栗看

~くりかん~

大腿骨頸部骨折・転子部骨折の看護計画の例(OP・TP・EP)【これでばっちり】

こんにちは、栗鈴です。

今回は、『大腿骨頸部骨折・転子部骨折の看護計画の例(OP・TP・EP)【これでばっちり】』になります。

よろしくお願いします。

 

はじめに

 骨折は、高齢者が転倒することにより発生しやすい外傷です!したがって、転倒を予防することが最も大切です。

 それでも、どれだけ対策をしても突然に転倒が起こって骨折してしまう…そうした例は、残念ながらとても多いです。

 突然に起こることで、身体的苦痛だけでなく心理的なショックも大きくなりやすいです。治療中のせん妄なども起こりやすいため、精神的な支援が大切です。

 身体面だけのケアにとどまらず、精神面・社会面も十分にケアできるように、しっかり勉強しておきましょう!

 それでは、やっていきます。

高齢者に多い骨折で、入院中にも起こりうるので要注意!!

 

大腿骨頸部骨折・転子部骨折の病態生理

  • 大腿骨頸部骨折大腿骨の近位部、骨頭下から小転子付近までの間の骨折を指す。
  • 従来、頸部内側骨折といわれた関節包内の骨折を現在は狭義の頸部骨折とよび、頸部外側骨折は転子部骨折とよぶようになった。
  • 少し遠位部である小転子下方での骨折を転子下骨折とよぶ。
  • 頸部(内側)骨折では骨頭を栄養する血管が損傷されている可能性があり、外傷性の大腿骨頭壊死を起こすことがある。

大腿骨頸部骨折・転子部骨折の病因・増悪因子

  • 受傷原因は転倒によるものが多い。
  • 若年者でも高所からの転落や交通外傷でこの部位の骨折を生じうるが、多くは骨粗鬆症で骨が脆くなっている高齢者にみられ、軽く尻もちをついた程度の弱い外力でも骨折を起こす。

大腿骨頸部骨折・転子部骨折の疫学・予後

  • 65歳以上の高齢者に多い。
  • 高齢者が歩行能力を失い、寝たきり状態となる原因として脳血管障害とならんで頻度が高い。
  • 早期手術、早期リハビリテーションにより歩行能力の回復が得られるが、受賞前に比べると歩行能力が低下してしまう者が多い。
  • 頸部(内側)骨折では骨癒合が得られても、受傷後、半年から2年程度の間に大腿骨頭壊死により、疼痛を生じることがある。

大腿骨頸部骨折・転子部骨折の症状

  • 下肢の付け根や臀部の疼痛が主訴である。
  • 転倒後、骨折部の転位が大きいと、疼痛も強く、下肢を動かすことができない。
  • 骨折部なずれが少ない場合、とくに内側骨折では痛いながらも歩行可能なこともある。
  • 疼痛が軽度でも鼠径部や臀部に1週間以上限局した疼痛が続く場合は、骨折を疑うべきである。
  • 認知症が重度の場合、はっきりした疼痛を訴えないこともあるが、転倒前に歩くことのできた人が、急に荷重困難で歩行不能となった場合は、骨折の可能性を常に考える必要がある。

大腿骨頸部骨折・転子部骨折の診断

  • 診断は単純X線撮影(レントゲン)検査によりつくことが多い。
  • 転位がほとんどないものでは、単純X線画像だけでは診断が難しいこともある。そのような場合はCTやMRIにより骨折の有無を診断する。
  • 画像で確定診断できないが限局した疼痛が続く場合は、1週間後にX線を再撮影すると骨折が明らかになることもある。
  • 血液検査などでは異常はない。

大腿骨頸部骨折・転子部骨折の合併症

  • 骨折の治療中に様々な合併症を起こしうる。
  • とくに臥床期間が長くなると、肺炎、尿路感染症、褥瘡、関節拘縮、筋萎縮などのいわゆる廃用症候群をきたす。
  • 外傷性大腿骨頭壊死や、骨癒合がうまくいかず偽関節が生じることもある。

大腿骨頸部骨折・転子部骨折の治療法

  • 治療は早期離床・早期歩行訓練を可能とするため手術的治療が原則である。
  • 全身状態が悪く、手術に耐えられないもの、不全骨折で比較的早期に離床が可能なものは保存的治療の対象となる。
  • 高齢であればあるほど、または受傷前の歩行能力の低いものほど手術を行い早期に歩行訓練を開始しないと、歩行不能に陥る危険性が高い。
  • 保存的治療とは、骨癒合が得られるまで床上安静とし、下肢をスピードトラックや鋼線牽引にて持続牽引して、骨癒合を待つものである。
  • 骨折のタイプにもよるが、離床が可能となるには、骨折部の転位のほとんどないものでは1か月、転位がみられるものでは2か月近くかかるので、長期臥床が必要となる。
  • 観血的治療(手術)は骨折部位、骨折型に応じて手術法が決まる。原則は早期離床、早期荷重を可能とするような手術法を選択することである。
  • 手術は受傷後できるだけ早く行い、術後のベッド上安静期間も短くする。粉砕骨折など手術による強固な固定が困難な場合を除き、離床は2、3日で可能である。臥床期間は手術前後とも1日でも少なくすることが重要である。
  • 頸部骨折(内側骨折)で転位がみられない骨折にはハンソンピン固定術が選択される。
  • 頸部骨折(内側骨折)で転位がみられる骨折には人工骨頭置換術が選択される。
  • 転子部骨折(外側骨折)にはコンプレッションヒップスクリュー(CHS)固定法ガンマーネイル手術が選択される。

大腿骨頸部骨折・転子部骨折の看護問題の例

#1 疼痛により安楽が得られない

#2 突然の環境の変化、体動不能、床上安静によるせん妄発症のおそれ

#3 手術への不安がある

#4 疼痛、床上安静により自力で清潔行動をとることが出来ない

#5 機能回復に応じた安全な移動手段を獲得する必要がある

#6 同一体位による褥瘡のおそれ

 

#1 疼痛により安楽が得られない

看護診断

急性疼痛

診断指標

疼痛があることを表現する

睡眠障害

疼痛増強を避けるための運動低下

長期目標

日常生活への影響がないよう疼痛を管理できる

短期目標

鎮痛の希望を伝えることができる

観察計画(OP)

  • 疼痛の部位や程度
  • 睡眠時間、食事摂取量、表情
  • 鎮痛処置の効果と副作用

ケア計画(TP)

  • 薬物療法、肢位調整やクーリングを行う

教育計画(EP)

  • 疼痛増強時は、看護師に知らせるよう説明する

#2 突然の環境の変化、体動不能、床上安静によるせん妄発症のおそれ

看護診断

急性混乱リスク状態

リスク因子

睡眠覚醒周期の変動

高齢

疼痛

見当識障害

長期目標

せん妄が予防できる

短期目標

十分な時間の睡眠と熟眠感が得られる

観察計画(OP)

  • 表情や言動
  • 睡眠、食事、排泄の状況

ケア計画(TP)

  • 薬物療法、肢位調整、クーリング等で身体的苦痛を緩和する
  • 入院前の習慣などを活かした環境整備やケア計画を立てる
  • 家族の協力を得ながら、できるだけ落ち着ける環境を整備する

教育計画(EP)

  • 処置や日常生活援助の方法などについて、患者・家族にわかりやすく説明する

#3 手術への不安がある

看護診断

不安

診断指標

落ち着かない

不眠

食欲不振

混乱

長期目標

気持ちや欲求を家族や医療者に伝えることができる

短期目標

問題に対処しながら手術に臨むことができる

観察計画(OP)

  • 手術説明の理解の程度、表情や言動

ケア計画(TP)

  • 患者・家族の話を傾聴する

教育計画(EP)

  • 手術に関する前後の処置、手術までの流れなどについて、患者・家族にわかりやすく説明する

#4 疼痛、床上安静により自力で清潔行動をとることが出来ない

看護診断

入浴/清潔セルフケア不足

診断指標

浴室を利用できない

身体を洗うことができない

長期目標

全身の清潔を保持できる

短期目標

清潔保持のための援助を受けられる

安全な清潔行動を獲得することができる

観察計画(OP)

  • 皮膚症状
  • 清潔に関する習慣
  • 清潔に関連する上肢、姿勢保持、移動の機能

ケア計画(TP)

  • 清拭、部分洗浄、洗髪を計画的あるいは状況に応じて行う
  • 機能回復の状態に応じ、安全な方法で清潔ケアできるよう援助する

教育計画(EP)

  • 退院後の生活を想定し、安全に入浴(シャワー浴)できるよう、安全確認の方法(手すりをつかむタイミングや更衣時の姿勢など)を指導する

#5 機能回復に応じた安全な移動手段を獲得する必要がある

看護診断

非効果的治療計画管理リスク状態

リスク因子

知識不足

治療計画に対する不信

不十分な行動を起こすきっかけ

長期目標

機能を活かした安全な移動方法を獲得できる

短期目標

離床時に看護師に知らせることができる

機能回復に応じた移動訓練ができる

観察計画(OP)

  • 移動に関連する機能
  • 移動機能と援助の必要性への理解
  • 患部の症状

ケア計画(TP)

  • 環境を調整する
  • 患部の除痛、クーリングなどの対症療法を行う

教育計画(EP)

  • 機能回復の状態に応じ、安全な移動方法を指導する

#6 同一体位による褥瘡のおそれ

看護診断

皮膚統合性障害リスク状態

診断指標

皮膚の発赤

表皮剥離

長期目標

褥瘡を予防できる

短期目標

清潔ケアと除圧が行える

観察計画(OP)

  • 仙骨部、踵部、肩甲骨部など、骨突出部位の皮膚の発赤などの状況や痛みの部位
  • 栄養状態、体型、排泄方法

ケア計画(TP)

  • 受傷直後、床上安静開始時から積極的に除圧マットなどを用い、積極的に除圧する
  • 不用意におむつを着用せず湿潤環境をできるだけ作らない

教育計画(EP)

  • 床上安静中も健肢の膝を立てて、腰を少し上げる仙骨部の除圧方法を指導する

 

以上になります!

おわりに

骨折受傷直後は、患部の安静のためにセルフケア不足が起こります!また、疼痛のために十分な安楽が得られないため、苦痛の緩和と日常生活援助が必要です!周手術期は、身体的苦痛だけでなく、手術に対する不安や家族の心配で心理面の負担が高まるため、声かけや傾聴、家族への絶命や配慮がより重要になってきます。回復期は、治療過程に合わせて安全に移動するための方法やリハビリテーション、退院後の環境調整が大切です!ケースワーカー、ソーシャルワーカー、ケアマネージャー様とも連携し、安全な在宅生活が継続できるように、サービスの調整をしていきましょう!

参考文献

病期・病態・重症度からみた疾患別看護過程+病態関連図 1522‐1535P:編集 井上智子/佐藤千史:医学書院

 

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