皆様こんにちは、栗鈴です。
どうもお疲れさまです!
今回の記事は『【救急カート】アドレナリンの使用方法』です。
宜しくお願い致します。
はじめに
この記事を書いている間に正月を迎えました。あけましておめでとうございます。みなさん正月はどのようにお過ごしになったのでしょうか…
私は幸いにも夜勤明けでして、午前から今まで気ままに過ごすことが出来ました。
実家に帰って雑煮を食ったり…
神社で交通安全のお守りを買い直し…
正月から3日までの三が日だけでも、病棟が穏やかでありますように…
とお願いをしてきました。
正月は、必ず正月『ならでは』の患者さまが入院してきます…わりと大変なんですよね(>_<)
みなさんも、くれぐれも
食べ過ぎや飲み過ぎ、餅の詰まらせなどにご注意ください!(・_・;)
とまあこんな感じで
まだまだ小さなブログですが…
今年も『栗看』をよろしくお願いいたします!(^∇^)
今回は、救急カートシリーズ第2弾です!
いきなりですがみなさんにクイズ!
確実に救急カートに入っている薬剤であり、使用頻度がダントツで多い薬があります。
それはなんでしょうか!(^∇^)
火事場の馬鹿力が出るときに、体中にほとばしる例のアレですね…
答え↓
そうです。
アドレナリン ですね!
(タイトルでバれてますね笑)
ということで。
今回はアドレナリンについて詳しく解説したいと思います。ぜひこの記事を読んでいただいて、いざ!というときにサッとアドレナリンを使えるようになってください!!(^∇^)
アドレナリン(エピネフリン)
アドレナリンとは
アドレナリンとは、生理学的にいいますと副腎髄質より分泌されるホルモンであります。
また、カテコールアミンとよばれるホルモンの1つであります。
カテコールアミンは、アドレナリンの他にも、
- ドパミン
- ドブタミン
- ドカルパミン
- ノルアドレナリン
- イソプレナリン
などがありますが、
いずれも血圧上昇の作用を有しています。
したがって、
アドレナリンは、臨床では主にショックなどの血圧低下の際に使用されています。
キレた若者にも多く分泌されている。
血圧上昇のしくみ
人間の体内には、カテコールアミンによる刺激に対し2種類の受容体をもっています。
α受容体(α1とα2)とβ受容体(β1とβ2)です。
カテコールアミンによりα受容体が刺激を受けると、血管平滑筋の収縮作用が起こり、β受容体が刺激を受けると心臓における心筋の収縮力が増加します。
それにより血圧上昇を含む以下の効果が生じます。
α受容体が刺激されると:血管平滑筋の収縮β受容体が刺激されると:心筋の収縮力の増加α受容体:血管収縮、子宮収縮、インスリン分泌抑制β受容体:心拍数増加、心筋収縮力増加、脂肪分解促進、腸管弛緩
実際のところはもう少し作用が複雑なのですが、ひとまずカテコールアミンがα受容体とβ受容体を刺激して血管を収縮することで血圧が上がるんだなという認識でOKだと思います。
アドレナリンの別名
アドレナリンは医学的には『エピネフリン』という名称でよばれることが多いですが、内容は全く同じになります。
さらに、製薬会社によってはアドレナリンには品名がついています。
『ボスミン』(第一三共製薬)
『アドレナリン』(テルモ)
『エピペン』(マイラン)
などがあります。
救急カートにあるアドレナリンは『心停止時』に使用される
アドレナリンには血圧上昇作用があり、ショックや急性低血圧の治療に使用することが出来ることをお伝えしました。
ただし、救急カートにあるアドレナリンの場合は、ある1つの状態の時のためにほとんど使用されています。
ズバリ『心停止』です。
厳密に言いますと、
- 意識がない
- 呼吸がない
- 脈拍が触知できない
以上の3点を満たした状態のことを指します。
救急カートにあるアドレナリンは、
主に心停止時の心拍再開を目的として行う心肺蘇生法における治療の補助として使用されています。
救急カートのアドレナリンは、ACLSのアルゴリズムとして使用される
アドレナリンは、心肺蘇生法であるACLS(二次心肺蘇生法)の治療アルゴリズムの中に組み込まれています。
AHA(アメリカ心臓協会)によるACLSアルゴリズム(下記の図はPEAのパターン)
リンク元
心停止には、4つの病態があり、病態によってACLSの治療のアルゴリズムが微妙に異なってきます。
- 心室細動(VF)
- 無脈性心室頻拍(VT)
- 心静止(ASYSTOL:エイシストール)
- 無脈性電気活動(PEA)
アドレナリンは、
この4パターンいずれに対しても第1選択として長く使用されています。
ですので、いずれのパターンであっても使用方法や使用のタイミングに変化はありません。
心停止時のアドレナリンの使用方法
心停止時に、
静脈ラインを確保した後、
3分から5分おき(間をとって4分ごとに行うことが多い)に1mgを繰り返し投与します。
アドレナリンは、
アドレナリン注0.1%(1ml/1mg)が使用されることが大半かと思いますので、その場合は1回につき1アンプル使用という流れになりますね。
アドレナリンのその他の用途
アドレナリンは心停止時や低血圧・ショック時だけでなく、気管支喘息発作時の気管支拡張薬としても用いられています。
さきほどお伝えしたカテコールアミンの受容体の一つであるβ受容体のうち、β2受容体が刺激を受けると 、気管支拡張の作用が起こるためです。
アドレナリンによる副作用
アドレナリンによる作用が有害に働くこともあります。
以下のような症状が起こることがあります。
- 心悸亢進(心筋収縮力増加による)
- 不整脈(心拍数増加による)
- 頭痛(血圧上昇に伴う脳圧上昇による)
- 高血圧(昇圧による)
- 発疹(アレルギー反応による)
投与時は、緊急状態であることが多く、副作用など気にしてられないと言うときもあると思いますが、薬理作用として副作用を知っておくことは役に立つことだと思いますので、余裕があれば覚えておくと良いと思います(幸い、作用が分かりやすいので結構覚えやすいとおもいます)
以上なります!
いかがしたでしょうか。
おわりに
急変は普段はなかなか起こらないイベントなので、つい勉強をほったらかしにしがちです。でも、いざ!というときに使用方法がわかっていないと、その時になったときに本当に後悔します…
プロとして患者さまの命を助けられるように、救急カートにある薬剤の知識はしっかり習得し、実際に使用できるようになって欲しいと思います!(^∇^)
おわり!ご意見をお待ちしています。