私が配属している腎臓内科病棟は、7割くらいが腎臓内科の患者さまです(・∀・)
もう3割が総合内科(総合診療科ともいう)や内分泌科(糖尿病とか)や膠原病科(関節リウマチとか)など、内科の患者さまが入院しています。
腎臓内科の患者さまは、どんな病気の方が多いかといいますと、
大体は、
『慢性腎不全』
『ネフローゼ症候群』
『慢性糸球体腎炎』
の診断名で入院してくることがほとんどです。
今回はその中で、
『ネフローゼ症候群』
について勉強したことをざっくりとまとめてみたいと思います!(>ω<)
- ・ネフローゼ症候群とはなに?
- ・糸球体とはなに?
- ・蛋白尿とはなに?
- ・低蛋白血症ってなに?
- ・浮腫ってなに?
- ・肺水腫ってなに?
- ・低酸素血症ってなに?
- ・『RRA系』ってなに?(唐突ですが)
- ・レニンってなに?
- ・アンジオテンシンⅠってなに?
- ・アンジオテンシンⅡってなに?
- ・アルドステロンってなに?
- ・脂質異常症ってなに?
・ネフローゼ症候群とはなに?

ネフローゼ症候群は、何らかの原因(不明であることも結構多い)で、糸球体の機能が悪くなる病気です。
・糸球体とはなに?
腎臓内にある血液を濾過して原尿を作る部位のことです。糸球体の機能が悪くなると、尿中に蛋白質を通過させてしまうことがあり、この時に蛋白尿が生じます。
・蛋白尿とはなに?
尿蛋白の排泄量が増加した状態のこと(150mg/日以上)。
本来、蛋白質は分子量が大きいため、血液から尿中に出ていくことはほとんど無く、ごくわずかというのが普通です。
蛋白質が尿中に排出されると、血液内の蛋白質が減少することで、低蛋白血症になります。
・低蛋白血症ってなに?
血中にある蛋白質が普通よりも少ない状態であること。(血清総蛋白が6.0g/dl以下、血清アルブミンが3.0g/dl以下)
血中の蛋白質およびアルブミン(蛋白質の一種で、血中の蛋白質の大部分を占めている)は血液の浸透圧の調整に大きく関わっています。
低蛋白血症になると、血液の浸透圧を維持できなくなります。
すると、血液の水分が、間質とよばれる身体の中の隙間に漏れ出してしまい、むくみ(浮腫)を引き起こします。
・浮腫ってなに?
間質に体液が過剰に増加した状態のこと。
浮腫が重度になると、体の外にまで水分が漏れ出してしまい、皮膚から浸出液が出ることもあります。
特にこわいのは、肺の血管から肺の内側へと水分が漏れ出してしまい、ガス交換が障害される『肺水腫』を引き起こすことです。
・肺水腫ってなに?
肺水腫が生じると、呼吸困難や酸素飽和度(Spo2)が低下し、低酸素血症を起こします。
・低酸素血症ってなに?
低酸素血症が改善されない状態が続くと、各種臓器や脳を循環する血液内の赤血球中のヘモグロビンが酸素を運搬できず、栄養の供給が行き届かなくなります。
すると、ショック状態や意識レベル低下、多臓器不全に陥り、心停止および死亡につながります。
・『RRA系』ってなに?(唐突ですが)
浮腫が生じると、体を循環する血液の量は減少しますが、その際体内では、血液減少による血圧低下を防ぐためにレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAA系)という血圧を維持するシステムのスイッチが入ります。
・レニンってなに?
腎臓への血液流入の減少を腎臓が感知すると、腎臓がレニンというホルモンの分泌を増やします。
レニンは、肝臓で合成されたアンジオテンシノゲンを、アンジオテンシンⅠに変化させます。
・アンジオテンシンⅠってなに?
アンジオテンシンⅠは、アンジオテンシン変換酵素(ACE:肺で多く分泌される)の作用により、アンジオテンシンⅡに変化します。
・アンジオテンシンⅡってなに?
アンジオテンシンⅡは、全身の血管を素早く収縮させ、血圧低下を防ぐ働きをします。
また、アンジオテンシンⅡは副腎にあるアルドステロンの分泌を促進します。
・アルドステロンってなに?
アルドステロンは、腎臓の集合管に作用し、ナトリウムの再吸収を促すことで、二次的に水の再吸収を促します。
この時、体の水分が体外に出にくくなります。そうすると、さらに浮腫が増強されるのです。
・脂質異常症ってなに?
血中のLDLコレステロールが高い状態のこと(120mg/dl以上くらい)。
低蛋白血症で血液中のアルブミンが減少すると、生体は肝臓でのアルブミンの合成を増大させます。
それに伴い低比重リポ蛋白(LDLコレステロール)の合成も同時に増加します。
そのため脂質異常症を呈するといわれています。脂質異常症は動脈硬化および血栓症・塞栓症のリスクを高めるといわれています。
とまあ、こんなとこでしょうか(^O^)
今回勉強してみて、おしっこに蛋白質が異常に漏れるだけで、かなり悪い症状が体に起きるというのがわかりました(¯―¯٥)。
私も日頃から自分のおしっこに蛋白尿が出ていないか、尿がブクブクと泡立ったりしていないか注意したいです(^o^)。
ただ蛋白尿にも、今回のような『腎性』の蛋白尿だけでなく、腎臓以外が原因の蛋白尿(腎前性蛋白尿、腎後性蛋白尿、生理的蛋白尿)があります(・∀・)。
そのうちまとめて勉強したいと思います!
ご覧になっている皆さま、最後までご覧頂いてありがとうございました!
ご意見などあれば、お気軽にコメントをいただければと思います。