会的・経済的な負担を生じる可能性がある

#1効果的な咳嗽が行えない

看護診断:非効果的気道浄化

関連因子:粘液分泌の亢進

長期目標:気道の浄化が維持できる

短期目標:効果的な咳嗽が行える

OP
  • 異常呼吸音の有無
  • 呼吸数、リズム、深さ
  • 呼吸困難の有無
  • 喀痰の性状、量
TP
  • 口腔ケア
  • 適切な水分状態を維持する
  • 体位ドレナージ
  • 排痰補助
  • 咳嗽介助
  • 喀痰吸引
EP
  • 咳嗽による排痰法(ハッフィングを指導する)

 

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#2 呼吸困難や窒息に対する恐怖から不安を抱いている

看護診断:不安

関連因子:呼吸困難 窒息に対する恐怖

長期目標:不安が軽減する

短期目標:呼吸困難が改善する 不安を表出することが出来る 

OP
  • 呼吸困難の程度
  • 姿勢、起座呼吸の有無
  • SpO2
  • スパイロメトリーによる肺気量測定値
  • 意識障害の有無
  • 不安の程度
TP
  • 医師の指示のもと酸素投与を行う
  • 薬物療法を適切に管理する
  • 安楽な体位が保持できるように援助する
  • 不安が軽減されるような声掛けやケアを行う
  • 環境整備
EP
  • 口すぼめ呼吸、腹式呼吸を指導する

#3 ADLに必要な酸素供給が低下している

看護診断:活動耐性低下

関連因子:酸素供給の低下

長期目標:活動レベルが上昇する

短期目標:効果的な呼吸方法を実施できる

OP
  • 安静時の血圧、脈拍、呼吸数の測定
  • 活動レベルの観察
  • 栄養状態(体重減少、BMI、血清アルブミン、総蛋白)
  • 睡眠状態、休息時間
TP
  • ADLに応じた介助を行う
  • 活動中に胸痛、めまい、混乱等がみられた場合は活動を中止し、改善がみられない場合には医師に報告する
  • 安静度、医師の指示の範囲で徐々に活動を増やす
EP
  • 喫煙が酸素需要を高めることについて説明する

#4 不適切な栄養摂取量のために体重減少をきたしている

看護診断:栄養摂取消費バランス異常:必要量以下

関連因子:呼吸困難、不適切な栄養摂取

長期目標:活動レベルと代謝需要に従って栄養必要量を摂取することができる

短期目標:十分栄養を摂取することの大切さを理解できる

OP
  • 身長、体重の増減
  • BMI
  • 食事摂取量、内容、回数
  • 悪心・嘔吐・便秘・下痢の有無
  • 1日のカロリー所要量
  • 嗜好品の摂取の有無
  • 血液データ(血清総蛋白、血清アルブミン、血清ヘモグロビン等)
TP
  • 身体症状が軽減するよう、声掛けや、安楽体位の保持ができるように支援する
  • 食事内容、量、回数を調整する
EP
  • 適切な栄養摂取の必要性を説明する
  • 味付けの工夫や食事前の休息など、食事量を増加させる方法を見出して実践できるように支援する

#5 症状、治療、感染予防、急性増悪の徴候についての知識が不足している

看護診断:非効果的治療計画管理リスク状態

関連因子:不十分な知識

長期目標:急性増悪を防止するための管理ができる

短期目標:現状の病状を把握できる 急性増悪の予防方法を述べることが出来る

OP
  • 疾病過程、現在の病状、治療、合併症に関する理解の程度
  • 職業、職場環境
  • 喫煙歴
  • 療養生活に対する不安、意欲低下の有無
EP
  • 呼吸器感染の予防の必要性と方法を指導する(手洗い・うがい・予防接種・早期受診等)
  • 息切れ、痰の増加、食欲低下などの増悪の徴候について指導する
  • 右心不全の徴候(急激な体重増加、浮腫、動悸など)について指導する
  • 体重、浮腫の有無、食事摂取量等はセルフチェックが行えるように指導する

#6 在宅酸素療法について不安がある

看護診断:不安

関連因子:在宅酸素療法

長期目標:在宅酸素療法を日常生活に適応させることが出来る

短期目標:在宅酸素療法の必要性、方法について理解できる

OP
  • 在宅酸素療法の受け入れ状態、理解度
  • 疾患、治療についての理解度
  • ストレスに対する対処行動の内容
TP
  • 在宅酸素療法に伴う日常生活における問題点が挙げられるように支援する
  • 訪問看護の必要性について、他部門の専門職と連携して検討する
  • 患者のそばに寄り添い、訴えを傾聴する
  • 効果的なコーピング行動がとれるように援助する
EP
  • 在宅酸素療法の必要性について指導する
  • 機器の使用方法(酸素濃縮器、携帯用酸素ボンベなど)の管理方法について指導する
  • 在宅酸素療法試行中の注意点について説明する
  • 在宅療養で利用できる社会資源について説明する

#7 家族が療養生活を支援する過程で、身体的・精神的・社会的・経済的な負担を生じる可能性がある

看護診断:家族介護者役割緊張リスク状態

関連因子:主な介護者としての責任、長期的な介護、不十分な介護休暇

長期目標:心身ともに安定した日常生活をおくる準備ができる

短期目標:効果的なストレスマネジメントの方法を述べることが出来る

OP
  • 家族構成、役割、キーパーソン
  • 住環境
  • ストレスに対する対処行動の内容
TP
  • 訴えを傾聴する
  • 効果的なコーピング行動がとれるように支援する
  • 家族間の役割調整を支援する
EP
  • 在宅で利用できる社会資源について説明する
  • 患者の病状について理解を促し、必要な援助と方法について説明する

以上になります!

おわりに

COPDは呼吸器症状ばかりに着目されがちですが、呼吸困難感や酸素需要増加による呼吸数増加や咳などによって、通常よりもエネルギー消費が多くなるためか、体重減少を起こしてしまっている患者さまが多い印象です。少しでも症状を軽減しながら過ごしていただくために、禁煙、服薬管理はもちろんのこと、栄養管理、活動量の調節、リハビリ計画立案など、少しでも栄養状態が維持されるような療養生活について指導を十分に行うことが大切だと思います!ただ、禁煙が高いハードルになっている患者さまも多いので、精神的なケアも行いつつ、本人の意思をくみ取りながら少しずつ生活の改善が行えるように、粘り強い支援ができたら、患者さまのQOL向上につながっていくと思います!頑張っていきましょう~!

おしまい!

 

参考文献

病期・病態・重症度からみた疾患別看護過程+病態関連図 103‐120P:編集 井上智子/佐藤千史:医学書院

 

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慢性腎不全の看護計画の例(OP,TP,EP)

こんにちは、訪問看護師の栗鈴です。

今回の記事は、『慢性腎不全の看護計画(OP,TP,EP)』です。

よろしくお願いします!

 

 

 

 

 

はじめに

 私事ですが、慢性腎不全という疾患には特別な思い入れがありまして。私が看護学生の時、実習で初めて受け持ったのが慢性腎不全の患者さまでした。

 その後、看護師になってからも腎臓内科病棟に6年ほど勤めました。慢性腎不全の患者さまの看護に関しては、数え切れないほど経験しました。

 実は、私の父が片腎(腎臓の1つを摘出して、残り1つになっている状態)ということもあり、腎疾患に対する思いは人一倍強いようです。慢性腎不全は実習でも受け持つ頻度の高い疾患だと思います。ぜひ、今記事を実習や日頃の看護にお役立ていただけると幸いです!

 

 ところで、慢性腎不全は、近年になって注目されてきているようです。

 要因は、日本人の寿命が延びたことで高齢者が増加したこと。それに比例して、慢性腎不全の患者数も右肩上がりに増加していることが挙げられます。2025年には、団塊の世代と呼ばれる年代の方が全員75歳以上になるということもあり、おそらく慢性腎不全の患者数もピークに近くなるのではないかと推測します。

 基本的に腎機能は加齢によって低下するという特徴があり、人生100年時代と言われているからには、誰にとっても人ごとではありません。きっちりと勉強していきましょう!

慢性腎不全の病態生理

慢性腎不全は、月・年単位で腎機能が進行性に低下していく不可逆的(元の状態には戻らない)な疾患であり、腎臓の排泄機能、内分泌機能が低下することにより、生体の内部環境の恒常性の維持が不可能になる。一般的には糸球体濾過値(GFR)が正常の50%以下、血清クレアチニン値で2.0mg/dl以上を持続しているものをいう。

  • 初期には自覚症状に乏しく、蛋白尿などの尿異常から始まり、徐々に腎機能が低下して末期腎不全に進行する。
  • 腎機能の低下に伴い、夜間多尿、貧血、電解質異常(高K血症、低Ca、高P血症、代謝性アシドーシスなど)、高血圧、浮腫などが出現する。さらに末期腎不全となると、循環器症状、消化器症状などの全身症状が出現する。
  • 慢性腎臓病(CKD)という概念が広まってきている。CKDとは従来の慢性腎不全に、より軽度の腎障害を考え方で、軽度の蛋白尿などの腎障害、もしくはGFR60ml/分/1.73㎡未満の腎機能低下が3か月以上持続するものである。より早期から腎臓に障害があることを認識することにより、腎機能低下の進行を防ぐことがCKDという概念の基盤となっている。

慢性腎不全の病因・増悪因子

  • 慢性糸球体腎炎、糖尿病成人症、腎硬化症、多発性嚢胞腎など、すべての慢性に経過する腎疾患が原因になりうる。
  • 感染、過労などのストレスにより腎機能が一段と低下することがある。造影剤、消炎鎮痛剤、抗生物質などの薬剤は腎障害の進展をもたらす。生活習慣に関連した増悪因子としては、高血圧、肥満、耐糖能以上、脂質代謝異常、喫煙がある。そのほかには、貧血も増悪因子となることが知られている。

慢性腎不全の疫学・予後

  • 血清クレアチニン地2.0mg/dl以上は1000人に2人程度である。一方、CKD患者は数百万人にのぼると推定される。
  • 腎機能が低下し末期腎不全となると、透析あるいは腎移植が必要となる。慢性腎不全は心血管病変の危険因子であり、末期腎不全に至る前に心血管病変で死亡する確率が高い。2006年の透析導入数は3万5000人、2006年末の透析患者数は人口100万人対で2000人を越えており、約500人に1人が透析療法を行っている。
  • 透析導入に至る原疾患としては、頻度の高い順に糖尿病性腎症>慢性糸球体腎炎>腎硬化症 である。透析導入後の5年生存率は約60%、10年生存率は40%である。透析患者の死亡原因は心血管病変が第1位を占め、次いで感染症、悪性腫瘍の順となっている。

 

慢性腎不全の症状

慢性腎不全の病期は、無症状のステージG1から尿毒症のステージG5まで、6期に分類される。

  • 尿毒症は下記の全身症状をきたす。
  1. 循環器症状(高血圧、心不全、虚血性心疾患、心膜炎、心筋炎、不整脈)
  2. 電解質異常(高K血症、低Ca血症、高P血症、高Mg血症)
  3. 酸塩基平衡異常(代謝性アシドーシス)
  4. 内分泌・代謝異常(二次性副甲状腺機能亢進症、甲状腺ホルモン異常、耐糖能い低下、高脂血症、低栄養、痛風)
  5. 造血器症状(貧血、出血傾向)
  6. 消化器症状(悪心、嘔吐、食欲不振、腸炎、潰瘍)
  7. 皮膚症状(色素沈着、掻痒感、皮下出血)
  8. 末梢神経異常(多発性神経炎、知覚異常、筋力低下)
  9. 中枢神経異常(不眠、頭痛、傾眠、痙攣、振戦、痙攣)
  10. 眼症状(網膜症、角膜へのCa沈着)
  11. 精神症状(抑うつ、不安、錯乱)

慢性腎不全の検査値

  • 早期発見には尿検査(蛋白尿、血尿)が有効である。
  • 腎機能の評価にはクレアチニンクリアランス、血清クレアチニン値から求められるeGFR(推定糸球体濾過値)によって行う。

 

  • 慢性腎不全ステージG3以降は、
  1. 尿比重の低下(比重1.010以下)
  2. 血中BUN(尿素窒素)の上昇
  3. 血清クレアチニンの上昇
  4. 血清Kの上昇
  5. 血清Caの低下
  6. 血清Pの上昇
  7. PHの低下
  8. RBC・Hb、Htの低下

を生じる。

慢性腎不全の合併症

    • 心血管病変(高血圧、脂質異常、Ca、P異常による動脈硬化進行、貧血等が原因)
    • 感染症(免疫力低下により生じる)
    • 悪性腫瘍(免疫力低下により生じる)
    • 二次性副甲状腺機能亢進症(低Ca、高Pの持続による副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌亢進により生じる)
    • 腎性骨異栄養症(低Ca、高Pの持続による骨代謝の異常を生じる)
    • 透析アミロイドーシス(透析で除去しきれないβ₂ミクログロブリンの関節、骨沈着により生じる)

 

慢性腎不全の治療法

  • 高血圧は腎機能を悪化させるため、血圧管理を厳格に行う。降圧薬のなかでは、腎臓保護作用が認められるアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬を積極的に使用する。
  • 食事療法は十分なエネルギー摂取、低たんぱく、低塩分が基本である。
  • 慢性腎不全で認める症状に対しては、薬物療法で対応する。

慢性腎不全の薬物療法

  1. 高血圧(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬:ディオバン等、ACE阻害薬:タナトリル等、Ca拮抗薬:アムロジン等)
  2. 高K血症(血清カリウム抑制薬:アーガメイトゼリー等)
  3. 低Ca血症(活性型ビタミンD₃製剤:アルファロール等)
  4. 高P血症(高リン血症治療薬:カルタン等)
  5. 腎性貧血(エリスロポエチン製剤:エスポー、エポジン、ミルセラ等)
  6. 代謝性アシドーシス(アシドーシス治療薬:炭酸水素ナトリウム等)
  7. 尿量低下(ループ利尿薬:ラシックス等)
  8. 腎不全の進行抑制(尿毒症毒素吸着薬:クレメジン等)

透析療法

末期腎不全では血液透析持続携行式腹膜透析(CAPD:一般にいう腹膜透析などの透析療法、あるいは腎移植が必要となる。

慢性腎不全の透析導入基準

①血液透析

血液透析は、血液を体外に出して、透析器(ダイアライザー)内で半透膜を介して拡散と濾過により血液と透析液間で物質交換を行い、血液成分を生理的状態まで改善した上で体内に戻す方法である。

  • 血液を体外に循環させるために、血管アクセス(バスキュラーアクセス)を造設する。一般には血管吻合により動脈と静脈をつないだ内シャントを橈骨動脈と橈側皮静脈間に増設し、その結果血流が増大して腫脹した前腕の皮下静脈を穿刺して血液透析を行う。血液凝固を防ぐため、ヘパリンなどの抗凝固薬を使用する。
  • 透析液は、慢性腎不全において除去すべき物質(Kなど)は低濃度に、補給すべき物質(Ca、炭酸水素)などは高濃度に含む組成になっており、これらの物質が濃度の高い方から低い方へ移動する拡散の原理により体液成分が改善される。
  • 体内に貯留した水分は、血液側と透析液側の圧力の差を利用した限外濾過により除去される。
  • 合併症として、短時間に体液が変化する結果、頭痛や悪心・嘔吐などをきたす透析不均衡症候群があり、透析導入時に多い。また、循環動態が不良の場合は血液透析中に血圧低下をきたし、透析が行えないこともある。このような患者では腹膜透析を選択することになる。血液透析は通常週3回、1回3~4時間かけて行われ、患者は定期的に医療施設に通院する。
②腹膜透析

腹膜透析は全透析患者の約3~5%が行っており、半透膜の性質を有する腹膜を透析膜とし、血液と、腹腔内に注入した透析液との間の物質交換により体液を是正する方法である。

  • 透析液の注入・排液のために腹腔カテーテルを留置する。カテーテルは腹壁からダグラス窩に挿入される。
  • 1.5L~2.5Lの透析液を約6時間腹腔内に貯留した後にに排液氏、新しい透析液を注液する。一般にはこの方法を1日4回繰り返す。患者によってはこの操作を夜間のみ、機械を用いて自動的に行うことも可能である(APD:自動腹膜透析)
  • 腹膜の毛細血管内の血液と透析液との間で、濃度勾配に応じた物質の交換が行われる。透析液のブドウ糖濃度を高くし浸透圧を高くすることにより、体内に貯留した水分を透析液側に移動させ除水を行う。
  • 合併症として留置カテーテルを介した腹膜炎がある。また、腹膜透析を長期にわたって行うと、腹膜がびまん性に肥厚して広範に癒着しイレウス症状を起こす被嚢性腹膜硬化症(EPS)を呈することがある。被嚢性腹膜硬化症は重篤な合併症であり、生命予後をも左右する。
  • 腹膜透析の透析液交換は自宅や職場など医療施設外でも可能であり(在宅治療)、患者が体重、血圧、排液の状態などを記録する。通院頻度は一般につき1~2回となる。
③腎移植

腎臓移植には生体腎移植献腎移植があり、実際に行われる大部分が生体腎移植である。日本での腎移植件数は年々増えてきており、年間1500例~2000例程度である。

www.asas.or.jp

  • 他人の腎臓を移植することにより、移植腎に対する拒絶反応が生じる。拒絶反応を少なくするためにはリンパ球抗原である組織適合抗原、血液型が一致する提供者が望ましい。
  • 拒絶反応は、進行すると移植腎の機能が廃絶する重篤な合併症である。拒絶反応を抑えるためにステロイドや免疫抑制剤が使用されるが、これらの薬剤の副作用も腎移植の合併症として注意すべきものである。
  • 移植した腎臓が機能している割合(生着率)は、生体腎移植の場合1年後で約90%、10年後では50%強である。
  • 移植の長所として、生活の質の向上、長期透析合併症の予防などがあり、推進すべき治療法である。

 

慢性腎不全の看護問題

#1 腎機能低下により日常生活に支障をきたしている

長期目標

全身状態が安定し、日常生活動作が自立する

観察計画(OP)

  1. バイタルサインを観察する
  2. 症状の有無・部位・程度を観察する

ケア計画(TP)

  1. 日常生活動作に応じて必要な援助を実施する
  2. 医師の指示に従い、適切に投薬を行う

教育計画(EP)

  1. 症状の変化を自覚した際はすぐに医療者に伝えるよう指導する
  2. 医師に指示された生活指導区分の範囲内で活動するよう伝える

⇩生活指導区分については下記参照⇩

生活指導ガイドライン-一般のみなさまへ-一般社団法人 日本腎臓学会|Japanese Society of Nephrology

 

#2 低栄養状態によって免疫力が低下する

長期目標

栄養状態が改善され、感染を起こさずに過ごせる

短期目標

食事摂取量が増え、血液データの改善がみられる

観察計画(OP)

  1. 消化器症状の有無を観察する
  2. 食事摂取量を観察する
  3. 体重を定期的に確認する
  4. 食欲の有無・程度を観察する
  5. 栄養の必要性と、食事制限に関する知識についての理解度を把握する

ケア計画(TP)

  1. 嗜好や嚥下機能等に応じて、摂りやすい食品を選択できるように情報提供する
  2. 不足するビタミンやミネラル、電解質の栄養補給ができるよう栄養士と相談しながら支援する

教育計画(EP)

  1. タンパク質、塩分、カリウム、リンの摂取の制限が必要であることを伝える
  2. 過剰な摂取制限は不要であることも付け加えて伝える

 

#3 体液貯留の増加により浮腫がみられる

長期目標

適切な体重、体液量が維持される

観察計画(OP)

  1. 症状の有無・程度の観察
  2. 検査データ、尿量、体重を確認する
  3. 浮腫の程度を観察する
  4. 食事内容を確認する

ケア計画(TP)

  1. 利尿薬などの薬物療法によるバイタルサインや尿量の変化を観察する
  2. 症状出現時やバイタルサインの異常がある際は早期に医師に報告する
  3. 安楽に過ごせるように環境整備や体位の調節、足浴等を行う
  4. 適切な栄養・食事管理が退院後も行えるよう栄養士に相談する

教育計画(EP)

  1. 水分・食事摂取量を把握し、過剰摂取している場合は量を減らすように指導する
  2. 家族に患者の身体状況を説明し、食事管理に協力してもらえるよう家族にも指導する

 

#4 排便コントロールが困難である

長期目標

規則正しい排便があり、腹部不快感がなく過ごせる

観察計画(OP)

  1. 最終排便の日を確認する
  2. 便秘の有無・程度を観察する
  3. 腹部不快感の有無を観察する
  4. 便量、便の性状を観察する

ケア計画(TP)

  1. 毎日定時に排便を誘導し、排便の習慣化を図る
  2. 飲水制限の範囲内で、できる限り水分摂取を図る
  3. 必要に応じて腹部マッサージや温罨法を行う
  4. 2日以上排便が無ければ、医師と相談のうえ、緩下剤の調節や、坐薬、浣腸の実施を検討する(マグネシウム含有下剤は避けるのが望ましい)

教育計画(EP)

  1. 患者に対して、薬の副作用で便秘になりやすいことを説明し、予防方法を指導する

 

#5 患者・家族が疾患に対する不安を抱えている

長期目標

腎機能低下における身体の状態について理解が深まり、将来の見通しを立てることができる

短期目標

ケアや社会的支援により療養環境が整えられ、自己効力感が向上する

観察計画(OP)

  1. 症状の出現状況、部位、程度の観察
  2. 患者・家族の疾患に対する知識の把握

ケア計画(TP)

  1. 患者の身体状況・心理状況の変化に寄り添い、信頼関係が築かれるように適切なコミュニケーションを図る
  2. 必要に応じて適切なケアを行う
  3. 社会的支援(透析療法を実施する場合;特定疾病医療受給の申請や身体障碍者手帳の申請、訪問看護の調整など)が得られるように情報を提供する

教育計画(EP)

  1. 疾患について患者・家族の理解が進むようにわかりやすく説明する

#6 知識不足のため、治療のためのプログラムを日常生活に取り込めない

長期目標

適切なセルフケア行動がとれる

観察計画(OP)

  1. 患者・家族の心理・社会的側面の把握に努める

ケア計画(TP)

  1. 生活の中で腎機能低下を助長する要因を見出し、要因を軽減させていく方向性で生活調整ができるように支援する
  2. 行われる治療(薬物療法、透析療法、腎移植に伴う拒絶反応予防のためのステロイド療法など)が必要不可欠であることを患者に丁寧に説明できるように医師と連携する
  3. 仕事などの社会的な課題がある場合は、それらの調整を支援する

教育計画(EP)

  1. 血液データ等を通じて腎機能の状態を患者がイメージできるように説明する
  2. 透析療法を行っている場合は、日々の生活調整と身体状態の変化を照らし合わせて腎不全の生活指導を行う

 

以上になります!いかがでしたでしょうか。

おわりに

慢性腎不全は経過の長い疾患で、基本的には一生付き合わなくてはならない疾患です。飲水、塩分、蛋白、カリウム、リンなど、食生活では制限することだらけですが、過剰な摂取制限は低栄養状態や廃用(フレイル)を引き起こし、かえって腎機能低下を助長させたり感染リスク等を増大させる場合があります。極端に制限の必要性を説明するのではなく、適度な食事管理ができるように患者さまを支えていきましょう。腎不全は大変な疾患ですが、自分の身体を見つめなおし、関心を向け、病を受け入れ、自己管理ができるようになれば、概ね安定した生活を維持していくことが出来ます。『腎友会』などの患者会や、『腎臓サポート協会』『じんラボ』などの透析に関するコミュニティや情報発信サイトも探せばたくさんありますので、決して一人で苦しむことはありません!(下記にリンクを貼っておきます。)透析療法に関しては、公費制度も日本はものすごく整備されていますので、支援をきっちり受けることが出来ます!看護師は少しでも腎疾患の方が安心して暮らせるように、一生を支えるつもりで看護をしていきましょう!

 

おわり!ご意見をお待ちしております。

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狭心症の看護計画の例(OP,TP,EP)【知識から看護問題・看護診断もばっちり】

こんにちは、栗鈴です。
今回の記事は、『狭心症の看護計画の例(OP,TP,EP)【これでばっちり】』です。よろしくお願いします。

 

 

はじめに

「胸がしめつけられる感じがする」という言葉がありますが、狭心症とはまさに実際に胸がしめつけられている状態です。心筋梗塞とともに「虚血性心疾患」と呼ばれており、心筋の酸素需要と、冠動脈の血流量のバランスが崩れて、心筋に障害を生じている状態です。狭心症は冠動脈の血流が不足している状態であり、命に関わる疾患です。循環器疾患の中では関わることの多い疾患になるので、しっかり学んでおきましょう!

 

狭心症の病態生理

狭心症は、動脈硬化による冠動脈の狭小化を原因とする労作性狭心症と、冠動脈の攣縮を原因とする異形狭心症に大別される。

  • 狭心症は、動脈硬化による冠動脈の狭小化(狭窄:きょうさく)によって血流量が常時低下しているために運動、興奮、排便、入浴などの労作により症状が誘発される労作性狭心症と、冠動脈の攣縮(れんしゅく;スパズム)によって一過性に血流が低下することにより生じる異型狭心症(血管攣縮性狭心症)の2種類に大別される。
  • 労作性狭心症は動脈硬化による冠動脈の狭小化が原因であり、要因は食生活(高コレステロール、過食)、肥満、ストレス、運動不足、喫煙などである。
  • 異形狭心症は、狭窄のない血管にも生じる。安静時、特に夜間から明け方にかけて発作が起こり、日本人は発症しやすいという特徴がある。
  • 長期間無症状であった後に新たな狭心症が出現した場合や、症状が安定していた狭心症の症状が増悪した場合を不安定狭心症という。不安定狭心症の原因として、冠動脈に生じた粥腫(じゅくしゅ;プラーク)の崩壊が関連することが指摘されており、不安定狭心症の約2~3割は心筋梗塞に移行する危険性が高いとされ、入院加療が必要となる。
  • 急性心筋梗塞、不安定狭心症、心臓突然死は、いずれも粥腫の破綻に関連した冠動脈内腔の閉塞を共通の基盤とし、これらの病態をまとめて急性冠症候群とよぶ。

狭心症の症状

  • 主症状は胸痛で、2~3分から5分以内に消失する。
  • 訴えは多彩であり、胸部圧迫感、胸がしめつけられる感じ、不快感、息切れなどと表現されることが多い。
  • 胸痛は左前胸部から左肩にかけて生じるが、腹部、歯、首、左上腕に痛みを生じることもある。

狭心症の診断・検査値

  • 症状から鑑別診断(区別するべき疾患)の対象となるのは、胆石症、胃炎、逆流性食道炎、肋間神経痛などである。
  • 狭心症の初期は右季肋部痛を生じることがあるため、胆石症と間違われることがある。また、上腹部痛を生じる時には、胃炎、胃潰瘍などの誤診となることもある。
  • 数秒間程度の痛みは、狭心症の症状ではなく、肋間神経痛や期外収縮などの不整脈が原因である可能性が高い。
  • 胸が終日重かったり痛かったりする場合は、胸膜や肋骨、筋肉の痛みであったり、精神・神経に関連する症状である可能性が高い。
  • 狭心症の診断には、症状の部位、持続時間、発症時間、誘因などを詳細に聴取することが手掛かりとなる。
  • 検査による診断では、心電図検査がもっとも一般的である。発作時に心電図でST部分が1㎜以上低下する場合は狭心症と診断可能である。ただし、異型狭心症ではST部分の上昇が認められることが特徴である。
  • 狭心症の発作時に心電図を記録することは、入院時以外には困難であるため、種々の検査を用いて診断を確定することが必要となる。
  • ホルター心電図は24時間の心電図を記録することが可能であり、胸痛発作時の心電図をとらえることができる。
  • エルゴメーター、トレッドミルなどの運動負荷試験も有用である。
  • MRIやCTで冠動脈を直接画像化することにより、狭窄病変の有無を診断することも可能である。
  • 種々の検査によっても診断が困難な場合や、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を行う場合には、冠動脈造影が行われる。

狭心症の治療法

治療の選択肢となるのは、大まかに

  1. 薬物療法
  2. カテーテルによる治療(PCI)
  3. 外科療法(冠動脈バイパス術)  である。

狭心症の治療薬

  • 薬物療法の際に用いられる薬剤は、主に硝酸薬、カルシウム拮抗薬、β遮断薬の3種である。

硝酸薬(ニトロペン、アイトロール等)

  • 硝酸薬は狭心症治療で最も多く用いられる薬剤である。
  • 狭心症発作(心筋虚血)は、心筋の酸素消費量が酸素供給量を上回った場合に発生する。
  • 硝酸薬の作用は、
  1. 冠動脈を拡張し、心筋の酸素供給量を増加させる作用
  2. 全身の静脈を拡張し、静脈還流量を減少させ、心筋の酸素消費量を減少させる作用
  3. 全身の動脈を拡張し、血圧を低下させ、心筋の酸素消費量を減少させる作用

があり、狭心症発作の治療に有効である。

カルシウム拮抗薬(アダラート等)

  • カルシウムは心筋や血管の収縮に関与している。カルシウムの働きを遮断することにより、血管を拡張させる。
  1. 冠動脈を拡張し、心筋の酸素供給量を増加させる作用
  2. 全身の動脈を拡張し、血圧を低下させ、心筋の酸素消費量を減少させる作用

があり、狭心症に有効である。

  • また、異型狭心症に対しても、冠動脈攣縮を予防する作用があり、有効である。

β遮断薬(メインテート、セロケン等)

  • 体内の主要臓器に存在するβ受容体を、カテコールアミンと競り合って阻害する。
  • 心臓でβ受容体が刺激されると、心拍数、心筋収縮力が増加し、心臓の酸素消費量が増加して、心筋虚血を誘発しやすくなる。β遮断薬は、β受容体を阻害することにより、心臓の酸素消費量を減少させる。
  • 労作時にも、心拍数の増加を抑制するため、狭心症発作が出現しにくくなる。
  • β遮断薬は労作性狭心症にの治療には有効であるが、異型狭心症では逆に発作が起こりやすくなることもある。
  • また、気管支喘息患者においては喘息発作を増悪させたり、心機能の低下した症例では心不全を悪化させることもあり、投与には注意を要する。

経皮的カテーテルインターベンション(PCI)

  • 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)は、大腿動脈や橈骨動脈などの血管から、カテーテルを挿入して、冠動脈の狭窄部位を治療する方法である。
  • 当初はバルーンを用いた冠動脈の拡張が行われていたが、冠動脈乖離、急性冠動脈閉塞、再狭窄などの課題があり、様々なデバイス(器具)が開発された。代表的なものは、ステント、ロータブレーター、DCA(方向性冠動脈粥腫切除術)が挙げられる。
  • 2004年より、再狭窄の原因となる細胞増殖を抑制する免疫抑制剤や抗癌薬をステントの表面にコーティングした、薬剤溶出性ステント(DES)が使用可能となった。

冠動脈バイパス術

  • 虚血に陥った心筋への血流回復を目的として行われる手術である。
  • 上行大動脈起始部から主に大伏在静脈を用いる方法と、内胸動脈を用いて狭窄・閉塞した冠動脈の末梢側に血流の迂回路(バイパス)をつくり、心筋虚血の改善を図る方法がある。
  • 適応となるのは、左主幹部病変、多枝病変、慢性閉塞病変、PCIで再狭窄を繰り返す症例などである。
  • 体外循環や人工心肺を用いず小開胸で行うMIDCABと呼ばれる手術法も行われるようになった。さらに、心臓の拍動下で冠動脈バイパス術を行うoff-pump法も導入されている。これらの低侵襲手術により合併症を減らし、早期離床、早期退院に繋がることが期待されている。(医龍でもやってましたね!)

 

 

狭心症の看護問題・看護診断

#1 心筋虚血に伴う胸痛がある(認知‐知覚パターン:急性疼痛)

#2 狭心症症状のために日常生活に制限がある(活動‐運動パターン:活動耐性低下)

#3 夜間・早朝の胸痛発作のために十分な睡眠をとることができない(睡眠‐休息パターン:不眠)

#4 患者・家族が疾患に対する不安を抱えている(自己知覚‐自己概念パターン:不安)

#5 安静による運動不足のために便秘を起こしている(排泄パターン:便秘)

#6 薬の副作用によるめまいや血圧低下によって転倒のリスクがある(健康知覚‐健康管理パターン:転倒リスク状態)

#7 狭心症についての知識が不足している(認知‐知覚パターン:知識不足)

#8 適切な服薬ができないために薬の効果が減少している(健康知覚‐健康管理パターン:ノンコンプライアンス)

#9 狭心症を再発しないための生活習慣を獲得できない(健康知覚‐健康管理パターン:非効果的治療計画管理)

#10狭心症症状によって活動が制限されるために家事や仕事などの役割を遂行できない(役割‐関係パターン:非効果的役割遂行)

#1 心筋虚血に伴う胸痛がある

長期目標

胸痛の原因となる活動を明らかにし、軽減することが出来る

短期目標

胸痛の原因となる活動を避けることが出来る

胸痛が起こった時の対処方法を実行することが出来る

観察計画(OP)

  1. 症状の部位を確認する
  2. 疼痛の程度を観察する
  3. 症状が出現した状況を観察する

ケア計画(TP)

  1. 発作時は安静を促し、医師の指示に従って、硝酸薬の舌下投与を実施する

教育計画(EP)

  1. 発作時は速やかに医療者に伝えるよう指導する
  2. 発作の原因となる活動について話し合う
  3. 発作が起こったときは安静にして硝酸薬を舌下で溶かすように指導する

#2 狭心症症状のために日常生活に制限がある

長期目標

発作を起こすことなく日常生活を送ることが出来る

短期目標

発作の原因となる活動を避けながら、日常生活を送ることが出来る

観察計画(OP)

  1. 発作が起こる時の症状、活動状況を観察する

ケア計画(TP)

  1. 発作が起こったときは、安静を促して医師へ報告し、硝酸薬の使用を検討する

教育計画(EP)

  1. 寒暖差に注意し、衣類や暖房などで調整するよう指導する
  2. 必要時、活動の途中に休息をはさむよう指導する
  3. 胸痛が起こったときは、安静にして硝酸薬を使用するよう指導する

#3 夜間・早朝の胸痛発作のために十分な睡眠をとることができない

長期目標

睡眠に伴う障害を生じずに日常生活を行うことが出来る

短期目標

不眠の原因を取り除くことが出来る

観察計画(OP)

  1. 睡眠時間、熟眠感の有無を観察する

ケア計画(TP)

  1. 患者が安静に入眠できる環境を整える
  2. 睡眠薬の内服、および内服のタイミングと量を医師に相談する

教育計画(EP)

  1. 生活リズムを規則正しく整えるよう指導する

#4 患者・家族が疾患に対する不安を抱えている

長期目標

患者・家族の疾患に対する不安が軽減され、心身ともに安定した生活を送ることが出来る

短期目標

不安の軽減方法を検討することが出来る

観察計画(OP)

  1. 患者・家族の疾患に対する受け止め方を確認する
  2. 不安の原因を確認する

ケア計画(TP)

  1. 不安の表出がしやすい環境の調整に努める
  2. 不安の原因を除去することができるように十分に声掛けを行う

教育計画(EP)

病状や検査・治療についてわかりやすく説明をする

#5 安静による運動不足のために便秘を起こしている

長期目標

規則正しい排便があり、腹部不快感が消失する

短期目標

便の性状を観察することができる

腹部マッサージを行うことが出来る

観察計画(OP)

  1. 排便回数、便の性状を観察する
  2. 腹部不快感の有無・程度を観察する
  3. 腸蠕動音を観察する

ケア計画(TP)

  1. 適切な水分摂取計画(飲水制限などを遵守しながら)に沿って水分摂取を促す
  2. 必要に応じて腹部マッサージや温罨法を行う
  3. 2日以上排便がなければ、医師と相談のうえで下剤の調節や坐薬を検討する

教育計画(EP)

  1. 安静によって便秘になりやすいことを説明し、ケア計画について指導する

 

#6 薬の副作用によるめまいや血圧によって転倒のリスクがある

長期目標

転倒しないための予防行動をとることができる

短期目標

転倒のリスクを高める因子を明らかにできる

観察計画(OP)

  1. 内服薬の作用・副作用の程度の観察する
  2. 硝酸薬を使用した際の効果の程度を観察する
  3. 四肢の筋力の程度を観察する

ケア計画(TP)

  1. 四肢の筋力低下がある場合は、リハビリテーションを一緒に行う

教育計画(EP)

  1. 硝酸薬は血圧低下を生じやすいため、安全な環境で使用するよう指導する
  2. 転倒を生じやすいことを説明し、手すりなどを使って歩行するように促す

#7 狭心症についての知識が不足している

長期目標

狭心症の検査および治療について理解し、協力することが出来る

短期目標

治療や検査についてわからないことを明言できる

観察計画(OP)

  1. 治療や検査に対する患者の協力の様子を観察する

ケア計画(TP)

  1. 治療や検査の流れが予測しやすいように、定期的に説明・声かけを行う

教育計画(EP)

  1. 治療・検査について出来るだけわかりやすい表現を用いて説明する

#8 適切な服薬が出来ないために薬の効果が減少している

長期目標

適切な服薬行動によって最大の治療効果を得ることが出来る

短期目標

適切な服薬方法を述べることが出来る

観察計画(OP)

  1. 内服薬の服薬方法を確認する
  2. 適切に服薬できない要因を明らかにする

ケア計画(TP)

  1. 患者からの希望を確認し、服薬の量や時間を医師と相談できるように支援する

教育計画(EP)

  1. 薬の作用・副作用について説明し、正確に服薬するように指導する

#9 狭心症を再発しないための生活習慣を獲得できない

長期目標

再び狭心症にならないために生活を改善することができる

短期目標

生活の中でリスク因子となることを述べることが出来る

観察計画(OP)

  1. 日常生活におけるリスク因子(食生活、ストレス、喫煙、家族歴等)を確認する

ケア計画(TP)

  1. リスク因子の多い生活の改善方法について患者と話し合う
  2. 改善方法が実行可能であると思えるように支援する

教育計画(EP)

  1. リスク因子を減らす理由を説明する

#10 狭心症症状によって活動が制限されるために家事や仕事などの役割を遂行できない

長期目標

狭心症発作を起こさないための生活に適した役割遂行の方法を見つけることできる

短期目標

役割のなかで狭心症の発作の原因となることを話すことが出来る

観察計画(OP)

  1. これまでの役割(家事・仕事など)について確認する
  2. 発作の誘因について明らかにする

ケア計画(TP)

  1. これまでの役割遂行が可能か患者と話し合う
  2. 役割遂行のための改善方法について話し合う

教育計画(EP)

  1. 狭心症発作を再び起こさないための行動の必要性と理由について説明する

 

以上!いかがでしたでしょうか。

おわりに

狭心症は労作性狭心症と異型狭心症、そして不安定狭心症があります。不安定狭心症は、心筋梗塞に移行する危険性が高いため、速やかな治療が必要です。薬物療法やPCI、バイパス手術が適切に行われるためには、観察・ケア・指導がとても大事になってきます!患者さまが安心して退院し、退院後も健康的に過ごせるように関わっていきましょう!

参考文献

病期・病態・重症度から見た疾患別看護過程+病態関連図 154‐175P:編集 井上智子/佐藤千史 医学書院

 

 

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慢性心不全,うっ血性心不全の看護計画の例(OP,TP,EP)【これでばっちり】

こんにちは、訪問看護師の栗鈴です。今回の記事は、『慢性心不全,うっ血性心不全の看護計画【OP,TP,EP】』です。よろしくお願いします!

 

 

はじめに

看護実習で慢性心不全の患者さまを受け持つことは比較的多いかと思います。既往歴で心不全を合併している方も多いので、慢性心不全の勉強は必ず必要になります!ぜひ、今回の記事を看護実習のお役に立てて頂ければと思いますので、よろしくお願いします!では、やっていきましょう!

服薬管理、療養指導、精神的支援…看護師ができることは沢山あります!

慢性心不全の病態生理

心不全とは、心臓のポンプ機能が破綻したために、各組織に必要な血液量を駆出できなくなり、肺または体静脈系にうっ血を生じた病態で、病名ではない。すべての心疾患の終末像といえる。心不全のうち、徐々に病態が進行したものを慢性心不全と呼ぶ。

慢性心不全の病因・増悪因子

  • 病因
  1. 心疾患(心筋梗塞、弁膜症、不整脈、心筋症など)
  2. 呼吸器疾患
  3. 内分泌疾患
  4. 腎疾患

など心臓に負荷がかかる病態が存在することにより、慢性心不全を生じる。

  • 増悪因子
  1. 基礎心血管疾患の増悪
  2. 過労
  3. ストレス
  4. 塩分・水分摂取過多
  5. 不整脈の出現
  6. 呼吸器系感染症
  7. 貧血
  8. 甲状腺疾患、
  9. 腎疾患
  10. 循環血液量・心機能に影響する薬剤の投与あるいは中断 など。

慢性心不全の疫学・予後

すべての心疾患の終末像であり、進行性の経過をたどる。生命予後はきわめて悪く、5年生存率は一般に50%以下といわれている。

慢性心不全の症状

  • 慢性心不全では、心機能は低い状態でありながら、長い経過のなかで代償機転が働き、無症候性(病態はあるが症状はない状態)に経過することも多い。しかし、心予備能が低いため、疲労や感染などを契機に、容易に症状が出現する。
  • 厳密な区別は困難だが、「左心室が血液を送り出す機能が低下したために起こる症状(左心不全)」、「右心室の働きが低下したことによる症状(右心不全)」に分けられる。

 

右心不全の症状

下腿の浮腫から症状が始まることが多い。

  • 浮腫、下肢浮腫
  • 腹水貯留
  • 体重増加
  • 頸静脈怒張
  • クスマウル兆候(吸気時に頸静脈怒張が顕著となる。)
  • 肝頸静脈反射(季肋部を30~60秒圧迫すると頸静脈怒張が持続する。)
  • 肝腫大
  • 蛋白漏出性胃腸症
  • 食欲不振、悪心(嘔気)などの消化器症状
  • 尿量低下 など

左心不全の症状

主に呼吸困難、息切れから始まることが多い。

  • 呼吸困難、労作時呼吸苦、夜間発作性呼吸困難(臥位では肺うっ血が増悪するため)
  • 咳嗽、喀痰、血性泡沫性痰
  • 起座呼吸(臥位では肺うっ血が増悪するため座位で呼吸困難が軽減する)、浅呼吸、喘鳴
  • 肺聴診にて副雑音の聴取
  • 動悸、頻脈
  • 四肢冷感・湿潤
  • 尿量低下 など

慢性心不全の診断

  • 症状および検査所見により診断する。とくにBNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)値の判定が有用である。
  • 心不全の診断基準として、フラミンガム心不全診断基準がある。

フラミンガムの心不全診断基準
  • 心不全の重症度評価はNYHA(ニーハ:ニューヨーク心臓協会)心機能分類が用いられる。

NYHA(ニーハ:ニューヨーク心臓協会)心機能分類
  • 胸部X線写真(心拡大、肺うっ血所見、胸水など)
  • 心電図(不整脈の有無など)
  • 心エコー検査(心駆出率の低下、血管内容負荷の上昇など)
  • 血液学検査(血算、肝機能、腎機能、電解質、血糖、CRP:C反応性蛋白、BNP:脳性ナトリウム利尿ペプチド)
  • スワンガンツカテーテルによる血行動態評価(心係数、肺動脈楔入圧の評価)
  • 心不全の原因となった疾患の精査・評価(冠動脈造影、心臓核医学検査:【心RIアンジオグラフィ、心筋血流シンチグラフィ】、甲状腺機能検査など)

 

BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)

  • 心臓から分泌されるホルモンの一つで、心臓への負荷が大きいほど多く分泌されるため、心不全の診断に使用される。
  • 症状が出現する前の軽度心不全でも、BNP値の増加が認められ、心不全が重症化するほど高い値になる。

  • 健常な若年者のBNP値は約18.4ng/mlであるが、腎機能低下例、高齢者(特に70歳以上)では、高値を示す傾向がある。激しい運動のあとには、健常者でも若干増加する。
  • 早朝空腹時、安静時採血が望ましい。

慢性心不全の合併症

  1. 不整脈(心房細動、心室頻拍など)
  2. ショック
  3. 多臓器不全
  4. 肺高血圧症
  5. 低心拍出のためにできた左室内血栓による全身塞栓症
  6. 腎機能障害 など

慢性心不全の治療法

  • 患者指導:毎日の体重測定、下肢浮腫のチェック(日単位で2㎏以上の体重増加は心不全増悪の可能性大)
  • 食事指導:塩分制限(6~8g/日以下)、禁煙、禁酒・節酒、体重管理
  • 運動療法:適度な運動は運動耐用能を増し、日常生活中の症状を改善する。慢性心不全増悪時には安静が必要であり、運動は禁忌。
  • 薬物療法:
  1. アンジオテンシン変換酵素阻害薬:ACE阻害薬(レニベース、エナラプリル等)
  2. アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬:ARB製剤(ブロプレス、ディオバン、ミカルディス、オルメテック等)
  3. β遮断薬(アーチスト、メインテート等)
  4. 強心薬(ジゴキシン等)
  5. ループ利尿薬(フロセミド等)
  6. カリウム保持性利尿薬(アルダクトン等)
  7. PDE【ホスホジエステラーゼ】Ⅲ阻害薬(アカルディ等)

 

慢性心不全の薬物療法

利尿薬(ループ利尿薬、カリウム保持性利尿薬)

利尿と降圧効果を目的に使用される。数種類の利尿薬があるが、利尿薬の代表的な副作用は低K血症、低Na血症、低Cl性アルカローシス、高尿酸血症、不整脈などがある。

ジギタリス製剤(強心薬)

心筋の収縮力増強作用、徐脈作用、利尿作用などがある。ジギタリス中毒を起こす場合があるので、血中濃度を定期的に測定する必要がある。副作用は、食欲低下、悪心・嘔吐、視覚異常、めまい、頭痛、不整脈、低K血症、高Ca血症など、多い。

アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬

末梢血管抵抗の低下、水・Naの排泄促進、降圧効果によって心臓・腎臓の保護作用、インスリン抵抗性の改善作用がある。副作用には咳嗽、浮腫、発疹、味覚異常、血管浮腫、急性腎不全などがある。

アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)

アルドステロン産生抑制により、降圧効果がある。血管浮腫、肝機能障害、腎機能障害などの副作用がある。

β遮断薬

拡張型心筋症、虚血性心疾患による心不全に使用される。副作用は、徐脈、末梢動脈疾患の悪化、喘息発作の誘発、痙攣性狭心症の悪化、抑うつ、不眠、筋肉痛などがある。心不全を増悪させる場合もあるので、少量から投与される。

慢性心不全の看護問題の例

#1 心拍出量減少とガス交換障害に関連した運動耐用能の低下(活動‐運動パターン)

#2 呼吸困難などの心不全症状による休息‐活動リズムの障害(睡眠‐休息パターン)

#3 不適切な保健行動による心不全の急性増悪の可能性(健康知覚‐健康管理パターン)

#4 病状悪化や今後の生活などに対する不安(自己知覚‐自己概念パターン)

 

 

慢性心不全の看護計画の例

#1 心拍出量減少とガス交換障害に関連した運動耐用能の低下(活動‐運動パターン)

長期目標

活動性を維持(向上)することができる

短期目標
  • 低心拍出量の徴候・症状がない
  • ガス交換障害の徴候・症状がない
  • 低栄養、長期臥床等の二次的合併症(褥瘡、尿路感染、深部静脈血栓症:DVT等)がない
  • 心機能レベルに適したADL(日常生活動作)を獲得する
観察計画(OP)
  1. 胸部X線画像の確認
  2. NYHA分類の確認
  3. 心不全症状(右心不全・左心不全)の有無・程度の観察
  4. 飲水量・尿量の観察
  5. 体重の確認
  6. 検査データの確認
ケア計画(TP)
  1. NYHA分類に適した心臓リハビリテーションを実施する
  2. 活動やケア中に心不全症状がある場合は、活動を中止したり、活動時間を減らす
  3. 活動範囲を広げる際は症状の程度をみながら徐々に拡大する
  4. 1つ1つの活動ごとに休憩の時間を設ける
  5. 急な体重増加がみられた際は医師に報告し病状悪化の予防に努める
  6. 心機能や活動範囲に応じて日常生活を援助する
  7. ケア実施時は過剰な運動負荷がかからないように介助方法や環境を工夫する
  8. 水分・塩分制限が守れるように励ましたり必要性について説明する
  9. 制限に伴うストレスについて受容的態度を示し、気分転換やストレス軽減を図る
  10. 呼吸困難がある場合は安楽な呼吸体位(起座位など)に整える
  11. 酸素療法実施中は、指示された酸素投与を守り、呼吸状態をこまめに観察する
  12. 急性増悪時に備え、酸素療法や一次救命処置がすぐ実施できるよう準備する
教育計画(EP)
  1. 心機能に合った活動範囲や水分・塩分制限を守れるように説明して理解を得る
  2. 活動負荷を軽減する方法を説明する(食前後1時間は安静にする、排便時の怒責を軽減するために便秘予防の方法について説明する、日常生活に必要な動作はなるべく座った状態で行う、活動の合間に休息する習慣をつける 等)

 

#2 呼吸困難などの心不全症状による休息‐活動リズムの障害(睡眠‐休息パターン)

長期目標

休憩と活動のバランスをとることができる

短期目標
  • 安静時の心不全症状が消失する
  • 苦痛なく夜間に睡眠をとることができる
観察計画(OP)
  1. 症状出現時の状況・程度の観察
  2. 睡眠中の呼吸状態、睡眠時間、入眠困難の有無の観察
  3. 日中の倦怠感や居眠り、気分の変調などの観察
ケア計画(TP)
  1. 睡眠時に心不全症状がある場合は、起坐位やファーラー位などの安楽体位で眠れるように援助する
  2. 睡眠を妨げないように夜間の処置は最小限にする
  3. 日中の活動予定を一緒に考える(気分転換、清潔ケア、リハビリテーション等)
  4. 夜間排泄のために睡眠が妨げられる場合は夜間の飲水を制限する
  5. 入眠を促す方法を一緒に考える(環境整備、睡眠前の足浴など)
教育計画(EP)
  1. 心不全症状が睡眠に及ぼす影響を説明する
  2. 毎日の睡眠状況(入眠時間、睡眠時間、睡眠時の症状など)を把握できるように説明する

 

#3 不適切な保健行動による心不全の急性増悪の可能性(健康知覚‐健康管理パターン)

長期目標

望ましい保健行動の獲得によって急性増悪や薬物療法の副作用を予防できる

短期目標
  • 心不全の増悪徴候がない
  • 治療方針に対する疑問を医療者に表出でき、治療目的を理解できる
  • 心不全の増悪を予防するために必要な日常生活上の注意点を理解して、実践していく意思を示す
  • 内服薬の名前、投与量、投与回数、作用・副作用を理解できる
  • 必要な日常生活について家族とも一緒に考えることが出来る
観察計画(OP)
  1. 症状の有無、悪化の徴候を常に観察する
  2. 心不全の病態や内服薬の作用・副作用、活動制限の必要性に関する理解度や認識を把握する
  3. 日常生活様式の変化に対する態度を観察する
  4. 医師から指示された食事・水分・活動範囲・内服薬の服薬の状況
  5. 1日の水分出納、体重変化の観察
  6. 効果的な保健行動に対する疑問や抵抗、拒否などの表出の有無
ケア計画(TP)
  1. 患者が抱いている治療方針に対する疑問や、今後の生活管理に対する認識などを表出するように促す
  2. 生活様式の変化に伴うストレスに対して共感・需要して、自己効力感を高められるように支援する
  3. 必要に応じて、家族・キーパーソンに働きかけ、患者とともに学べる場を用意する
  4. 患者・家族の理解度に応じたパンフレットを作成する
  5. インターネットなど、自主的な学習を促す
教育計画(EP)
  1. 塩分・食事制限、禁煙、禁酒の必要性を説明する
  2. 入院中の食事と比較しながら食事指導を行う
  3. 栄養士から、生活状況に応じた食事の在り方について指導してもらう
  4. 利尿薬の副作用と一緒に、脱水予防の指導(体重管理、バイタル測定、脱水症状についての説明など)を行う
  5. 薬剤師から、薬の名前、投与量、投与回数、作用・副作用について指導してもらう
  6. 体重測定実施の重要性を説明し、短期間に急激に増加する場合は早期に受診するように指導する
  7. 心不全増悪時の主症状を十分に説明し、症状出現時は早期に受診するように説明する
  8. 生活管理に対するストレスが強い場合は、1人で悩まないように伝える
  9. 呼吸器感染症と心不全悪化の関係について説明し、手洗いやマスク、官房症状出現時の早期受診について指導する
  10. 定期的な受診によって急性増悪を予防することの重要性を説明する

 

#4 病状悪化や今後の生活などに対する不安(自己知覚‐自己概念パターン)

長期目標

身体・心理・社会的不安が軽減され、安楽が増大したとの言動が表出される

短期目標
  • 不安に思っていることや気持ちを伝えることが出来る
  • 不安や恐怖心を増悪させる原因を認識できる
  • 適切なコーピング行動をとることが出来る
観察計画(OP)
  1. 心不全の治療、増悪予防のための生活管理に対する認識や受け止め方について把握する
  2. 心不全症状の有無を観察する
  3. 心配、無力感、自信がない、イライラ、怒り、泣くなどの情動的変化の有無を観察する
  4. 不安の訴えの有無を確認する
ケア計画(TP)
  1. 傍に付き添い、共感的理解の姿勢・態度を伝える(傾聴・タッチングなど)
  2. 静かな部屋等、不安が増強しない環境を整える
  3. 考える余裕があれば、不安を増強させる原因や状況、きっかけなどを考えてもらえるように促す(日記など)
  4. 患者が努力している部分を可能な限り肯定的に評価する
  5. コーピング行動について一緒に振り返り、どのような行動がストレス軽減につながるのかを共に考えたり提案したりする
  6. 不安や緊張を緩和する介入を提供する(音楽、リラクゼーション、マッサージ、アロマテラピー、レクリエーションなど)
  7. 必要に応じて医療ソーシャルワーカーを紹介する
教育計画(EP)
  1. 心不全に対する誤った認識がり、それが不安の原因になっている場合は、正しい知識を分かりやすく説明する
  2. 漠然とした将来の不安など、避けられないストレスに対して、解消するための手段を伝える(リラクゼーション、瞑想、自律訓練法、深呼吸など)

以上になります!いかがでしたでしょうか。

 

 

おわりに

心不全の症状は、日常生活全般に影響を与えます!

さらに食事制限・水分制限が必要であり、日常的な小さな喜びさえも奪われてしまうことがあります。

身体的にも心理的も社会的にも苦痛が強くなるため、医療者の支援は必須です!

患者さまが少しでも苦痛と不安を軽減しながら自分に合った生活が送れるように、ベストな看護が提供できるように努めていきましょう!

おわり。

 

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参考文献

病期・病態・重症度からみた疾患別看護過程+病態関連図 189‐208P:編集 井上智子/佐藤千史:医学書院

腰部脊柱管狭窄症の術前・術後の看護計画【OP・TP・EP】

こんにちは、訪問看護師の栗鈴です。

 

みなさんは、

在宅療養でメジャーな疾患といえば

何が思い浮かびますか?

 

  1. 認知症
  2. COPD(慢性閉塞性肺疾患)
  3. ALS(筋萎縮性側索硬化症)
  4. 末期がんのターミナルケア
  5. 消化器系がん術後のストーマ管理

などが、代表的でしょうか?

 

私が勤める訪問看護ステーションでは、

上記の疾患のご利用者様は

それほど多くありません。

意外と結構多いのが、

  • 変形性膝関節症
  • 腰椎圧迫骨折
  • 大腿骨転子部骨折
  • 頚部骨折
  • 脊柱管狭窄症 など

 

外科系の疾患の方が、

リハビリテーションのために

訪問看護を多く活用されています。

 

訪問看護では、

整形外科系疾患の方が多く利用されているんですね。

骨折したり、体の痛みが強い高齢の方は、ADLや栄養状態が急激に低下していきます…

 

ですので、訪問看護は内科系の知識だけではなく、外科系の知識も必要になります。

 

廃用(フレイル)予防や、ADLの範囲拡大など、介護予防・介護負担軽減のケアも大事なので、リハビリの知識・技術も必要です。

 

私が病院に勤めていた時は、内科系の病棟だったので、腰部脊柱管狭窄症の看護はあまり経験がありませんでした。なので、これを機に少し勉強してみようかなと思いました!

 

というわけで今回は、

『腰部脊柱管狭窄症の術前・術後看護計画(OP・TP・EP)』です!

 

それでは、やっていきましょう!

 

 

 

 

腰部脊柱管狭窄症

【概念】

加齢により、以下の病態を生じることがある。

  1. 椎骨の変形(骨棘形成)
  2. 黄色靭帯
  3. 椎間関節の変性や肥厚
  4. 異常可動性(ぐらつき)
  5. 腰椎椎間板ヘルニア など…

  • これらが進行してくると、脊髄神経(馬尾神経) が圧迫を受け、神経症状が出現する。
  • 脊柱管構成要素(椎間関節、椎間板、靱帯)は、 加齢変性により肥大や膨隆が起こることから、多くは中年以降にみられる。
  • ライフスタイルも影響する。スポーツや職業などで腰に負担がかかる生活をしている方は、 神経症状を起こしやすい。


【症状】

① 腰痛

初期症状として腰痛がみられる。長期間に渡って症状が持続することが多い。

徐々に、あるいは急速に下肢の症状が進行していく。

② 間歇性跛行
  • 安静時は症状を自覚していないが、 短距離を歩行しただけで下肢の痛みや痺れ等が出現し、 歩行が続けられなくなる症状を指す。
  • 休息するとまた歩くことが出来るようになる。
③ 知覚異常
  • 下肢の冷感を伴うことが多い。
  •  寝る時には夏でも靴下が必要になるという場合が多い。また、逆に足が火照ると訴える方もいる。これらの症状は、 自律神経の機能傷害によると考えられている。 下肢のしびれもよく見られるが、罹患期間の長い患者や高度狭窄のある患者では手術後も神経症状が残ることがある。
  • 突出した椎間板が脊髄神経を圧迫している時には、 坐骨神経痛と呼ばれる下肢の神経に沿った電撃痛が認められる。

④ 排尿障害

尿が出にくい(尿閉)、尿を漏らしてしまう(失禁)、 残尿感等の症状がある。


【診断】

以下の検査にて画像診断を行う。

  • MRI
  • 脊髄造影
  • CT

 

【治療】

  • 症状が軽微な場合には、消炎鎮痛剤・筋弛緩剤・ ビタミン剤などの服用、腰部牽引など保存的療法を行う。
  • 神経症状が進行性で、画像上脊髄圧迫が明らかな場合には、 手術による減圧術が選択される。

 

 

腰部脊柱管狭窄症(術前)の看護計画

 

♯1看護問題:歩行障害

  • 看護目標

転倒を起こさない

  • 観察計画(OP)

O1:ADL状況や疼痛の有無

  • ケア計画(TP)

T1:適切な補助具を選択する
T2:必要時は介助を行う

  • 教育計画(EP)

E1:転倒に注意するよう説明
E2:足に合った滑りにくい靴を履くよう説明

 

♯2看護問題:脊髄症状による痛みや痺れによる安楽の変調

  • 看護目標

  1. 症状が軽減したことを言葉で話す
  2. 疼痛・痺れのコントロールができる

観察計画(OP)

O1:痛み・痺れの程度、維持時間、NRS

ケア計画(TP)

T1:温罨法やマッサージなどの症状の緩和の方法を検討し施行

T2:鎮痛剤や湿布の使用

教育計画(EP)

E1:疼痛・痺れの増強時はNSへ伝えるよう説明

 

 

腰部脊柱管狭窄症(術後)の看護計画

 

♯3看護問題:手術・侵襲ラインの存在からの感染のリスク

  • 看護目標

感染徴候がない

  • 観察計画(OP)

O1:創感染の症状、徴候の観察

O2:侵襲ラインの固定状況、皮膚の観察(発赤・疼痛・腫脹・ 掻痒感・潰瘍)

O3:排尿時痛、残尿感の有無、尿量、尿回数、尿の性状

O4:検査データー(WBC・CRP・尿検・尿培・創培・体温)

ケア計画(TP)

T1:ガーゼ汚染時は当てガーゼ施行。または、包帯交換施行(Dr 確認)

T2:処置時、清潔操作の徹底

T3:尿混濁、排尿異常がある時はDr へ報告する

T4:ルート交換時、清潔動作の徹底

教育計画(EP)

E1:創部・リリアドレーンには触らないよう指導する

E2:点滴施行時、異常(発赤・腫脹・疼痛・掻痒感) がある場合は、看護師に知らせるよう説明する

 

♯4看護問題:全身麻酔、ベッド上安静による呼吸機能変調のリスク 

  • 看護目標

  1. 十分な肺機能を示す
  2. 必要時深呼吸運動と咳嗽運動を行うことができる

 

  • 観察計画(OP)

O1:呼吸数、肺聴診、SATモニターの確認

  • ケア計画(TP)

T1:安静度に応じて、安楽な体位の保持を支援する

T2:術後の呼吸状態に関する思いや不安の表出を促し、安楽が保持できるよう努める

  • 教育計画(TP)

E1:深呼吸、咳嗽運動をするように指導する

 

♯5看護問題: 安静保持や創痛により有効的な体位変換が行えないことによる皮膚統合性障害のリスク

  • 看護目標

褥瘡の発生を予防するために有効的な体位変換ができる

  • 観察項目(OP)

O1:皮膚の状況の確認(褥瘡好発部位を観察)

O2:装具による皮膚障害の有無の確認

O3:栄養状態の観察(食事量、検査データ)

  • ケア計画(TP

T1:ブレーデンスケールを評価し、適切なマットレスを選択する

T2:2~4時間毎に体位変換を施行する

T3:寝衣、シーツのシワがないようにベッドメイクを行う

T4:装具のカバー交換を定期的に行う

  • 教育計画(EP)

E1:体位変換の必要性を説明し、協力を得る

 

【考えられる看護診断名候補と共同問題】

1.転倒のリスク状態
2.安楽の変調
3.感染のリスク状態
4.呼吸機能の変調のリスク状態
5.皮膚統合性の障害のリスク状態

 
 以上になります!

いかがでしたでしょうか。

まとめ

腰部脊柱管狭窄症は加齢や過度な運動によっても生じるような、とてもありふれた疾患です。

しかし、看護・介護をしていると腰が痛くなることもあるし、その積み重ねで脊髄の神経が圧迫されることも決して珍しいことではないと思うので、ひとごとではないなあと記事を書きながら思いました…。

腰部脊柱管狭窄症になった患者様は、その過程の中で、他疾患の闘病や、仕事、育児など、様々なことで色々無理をしながらも頑張って生活してきた歴史があったんだろうな…と。

その人の生活・人生に寄り添った看護ができるように、また頑張っていかないとなと思いました!

 

また勉強したことがあれば、ブログに載せていきますので、

これからもよろしくお願いいたします!

 

おわり

 

統合失調症の看護計画の例(OP・TP・EP)【これでばっちり】

こんにちは、栗鈴です。

今回の記事は『統合失調症の看護計画の例(OP・TP・EP)【これでばっちり】』です。

よろしくお願いいたします。

 

 

はじめに

精神看護実習では、統合失調症の患者様を受け持つことが多いと思います。

精神疾患と聞くと、なんだか警戒してしまいそうになりますが、統合失調症は100人~120に1人がかかると言われており、決して珍しい疾患ではありません。

また、性格や育った環境のみによって統合失調症を発症するというわけではありません。脳内のドーパミン受容体のトラブルにより、ドーパミンの伝達過剰が生じて症状が起こるということが分かっており、脳神経内科の診療にも関わっている疾患です。

いわゆる「心の病」とは、ひとくくりには言い切れない。それが統合失調症です。

「なんだかよくわからないけど、怖そうな病気だな…」という先入観がもしあれば、その気持ちは捨てた方がいいです。決して怖いことはありません。統合失調症の方は、優しい性格の方が多いと思います。

【看護師と患者】というスタンスで関わるよりも、【人と人】という姿勢で、『ふつう』に関わることが、結果的に支援につながることも多いです。

 

それでは、やっていきましょう!

先入観を捨てて、私たちもリラックスしていきましょう~

 

統合失調症


【統合失調症の概念】

思考、感情、行動を統合する能力が障害された精神疾患である。

 

【症状】

症状を幻覚・妄想などの陽性症状

意欲低下、自閉などの陰性症状に分けて考えるのが分かりやすい。

統合失調症の陽性症状
  • 幻覚・ 妄想などの陽性症状については、ドパミン受容体( とりわけドパミンD2 受容体)が関与していることが確認されている。
  • ドパミン伝達の過剰により、幻覚・ 妄想などが引き起こされると考えられている。
統合失調症の陰性症状
  • 意欲の減退、活動性の低下、 自閉などのいわゆる陰性症状のメカニズムは複雑で精神薬理学にグルタミン酸受容体をはじめ、 さまざまな神経伝達物質の関与が考えられるが、困難な社会生活状況から自己を防衛しているなどの心理的側面も無視できない。

シュナイダーの一級症状

  • 陽性症状として最も有名なものがシュナイダーの一級症状である。幻覚としては、幻聴が多いのが特徴である。
  • 「『死ね』 などと悪口を言ってくる」などの被害的な内容の幻聴が多い。

一級症状のなかの

  • 「思考化声」
  • 「話しかけと応答の形」
  • 「 自分の行為を絶えず批評する声」なども幻聴に含まれる。
体感幻覚

脳が半分溶けてしまった」など奇妙な感覚を訴えることもよくある。

被害妄想

FBIが自分をずっと監視している

やくざの組織が自分をねらっている

など他の人や組織などから嫌がらせや攻撃を受けるなどの妄想を被害妄想という。

誇大妄想

自分は天皇の子供である

などのように、 自分を誇大視するような妄想は誇大妄想という。

  • 急性の症状としては、被害妄想のほうが多い。
  • 誇大妄想は慢性化を懸念させる症状である。
妄想知覚

家に帰ったら家族の靴が妙にきちんと揃えられていた。 これは自分を殺せという合図だとはっきり悟った」などのようなものである。

考想吹入

本来患者が考え、感じ、行動していることが「自分がしている」 という実感がもてなくなり、「考えを吹き込まれる」と感じたりする症状もある。

思考伝播

思考に関する症状としては、自分が考えていることが「 テレビで世界中に報道されている」(「思考伝播」)という症状もある。

 

【統合失調症の診断】

  • ICD‐10による診断基準(↓参照サイト)。

    www.mp-learning.com

  • 幻覚や幻聴は器質的疾患でも見られるので慎重な鑑別が必要。
  • 幻覚や妄想などの陽性症状が1か月以上続く場合に初めて統合失調症の診断ができる。

【統合失調症の治療】

  1. 抗精神病薬を投与
  2. 心理社会的治療
  3. 電気痙攣療法

 

 

統合失調症の看護問題・目標・計画・介入(OP・TP・EP)

 

#1
知覚・思考・行動・自我機能の障害により、自己あるいは他者への暴力のリスクがある

<長期目標>

症状をコントロールすることで、暴力が回避できる

<短期目標>

看護師の援助により暴力を回避できる

観察計画(OP)
  • O1:幻覚・妄想の内容と患者への影響の程度、感情や行動の状態と コントロール状況、自我機能の状態
  • O2:短時間ごとに暴力のリスクのチェックを行う。(患者の言動・表情・態度など)
ケア計画(TP)
  • T1:暴力の危険性が高いと判断した場合、主治医に報告し、隔離・ 拘束を検討する。
  • T2:患者を刺激しないように環境を調整する。他者との接触、 テレビの音などから遠ざける。部屋を移すなど
  • T3:興奮している患者には、落ち着いた態度で接し、必要なこと以外は無理に話をしないようにする。また1対1で接するよりも複数で接するようにする。
  • T4:看護師間で対応を統一するよう話し合っておく
  • T5:興奮が激しい場合など、臨時薬の投与について主治医と相談する
教育計画(EP)
  • E1:あらかじめ、行動の許容範囲とそれを超えた場合の対処方法(隔離・拘束。その他の処置など)について説明しておく

 

#2
病識の欠如などにより、自ら適切な服薬・症状管理ができない

<長期目標>

自ら適切な服薬・症状管理ができる。

<短期目標>

看護師の確認のもと、適切な服薬・症状管理ができる

観察計画(OP)
  • O1:服薬管理状況、時間帯、服薬の仕方、保管の仕方、 飲み忘れたときの対処法、服薬管理の必要性の認識など)
  • O2:症状管理状況(症状に応じてどう対処しているのか、 何がきっかけで悪化するのか、悪化したときはどうしているか。 症状管理の必要性の認識など)
  • O3:病識の程度(自分の疾患についての理解度、自覚している症状と疾患との関連についての認識など)
  • O4:抗精神病薬の効果・副作用(出現状況、副作用に関する患者の思いなど)
ケア計画(TP)
  • T1:服薬管理について、出来ている点は肯定的なフィードバックをし、出来ていない点はその理由について患者から話を聞き、 どうしたらできるかを患者とともに考える。
  • T2:服薬管理がしやすいように、 患者とチェックシートなどを作成し定期的に患者と確認してみる
  • T3:看護師が観察して、 薬の効果と考えられる点は患者にフィードバックする
  • T4:薬の副作用の出現が疑われるときは、早急に主治医に報告し、対処する
  • T5:頓服薬の使い方について、患者と確認する
  • T6:どのような症状のとき、どう対処してきたか、 どういう方法が効果的だったか、など患者から話を聞きながら整理し、 効果的だった方法についてフィードバックする
  • T7:症状が悪化するときのサインや対処法について、患者と話し合う機会をもち、 対処法を患者と一緒に考えておく
教育計画(EP)
  • E1:服薬管理の必要性と具体的な方法、薬の効果・ 副作用について、患者が理解できるように説明する。
  • E2:疾患とその症状、対処の仕方について、 患者が理解できるように説明する

 

#3
知覚・思考・行動・自我機能などの障害によりセルフケアが困難になっている

<長期目標>

症状とうまく付き合いながら、セルフケアが行える

<短期目標>

看護師の援助によりセルフケアが行える

 観察計画(OP)
  • O1:食事摂取状況(量、食事の内容、介助の有無など)
  • O2:入浴状況(頻度、全身・髪などが洗えているかどうか)
  • O3:更衣・ 洗面状況(適宜清潔な衣類に着替えることができているか。 顔を洗う、歯を磨く、髪をとかすことなどができているか)
  • O4:排泄状況(回数、適切な排泄行為などができるかどうか)
  • O5:幻覚・妄想などによるセルフケアへの影響の程度
ケア計画(TP)
  • T1:患者のその時点でのセルフケア能力に応じて働きかける。 全く行えない場合は看護師が全代償し、回復に伴い患者自身で行えるように徐々に関わりを変化させる
  • T2:患者のセルフケア行動に対して、急がさず、時間をかけて関わる
  • T3:幻覚・妄想などの影響が強く、セルフケア行動が進まない場合 、「今は食事の時間です」「着替えをしましょう」など、現実に戻すようにする
  • T4:幻覚・妄想などにより、患者が不安や恐怖を感じている場合はその場に付き添うようにする
  • T5:患者とともに、セルフケアに関する長期的目標を見据えたうえで、段階的で達成可能な目標を設定し、プランを計画する
  • T6:達成できた点は肯定的にフィードバックし、達成できなかった点はその要因について患者と話し合う。
  • T7:排泄に関して、薬の副作用で便秘などが見られる場合は、頓用薬の処方について主治医に相談する
教育計画(EP)
  • E1:症状とうまく付き合いながら、患者自身でセルフケアを維持する必要があることを伝える

 

#4
知覚、思考、行動、自我機能などの障害により活動と休息のバランスが崩れている

<長期目標>

自ら適切な活動・休息がとれる

<短期目標>

看護師の援助により適切な活動・休息がとれる

観察計画(OP)
  • O1:睡眠状態(睡眠時間、中途覚醒の有無、熟睡感の有無、 睡眠パターン、昼間の休息時間、など)
  • O2:幻覚・妄想などの症状による睡眠状態への影響の程度
ケア計画(TP)
  • T1:患者が入眠できる環境を整える
  • T2:昼間の活動・休息時間と睡眠状態について、患者とチェックシ ートなどを用いてモニタリングし、適切な活動・ 休息パターンを見つける
  • T3:睡眠を妨げる要因(幻覚・妄想など)と要因への対処について 、患者と話し合う
  • T4:睡眠に対して、患者がうまくできたことは、肯定的にフィード バックを行う
  • T5:睡眠状況をみながら、睡眠薬の調整について主治医に相談する
教育計画(EP)
  • E1:適切な活動・休息をとれるようになることが再発予防につながることを説明する
  • E2:睡眠薬の適切な用い方について説明する

 

#5
知覚障害、思考障害がある

<長期目標>

知覚障害、思考障害に適切に対処しながら生活できる

<短期目標>

現実的な体験(セルフケア等)に目を向けた表出や行動ができる

観察計画(OP)
  • O1:知覚障害、思考障害の出現状況、内容、程度
ケア計画(TP)
  • T1:看護師は幻覚・妄想体験が患者にとって事実であることを受け入れ、患者の体験内容が現実にそぐわないことを無理に納得させようとしない
  • T2:患者と話すときは、簡潔、明瞭、具体的な話し方を心がける
  • T3:幻覚・妄想により患者が体験する感情に焦点を当てて対話する
  • T4:患者が幻覚・妄想体験よりも、現実的な事柄(セルフケアなど )に目を向けられるように働きかける。(「今は食事の時間です」「一緒に入浴の準備をしましょう」など)
  • T5:患者と一緒に、現実的な体験(作業、散歩など)をする機会を多くもつ
  • T6:幻覚・妄想体験が事実かどうかを、患者と一緒に確かめる(「本当に、外に誰かいるかどうか一緒に確かめましょう」等と声をかけ、外に一緒に見に行くな
    ど)
  • T7:幻覚・妄想体験について、看護師が知覚したことなど患者に伝える(「私には、あの人が悪口を行っている声は聞こえていませんでした」など)
教育計画(EP)
  • E1:知覚・思考障害、特に幻覚・妄想についての正しい知識、対処の仕方に関する教育を行う

 

#6
自我機能の障害により、自己同一感の獲得が困難である

<長期目標>

自己と外界が区別できる

<短期目標>

自我境界を意識できる

 観察計画(OP)
  • O1:自己と外界の区別、させられ体験、攻撃的あるいは退行的な行 動、不適切な行動、不適切な感情表現、失見当識の有無と程度
ケア計画(TP)
  • T1:自己あるいは他者への暴力リスクが高い場合、逸脱行動(裸になる、大声で歌を歌う、など)がみられるとき は、周囲の状況をみながら、必要であれば患者を別の場所に移したり、周囲の患者に対しても適宜介入する
  • T2:必要に応じて、人物、場所、時間、外界の状況などの見当づけ をおこなう。
  • T3:患者が不安や恐怖を感じているときは、自我を脅かされると感 じない程度に、一緒に居る時間をつくり、 安心感を得られるようにする。
  • T4:攻撃的、衝動的な行動が見られる場合、屯用薬の処方について、主治医と相談する
  • T5:攻撃的、衝動的な行動に対しては最小限の範囲で隔離・ 拘束を行う
教育計画(EP)
  • E1:あらかじめ患者に、患者の行動の許容範囲とそれを超えた場合 の対処方法(隔離・拘束・その他の処置など) について説明しておく
  • E2:知覚・思考障害、特に幻覚・妄想についての正しい知識、 対処の仕方に関する教育を行う

 

#7
知覚、思考、行動、自我機能などの障害によりコミュニケーションが困難である

<長期目標>

円滑な対人関係を形成・維持するコミュニケーション 能力をもつことができる

<短期目標>

看護師の援助により伝えたい内容が伝えられる

観察計画(OP)
  • O1:コミュニケーション状態(会話の内容、意思の疎通など)
ケア計画(TP)
  • T1:患者の話が理解できなかったり、一貫性がなくても、 その背後にある不安や恐怖などの感情に焦点あててかかわるように する
  • T2:言い換え、明確化、などのコミュニケーション技法を用いて、 患者の話を整理する。「あなたが話したいことは、~ ということですか」など
  • T3:会話以外のコミュニケーション方法(筆談、絵画、 身振りなど)もとってみる
  • T4:患者の話がよく理解できるときは、 肯定的なフィードバックを行う
  • T5:他患者との間で、 患者が伝えたいことがうまく伝わらないときは、橋渡しをする
  • T6:SST(社会生活技能訓練)への参加を促す
教育計画(EP)
  • E1:適切なコミュニケーション方法(言語的・非言語的)について、患者に教える

 

#8
症状による影響、または地域のサポート体制が充実していないこと等による社会的孤立

<長期目標>

地域のサポートを得ながら社会生活を維持することが できる

<短期目標>

病院内などの限定された人々との間で相互交流ができる

観察計画(OP)
  • O1:症状の程度(知覚障害、思考障害、感情障害など)
  • O2:対人関係の状態(交流の頻度、関係性の深さの程度など)
  • O3:職場、学校など患者の社会生活上での活動状況
  • O4:患者を取り巻く地域サポート体制の状態
ケア計画(TP)
  • T1:患者がひきこもる理由について尋ね、理解を示す。
  • T2:症状の程度に応じて、他患者との交流場面、活動場面に患者が 入れるよう
  • 働きかける。「私と一緒に~をやってみましょうか」 など
  • T3:患者の興味がありそうな活動について、患者と話し合い、 それを日々の活動として取り入れるように提案する。
  • T4:患者が関心を示す事柄を話題に取り上げ、そこから交流の場を参加できるよう働きかける
  • T5:患者と共有する事柄に興味・関心をもつ他患者がいれば、一緒に活動できるように働きかける
  • T6: 他患者あるいは他者との交流をとうして体験する感情や思いに焦点を当てて話を聞く
  • T7:活動範囲を広げるために、 患者と週単位での活動記録表などを作成し、 実際に活動したことを記録しながら、どんなパターンがあるのか。 どの時間帯なら活動しやすいか。などを一緒に調べる
  • T8:活動範囲を広げる場合、小さなこと、簡単なことから始め、 徐々に難しいことに挑戦するように勧める
  • T9: 患者が活動できたことについては肯定的なフィードバックをする
  • T10:うまく行動できなかったことについては、 患者とできなかった要因を調べ、今後どうしたらできるか。 などを話し合う
  • T11:行動するかどうか迷っている患者には、 思い切って行動することでうまくいくこともあることを伝え、 一歩を踏み出すように後押しする
  • T12:新しい活動をすることに対して、 患者が不安や心配をもっている場合、事前に、 不安や心配な事柄への対処法を患者と一緒に考え、実行に移す。
  • T13:患者を取り巻くサポート体制について患者と話し合う(どのようなサポートがあり、 どのサポートが必要で、どう体制づくりをしていくか、 など)
教育計画(EP)
  • E1:地域で安定した生活を送るためには、社会で孤立せず、 他者との適切な関係を維持できることが大切であると伝える
  • E2:地域のサポート体制の実際、その役割についての知識を提供する

 

#9
ストレスに対して適切に対処できない

<長期目標>

ストレスに対して、効果的な対処法がとれる

<短期目標>

看護師の支援を受けながら、ストレスの対処方法について話し合える

 観察計画(OP)
  • O1:ストレスとその対処法についての把握
ケア計画(TP)
  • T1:どんなストレスを抱えているか。それに対してどう対処しているか等、患者から話を聞き、対処の仕方について振り返りをする
  • T2:患者が実行できた効果的な対処法について、 肯定的なフィードバックをする。
  • T3:患者のとる対処法のうち、看護師からみて、 非効果的と考えられる対処法を患者に示し、 患者と一緒に検討してみる
  • T4:非効果的な対処法に代わる別の対処法について、 多様な角度から患者と探ってみる
  • T5:ストレスにうまく対処できない場合、 感情や思いを表出するように促す
教育計画(EP)
  • E1: リラクゼーションなどの効果的とされるストレス対処法について患者に教える

 

#10 高感情表出家族である

<長期目標>

家族が低い感情表出レベルで患者に接することができる

<短期目標>

家族が適切な患者への対応方法・技術を理解することができる

観察計画(OP)
  • O1:患者と家族との関係性、家族の患者への接し方( コミュニケーションの方法、表情、口調、、態度、接触時間など) と患者の反応の観察
ケア計画(TP)
  • T1:家族の感情により、患者の再発率が低下すること、また患者への適切な対応方法・技術、地域のサポート体制について教える
  • T2:統合失調症に対する思いの表出を促し、理解を示す
  • T3:患者とどのように接しているか、接し方について困っていることはないかを尋ね、相談にのる
  • T4:患者の入院時、外泊時、退院時、外来受診時など、 家族との接点をみつけ、生活状況や困りごとなどを聞いていく
  • T5:家族が患者に対応できていることに対して肯定的にフィードバ ックする
  • T6:家族がうまく対応できない点については、家族と一緒にその要因を探り、別の方法をみつける
  • T7:家族の相談によっては、精神保健福祉士など多職種につなぐ
教育計画(EP)
  • E1:家族の接し方関する知識を提供する
  • E2:家族を対象とする心理教育、家族会などを紹介する

 


【統合失調症で考えられる看護診断名候補と共同問題】

  1. 暴力リスク状態
  2. ノンコンプライアンス
  3. セルフケアシンドローム
  4. 不眠
  5. 思考過程混乱
  6. 自己同一性混乱
  7. 言語的コミュニケーション障害
  8. 社会的孤立
  9. 非効果的コーピング
  10. 家族コーピング無力化

以上になります!

いかがでしたでしょうか。

おわりに

統合失調症の方に対する看護師のケアは多岐にわたります。場合によっては、医師や家族以上の支えとなって役に立てることもあります。

看護の力で、少しでも患者さまの社会参加や自立支援につながるように、寄り添った看護を提供していきましょう!

おわり!

ツイッター『栗鈴』もやっております!お暇があれば覗きにきてください~

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白内障の看護計画の例(OP・TP・EP)【これでばっちり】

こんにちは、栗鈴です。

今回の記事は『【全部わかる】白内障の看護計画 OP・TP・EP(看護問題・看護診断も!)』になります。

よろしくお願い致します!

 

 

 

 

はじめに 

 白内障だけの患者さまを看護実習で受け持つことはおそらくないと思いますが、既往歴に白内障がある患者さまはとても多いので、白内障に対する看護の知識を十分に学習しておくことは大切です。看護師になってからだと、白内障の患者さまは沢山いて、手術出しや術後の処置・観察をする機会は多いので、一緒に勉強していきましょう!

 白内障の看護計画が詳しく立てられている学生さんは少ないので、うまくいけば実習先でもポイントが非常に高いと思いますよ!

 それではみていきましょう!

白内障を甘く見ていると、転倒など大ケガが起きるかもしれません!

 

 

白内障の看護の概念

白内障は、水晶体の前嚢下、後嚢胞下、皮質、核が局所的、 もしくは組み合わさって混濁している状態であり、 かすみやまぶしさといった視力障害が生じる。

白内障の病態生理

  • 原因別では先天性と後天性がある。
  • 後天性としては原因別として、 臨床的に最も多い老人性(加齢性)や、外傷性、併発性、 放射線性、糖尿病によるもの、薬剤性があげられる。
  • 老人性白内障では、部位別に皮質白内障では部位別に皮質白内障、 核白内障、嚢下白内障の3つ型に分類される。

後天性白内障

  • 老人性白内障

水晶体は25歳を過ぎる頃から透明な色調から黄色の色調を帯び、 透明性が減じてくる。この現象は加齢現象であり、 原因として紫外線による影響が最も大きいといわれている。 この色調の変化すなわち白内障は水晶体の蛋白の変性によると考えられており、加齢とともに混濁の程度は増強していく。

  • 外傷性白内障

外傷により、 水晶体嚢が破壊されることによって、水晶体繊維が変性、膨化し、 混濁する。

  • 併発性白内障

長期にわたるぶどう膜炎、網膜剥離、 網膜色素変性、アトピー皮膚炎などの眼病変に伴って、 水晶体の栄養障害が生じ、混濁が発生する。

  • 放射線性白内障

放射線エネルギーによって水晶体細胞のDNA障害が生じ、 混濁が発生する。後嚢下白内障が多い。

  • 糖尿病性白内障

糖尿病患者では白内障が発生しやすい。 血糖コントロール不良例では発生頻度が増える。 糖質は水晶体において透明性維持のため重要な成分であるが、 過剰な糖質は水晶体膜や核酸の合成阻害を生じ、 蛋白質の糖化による混濁が生じる。後嚢下や皮質白内障が多い。

  • 薬剤性白内障

後嚢下混濁をきたす副腎皮質ホルモン製剤(ステロイド)が有名であるが、 これ以外でも難治性不整脈治療薬であるアミオダロン塩酸塩や抗マ ラリア薬である硫酸クロロキン、フェノチアジン系の向精神薬であ るクロルプロマジンなど、いくつかの薬剤の投与により水晶体の混濁を生じることが知られている。

先天性白内障

・先天要因として遺伝背景が認められることがある。また、 胎内感染によるものもあり、代表的なものとして妊娠初期の母胎の 風疹感染による先天風疹症候群がある。

 


白内障の症状

程度には個人差があるが、視力障害が主な症状である。

  • 霞んで見える(霧視):雲がかかったように見える事が多い。 進行すると水晶体全体に濁りが及ぶとともに症状は悪化する。
  • まぶしくなる(羞明): 水晶体の濁りで光が反射するために生じる。
  • 近くが見えやすくなる:核白内障では近視化することにより、 一時的に近見が改善することがある。
  • だぶって見える:月や街灯が二重、 三重に見えるようになることがある。片眼性であることが特徴である。
  • 進行は一般的に両側性で緩徐である。
  • 矯正視力が0.6~0. 7になると自覚的に視力低下を訴えることが多いが、 矯正視力がよくても羞明感が強い場合は生活上の不便さを訴える事が多い。

白内障の診断

  • 問診や視力検査を行い、外傷や糖尿病、 特殊な薬剤の使用や治療の既往を確認する。
  • 細隙灯検査により水晶体の混濁の部位、程度を確認する。
  • 一般に50歳以上でほかに原因が無ければ、 老人性の白内障と診断する。
  • 混濁が進行すると眼底の透見が困難な例もあるため、 その場合は超音波検査やCTあるいはMRI で網膜に大きな異常がないか、 あらかじめ検査しておく事が必要である。

白内障の治療

白内障に対する治療法としては、 予防や進行を遅らせることを目的とした点眼による薬物療法と、根治的な手術療法がある。 すでに混濁している水晶体を透明にするような根治的な薬物療法は、現在のところ確率されていない。 進行例に対しては手術療法を選択している。

白内障の薬物療法

  • 白内障治療薬は点眼が主体であり、現在ピレノキシン製剤( カリーユニ、カタリン)とグルタチオン製剤(タチオン)がある。
  • ピレノキシン製剤は水様性蛋白とキノイド物質の結合を阻害する事で白内障の進行を抑制する。
  • グルタチオン製剤は抗酸化作用を持ち 、白内障の進行を抑制する。
  • いずれの薬剤も白内障の進行を予防、 遅らせる効果はあるものの、 すでに混濁している水晶体を透明にする効果はない。

白内障の外科療法

  • 基本的には、 白内障により日常生活に支障を来すようであれば手術適応となる。
超音波水晶体乳化吸引術(PEA)

3mm 程度の小切開創での手術が可能な事などによる低侵襲性と、人工眼内レンズ(IOL)挿入術の普及に伴い、 現在では標準の術式である。水晶体の前嚢を円形に切開したあと、 超音波により水晶体核を乳化粉砕しながら核および皮質を吸引し、 水晶体嚢内に人工眼内レンズを挿入固定する。創口が小さいため低 侵襲であり術後卵子の発生も小さい。

水晶体嚢外摘出術(ECCE)

PEAでは粉砕できないような高度に進行した症例に対し行う。 角膜輪部に沿って約1/2周切開し、 水晶体の前嚢を円形に切開した後、水晶体核を創口から圧出し、 水晶体嚢内に人口眼内レンズを挿入固定する。 PEAと比べ比較的術後乱視が出やすい。

水晶体嚢内摘出術(ICCE)

水晶体をカプセルごと摘出する方法である。水晶体脱臼、 亜脱臼や網様(体)小靱帯脆弱例などが適応になる。 ECCE同様に角膜輪部に沿って約1/2周切開したあと、 水晶体前面の一部を凍結用チップで凍結固定し水晶体を取り出す。 必要があればIOL を眼球内に逢着し固定する。

 

白内障の看護問題

♯1眼表面への手術侵襲に続発する易感染性に関連した感染のリスク状態

看護目標

感染徴候なく過ごすことが出来る

観察計画(OP)
  • O1:眼症状(疼痛、流涙、充血、熱感、血性浸出液、眼脂、腫脹) の有無と程
  • O2:感染徴候の有無。(発熱、炎症)
  • O3:随伴症状(発熱、頭痛、倦怠感など)検査値。
ケア計画(TP)
  • T1:患者個人の衛生習慣をアセスメントする。
教育計画(EP)
  • E1:眼帯は指示があるまで、はずさないように説明する。

♯2視覚制限、慣れない環境、運動制限、術後の眼帯着用に関連し た身体損傷リスク状態

看護目標

視力障害、片眼帯着用でも、損傷を起こさない

観察計画(OP)
  • O1:移動動作時の観察。(段差、危険物の確認)
    O2:食事、排泄、清潔動作時等の安全に対する理解力。
ケア計画(TP)
  • T1:セルフケア不足に対する援助を行う。
  • T2:環境整備(ベッド周囲に歩行の妨げになるものを置かない)
  • T3:必要あれば、誘導、介助する。
教育計画(EP)
  • E1:所用時は連絡するように説明し、 ナースコールの置き場所を説明する。
  • E2:遠近感がつかめていないときは、 ゆっくり確認して歩行するように指導する。
  • E3:必要に応じてベッド柵を使用する。また、 その説明を十分行う。

♯3許可された活動や制限された活動、薬物治療、合併症、 継続ケアについての知識不足

看護目標

疾患に関連する正しい知識を獲得し、安全に行動できる

観察計画(OP)
  • O1:退院後の生活環境(退院後の他者の援助の必要性の有無)
ケア計画(TP)
  • T1:不安の要因を明らかにし軽減する。
  • T2:患者と話し合ってライフスタイルに治療・処置計画を組み入れ るよう計画する。
教育計画(EP)
  • E1:眼科用パンフレットを用いた退院指導の実施。
    (日常生活について:洗顔、シャワー浴、洗髪、飲食・嗜好品、 手術した眼の保護、目薬の使い方)

 


♯4 手術に関連した急性疼痛

看護目標
  • 疼痛の緩和に向けたケアを継続し、疼痛が緩和する
  • 疾病の回復、再発や合併症の予防に必要とされる健康行動が退院時まで実践できる
観察計画(OP)
  • O1:疼痛部位、程度、持続時間、VS の変動の観察。
  • O2:本人の訴え、表情、随伴症状の観察。
  • O3:ペインスケールにて評価する。
ケア計画(TP)
  • T1:痛みを軽減するにどんな方法が良いかを患者と一緒に決める。
教育計画(EP)
  • E1:疼痛時、ペインスケール4以上は知らせるようにと説明する。
  • E2:医師指示の指示薬使用。

白内障で考えられる看護診断名候補

  • ♯1 眼表面への手術侵襲に続発する易感染性に関連した感染のリスク状態
  • ♯2 視覚制限、慣れない環境、運動制限、 術後の眼帯着用に関連した身体損傷リスク状態
  • ♯3 許可された活動や制限された活動、薬物治療、合併症、 継続ケアについての知識不足に関連した非効果的自己健康管理
  • ♯4 手術に関連した急性疼痛
  • ♯5 活動制限、 視覚障害に続発する日常生活活動の遂行不能に関連した家事家政障 害リスク状態
  • ♯6 視力障害、転倒、 落下に対する恐怖に関連した孤独感リスク状態

白内障で考えられる共同問題

♯1.出血

 
 以上になります!

いかがでしたでしょうか。

 

おわりに

 白内障は感覚器の疾患で、転倒リスク、外傷リスク、術後の管理不足による非効果的治療計画管理、疼痛や感染リスクなど、実は考えられる看護問題がとても多いんですね。

 手術に対する不安も強くなりやすいので、術前から術後・退院後まで、患者様が安心して過ごせるように看護をしていきましょう!

 

おわり

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下肢静脈瘤の看護計画【術後の看護・病態・症状・種類・治療】

みなさんこんにちは。訪問看護師の栗鈴です。

今回のテーマは、『下肢静脈瘤の看護計画【術後の看護・病態・症状・種類・治療】 』です。宜しくお願い致します。

 

 

 

はじめに

働き盛りの中年男性や、子育てに忙しいお母さん、保育士さんなどに多いかな?

ありがちな病態だからほっといても大丈夫かな?と思うかもしれませんが、そんなことはありませんよ~。軽いうちは平気なこともありますが、ひどくなると結構痛いんです。状態によっては手術した方がいいこともあるので、適当にほっとかずに気をつけて観察していきましょうっ!

というわけで、やってきましょう~

家事、育児、立ち仕事…女性に起こりやすいのが特徴です。

下肢静脈瘤

【下肢静脈瘤の概念】

下肢静脈瘤とは、足にある静脈に血が溜まり、 血管が怒張し、外見的にこぶ(瘤)のようになった状態をいう。


【下肢静脈瘤の病態生理】

足の静脈血管内には、 重力に逆らって血液を運ぶために必要な機能をはたす静脈弁と呼ばれる血液の逆流を防止する弁(逆流防止弁)がある。

この逆流防止弁は、下肢静脈瘤の要因の立ち仕事妊娠出産といった、さまざまな理由によって、壊れたり、うまく閉じなくなってしまうことがある。

弁が壊れると、血液の逆流が起こり、 正常に血液を心臓へ運ぶ事ができなくなってしまう。

更に、この弁は一度壊れると、二度と修復はしない

 


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https://goo.gl/images/tt3vLB

 

足の静脈には、

足の筋肉内にある深部静脈と、 筋肉と皮膚の間にある表在静脈に大別される。

表在静脈は、 皮下の血液を深部静脈に運び、深部静脈は、血液を心臓に返す役割をはたす。それら静脈は静脈弁が多数存在し、深部の血液が表在静脈に逆流しないようになっているが、 様々な要因により静脈弁が壊れ、血液の逆流により下肢静脈瘤が発生するのである。

 

【下肢静脈瘤の症状】

  1. 下肢重量感
  2. 疼痛(立位時緊満感)
  3. 浮腫
  4. 夜間痙攣
  5. 色素沈着
  6. 難治性潰瘍

【下肢静脈瘤の診断】

※下肢静脈瘤の種類

伏在静脈瘤:足の付け根から太もも、 膝窩に多くみられる伏在静脈と呼ばれる太い血管がボコボコと蛇行したように浮き出た状態になる静脈瘤。最も多いタイプ。


側枝静脈瘤:太もも・ すねやふくらはぎに多くみられる伏在静脈瘤より、やや細い血管が浮 き出た状態になる静脈瘤。血管の瘤は比較的小さいことが多いが、 場所によっては大きく目立つこともある。


網目状静脈瘤:細い血管が網目状になった静脈瘤。直径2~ 3ミリの静脈が拡張し、皮膚の上からはっきり見える状態になったもの。特に膝窩に出来やすい特徴がある。


クモの巣状静脈瘤: 赤紫色の細い血管がクモの巣の様に見えることがらこの名が付いた 。皮下直径1ミリ以下のごく細い血管に起こる静脈瘤。


 
【下肢静脈瘤の治療】

硬化療法
静脈血管内に硬化剤と呼ばれる薬液を注入して血管を閉塞させ、 静脈瘤を消失させる方法。手術のような傷は残らず、体への負担も少ない。クモの巣状静脈瘤など、比較的細い静脈瘤に対して有効な治療法であ る。


高位結紮術
弁不全のある静脈と深部の静脈の合流する部位を糸で縛って血液を流れなくするようにし、血液の逆流をくいとめる方法。 高位結紮術だけでは再発率が高いため、 多くは硬化療法と併用される。


圧迫療法(保存療法)
伸縮性の強い医療用の弾性ストッキングを履く事で拡張した血管を圧迫して下肢に血液が溜まることを防ぐ方法。弾性ストッキングで足を圧迫する事で静脈内の余分な血液は減り、 深部静脈への流れは促進される。下肢全体の血液循環が改善され、だるさや足がつるなどの症状は緩和される。但し、 下肢静脈瘤の進行防止、現状維持が目的となるため、 この方法で下肢静脈瘤そのものが治るわけではない。手術が出来ない状態(妊娠中、仕事都合) のときや手術後早期にこの方法をとる。


下肢静脈瘤術後における看護問題

♯1手術侵襲による創部感染

 

下肢静脈瘤の看護目標

感染徴候がない

 

下肢静脈瘤の観察計画

O:創部の観察(発赤、腫脹、疼痛、浸出液の性状・量)
O:随伴症状(発熱・頭痛・倦怠感)の有無
O:抗生剤の種類・量の把握

 

下肢静脈瘤のケア計画

T:創部の保清と保護に努める
E:異常の出現に気づいたらそれらの報告が正確に行えるよう指導する

 

下肢静脈瘤の教育計画

E:退院後の創部処置について指導する


【下肢静脈瘤の考えられる看護診断名候補と共同問題】

1.感染リスク状態

 

以上!いかがでしたでしょうか。

 

おわりに

繰り返しになりますが、下肢静脈瘤は、足の見た目が変わってしまったり、痛みが出たりする病態ですが、意外と放っておかれがちです。しかし、血管に直接障害を来している訳なので、決して甘く見ていいなんてことはありません。ちょっとでも足の見た目の変化に気がついたら、医師に相談しましょうね~!

 

おしまい!皆様のご意見をお待ちしております!

 

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