みなさんこんにちは。栗鈴と申します!
今回は『一般状態のフィジカルアセスメント』になります。
よろしくお願いします。
はじめに
看護学生さんの時点では、フィジカルアセスメントのスキルに自信がないと言う方も少なくないのではないかと思います。
もしそうだとしても、それはとても自然なことなので、心配無用です。
フィジカルアセスメントに自信が持てるようになるには、ある程度の勉強と経験がどうしても必要です。
フィジカルアセスメントを通して、患者さまが正常なのか、異常なのか、なんとなく分かるかも…という自覚が出てくれば、そこから少しずつ自信がついてくると思います。
フィジカルアセスメントは、勉強と経験を積み重ねていけば、必ず十分なスキルが身に付きます。まずはコツコツと勉強をしていきましょう!
経験豊富な看護師であっても、働く場所の診療科目の専門外のフィジカルアセスメントについては、良く分からない…という方も沢山います。
とはいえ、看護師たるものプロになりますので、診療科目とは異なるフィジカルアセスメントであっても、やはりしっかりとマスターすべきだと思います。
救急外来や集中治療室であれば、中途半端に仕事をする看護師さんは、おそらくいないでしょう。
まずはきちんと、一般的なフィジカルアセスメントについて、一緒に勉強していきましょう!
一般状態のフィジカルアセスメントとは
はじめて患者さまが入院した時等、情報がまだ無かったり、あるいは少ないときに、全体像を簡単に把握するためのフィジカルアセスメントです。
フィジカルアセスメントというのは、「それでは診せて下さいね」というように、医師の診察と同じように実施していくパターンもありますが、一般状態のフィジカルアセスメントは、何気なくあいさつしたり会話したり、近づいたりしている間に観察が出来るような項目をおさえていきます。
「あいさつの時点から、すでにフィジカルアセスメントは始まっている」ということなんですね。
救急外来やクリニックの看護師さんは、とにかく時間と判断の勝負なので、じっくり看ている暇が無いことも多いです。
スピーディーな観察が必要になる以上、一般状態のフィジカルアセスメントのスキルを身に付けることは、情報収集の効率化と早期のケアの立案に繋がります。
一般状態のフィジカルアセスメントの重要性が、お分かり頂けると思います。それでは、次に手順を勉強していきましょう!
一般状態のフィジカルアセスメントの手順
<一般状態のフィジカルアセスメントの準備>
プライバシーが確保された環境で行う。
<一般状態のフィジカルアセスメントの実施>
1.年齢
年齢相応に見えるかどうかを確認する。
[正常所見]
・年相応に見える。
2.性的発達状態
[正常所見]
・性や年齢相応の発達状態にある。
・声変わり、乳房の発達、ひげなどの発毛が年齢相応である。
[異常所見]
・性発達が遅い、早い
3.意識状態
声かけに反応しない場合、痛みに反応するかを確認する。
[正常所見]
・覚醒しており、正しく判断でき、質問に注意を向け、適切に答えられる。
[異常所見]
・意識障害がある。
・反応がない、環境を認知できない。
4.顔貌
顔色、表情、化粧などを観察する。
[正常所見]
・左右対称で不随意の異常な動きがなく、激しい苦悶表情でない。
[異常所見]
・無表情
・激しい苦悶表情
5.苦痛のサイン
[正常所見]
・呼吸苦(努力呼吸、喘鳴、咳嗽)、疼痛(痛がる程度、冷や汗、痛い部分を抱え込んでいる)、不安(不安な表情、落ち着きのない動き、手掌の発汗)がない。
[異常所見]
・呼吸苦(努力呼吸、喘鳴、咳嗽)、疼痛(痛がる程度、冷や汗、痛い部分を抱え込んでいる)、不安(不安な表情、落ち着きのない動き、手掌の発汗)など苦痛のサインがある。
6.皮膚の色
露出されている部位の皮膚を観察する。
[正常所見]
・色の質は一定で、色素沈着は、人種相応の皮膚色に基づいたものである。
・皮膚に外傷はなく、無傷である。
[異常所見]
・顔面蒼白、チアノーゼ
・黄疸
・発疹、皮疹
・外傷
7.体臭、口臭
[正常所見]
・アルコール臭、アンモニア臭がしない。
・長期間清潔を保っていない臭いがしない。
[異常所見]
・アルコール臭
・アンモニア臭
->肝機能障害や尿毒症の疑い
・アセトン臭
->糖尿病の疑い
・そのほかの異臭
8.身長
[正常所見]
・身長が年齢の正常範囲内である。
[異常所見]
・身長が著しく低い、または高い。
->巨人症、小人症の疑い
9.栄養状態
[正常所見]
・体重が、身長、体格に応じて適切な値である。
・体脂肪の分布が均等であるかどうかを観察する。
[異常所見]
・肥満(肥満傾向)
・やせ(るい痩)
10.左右対称性
[正常所見]
・身体の各器官が左右対称である。
11.姿勢
[正常所見]
・年齢相応の姿勢、楽な体位を保つことができる。
[異常所見]
・著しく姿勢が悪い。
12.体位
[正常所見]
・腕はリラックスした位置にあり、椅子やベッドや診察台の上に楽に座っていられる。
[異常所見]
・疲労している。
13.体格・輪郭
[正常所見]
・上肢の長さや上半身と下半身のバランスがとれている。
・明らかな身体上の変形や欠損がない。
[異常所見]
・身体の変形や欠損がある。
14.歩行の様子
[正常所見]
・通常、足幅は肩幅とほぼ同じくらいであり、足の位置が正確、歩行はスムーズで左右対称である。
・腕の振りが左右対称でバランスがとれている。
[異常所見]
・不随意運動や麻痺がある。
・歩行困難
・立位や座位が保てない。
・左右に傾く。
・前傾姿勢
・蹲踞姿勢(うずくまる姿勢)
・小きざみ歩行
・前方突進など
15.関節可動域
[正常所見]
・関節可動域が正常である。
・動きが正確でスムーズである。
[異常所見]
・関節の拘縮
・可動域制限
16.日常生活動作
[正常所見]
・食事・更衣・移動・排泄・整容・入浴など生活を営む上で不可欠な基本的行動に介助を要さない。
[異常所見]
・日常生活動作に介助を要する。
ここからは血圧計や体重・身長計がある場合の観察を含みます。
バイタルサイン
バイタルサインの測定をする。
身体計測
身長・体重の測定をする。
[異常所見]
・BMI(Body mass index)が18.5未満あるいは25以上(表3)
意識レベルの観察
ジャパン・コーマ・スケール
JCS(JAPAN COMA SCALE)3-3-9度方式
このほかに、
R(不穏)
I(糞便失禁)
A(自発性喪失)などの付加情報をつけて
「JCS20-R」などと表す。
グラスゴー・コーマ・スケール(GCS)
GCS(Glasgow Coma Scale)
3つの項目の合計を求め、
「E何点 V何点 M何点 合計何点」
と表し、点数が小さいほど重症である。
以上になります!
いかがでしたでしょうか。
おわりに
観察事項は結構多いですが、
一つ一つの観察自体の難易度は決して高くありませんので、ぜひ臨床で意識してフィジカルアセスメントを実践してみてほしいと思います!
実践を継続することが習慣となり、知識やスキルが身にしみていくと、そこで自信に繋がっていくと思います!
おわり。
ご意見をお待ちしています。
他のフィジカルアセスメントの記事もありすので、良かったら読んでみてください!