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~くりかん~

嚥下困難(嚥下障害)の看護計画の例(OP・TP・EP)【これでばっちり】

こんにちは、栗鈴です。

今回の記事は『嚥下困難の看護計画の例(OP・TP・EP)【これでばっちり】』になります。

宜しくお願いいたします。

 

 

 

はじめに

「ものを飲み込む」という動作はとても自然な動作で、あまり意識して行われることはありません。

人の場合は、赤ちゃんがお母さんの乳首に口を当てて、母乳を飲み始めるところからスタートして、特に問題が無ければその時点でゴクゴクと母乳を飲むことが出来ます。

 食事は少し難易度が上がり、舌の動きや歯で噛むことが必要になってきます。

離乳食からスタートして、少しずつ大きいものや固いものを食べられるようになり、小学生くらいになれば、何でも食べられるようになります。

 「ものを飲み込む」というのは割と簡単そうですが、実際には動作を司っている筋肉と神経が絶妙に連携プレーで動くことで成り立っています。頭では簡単に思っていても、本当はめちゃくちゃ複雑な動作が行われているのです。そのため、筋肉と神経に問題が発生すれば、飲み込む動作は一気に難易度が上がり、難しくなってしまいます。そうして「誤嚥」が起こります。

 病院で看護をしていると、たくさんの「誤嚥性肺炎」の患者さまが入院したり、入院中に誤嚥性肺炎を発症するのを目の当たりにします。

嚥下が困難になり、肺炎になり、そのまま亡くなってしまう方はとても多く、看護師にとって嚥下困難をケアする能力は必須です。

しっかり勉強しておき、少しでも誤嚥や肺炎を減らせるように努めていきましょう!

 それでは、やっていきます。

嚥下をきちんとケアすることが、肺炎・窒息予防の第一歩です!

 

 

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嚥下困難の病態生理

  • 嚥下困難(嚥下障害)とは、食塊を口腔から胃へ送り込む一連の輸送動作の障害である。嚥下は多くの筋肉と神経が関与する複雑な協調運動であり、その中枢は延髄網様体に存在する。
  • 嚥下は、おおまかに以下の3相(口腔期、咽頭期、食道期)に分けられる。

口腔期

  • 随意運動であり、口腔から咽頭へ食塊を送り込む。

咽頭期

  • 反射による咽頭から食道入口部までの移動。
  • 咽頭腔は鼻腔、口腔、喉頭腔から遮断され、食道入口部のみが開大する。
  • 鼻へ食塊が逆流する場合は鼻咽喉閉鎖が不十分であることを考える。

食道期

  • 蠕動運動と重力による食道入口部から噴門までの移動。

嚥下困難の訴え方

  • 経口摂取における何らかの異常を訴える。ただし、脳梗塞や脳出血などの後遺症で訴えを表出することが困難な患者の場合、食事介助者などから嚥下障害を報告されることも多い。
主症状の訴え
  • 飲み込めない:「食塊や錠剤を飲み込めない」「のどに残る」など
  • 誤嚥:「飲み込むとむせる」「気道吸引すると食塊が引ける」など
  • 鼻へ食塊が逆流する
随伴症状
  • 嚥下障害により摂取栄養量が減少し、体重減少や栄養低下が生じる。また、1回の食事に1時間以上要する場合は嚥下障害を示唆する。
  • むせが強く出ている時よりも、むせが消失したり不顕性誤嚥(咳やむせが生じない誤嚥)が生じたりすると気管から食塊が排出されないため肺炎を生じやすい。肺炎による発熱などで誤嚥に気付くこともある。

嚥下困難の診断

  • 嚥下障害においては、原疾患がはっきりしているものが多い。原疾患がどのように嚥下機能に障害をもたらしているか、誤嚥はあるのかについてのアセスメントを行う。

嚥下困難の原因・考えられる疾患

  1. 脳血管障害:脳出血・脳梗塞による仮性球麻痺、球麻痺(ワレンベルグ症候群など)
  2. 変性疾患:筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病
  3. 中枢神経炎症性疾患:多発性硬化症、脳炎
  4. 末梢神経・筋疾患:反回神経麻痺、重症筋無力症、筋ジストロフィー、皮膚筋炎、強皮症
  5. 口腔・咽頭の疾患:口腔腫瘍、咽頭腫瘍、喉頭腫瘍
  6. 食道の疾患:食道腫瘍、ツェンカー憩室、プランマーヴィンソン症候群、強直性脊椎骨増殖症(フォレスティエ病)
  7. 心因性:拒食、認知症、うつ病

 

嚥下困難の評価

  1. 反復唾液飲みテスト(RSST):口腔内を氷水で湿らせ、空嚥下を繰り返すように指示をする。30秒間に3回以上の空嚥下が正常。
  2. 水飲みテスト:常温水30mlを飲んでもらい、その様子を観察する。嚥下の回数や飲み終わるまでの時間、むせの有無などを判定する。重症例では冷水3mlを使用して嚥下状況やむせの有無を観察する(改訂水飲みテスト)
  3. 頸部聴診法:水飲みテストなどで嚥下時、嚥下後の肺野、頸部の聴診を行う。誤嚥や咽頭の残留を推測できる。
  4. ビデオ嚥下造影検査(VF検査):レントゲン室でバリウムなどの造影剤を用いて、食塊を口腔から食道、胃へと移送する様子を動的に観察する。口腔期、咽頭期では正面と側面から観察し、食道期では斜位も観察。側面では不顕性誤嚥(誤嚥をしてもむせない)の有無も確認する
  5. ビデオ嚥下内視鏡検査(VE検査):軟性内視鏡を用いてモニターに咽喉頭を映しながら嚥下機能を評価する。まず咽喉頭の器質的な障害を除外した上で、鼻咽喉の閉鎖不全や咽喉頭麻痺の有無、咽喉頭の知覚低下の有無などの評価を行う。喉頭蓋谷(こうとうがいこく)や梨状窩(りじょうこう)に唾液の貯留があれば生理的嚥下能の低下を示唆する。ピオクタニンで着色した水やスプーン1杯のゼリーなどで嚥下機能の評価を行う。

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嚥下困難の治療法・対症療法

  • 治療法としては、残存機能を有効に活用するための嚥下訓練(リハビリテーション)と、失われた機能の一部の再獲得を目指す手術療法がある。また嚥下障害は症例ごとにその対応が様々であり、原因疾患や全身状態をふまえて多職種の協力が必要である。
  • 主治医、リハビリテーション医、耳鼻咽喉科医、歯科医、言語聴覚士や理学療法士などのリハビリテーションスタッフ、看護師、栄養士などのチームによるアプローチが含まれる。そのうえで状況に即した食形態の工夫や必要栄養量に応じた代替栄養を考慮する。
  • 経口摂取が不可能である場合、口腔や咽頭の知覚が低下していることが多い。このような場合は冷水の滴下や冷たい金属棒を前口蓋弓下部に当てるなどして嚥下反射を取り戻すことを目指す。また、舌を指で引っ張ったりマッサージをしたりして舌運動を惹起させることも行われる。これらは言語聴覚士、理学療法士などの協力を要する。通過障害の改善目的にバルーンカテーテルによる治療も行われる。
  • ある程度の経口摂取が可能な場合:若干とろみがある食べ物のほうが水分のあるものよりもむせにくいことを患者や家族に説明する。吸気後に嚥下し、わずかに誤嚥がある場合はそこで咳払いをし、呼気へと移行する。また飲み込みやすい姿勢などの指導を行う。

嚥下困難の手術治療

嚥下機能改善手術
  1. 輪状咽頭筋切断術:食道入口部の抵抗が大きく、咽頭のクリアランスが低下している場合に行われる。輪状咽頭筋を両側の側方で切断し食道入口部を恒常的に弛緩させて、食塊を移送する駆動力が食道入口部の抵抗を上回るようにする。
  2. 喉頭挙上術:喉頭を前上方に挙上し、固定する手術である。咽頭期に喉頭挙上が不十分である場合、機能改善を目的として試行される。甲状軟骨を舌骨に固定する場合と、下顎に固定する場合がある。
誤嚥防止手術
  1. 喉頭蓋披裂部縫合術
  2. 声門閉鎖術:左右の声帯を縫合する
  3. 喉頭気管分離術:気管を切断して、喉頭側の気管断端を縫合閉鎖し、気管側には永久気管孔を造設する
  4. 喉頭全摘術:喉頭を摘出し永久気管孔を造設する。喉頭を失うため非可逆的に失声となる。

 

 

 

嚥下困難の看護問題の例

#1 嚥下困難がある

#2 嚥下困難により窒息のリスクがある

#3 嚥下困難により誤嚥のリスクがある

#4 嚥下困難により必要な栄養摂取が困難である

#5 嚥下困難により水分摂取困難となり体液量が不足する

#1 嚥下困難がある

看護診断

嚥下障害

診断指標

食塊形成の遅延

口腔からの食物の落下

食塊の早期侵入

嚥下の遅延、鼻への逆流

むせがある

胃内容物の逆流

長期目標

口腔期、咽頭期、食道期の嚥下障害の症状が軽減する

短期目標

指示された間接訓練、直接訓練を実施できる

窒息を起こさない

誤嚥の回数が減少する

観察計画(OP)

  • 口腔期の症状の有無:食後、口腔内に食物残渣があるか
  • 咽頭期の症状の有無:嚥下困難感、咽頭違和感、鼻への食物の逆流、食物の咽頭残留感、湿性嗄声、むせ、むせやすい食品の摂取など
  • 食道期の症状の有無:逆流、胸やけ、つかえる感じ
  • 食事時間の延長の有無
  • 特定の食物を避ける様子
  • 嗜好の変化の有無
  • 経口からの食事・水分摂取量
  • 義歯の適合の程度
  • 歯肉の出血・腫脹、粘膜の炎症・潰瘍の有無
  • 三叉神経:口唇・口腔粘膜の知覚、咀嚼筋の連動、舌前2/3の知覚
  • 顔面神経:頬筋・口唇の動き、唾液分泌、舌前2/3の味覚、顎下腺・舌下腺からの唾液分泌
  • 舌咽神経、迷走神経:軟口蓋・咽頭・喉頭・声帯の動き、口蓋反射、咽頭の知覚、舌後1/3の知覚・味覚、耳下腺からの唾液分泌など
  • 副神経:胸鎖乳突筋・僧帽筋の動き
  • 舌下神経:舌の動き、奥舌音(カ、ガ行の音)・舌尖音(タ・ダ・ラ行の音)の明瞭度
  • 頸部聴診:喉頭前庭などの食塊残留の有無
  • スクリーニング検査:反復唾液飲みテスト、改訂水飲みテスト
  • ビデオ嚥下造影検査、ビデオ嚥下内視鏡検査の結果など
  • 誘因:意識レベル、気管切開、経管栄養チューブの留置、睡眠薬などの常備薬、食事環境食事中・後の姿勢、食物形態、食事方法、介助方法
  • 間接訓練(基礎訓練)の実施状況、指示の遵守
  • 直接訓練(摂食訓練)の実施状況、指示の遵守

 

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ケア計画(TP)

  • 口腔ケアを直接訓練の開始前は1日4回、直接訓練開始後は訓練前後に行う。
  • 口腔ケアのタイミングで前口蓋弓、舌根部などに冷・圧刺激を加えるアイスマッサージを行う
  • 義歯の装着や軟飯、軟菜食以下の食形態を摂取している場合は、嚥下障害に応じた関節訓練を行う
  • 誤嚥がない場合は、口腔期の問題の程度に応じた食事時の姿勢、食物形態を選択して経口摂取を行う
  • 誤嚥がある場合は、口腔期、咽頭期、食道期の問題に応じた食事時の姿勢、食物形態を選択して経口摂取を行う
  • 食事の様子を注意深く見守る
  • 誤嚥が著しい場合は経管栄養法の実施について多職種と相談を行う
  • 患者・家族の嚥下困難による窒息や誤嚥に対する不安などを表出できるような態度で接する
  • 患者・家族が間接訓練・直接訓練の実施や留意事項を守ることが出来ていれば「できている」ことを伝えて自己肯定感を促す

教育計画(EP)

  • 嚥下障害の重症度に応じた間接訓練、直接訓練の目的、必要性、方法および目標を患者・家族に説明する
  • 嚥下しやすく誤嚥しにくい食品の条件と、嚥下しにくく誤嚥しやすい食品の条件を指導する。経済的に許せば、市販されている嚥下障害食や増粘剤の使用法と購入方法を指導する
  • 飲み口の広いコップやストローの使用について患者・家族に指導する
  • 経管栄養法の目的、必要性、方法を患者・家族に説明する
  • 退院後に患者が食事を一人でするのではなく、家族と一緒にすることが食事の楽しみになることを説明する

#2 嚥下困難により窒息のリスクがある

看護診断

窒息リスク状態

リスク因子

認知障害

情動障害

安全対策の不足

長期目標

窒息を起こさない

短期目標

患者・家族が窒息を予防する方法を実施できる

観察計画(OP)

  • 窒息の既往の有無、その際の食物
  • 歯の状態、義歯の適合の有無
  • 咀嚼や嚥下困難の状態
  • 摂取している食物形態
  • 意識レベル、覚醒の有無
  • 認知障害の有無、程度

ケア計画(TP)

  • ベッドサイドに吸引器を準備する
  • 十分に目を覚ました状態で食事をする

教育計画(EP)

  • 患者・家族に窒息を予防する経口摂取の方法を指導する(よく咀嚼し、詰め込んだり吸い込んだりする食べ方はしないように指導する)
  • 窒息しやすい食品、窒息予防のための調理方法について患者・家族に指導する(肉、餅、かまぼこ等は小さく切る。繊維の多いごぼう、ほうれん草などは軟らかく茹でたうえで小さく切って提供する。ナッツ類はのどに詰まりやすいためペースト状の食品を使用する 等)
  • 退院後には、窒息時の対応として、吸引、背部叩打法またはハイムリック法などを家族に指導する

#3 嚥下困難により誤嚥のリスクがある

看護診断

誤嚥リスク状態

リスク因子

嚥下障害

経管栄養

意識レベルの低下

気管内チューブや気管切開チューブの存在

長期目標

誤嚥を起こさない

短期目標

患者・家族が誤嚥を予防する方法を実施できる

観察計画(OP)

  • 嚥下困難の程度と重症度
  • 嚥下造影検査時の誤嚥の有無
  • 誤嚥の症状の有無
  • 誤嚥した際の体位、食物形態(水分、食物)
  • 唾液誤嚥の有無
  • 呼吸数、呼吸パターン、呼吸音
  • 咽頭の喘鳴、咳嗽、痰の有無と性状、発熱、呼吸困難、CRPおよび白血球の増加
  • 口腔内の清潔状況
  • 誘因:意識レベル、睡眠薬などの常用薬、食事環境、食事中の姿勢、食物形態、食事方法、介助方法
  • 直接訓練の指示の遵守

ケア計画(TP)

  • 食事開始の基準を確認する
  • 口腔ケアを行う
  • 食事に集中できる静かな落ち着いた環境にする
  • ベッドサイドに吸引器を準備する
  • 十分に目を覚ました状態で食事をする
  • 食事をするためにベッド上での姿勢を調整する
  • 食事をするためのテーブルと椅子の高さを調整する
  • 食事を介助するときは、一口ずつ飲み込んだことを確認しながら食べさせ、患者のペースに合わせる
  • 疲労がみえたり、むせが頻繁に生じたり、飲み込む時間が遅くなったら中止する。食事時間は目安として30分以内とする
  • 食後には必ず口腔ケアを行い、口腔内に食物残渣がないようにする
  • 食事終了後あるいは経管栄養注入後1~2時間は半座位あるいは座位を保つ
  • 唾液による誤嚥のリスクがある場合は、口腔を常にきれいにするとともに、誤嚥を予防する体位にする

教育計画(EP)

  • 食事開始および中止の基準について患者・家族に説明する
  • 誤嚥の徴候と、誤嚥を予防する体位、食物形態、摂取方法および介助方法を、患者・家族に説明する

 

 

 

#4 嚥下困難により必要な栄養摂取が困難である

看護診断

栄養摂取消費バランス異常:必要量以下

診断指標

1日推奨食物摂取量より少ない不十分な食物摂取の訴え

嚥下や粗食に必要な筋肉の筋力低下

長期目標

最適な1日のカロリー摂取を経口、経静脈、経管栄養を併せて維持できる

BMIが18.5~22.0の範囲で維持できる

体重が減少しない

血清アルブミン値が3.5g/dl以上、総蛋白値が6.0g/dl以上になる

短期目標

指示された体位・食物形態で安全に経口摂取できる

経口摂取で不足している栄養量を経管栄養、経静脈栄養法

で投与できる

観察計画(OP)

  • 体重、身長
  • 上腕周囲長、上腕三頭筋皮下脂肪厚
  • 食事摂取量
  • 経管栄養、経静脈栄養からの摂取カロリー
  • 指示された体位(体幹・頸部の姿勢)や食物形態で経口摂取できているか
  • 血液検査データ:血清総蛋白値、血清アルブミン値

ケア計画(TP)

  • 栄養価の高い食品を、栄養士と相談して咀嚼や嚥下しやすい形態に調理したり、増粘剤を用いる
  • 疲労によって自分で摂取することが困難な場合は、介助して摂取してもらう
  • 経口摂取で十分な栄養摂取ができない場合は、市販されている高カロリー、高蛋白の補助食品を間食として利用する
  • 経口摂取で十分な栄養摂取ができない場合は、医師と相談し、経管栄養や経静脈栄養で栄養と水分を補給できるようにする
  • 経静脈栄養の管理を安全に正確に行う
  • 経管栄養(経鼻胃管チューブ、胃瘻など)の管理を安全に正確に行う

教育計画(EP)

  • 咀嚼や嚥下しやすい形態にする調理法や増粘剤の用い方について患者・家族に指導する
  • 経済的に許せば市販されている高カロリー、高蛋白の補助食品、嚥下障害食を紹介し、購入方法を指導する

#5 嚥下困難により水分摂取困難となり体液量が不足する

看護診断

体液量不足

診断指標

口喝

尿量の減少

皮膚・粘膜の乾燥

体温の上昇

長期目標

1日に必要な水分量(35ml/kg/日)が摂取できる

必要な尿量(1ml/kg/時)が維持されている

短期目標

指示された姿勢で、粘度が調整された水分を安全に経口摂取できる

経口摂取で不足している水分量を経管栄養、経静脈栄養法で投与できる

観察計画(OP)

  • 口喝の有無、程度
  • 皮膚・粘膜の乾燥、緊張
  • 尿量、尿の色、尿比重
  • 体温、脈拍
  • 意識レベル、精神症状、活気
  • 便秘の有無
  • 痰の粘稠度
  • 体重
  • 水分出納(in:経口、経静脈、経管栄養からの水分摂取量、代謝水)(out:尿量、便、不感蒸泄など)
  • 血液検査データ:ヘマトクリット、BUN(尿素窒素)、尿酸、血清ナトリウム、血清カリウムなど

ケア計画(TP)

  • 水分摂取は、増粘剤を使用して、お茶などに嚥下困難に応じた粘度をつけ、必要な水分量を少量ずつ頻回に摂取できるようにする
  • 経口摂取で十分な水分摂取ができない場合は、医師と相談し、経静脈栄養や経管栄養で栄養と水分を補給できるようにする
  • 室温の調整を行う

教育計画(EP)

  • 水分摂取の必要性、必要量について患者・家族に説明する
  • 脱水の症状について患者・家族に説明する
  • 患者の嚥下機能に応じた水分摂取方法として、増粘剤の使用方法、経管栄養チューブからの注入について指導する

窒息時の対応

観察計画(OP)
  • 喘鳴、気道閉塞の有無
  • 窒息の症状の有無(詰まった直後から言葉が出ずにせき込む、取れないともがきながら、顔色が紫色になり、やがて意識がなくなる)
  • 自分の首をわしづかみにする(チョークサイン)
  • 呼吸状態、SpO2、チアノーゼの有無
  • 窒息の原因となりうる食物:餅、ほうれん草、すじのある肉など
  • 意識レベルの把握
ケア計画(TP)
  • 気道を確保する(窒息した食物が確実に見えれば除去して気道確保する)
  • 誤嚥によって食物が気管を不完全に閉塞した場合、意識があれば強い咳をさせる
  • 意識があり、完全に閉塞して咳で除去できない場合、吸引、背部叩打法、ハイムリック法で食物を除去する
  • 意識がなく、完全に閉塞して咳で除去できない場合、吸引、背部叩打法で食物を除去する
  • 食物が除去されたのち、患者に深呼吸を促す。場合によっては酸素吸入を行う
教育計画(EP)
  • 窒息による呼吸困難によって患者が陥るパニック状態や死への不安を軽減する

誤嚥時の対応

観察計画(OP)
  • 誤嚥の症状の有無(咳が止まらない、のどがごろごろしている、元気がなくなり、息が荒くなる)
  • 呼吸数、呼吸音、SpO2、チアノーゼの有無
  • 嚥下困難の程度、重症度
  • 誤嚥した際の体位、食物形態(水分・食物)
ケア計画(TP)
  • しっかり咳をさせ、その後深呼吸させる
  • 咳がおさまるまで食事摂取をやめる
  • 必要時は吸引する
教育計画(EP)
  • 誤嚥による呼吸困難によって患者が抱く不安を軽減する

 

以上になります!

おわりに

嚥下困難は原因がはっきりしていることが多いです!原因の経過から嚥下困難の状態をしっかりアセスメントしましょう!得られた情報はリハビリテーションチームとも共有し、リハビリに最大限活用されるようにしていくことが大切です。指示された食事形態やとろみ剤の使用、リハビリが生活に定着していくことも誤嚥・窒息防止のためには必要です。退院に向けては、在宅でも安全に経口摂取がし続けられるように、十分な環境を整えられるよう多職種および患者・家族とよく対話して準備を進めていきましょう!

参考文献

緊急度・重症度からみた症状別看護過程+病態関連図 659‐681P:編集 井上智子/佐藤千史:医学書院

 

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