こんにちは、訪問看護師の栗鈴です。
今回は『訪問看護のきつい!しんどい!忙しい業務5選』と題しまして、書いていきたいと思います!宜しくお願い致します。
- はじめに
- 1.ケアマネージャー、医師への報告書・計画書提出
- 2.『関係各所への電話、FAX』
- 3.訪問時間のスケジュール調整
- 4.請求関連の加算の確認
- 5. ケアマネージャー、医師へのご挨拶(営業含む)
はじめに
2017年4月から訪問看護ステーションに転職をしまして、それから5年経ちました。5年のうちに色々なことを経験して、勉強になったこと、大変だったこと、嬉しかったことがたくさんあって、病院勤務をしていた頃よりも何十倍も濃い看護をしてきたなぁ、という実感があるのですが、忙しすぎて学びの整理もブログの投稿も追い付かず…ようやく手をつけ始めた次第です。
訪問看護の何が忙しいのかと言いますと、ざっとあげるとこんな感じだと思います。
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ケアマネージャー、医師への報告書・計画書提出
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関係各所への電話、FAX
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訪問時間のスケジュール調整
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請求関連の加算の確認
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ケアマネージャー、医師へのご挨拶(営業を含む)
一つずつ説明していきます!
1.ケアマネージャー、医師への報告書・計画書提出
訪問看護師は、病院看護師と比べると書類の作成業務がかなり多くなります。
それはなぜか。
報告書・計画書の作成という業務があるからです。
これから訪問看護に転職するぞー!という人は、書類作成が確実に増えますから、覚悟してくださいね…(でも、小規模の訪問看護ステーションだと、管理者が全部報告書を書くという所も、あるらしいですね。)
国で決められていることなので、ケアマネージャー、医師への報告書・計画書の記載・提出は必須になります。
まぁ、地域包括ケアのためには多職種連携は欠かせないので、書くのはどうしても大事になるんですよね。
電話とFAXで何度も先生とケアマネージャーとはリアルタイムでやり取りするから、いらないような気もするけど…といったら、ご利用者さまに怒られちゃいますね。
何でもそうですが、慣れれば楽になりますが、慣れるまでが大変です。
ご利用者さま1人あたりの報告書・計画書作成に要する時間は、およそ10-30分位になるかと思います。
その月のご利用者さまの状態変化が多いほど、書くことは多くなります…
ですので、なるべくご利用者さまへの看護を通して状態変化を予防して体調安定させることが、看護師の業務の軽減にもなります…
ちなみに私は毎月25-30人くらいのご利用者さまを担当させて頂いているので、
全員分の報告書を書くのに8-10時間位は使っています…(時間かかりすぎかな?)
大抵、報告書は訪問時間外で作成することになるので、残業の原因になっている訪問看護ステーションはかなりあるかと思います。
多分この担当人数は全体の訪問看護ステーションをみても多い方だと思いますので、これから訪問看護やるぞー!という人はあまりビビらなくても大丈夫です。慣れますから。仕事の要は慣れです。
2.『関係各所への電話、FAX』
訪問看護師は、病院看護師と比べると書類の作成業務がかなり多くなります。
それでは、電話やFAXは、病院と比べるとどうなんでしょうか?
実は、電話の頻度は病棟看護師と訪問看護師ではそれほど大差はないと私は思います。
では、なぜ忙しいと感じる原因となるのか?
それは「内部の人間との電話ではなく、外部の人間との電話が多いから」です。
病棟看護師(外来や救急ではなく、あくまで病棟看護師 スミマセン)の電話というのは、ほとんどが内部の職員とのやりとりです。
PHSを持って、リーダーナースや外来や検査室、医師、他病棟看護師などと連絡を取り合うことがほとんどで、あとはナースコール対応とか、電話とは違った連絡の取り合いがメインになると思います。
患者様からは、代表の電話番号を経由して電話が来ることがありますが、それほど頻度が多いことはありません。診療科目にもよりますが、1日に2~3件くらいではないでしょうか?(産科、小児科など一般病棟と少し異なる病棟は違うかもしれません)。
それに対して、訪問看護師の電話はどうなのかというと、ご利用者様からの電話はもちろんのこと、ケアマネージャー様や、病院、ソーシャルワーカー、市役所、保健所、クリニック、デイサービス、ショートステイ、老健、福祉用具業者、他訪問看護ステーション、訪問介護ステーション等…
電話は、ほぼ100% 外部との連絡です。
内部同士とのやり取りは、文明の利器たるスマホやタブレットでのチャットが、このご時世、多いんじゃないかと思います。
1日のチャットの頻度は、訪問看護ステーションによるかと思いますが、うちの訪問看護ステーションはむちゃくちゃ多いです。(病院ではスマホ、タブレットはあまり使っていないと思われます。タブレットは慣れるまでが、使いづらい…)
そして、これが一番の残業しやすい理由になるのですが、外部との電話連絡は、たいてい訪問時間以外でのやり取りになるということです。
つまり、どういうことか。
業務時間が8:30~17:30とします。
内訳が、
①9:00~12:30まで2~3件訪問
②12:30~13:30が休憩
③13:30~17:00まで2~3件訪問
④17:00~17:30申し送り⇒退勤
とすると、
①~④の業務時間のうち、外部との電話ができるのは、いつでしょうか?
基本的には②と④になります。
また、訪問先で緊急事態が起きたり、訪問した時にはすでに事切れていた…というパターンも稀にあるため、訪問先で電話対応するということはあります。
訪問~訪問の間、つまり移動の時間で電話ができるかどうかは、訪問看護ステーションがどれだけゆとりをもって移動時間を設けてくれているかによります。)
つまり、訪問看護が電話で忙しくなる理由の根本原因は、訪問していない時間しか、ゆっくり電話できないからということです。
さらに言うと、電話対応を余裕を持って行うとすれば、昼休みを削るか、訪問を回りきった後の勤務時間終了のタイミングしかないということです。
しかし、場合によっては電話しようとした時間に、すでに関係各所の営業時間が終了していたということもあります。
この時、「じゃあ明日の朝とか昼休みにまた電話しよっと」ということが出来れば良いのですが、すぐにでも連絡しなければならない、または電話では伝えきれない…ということも、往々にしてあります。
そんな時、どうするのか。
ついに出ました。FAXの出番です!!!おそらく病棟看護師はほぼ使わないであろうFAX様を、訪問看護師はフル活用します。
電話というのも結構デメリットがありまして、どうしても重要な話し合いになることが多いため、長時間の電話によって、業務時間が電話かなり圧迫されます。それと同時に、電話で相手の時間も奪ってしまうというのが、結構申し訳ない気持ちになるのです。
特に、ケアマネージャー様やクリニック、病院の先生、看護師さんによっては多忙なので、「電話でなくFAXでお願いします!」と指定されることもあります。FAXなら、自分の確認したいタイミングで確認ができますからね。
訪問看護師はご利用者様の健康が第一なので、遠慮なく電話することはしょっちゅうなのですが…その思いは、ケアマネージャー様も、病院・クリニックも同じことですからね。忙しさに負けて、ご利用者様が不利益を被ることだけはあってはならないですから、みんなで、がんばりましょう!!
3.訪問時間のスケジュール調整
訪問スケジュール調整の何が大変かといいますと、例えば、新規のご利用者様の訪問依頼があった時。
ご希望の訪問時間をお伺いするのですが、訪問スタッフの空き時間がなく、ご希望の訪問時間で調整が難しい場合は、訪問時間の変更ができないかをご利用者様とご相談をさせて頂くことがあります。
ただ、どうしても「希望の訪問時間の通りでないと絶対ダメでぇす!」ということはよくあるため、その場合は少し無理矢理になりますが、現在すでに訪問しているご利用者様の訪問時間の変更ができるか確認して、それが可能なら実行し、空いた時間枠で新規のご利用者様の訪問時間を調整するということがあります。
どちらにせよ、新規か既存のご利用者さまのどちらかが、本当に希望する時間での訪問ができず、不都合を押し付けられる形になってしまうため、訪問看護を提供する側としては、とても申し訳ない気持ちになります…
ご利用者様のご希望通りの時間にいつでも訪問ができるようにするには、きちんと十分にスタッフの人員を確保しておくことがとても大事です…
こうしたスケジュール調整は、新規のご利用者様の訪問依頼があった時だけでなく、
- ご利用者様に時間変更の希望があった時
- 担当スタッフがお休みする場合の代行訪問を調整をする時
- ご利用者様の訪問が増回する時
- サービス担当者会議や退院カンファレンスの開催・参加を調整する時
- 新規のご利用者様の契約のための時間を確保する時
など、様々なパターンで必要になってきます。
スケジュール調整ができず、どうしようも訪問ができない時…という状況はかなり稀ですがありまして、その場合は、他の訪問看護ステーションに依頼することがあります。
(依頼をお断りする、ということになるため、ご依頼者様からの心証は下がることなります…)。
そのため、スケジュールはあらかじめどの時間帯でも2-3枠くらいを空けておくことが大事かなと思います!
ご利用者様にご迷惑をかけないためにも、スケジュール調整のトラブルは未然に防ぐようにして参ります!
4.請求関連の加算の確認
請求関連の業務はとても複雑でして、なかなかお伝えしづらい部分もあり、詳しく説明しているホームページなども他にたくさんあるため、だいぶざっくりとした内容ですが、なんか色々、事務的なよくわからん仕事があるんだなーというのが伝われば、幸いです。
訪問看護というのは、基本的に保険を活用したお仕事でして、
主に、介護保険か医療保険(全額自費の場合もある)を使って訪問をさせて頂きます。
どの保険が使われるのかであったり、訪問時間が、30分なのか、60分なのかであったり、日中訪問なのか、夜間訪問なのか、などによって、色々なことで訪問の料金は変わるわけです。
そこにさらに、各種もろもろの条件により、通常料金に追加して、『加算』というものを頂く場合があります。例えば、介護保険の場合ですと『初回加算』というのがありまして、はじめて訪問をさせて頂いた訪問料金に上乗せして、『300単位』の加算がつきます。
この300単位というのは、地域によって具体的な料金は変わるのですが、例えば東京23区の場合は、×11.4円 の係数がかかります。(どのくらい地域に社会資源があるかによって決まるので、地方は係数がなかったりします。)
300(単位)×11.4(係数)×10~30%(負担割合)で、実際の料金が割り出されます。
1割負担のご利用者様の場合は、300 × 11.4 × 10% = 342円が基本料金に上乗せになりますね。
ちなみに介護保険での訪問看護60分(訪問看護I3)は、821単位でして、東京23区で1割負担ですと936円になります。
加算にはその他にも、
特別管理加算Ⅰ 500単位(介護保険の場合)(点滴カテーテルや気管カニューレ、永久気管孔等があり、観察やケアをする看護計画書を作成すれば加算対象となる。)
特別管理加算Ⅱ 250単位(介護保険の場合)(在宅酸素療法やストーマ管理 等をしていて、観察やケアをする看護計画書を作成していれば加算対象。)
緊急時訪問看護加算 574単位(介護保険の場合)利用者やその家族からの相談や連絡に、24時間対応することができる体制であり、計画していた訪問以外の緊急時の訪問ができる体制であり、利用者やその家族に緊急時訪問看護加算の算定について書面で説明し、同意を得ていれば加算対象。
等があります。
他にもたくさん加算があるので、ご利用者さまごとに何の加算が当てはまるのか必ず確認が必要です。加算の確認漏れがあると収益に影響するため、会社としてとっても重要です。病院ではこうした作業を看護師が病棟看護師がやることはないので、はじめは難しいのですが、自分の看護に料金がついて、給料になっているのを実感できると、立派に会社員だなぁと実感させられます。
もちろん、その料金に相応した看護を提供できるように、日々の努力とたゆまぬ看護実践の改善が大切です!お値段以上の必要とされる訪問看護を目指していきましょう!
5. ケアマネージャー、医師へのご挨拶(営業含む)
病院の業務にはなくて、訪問看護の業務にはあるもの。それは、『営業』です。
営業ときくだけで、これから訪問看護師になろうとしている人は、もしかしたらウンザリしてしまう方もいるかもしれませんね。看護師なのに、営業するのかー…って、やっぱり少し思っちゃいますよね。
でも仕方ないんです。病院と違って、こちらから呼び込まなくても患者がやってくる、
という業務形態ではありません。訪問看護はまだ一般的には認知度が低く、
こちらからご利用者様に向かって看護を提供しにお伺いするという性質もあるため、
自らご利用者様の依頼を取りにいく、ということが必要になります。
ある程度、訪問看護の事業が成長すれば、ホームページを見たり、たまたま訪問看護ステーションの前を通って知った等で、直接ご利用者様からお電話を頂いて契約となるパターンもありますが…基本的には、ご利用者様を仲介してくれるところに出向いて『営業』をすることになります。
訪問看護をするには、『医師』からの訪問看護指示書が必要になりますし、
介護保険で訪問するには、『ケアマネージャー』の担当がついて、ケアプランを作成していただくことが必要です。
つまり、『医師』と『ケアマネージャー』がいなければ、訪問看護は成り立たないんです。全額自費で訪問だとしても、最低でも医師の指示書は必須です。医師とケアマネージャーに訪問看護ステーションを認知してもらわないと、どうしようもないのが訪問看護。だから営業しないといけないんですね。
したがって主な営業先は、
- 病院(医師、地域連携看護師、ソーシャルワーカー)医療保険の依頼が多い
- 診療所(医師)医療保険の依頼が多い
- 居宅介護支援事業所(ケアマネージャー)介護保険の依頼が多い
- 域包括支援センター(ケアマネージャー、保健師)介護保険の依頼が多い
が多くなります。
直接にご挨拶に出向いて営業をすることもありますし、
チラシや社報、勉強会の案内などを作って、ポスティングをして認知をしてもらう、ということもあります。営業は過度に恐れる必要はなく、ご挨拶の際に失礼のないような身だしなみ、姿勢、言葉遣いを心がけて、訪問看護ステーションの強みや誠実さをアピールすれば、それでOKです。
まずはご利用者の依頼を得る。そういうところから、訪問看護のお仕事がスタートとなります。
医師もケアマネージャー様もご利用者の生活・健康が一番大事という気持ちで働いているかと思うので、誠実な仕事をしてくれる訪問看護ステーションだと評価をしてくれれば、必ずご利用者様の依頼はきます。
ただ、時々医師(特に基幹病院)によっては、訪問看護自体の存在を知らなかったり、
訪問看護指示書の書き方がわからなかったり、「訪問看護なんて税金の無駄だ!」という偏った考え方の医師もいますので、そこはとにかくアピールが必要になります。
アピールポイントとしては、
- 在籍する看護師が多い
- セラピスト(PT:理学療法士、OT:作業療法士、ST:言語聴覚士)が在籍している
- 土、日、祝も営業している
- お盆、正月も営業している
- 24時間対応可能
- 福祉用具専門相談員が在籍し、福祉用具貸与が可能
- 営業時間が長い
- 勉強会や連携会を定期に開催したり参加できる
- 男性看護師が多い
- 小児、人工呼吸器、在宅透析、腹膜透析など専門性の高い看護が提供できる
- スタッフの病院・施設・訪問看護など、経験が豊富
などが挙げられます。
ただ、医師、ケアマネージャーが訪問看護ステーションに一番期待をすることは、
必要な時に、必要な分の連携が、確実にできるかどうか。これが一番求められているように思います。
ご利用者様に訪問看護が介入することで、在宅で精神的に安心して過ごすことが出来て、身体の状態も安定していれば、医師・ケアマネージャーは「訪問看護がいてほんとに良かった!」となります。そうすれば医師・ケアマネージャーの信頼を得ることが出来て、また次の依頼に繋がります。
医師、ケアマネージャーに認知され、訪問看護を通して、関わる人たちから信頼される。この循環をつくることが、訪問看護ステーションの運営を安定させることにも繋がりますし、地域の医療体制の安定にもなります。
看護師だから看護だけするっていうんじゃなくて、看護を通して地域に貢献するという心構えが何よりも大切かなと思います!
訪問をしながら営業もするというのは確かに大変ですが、周囲から信頼されながら働くというのは、とても気持ちがいいし、誇りになります。そういう頼れる訪問看護ステーションを一人ひとりのスタッフが作り上げていくことができれば最高なので、これからも営業を怠らずに頑張っていきたいと思います!
以上になります!ご意見をお待ちしています。
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今日はインデックス登録の上限に達しているはずなんだが、時間開けるとちょっとだけまたリクエストできるんだけど、これはGoogleの優しさがそうさせてくれてるの? pic.twitter.com/bQBmqVfuL2
— 栗鈴@ブログ7年目 (@maaiikanokokoro) October 8, 2022