栗看

~くりかん~

【ステロイド】プレドニゾロンの作用・副作用について解説!

こんにちは、栗鈴です。
今回の記事は、『【ステロイド】プレドニゾロンの作用・副作用について解説!』 です。
よろしくお願いします。
 

はじめに

ネフローゼ症候群、糸球体腎炎、関節リウマチ、間質性肺炎、気管支喘息…
炎症性の慢性疾患の治療にかかせないお薬、それは何でしょうか?
 
ステロイド薬です。

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これはプレドニゾロン錠5mg。ネフローゼ症候群の治療のために、たくさんの量を内服されている患者様がいます。
 
どの病院でも、ステロイド薬の内服や注射をされている患者さまは、かなり多いかと思われます。
 
多くの患者様さまに使われているからこそ、ステロイドによる副作用への注意は怠らないようにしたいですね。
 
というわけで、今回はステロイド薬について勉強をしていきたいと思います(・∀・)
 

 

ステロイドはホルモンです

ステロイドとひとことに言いますが、もう少し詳しく言うと、「副腎皮質ステロイドホルモン」という言い方になります。
文字通り、副腎皮質でつくられるホルモンなんですね。
 

ステロイドの種類

副腎皮質ステロイドホルモンには2種類あります。
 
ひとつは、糖質や蛋白質の代謝に関わる
糖質コルチコイド
 
もうひとつは、ナトリウムの再吸収やカリウムの排泄など、電解質に関わる
鉱質コルチコイド」です。
 
このうち、抗炎症・免疫抑制作用を利用した治療が期待できるのは、
「糖質コルチコイド」です。
 
 
糖質コルチコイドの薬には、いくつか種類があります。
よく使われているのは、
 
プレドニゾロン製剤(プレドニゾロン)」と、
 
メチルプレドニゾロン製剤(ソル・メルコートなど)」が
 
私の経験ではほとんどですね。
 

プレドニゾロンとメチルプレドニゾロン 

どちらも効果は同じです。
ですが、メチルプレドニゾロンの方がプレドニゾロンよりも抗炎症作用と免疫抑制作用が少し強いです。(プレドニゾロンの効果を1とすると、メチルプレドニゾロンの効果は1.25くらい)
 
メチルプレドニゾロンは、主に「ステロイドパルス療法」の時に点滴として使用されます。
 
プレドニゾロンの内服だけでは治療効果が足りない時に、3日間位の短期間で使用されます。
 
効果は同様なので、今回はプレドニゾロン製剤を主として勉強していきます。
 
繰り返しになりますが、プレドニゾロンは、治療効果が高いお薬です。
 
そのぶん副作用の発生率も高いので、副作用に対する注意は本当に気をつけないといけないです。
 
副作用の中には、生命の危機に関わるものもあります…
 

プレドニゾロンの作用・副作用f:id:aiko-and-sibajyun:20160614110152j:image

表と、これから紹介する作用は順不同ですので、参考までにみてください
 

① 鉱質代謝作用(こうしつたいしゃさよう)

 鉱質コルチコイドは、鉱質代謝作用(ナトリウムなどのミネラルを調節する作用)を持っています。

 

じつは糖質コルチコイドも同様にこの作用を持っています。

 

鉱質代謝作用は、副腎皮質で分泌されるアルドステロンのように、ナトリウムが尿の中に排出されるのを抑えます。

 

そして、カリウムが尿の中に排出されるのを促します。

 

また、尿をつくる過程の最終地点である集合管における水の再吸収を促すことで、尿量を減らします。

 
こうした作用により、身体はナトリウム値上昇、カリウム値減少の傾向になります。
 
尿量が減り身体の体液量が増加することで、浮腫が悪化するリスクを生じます。
 
また、カリウムの排泄が多すぎて低カリウム血症を起こすリスクを生じます。
 
 ただし、プレドニゾロンに関しては、この鉱質代謝作用は起きにくいといわれています。
 
浮腫の程度や体重の増減に注意し、こまめに観察していきましょう!
 

 ②糖新生作用(とうしんせいさよう)

蛋白質は、胃で消化されてアミノ酸になり、門脈を通って肝臓に運ばれます。

 

プレドニゾロンは、肝臓に運ばれたアミノ酸を分解して糖を産生する働きを促します。

 

さらにインスリンの分泌を抑制します。

それによって、末梢組織(骨格筋や皮膚細胞)での糖の利用が抑制され、血糖値が高くなります。

 
大きく血糖上昇は起こらないこともあります。
 
 
ですが、糖尿病の既往がある場合は、血糖値のコントロールが悪化するリスクを生じます。
 
プレドニゾロンの内服が始まると、血糖測定を食前・眠前に行うように医師から指示が出されることが多いと思います。この作用のためです。
 
血糖値が上がることによる合併症のリスクは様々なものがあり、いずれも予後に悪影響を与えます。
 

③脂肪異化作用(しぼういかさよう)

普段から肝臓は、肝臓に貯留されているブドウ糖やアミノ酸、脂肪を利用して、コレステロールの合成を行っています。

 

プレドニゾロンは、この働きを促進します。

  

血中のコレステロールが増加することで、脂質異常症が起こりやすくなります。

 
満月様顔貌(俗に言うムーンフェイス:顔がパンパンになる)や肥満が起こりやすくなります。
 

④免疫抑制作用(めんえきよくせいさよう)

 免疫作用の主役であるリンパ球(T細胞、B細胞)の機能を抑制します。

 また、抗体の産生や細胞性免疫を抑制します。

 
自己免疫疾患への治療に有用な作用です。
 
 
しかし、免疫を抑える都合で、感染症にかかりやすくなるリスクを生じます。
 
 
 プレドニゾロンによる二次感染のリスクは、看護師の観察が特に求められるところでもありますね。
 
要注意です。
 

⑤骨新生抑制作用(こつしんせいよくせいさよう)

腸管からのカルシウムの吸収を抑制します。

 

骨粗鬆症のリスクを高めます。

 
腎不全の患者さまは、ビタミンDを体内で合成する機能が低下しています。
 
そのため、なおさらに骨粗鬆症になりやすいです。
 
さらに、高齢や蛋白質制限などの要因が重なります。
 
転倒・骨折に細心の注意が必要ですね
 

⑥利尿作用(りにょうさよう)

①の鉱質代謝作用とは逆になるのですが、プレドニゾロンには利尿作用があります。

鉱質代謝作用→抗利尿作用→循環血液量増加→血圧上昇・腎血流量増加→尿量増加という機序になります。

 
身体がホメオスタシスを保持しようとする働きなんですね。
 
ただし、鉱質代謝作用に拮抗するようにして起こる作用のため、頻度は少ないようです。
 
もともとプレドニゾロンは鉱質代謝作用は起きにくいとされていますので、利尿作用に関しても大きく作用が起きることは少ないようです。
 

⑦抗アレルギー作用・抗炎症作用

炎症を引き起こす体の防御反応を抑制します。

 

また、サイトカインの合成を抑制することで、発熱、腫脹などを弱めて炎症を抑えます。

 

この作用により、ステロイド薬は炎症を起こす様々な病気に使用され続けているんですね。
 
ただし、この作用により発熱・悪寒・疼痛などの感染兆候がみられにくくなります。
 
身体所見をとる時には注意深く観察するようにしましょう。思わぬ小さな傷から感染を起こすかもしれません…
 

⑧肉芽形成を抑制する作用

 
②の糖新生作用で、蛋白質が代謝・分解されます。
 
すると、皮膚組織の修復や創傷の治癒が遅れます。
 
また、傷の治りが遅い分、創傷から細菌の侵入が起きるリスクが高まるため、感染症を起こしします。
 

⑨消化性潰瘍のリスク上昇

 
大脳皮質に作用して、食欲増進作用が起こります。
 
 
大脳皮質→延髄→副交感神経→胃粘膜を経由し、胃酸やペプシンの分泌を亢進させます。
 
また、胃粘膜を保護するムチンの減少を起こします。
 
これらの作用により、消化性潰瘍を起こりやすい環境をつくります。
 
消化性潰瘍の発症の危険因子には、
ヘリコバクター・ピロリ菌の存在、カロナールなどのNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)、感染症などがあります。
 
これらの因子がある患者さまは、特に注意して観察を行うようにした方がいいですね。
 

⑩筋力低下・皮膚の菲薄化(ひはくか)を起こす作用

 ②⑧と同様の機序で、骨・皮膚・筋肉などに貯蔵されている蛋白質が代謝・分解されやすくなります。
 
それにより、筋力低下や筋萎縮が起こしやすくなります。
 
皮膚も薄くなりやすくなります。
 
ステロイドを内服している患者さまは、表皮剥離や褥創が起きやすかったり、採血の痕が残りやすかったりすることが多いですね。
 
患者さまの身体に触れる際は気をつけましょう。
 

⑪脳浮腫の改善

 
 ⑦の抗アレルギー作用・抗炎症作用により、炎症による毛細血管の透過性が抑えられます。
 
血管から間質に、血中の水分が漏れにくくなります。
 
この作用により、毛細血管の多い部位での浮腫を改善させる作用があります。
 
毛細血管の多い箇所には、脳、眼、手足の指先などがあります。
 
特に、脳腫瘍の患者さまに生じる脳浮腫の改善のために、この作用が利用されているようです。
 

⑫ショックの改善

 
 ショック状態(急激に血圧低下が起きた状態)による循環不全に伴って、急性副腎不全が起こることがあります。
 
急性副腎不全を起こしている患者さまは、昇圧目的に昇圧剤(ノルアドレナリン)を投与しても反応が起こりにくいことがあるようです。
 
プレドニゾロンは副腎不全の改善作用があります。
 
副腎不全の改善作用により、ノルアドレナリンに対する反応を高めることで、ノルアドレナリンに反応しにくい低血圧を回復させます。
 
したがって、ショック状態を改善させることにつながります。
 
ただし、実際の臨床ではプレドニゾロンよりも、糖質コルチコイドの別の種類である「コルチゾン(コートリル)」「ヒドロコルチゾン(ソル・コーテフ、ハイドロコートン)」製剤のほうが抗ショックに優れています。
 
目的をもって使われる場合は、こちらの方が優先されるでしょう。
 

⑬ステロイド中止時の離脱症候群(りだつしょうこうぐん):副腎クリーゼ

 
生体で分泌されるステロイドは、
 
『間脳』から分泌される
「副腎皮質刺激ホルモン放出因子」の作用により
『脳下垂体』から
「副腎皮質刺激ホルモン」が分泌され
これが副腎皮質を刺激して、ステロイドを分泌させます。
 
副腎皮質ホルモン放出因子と副腎皮質刺激ホルモンは、血中のステロイドの量によって反比例するように調節されています。
 
ですので、ステロイド内服中はステロイド分泌を促すホルモンが分泌されにくくなっています。
 
そのため、急にステロイドの内服を中止してしまうと、「ステロイド離脱症候群」とよばれる急性副腎機能不全(副腎クリーゼ)の症状が起こります。
 

副腎クリーゼの症状:

  1. 倦怠感
  2. 食欲不振
  3. 脱力感
  4. 腹部症状
  5. 発熱
  6. 血圧低下
  7. 意識障害
  8. 呼吸困難
…と徐々に重い症状に進行していきます。
 
治療が遅れると生命を脅かすこともあります。
おそらくこれが一番恐ろしい副作用です!
 
どれだけ治療に理解のある患者さまであっても、プレドニゾロンは必ず看護師で管理をさせて頂いた方がいいと思います。
 
飲み忘れたり、内服量をまちがえると大変なことになるからです。
 
 
以上になります1
 

おわりに

長文お疲れさまでした。
 
副作用がいっぱいありますが、ステロイドのパワーと恐ろしさについてしっかりと理解できるようになれたらなと思います。
 
みなさんのご意見をお待ちしています!