腎生検の適応と禁忌についてご説明します!
簡潔にまとめましたので、さくっとご確認ください!
腎生検の適応を知っておくと、今後の治療や経過の見立てまで、イメージすることができるようになってきますよ!
経皮的腎生検の適応
腎生検は侵襲的な検査であるため、適応を十分に検討する必要があります。
長期の糖尿病患者で糖尿病性腎症が明らかな場合や、腎萎縮を認めるような進行した腎不全では、腎生検を行っても治療方針の決定に関わる情報が得られないため、原則的に適応外となります。
小児など、体位保持が困難な場合も腎生検は行いません。
1.検尿異常での適応
- タンパク尿がある(タンパク尿が300~500mg/日以上)
- 血尿がある(高度の尿潜血ではIgA腎症が疑われる。)
- 血尿+タンパク尿がある(タンパク尿が300~500mg/日以上。糸球体疾患の可能性が高いため、より積極的な適応となる。)
2.検尿異常以外での適応
- ネフローゼ症候群(成人ではほぼ全例が適応となる。小児ではステロイド抵抗性や頻回再発型で適応となる。)
- 急性の腎機能障害(急速進行性腎炎症候群、急性尿細管間質性腎炎、血管炎などが疑われる。)
- 全身性疾患に伴う腎障害(紫斑病性腎炎、SLEなどの膠原病、全身性アミロイドーシス、多発性骨髄腫など)
- 移植腎(腎移植手術時、移植後定期検査、移植腎機能低下時)
3.社会的適応(稀にある)
- 本人の希望
- 就職時
- 女性の結婚(妊娠の可否)
- 小児の安静度決定
禁忌となる病態
抗凝固薬・抗血小板薬などの出血や凝固に影響する薬剤を内服している場合、腎生検施行の1~2週間前に内服を中止する方法がとられています。
また、これらの薬剤を中止することで生じるデメリットと、腎生検時により確定診断が得られるメリットを十分に検討する必要があります。
- 片腎(機能的片腎を含む)
- 出血傾向(抗凝固薬や抗血小板薬などの内服)
- 慢性腎不全(一概には禁忌と言えない場合もある。治療方針の判断などのメリットが少ない)
- 水腎症(腎移植による確定診断は不適切)
- 尿路感染症(感染症の増悪につながる)
- 嚢胞腎(状態悪化につながる)
- 妊娠(腹臥位の困難 言わずもがな)
- 呼吸障害(腹臥位の困難 状態悪化につながる)
- 心不全(同上)
- 重症低血圧(同上) など…
以上になります!
検査の適応をしっかり理解して、知識を臨床で役立てていきましょう!(*^o^*)