栗看

~くりかん~

腎生検の看護手順!【腎臓内科経験看護師が丁寧に解説】

こんにちは。訪問看護師の栗鈴です。

今回の記事は、【経皮的腎生検の看護の手順を腎臓内科経験の看護師が丁寧に解説!】です。よろしくお願いします。

 

 

はじめに

今回は、経皮的腎生検の前日の準備から検査実施後までについて、完璧に説明したいと思います!

 

腎生検は、あらゆる検査の中でも出血のリスクがかなり高い検査です!

 

また、患者さまも自分の腎臓にどんな疾患があるのか気になり、『今後の生活が変化するかもしれない』という不安の中で腎生検に立ち向かうことになります。

 

したがって、個人差はありますが腎生検は必ずといっていいほど苦痛が生じる検査である、といっていいでしょう。

 

腎生検による患者さまの苦痛が最大限に取り除かれるためには、看護師のサポートがどれくらいきちんと行われるかどうかにかかっています!

 

ぜひ、今回の記事を参考にしてみてください!では、やっていきましょう!(ゝω・)

腎生検の適応と禁忌

腎生検の適応を知っておくと、今後の治療や経過の見立てまで、イメージすることができるようになってきますよ!

経皮的腎生検の適応

  • 腎生検は侵襲的な検査であるため、適応を十分に検討する必要があります。
  • 長期の糖尿病患者で糖尿病性腎症が明らかな場合や、腎萎縮を認めるような進行した腎不全では、腎生検を行っても治療方針の決定に関わる情報が得られないため、原則的に適応外となります。
  • 小児など、体位保持が困難な場合も腎生検は行いません。
1.検尿異常での適応
  • タンパク尿がある(タンパク尿が300~500mg/日以上)
  • 血尿がある(高度の尿潜血ではIgA腎症が疑われる。)
  • 血尿+タンパク尿がある(タンパク尿が300~500mg/日以上。糸球体疾患の可能性が高いため、より積極的な適応となる。)
2.検尿異常以外での適応
  • ネフローゼ症候群(成人ではほぼ全例が適応となる。小児ではステロイド抵抗性や頻回再発型で適応となる。)
  • 急性の腎機能障害(急速進行性腎炎症候群、急性尿細管間質性腎炎、血管炎などが疑われる。)
  • 全身性疾患に伴う腎障害(紫斑病性腎炎、SLEなどの膠原病、全身性アミロイドーシス、多発性骨髄腫など)
  • 移植腎(腎移植手術時、移植後定期検査、移植腎機能低下時)
3.社会的適応
  • 本人の希望
  • 就職時
  • 女性の結婚(妊娠の可否)
  • 小児の安静度決定
禁忌となる病態 
  • 抗凝固薬・抗血小板薬などの出血や凝固に影響する薬剤を内服している場合、腎生検施行の1~2週間前に内服を中止する方法がとられています。
  • また、これらの薬剤を中止することで生じるデメリットと、腎生検時により確定診断が得られるメリットを十分に検討する必要があります。
  1. 片腎(機能的片腎を含む)
  2. 出血傾向(抗凝固薬や抗血小板薬などの内服)
  3. 慢性腎不全(一概には禁忌と言えない場合もある。治療方針の判断などのメリットが少ない)
  4. 水腎症(腎移植による確定診断は不適切)
  5. 尿路感染症(感染症の増悪につながる)
  6. 嚢胞腎(状態悪化につながる)
  7. 妊娠(腹臥位の困難 言わずもがな)
  8. 呼吸障害(腹臥位の困難 状態悪化につながる)
  9. 心不全(同上)
  10. 重症低血圧(同上) など…

 

経皮的腎生検の前日までの検査の準備


1.患者本人であることを確認し、目的を説明し同意を得る。

  • 患者誤認防止のため、リストバンドでフルネームを確認する。
  • 可能であれば患者に氏名を名乗ってもらう。
  • 以降、説明や処置の都度、必要に応じて患者確認を行う。

2.検査について医師の説明を受け、検査内容を理解しているか確認する。

必要ならば、補足説明を行う。

  • 検査に対する患者の反応を観察し、理解度を評価する。
  • 患者の不安を軽減し、理解・協力を得る。

3.同意書の内容に不備がないか確認する。

  • 苦痛を伴い、重篤な合併症出現のリスクのある検査であるため、事前の説明と同意が必須である。

4.検査のオリエンテーションを患者用パスやパンフレットなどを用いて行う。

説明を理解しやすいように、また、説明後に患者が読み返して確認できるように、患者用パスやパンフレットなどを用いて行う。

  • 施設の基準や、医師の指示を確認しながら行う。

4-1.検査の流れの説明

  • 検査の流れを理解してもらうことで、不安を軽減し、理解と協力を得る。

4-2. 検査当日の飲食の制限について

  • 腹臥位で腹部を圧迫した体位をとり、局所麻酔薬などの薬剤を使用して検査を行うために嘔吐のリスクがある。
  • また、嘔吐に伴い誤嚥のリスクがある。
  • 急変時に備え胃に飲食物のない状態にしておく。

4-3.検査当日の内服薬、インスリン注射について

  • 内服する場合には少量の水で内服すること
  • 抗痙れん薬、心臓病薬、高血圧薬、副腎皮質ホルモン剤、糖尿病薬を内服している場合やインスリン注射を行っている場合には特に注意し、原疾患症状の変化、出現に注意する。
  • 抗凝固薬、抗血小板薬、プロスタグランジン製剤を内服している場合、医師の指示通りに休薬が出来ているか確認する。 可能であれば、原則として約1週間前に中止する 
  • 医師の指示に従い、検査前までに、採血を行い、凝固能の評価をする。

4-4.生検時に、吸気で呼吸を止めることを説明する

  • 必要ならば、10~20秒間、呼吸を止める訓練を行う。
  • 正確な深さに生検針を刺入させるために、呼吸を止めた状態で生検を行う必要がある。
  • 20秒間呼吸を止められない場合、医師に報告する。

4-5.検査終了後に予定される安静度を説明する

  • 肉眼的血尿、腎周囲血腫形成などの出血のリスクがあるため、安静の重要性を説明し、協力を得る。

4-6.床上安静中は床上排泄となることを説明する

  • 膀胱留置カテーテルを挿入しない場合は、必要ならば事前に床上排泄の物品を見せて訓練を行う。
  • 床上での排泄は羞恥心を伴うため困難であることも多い。事前に使用する物品を確認しイメージできるように援助する。

4-7.安静中は排便も床上排泄になるため、できるだけ検査前に排便を済ませておくことを説明する

  • 歩行開始後も腹圧をかけないように注意すること。
  • 便秘症の患者の場合、必要ならば下剤を使用する。

4-8.静脈血栓塞栓症のリスクと予防方法

  • 腎生検時に腹部を圧迫した体位をとることで下肢の静脈還流を妨げることや、検査後の安静臥床により血栓が生じやすくなる。
  • 血栓症既往歴、高齢、肥満、高脂血症、下肢静脈瘤、ネフローゼ症候群、抗リン脂質抗体症候群などの危険因子を有する例では特に注意する必要がある。

4-9.検査終了後の食事制限、床上安静中の食事摂取方法について説明する

  • 必要ならば、おにぎり食などに食事変更する
  • 検査後、臥床した状態で飲食する必要があり、吸い飲みやストロー使用など、摂取しやすい方法を説明する。
  • おにぎりは茶碗に入っているご飯に比べ、臥床しながら摂取しやすい。

4-10.患者が準備する物品が揃っているか確認する。

  • 不足している場合は、説明し準備してもらう。
  • 準備してもらう物品は施設の基準や医師の指示を確認する。
  • 外来受診時などに、あらかじめ準備物品を説明しておく。

5.床上安静に伴うリスクを評価する。

  • 腰痛がある場合や、褥瘡発生のリスクが高い場合は、マットレスの変更などの対策を検討する。
  • 合併症を予防するため、検査後の安静が重要であり、安静が指示どおり実施できるようにリスクを評価し準備する必要がある。

6.薬剤や消毒薬などに対するアレルギーの有無、テープかぶれの有無を確認する。

  • 必要ならば、パッチテストを行い、消毒薬、テープによるかぶれが出現しないか確認する
  • ヨードアレルギー反応やテープによるかぶれを起こすリスクがある。

7.体毛がある場合、必要ならば腰背部を除毛する。

  • 体毛があると検査後の止血圧迫のための固定用テープが接着しづらい上に、剥がすときに疼痛を伴うため、穿刺部周囲のみでなくテープを貼付する部位全体を除毛する。
  • 剃刀による除毛は、皮膚損傷につながり、感染の原因となるため、サージカルクリッパーを使用する。

8.シャワー浴または入浴を行う。

  • 皮膚を清潔に保ち微生物の伝播を予防する。

 

経皮的腎生検の当日の検査の準備

腎生検の必要物品

  1. 検査同意書
  2. 患者説明用パスまたはパンフレット
  3. 自動生検針 パイオプシーニードル
  4. 超音波検査機、滅菌プロ―ブ
  5. 滅菌手袋
  6. 滅菌ガウン
  7. 滅菌ガーゼ
  8. 滅菌ドレープ
  9. 滅菌穴あきドレープ
  10. マスク、キャップ、袖付きビニールガウンまたはビニールエプロン 
  11. 防水シーツ
  12. 枕または折り畳んだタオル
  13. 消毒キットまたは鑷子と綿球
  14. 消毒薬
  15. 10mlまたは20mlシリンジ
  16. 注射針18G
  17. 局所麻酔用の注射針(カテラン針など)
  18. 局所麻酔薬
  19. メス
  20. 生理食塩水
  21. 標本用容器
  22. 絆創膏
  23. 圧迫固定用弾性テープ 
  24. 砂のう
  25. 指示された輸液、止血剤など
  26. 酸素
  27. 救急カート
  28. 吸引器

[必要時]

  • 油性マジック
  • 膀胱留置カテーテル
  • 弾性ストッキング
  • 間歇的空気圧迫器具 フットポンプ

腎生検当日の準備の流れ

1.検査当日の禁飲食について再度説明し確認する。

一般的には、検査前の1食は食止め、飲水も制限があることが多い。

  • 低血糖や脱水に注意する。

2.検査当日の内服薬について再度説明し確認する。

飲水止めの時間以降に内服する場合は少量の水で内服してもらう。 

3.バイタルサインを測定し、全身状態を観察する。  

  • 処置の実施が可能な状態であるかを評価する。
  • また、合併症出現時には速やかに異常の評価ができるようにする。 
  • 異常がある場合は速やかに医師に報告する。

4.輸液指示を確認し輸液を開始する。

  • 輸液が検査の邪魔にならないように、また、体位変換時に輸液ルートが引っ張られないようにするため、必要に応じて、延長チューブを接続する。
  • 医師の指示を確認し、止血薬を輸液に混注し滴下する。
  • 滴下速度が急速だと、嘔気や気分不快を生じるリスクがある。
  • 止血薬は止血を促進するために多くの施設で利用されているが、腎生検後の止血効果について明確なエビデンスがあるわけではない 。

5.事前に排泄を済ませてもらう。 

  •  処置が中断されないようにする。

6.必要ならば、膀胱留置カテーテル挿入をする。

  • 検査後の安静の保持と経時的に尿性状の観察を行う。
  • 膀胱留置カテーテル挿入するか否かは、施設の基準や患者の状態に応じて決定する。

7.指示がある場合は前投薬を事前に投与する。

  • 前投薬は通常、検査の30分前に投与されることが多い。
  • 投与後は、めまい、ふらつきなどにより転倒する危険性がある。
  • 一人で歩行しないように、何かあればナースコールを押すように説明する。

8.十分なスペースのある病室や処置室に必要物品を準備する。

  • ドアやカーテンを閉め羞恥心に配慮する。
  • 緊急時に備え、必要ならば救急カート、酸素、吸引の準備をする。
  • 物品の不足により、処置が中断されないようにする。
  • 動作により清潔野が汚染されないように十分なスペースを確保する。 

 

経皮的腎生検の検査中の看護

検査中は、感染防止とバイタルサインのモニタリングが超重要になりますから、そこは必ず徹底してください!また、今までの準備がしっかり出来ているかが、全てこのタイミングで問われてきます!物品準備、同意書などの必要書類の不備や患者間違いなど、基本的ミスが起こらないようにしましょう!

※病室または処置室にて局所麻酔で行う手順になります。

手術室で行う場合は、各施設の手術室の手順に準じます。 

腎生検検査中の看護の流れ

1.
検査中は安全のために体を動かさないこと、疼痛や気分不良などの症状があれば口頭で知らせるように説明する。呼吸を止めている際に苦しくなった場合は手を挙げるなどの合図の方法を決めておく。

  • 予期しない患者の体動により、出血や皮膚損傷などを引き起こす危険性がある。

2.
患者に腹臥位になってもらい、患者の体型に合わせて、心窩部の下に枕または折り畳んだタオルを挿入する。

  • 腎臓は移動しやすいため、腹部を軽く圧迫して位置を固定する。

3.
必要ならば、心電図モニターやパルスオキシメーター、自動血圧計のいずれか、または全てを装着し、モニタリングする。 

  •  モニタリングにより異常の早期発見に努める。

4.
室温を調整し、穿刺部を露出する。タオルケットやバスタオルを使用し、不必要な露出を避ける。

  • 患者のプライバシーを保護するとともに、保温に努める。
  • ドアやカーテンを閉め、羞恥心に配慮する。

5.

ディスポーザブルシーツを腹部の下に敷く。

  • 血液や消毒薬による衣服や寝具の汚染を防止する。

6.
看護師は手指消毒をして、使い捨て手袋、マスク、キャップを装着する。必要ならば、袖付きビニールガウンまたはビニールエプロンを装着する。

  • 微生物の伝播を予防する。

7.
医師はマスク、キャップを装着し、手指洗浄を行う。看護師の介助により滅菌ガウンを装着した後、滅菌手袋を装着する。

  • マキシマルバリアプリコーション(高度無菌遮断予防策)の実施により、感染のリスクを減らす。

8.
必要物品を医師が手に取りやすいように準備する。無菌で使用する物品は、ワゴンの上に清潔野を作り、その上に清潔操作で準備する。

  • 清潔野が汚染されないよう注意する。

9.
穿刺を開始する前に、医療従事者全員で以下の確認を行う。

  • 穿刺を開始する前に関係者が全て集まり、確認作業をすることで医療事故を防止する。
  • 画像検査、凝固検査など必要な検査資料や、同意書などの必要な書類が全てそろっていること。
  • 穿刺前の準備が整っていることを確認し、穿刺に伴うリスクを減らす。
  • 患者、治療内容、治療部位が正しいこと。
  • 患者誤認防止のため、リストバンドでフルネームを確認する。
  • 可能であれば患者に氏名を名乗ってもらう。

10.
医師は、穿刺部周囲を中心から外側へ向かって広く消毒する。消毒後は十分に乾燥させる。

  • 消毒薬は施設の基準に従い、ヨード系(ポピドンヨード)やアルコール系を使用する 。
  • ポビドンヨードが作用するためには皮膚との接触時間が少なくとも2分程度必要であり、ポビドンヨード液の乾燥がその目安である。

11.
看護師は滅菌穴あきドレープを無菌的に開封する。医師は滅菌穴あきドレープを取り出し、患者に掛ける。

  • 患者の不安を軽減させるため、声をかけながら行う。

12.
医師は滅菌プローブを背部にあて、超音波検査機の画面を見ながら腎臓の位置を確認する。

  • 滅菌プローブを用いない場合は、プローブの先端部と補助装置(金具アタッチメント)をポピドンヨード液などで十分に消毒し、清潔ガーゼを用いて術者の手指が不潔にならないように注意する。
  • プローブを滅菌せずに清潔ドレープで覆う補助装置(使い捨てである)も開発されている 。
  • 無菌操作が必要なため、超音波検査用のゼリーの代わりにポピドンヨード液や滅菌潤滑剤を用いる。
  • 必要ならば、患者に同じ吸気の深さで呼吸を止める練習を何度か行ってもらう
  • 呼吸性変動による影響で腎臓の位置の再現性が低下するのを防ぐ。

13.

局所麻酔を行う。 

  • 看護師は局所麻酔薬のアンプルを清潔にカットし、薬品名が上になるように傾けて差し出す。
  • 薬品名が見えるようにすることで、誤薬のリスクを減少させる。
  • 医師は10mlまたは20mlシリンジに18G注射針を接続し、局所麻酔薬を吸い上げる。 
  • 注射針を局所麻酔用に変えたのち、局所麻酔を行う。
  • 局所剤の注射には10mlシリンジとカテラン針を用いることが多い。

14.
必要ならば、医師は皮膚をメスで3~5mm程度切開する。

  • 生検針がスムーズに進むようにする。

15.
医師は採取時にパチンと大きな音がすることを患者に説明したのち、皮膚切開部より生検針を穿刺する。

  • 大きな音に患者が驚き体動してしまうことを予防する。
  • 必要ならば、前もって採取時の音を患者に聞かせて説明する。
  • 生検針は14~18Gで、自動生検装置を併用することが一般的である 。

16.
検査中、看護師は常に患者の状態を観察する。

  • 医師は超音波画像と生検部から目を離すことができないため、看護師が患者の状態を観察する必要がある。
  • バイタルサイン
  • 安静保持状況
  • アナフィラキシー症状や迷走神経反射(ワゴトニー症状)の有無
  • 適宜、患者に声をかけ不安や緊張の軽減をはかる。
  • 不安、緊張が強いと迷走神経反射(ワゴトニー症状)を起こしやすくなる。

17.
医師は患者に吸気で呼吸を止めてもらい、腎表面まで生検針を進める。

  • 針先が必要以上に腎表面より深く刺入しないように注意する。

18.
医師は自動生検装置を作動させて腎組織を採取し、素早く生検針を引き抜く。

19.
医師は穿刺部をガーゼで圧迫し、呼吸を再開して大丈夫なことを告げる。腎組織は生理食塩水を浸したガーゼに移す。

  • 腎組織は生理食塩水を浸したガーゼに移して、各固定まで乾燥を防ぐ 。

20.
医師は穿刺して採取することを2~3回繰り返し、十分な腎組織を採取する。

  • 光学顕微鏡用、蛍光抗体法用、電子顕微鏡用に、18Gを使用した場合には、2~3本の組織片を採取する 。

21.
医師は穿刺部を約10分間圧迫止血する。

  • 生検後の安静法は腎生検による合併症を防ぐために極めて重要である。
  • まず、徒手圧迫、砂のうによる圧迫止血を一定時間行うことが必要である。

22.
医師は腹部超音波で腎周囲の血腫の有無を確認する。出血が多い場合はさらに10分前後圧迫止血する。

23.
穿刺部周囲の消毒薬や血液を清拭する。

  • 汚染による皮膚のトラブルを予防する。

24.
医師は穿刺部位を消毒し、滅菌ガーゼをあて、伸縮性のあるテープで圧迫固定する。

  • 穿刺部を圧迫止血する。

25.
穿刺部を施設の基準に従い、砂のうまたは腹帯で圧迫する。

  •   生検後の安静法は腎生検による合併症を防ぐために極めて重要である。
  • まず、徒手圧迫、砂のうによる圧迫止血を一定時間行うことが必要である 。
  • 砂のうで圧迫する場合、腹臥位のまま砂のう圧迫するか、仰臥位にしてから砂のう圧迫するかは施設の基準に従う。

26.
必要ならば、医師の指示に従い、止血薬を追加投与する。

  • 止血薬に関しては、腎生検後の止血効果について明確なエビデンスがあるわけではない 。

27.
手袋を外し、手指消毒をした後、腹臥位から仰臥位へ全介助にて体位変換する。

  • 腎生検による合併症を防ぐため、安静を保持しながら体位変換を行う。
  • 処置室で行った場合、ストレッチャーやベッドへ全介助で移動し、帰室する。

28.
バイタルサインを測定する。

  • 腎生検による合併症の早期発見・早期対処に努める。

29.
患者に検査が終了したことを告げ、検査後の注意点を説明する。

30.
使用した物品を適切な方法で片付ける。

31.
個人防護具を外し、手指洗浄する。

  • 微生物の伝播を予防する。

32.
検査と処置の内容、観察した結果をカルテに記録する。

 

経皮的腎生検の検査後の看護

実は、患者様にとって腎生検で一番大変なのが、この検査後になります。

つまり、検査が終わっても約一日は安静が必要になる

っていうことなんですよね。患者さまも、この検査後の安静が一番つらいという訴えがとても多いです。でも、この安静が守れていないと、腎生検で最も恐れていた合併症が起こりやすくなってしまいます!患者さまのためを思って、安静は徹底しましょう!

安静が守られていることで出血が起こらなければ、不必要な薬剤投与や集中管理をしなくてすみますし、入院日数も少なくてすむのです。

結果的には治療費用の削減にもつながり、患者様にとっても苦痛が最小限で済みますので、検査後の安静保持だけは絶対にきっちりやりましょう!

腎生検検査後の看護の流れ

1.定期的にバイタルサインを測定し、全身状態の観察を行う。

下記の症状があればすぐに知らせるよう患者に説明する。

  • 異常の早期発見・早期対処に努める。
  • 安静中はナースコールを手の届く位置に置いておく。
  • 穿刺部位:圧迫固定の状態、出血、血腫、疼痛の有無
  • 尿量、尿性状、肉眼的血尿、腹痛の有無
  • 発汗、気分不快の有無
  • 疼痛が強い場合、必要に応じて鎮痛剤を投与する。 

2.安静の必要性を患者に説明し遵守できるよう援助する。

安静の解除は、施設の基準に従い、患者の状態を確認しながら行う。可能であれば、クリニカルパスを用いて行う。

  • 生検後の安静は腎生検による合併症を防ぐために極めて重要である 。
  • 生検後の安静解除は、医師あるいは患者の状態を確認しながら行う。この点でクリニカルパスは有用である 。
  • 腰痛がある場合や、褥瘡発生のリスクが高い場合は、マットレスの変更、体位変換用枕の使用などの対策を事前に検討し実施する。
  • 安静に伴う苦痛を最小限とし、安静が遵守できるように援助する。
  • 床上安静中は、可能な限り膀胱留置カテーテルを留置する。
  •  排便は床上排泄とする。
  • 安静中に便意が生じないように、できるだけ検査前に排便を済ませておく。
  • 床上安静中は、安静を保持しながら食事や飲水ができるように、準備、援助を行う。
  • 吸い飲みやストロー使用など、摂取しやすい方法を事前に説明し、物品を準備しておいてもらう。
  • 必要に応じて、おにぎり食に変更する。
  • 砂のうの圧迫時間は2~8時間前後とする。
  • 仰臥位になった後、穿刺と反対側の股関節、膝関節より 徐々に屈曲を許可する。
  • 穿刺側の膝関節の屈曲は徐々に行い、穿刺側の股関節はできる限り屈曲しないように説明する。
  • 側臥位への体位変換開始は6~12時間前後とし、穿刺側を下側にする側臥位から全介助で開始する。
  • 腹部、背部に負担がかかる動作を避けるために介助にて体位変換を行う。

3.床上安静中は、リスクの状況に応じた静脈血栓塞栓症予防のための対策を行う。

  • 腎生検時に腹部を圧迫した体位をとることで下肢の静脈還流を妨げることや、検査後の床上安静により、血栓が生じやすくなる。
  • 血栓症の既往歴、高齢、肥満、高脂血症、下肢静脈瘤、ネフローゼ症候群、抗リン脂質抗体症候群などの危険因子を有する例では特に注意する必要がある 。
  • 肺うっ血がない症例であれば、一日尿量が1500ml~2000ml以上になるように、十分な輸液を施行する。
  • 指示された輸液を管理し、脱水の徴候に注意する。 
  • 安静の範囲内での、膝関節と股関節の屈曲と伸展、体位変換
  • 足関節の背屈、底屈運動
  • 弾性ストッキングの着用
  • フットポンプの使用

4.予定された圧迫時間が経過したら、患者の状態を確認した上で、圧迫固定を外す。

穿刺部の消毒、保護は施設の基準に従って行う。

  • 圧迫のテープを剥がす際は、皮膚を抑えながら優しく剥がす、粘着部をぬらしながら剥がすなど、皮膚トラブルが起きないように注意する。

5.医師は腹部超音波で腎周囲の血腫の状況を確認する。

歩行開始の許可が出たら、看護師は膀胱留置カテーテルを抜去する。

  • 歩行開始は18~24時間後から開始する。

6.回歩行は必ず付き添い、状態を観察する。

  • 安静解除後の歩行は、ふらつき、気分不快出現などのリスクがある。
  • 歩行開始後も、体幹部をひねる、階段を使用するなど、腹部、背部に負担がかかる動作は避け、できるだけベッド上で安静に過ごす。
  • 排泄は洋式トイレを使用し、腹圧をかけないようにする。
  • 便秘のある患者の場合、必要ならば下剤を使用して便を出しやすくする。
  • 退院後1~3ヵ月は運動を禁止する。

7.必要ならば清拭と更衣の介助を行う。

  • 皮膚を清潔に保つ。
  • 検査や安静に伴う皮膚トラブルが生じていないか皮膚状態の観察を行う。
  • シャワー浴開始の許可は施設の基準に従う。  

8.処置の内容、観察した結果をカルテに記録する。

 

以上になります!いかがでしたでしょうか。

おわりに

腎生検後の安静が開始されてから解除されるまでは、看護師が主体となって密な観察が必要なので、体力的にきついかもしれませんが、患者さまの苦痛に寄り添った切れ目のない対応をやりきることが出来れば、患者様からの信頼をガッチリと得ることが出来ると思います!

患者さまが無事に検査をやり遂げられるように、看護師も一生懸命やりきりましょう!

おわり!ご意見をお待ちしています!