みなさんこんにちは!栗鈴です。
今回の記事は『スクイージング・バイブレーション・ハッフィングの方法【呼吸リハ】』です。宜しくお願い致します。
はじめに
スクイージングといえば、
主に、在宅の場において実施されるイメージがありますね。
私も正直、積極的に患者様に対してスクイージングを行った回数は、6年目になった今でも数えるほどしかありません。
みなさんは、どうでしょうか?(・o・)
病棟でも、
積極的にスクイージング、バイブレーション、ハッフィングを行ったりしていますか?
呼吸器の病棟などでは、結構行うのでしょうか?
だとしたら、
私は呼吸理学療法についてあまりにも無知なのでは…(;´Д`)
ちょっと甘く見すぎているのかも….Σ(゚Д゚)
と思いまして…
今回はスクイージング、バイブレーション、ハッフィングの技術について、とことん勉強していきたいと思う!(≧▽≦)
てなわけで、
やっていきましょう!
呼吸理学療法(スクイージング、バイブレーション、ハッフィング)
必要物品
- 聴診器
- パルスオキシメーター
- 使い捨て手袋
- ティッシュペーパー
- 枕、小枕(1~4個)
- バスタオル
- ガーグルベイスン
- バイブレータ(バイブレーションを行うための器具)
[必要時]
- 心電図モニター
- 水
- ネブライザー一式
- 吸引物品一式(吸引チューブ、吸引器、吸引カテーテルなど)
<アセスメント>
1.患者本人であることを確認。
意識レベル、バイタルサイン、 経皮的動脈血酸素飽和度の測定、 フィジカルアセスメントを実施し、 各手技の可否について医師に確認する。
- 患者誤認防止のため、リストバンドでフルネームを確認する。 可能であれば患者に氏名を名乗ってもらう。 またはリストバンドでフルネームを確認する。
- 一般状態が不安定な場合は、悪化させる恐れがある。
- 胸部熱傷による植皮術後
- フレイルチェスト
- 骨粗鬆症
上記の場合は禁忌である。
2.
行う時間帯を患者の状態に応じて決定する。
- 鎮痛剤を投与する場合は、実施する15~ 20分位前に鎮痛剤を投与する。
- 食後2時間以降が望ましい。
- 嘔吐を誘発しやすいため食後は避ける。
- 疼痛のある患者は、 創部を圧迫される体位により疼痛を誘発させる可能性が高い。事前の鎮痛薬投与を検討し、鎮痛がはかられてから行う。
- 睡眠中は同一体位をとりやすく、 分泌物が肺の末梢へ貯留しやすいため、 覚醒直後に行うと効果的である。
3.
胸部X線所見や聴診・触診により、 気道分泌物が貯留している肺葉や肺区域をアセスメントし、 それに該当する胸郭のスクイージングを行うよう検討する。
- 左右上下と貯留区域を聴診し分泌物の貯留部位を確認してから行う 。
- 分泌物の貯留している肺区域によって有効な体位や実施位置が異なる。
a.肺雑音のアセスメント
i.
気道内分泌物は貯留していないか。
- 低音性連続音(グーグー音)
- 粗い断続音(ブツブツ音、バリバリ音)
ii.
呼吸音は減弱していないか。
- 肺炎、無気肺の部位
4.
スクイージングで痰が上昇してこない場合、 振動により分泌物を気道から遊離させるバイブレーションを行う。
- 痰が気管に上がってきたら咳を促し、痰を喀出させる。
- 効果的な咳ができない場合は、痰を細気管支から気管支に集め、 咽頭付近まで移動させハッフィングを行う。
スクイージングの手順
1.
患者本人であることを確認し、目的を説明し同意を得る。
- 患者誤認防止のため、リストバンドでフルネームを確認する。 可能であれば患者に氏名を名乗ってもらう。
- 不安により痛みが増強したり呼吸困難症状が悪化したりするため、 患者に心身の緊張を解きリラックスすると呼吸も楽になることを説明し、患者の理解や協力を得る。
2.
排泄の有無を確認する。
- 事前に排泄を行い途中で中断することのないようにする。
3.
羞恥心に配慮しプライバシーを保護する。
- 患者がリラックスした状態で行うことでより効果が得られるため、 環境に配慮する。
4.
手指消毒をする。
- 微生物の伝播を予防する。
- 分泌物に触れる可能性がある場合は使い捨て手袋を装着する。
- CDC(米国疾病管理予防センター)の提言に従い、 血液および体液への偶発的な曝露を防ぐ必要がある 。
5.
医師の指示に基づき、実施前にネブライザーを用いて吸入させ、 排痰しやすくしておく。
- 分泌物の粘性が高い場合、貯留している痰が移動しにくい。
- 医師の指示に基づいて気管支拡張薬や去痰薬の吸入を実施する。
- 室内の湿度を上げたり、 少量の水分補給を促したりすることも効果的である。
6.
輸液ルート、気管切開チューブ、 および気管内挿管中の患者においては、チューブの固定、 人工呼吸器の回路、膀胱留置カテーテルなどをチェックし、 閉塞や抜去を予防する。
- 胸部外科手術後の患者や人工呼吸器装着中の患者などの場合は、 全身状態、手術部位、ドレーン挿入の部位などに注意する。 すべてのラインやチューブがねじれたり、抜けたりしないよう、 延長チューブの追加を考慮し、事故防止に努める。
- また、 気管チューブや気管切開チューブのテープ固定やひも固定の安全性を確認する。
7.
患部の呼吸に合わせて両手を動かし、呼吸のリズムを確認する。
呼気時に軽く圧迫し、口すぼめ呼吸を促す。
呼気の始めには軽く胸郭が2~3cm沈む位の圧迫を加え、 徐々に圧を強くし呼気を加えていく。
吸気になったら手の力を抜く。
ひとつの手技につき、3~ 5分程度を目安に行い、患者に苦痛がない程度とする。
- 口すぼめ呼吸により呼気の初期流量を減速させ、 気道内圧を上昇させ、肺胞の虚脱を防ぐ。
- 徐々に圧を強めていくことで呼気流速を高め、 肺胞の空気を絞り出すことで、 手の力を抜いたときの空気の流入がよりスムーズになる。
- 局所的に圧迫すると骨折などの恐れがあるため、 手掌全体で広く均等に圧迫する。
- また、呼気時に胸郭が動く方向に合わせて圧迫する。
- 呼吸回数が多い場合は患者の負担が増すため2回に1回のペースで行う。
<上葉の場合>
a.
仰臥位で行う。
第4肋骨より上部の胸郭に手を置くため、 まずは第4肋骨の位置を確認する。
b.
第4肋骨より上部の胸郭に手を置き、 もう片方の手をその上に重ねる。
c.
深く息を吸ってもらい、その後、 呼気に合わせて少しずつ圧を強める。
<中葉の場合>
a.
3/4仰臥位で行う。
背部に枕を入れ、体位を整える。
前胸部の手は第4肋間と第6肋間の間に置く。 背部の手は肩甲骨の下角に置く。
b.
呼気に合わせて、徐々に圧迫を強める。この時、両肘を屈曲し、 体を患者に近づけ、手掌全体で前後から、 呼気に合わせて圧迫する。
<下葉の場合>
a.
側臥位で行う。
手は中腋下線と第8肋骨の交点より上に置く。
b.
呼気時に、胸郭を看護師の方に引き下げるように、 肘を軽く屈曲しながら圧迫する。
c.
呼気終了時には看護師の手首が背屈し、 体が手の上に覆いかぶさるように圧迫する。
<両上葉の場合>
a.
仰臥位で行う。
両手を上前胸部の乳頭より上部で、 鎖骨に触れない位置に置く。
b.
呼気時に胸郭の動きに合わせ、胸郭を押し下げるように圧迫する。
<両下葉の場合>
a.
伏臥位で行う。
両手を側胸部の中腋下線と第8肋骨の交点より上部に置く。
b.
呼気時に、両手で側胸部を押し、 両側から下方へ引き下げるように圧迫する。
8.
バイタルサイン、呼吸状態、 経皮的動脈血酸素飽和度をチェックし、患者の状態を観察する。
- スクイージングは体位ドレナージと胸部への圧迫を同時に行うため 、身体への負担が大きい。
9.
患者の状態に応じて適宜休息を入れる。
10.
咳嗽を認め、痰の喀出兆候がある場合は、窒息に注意しながら、 痰の喀出を促す。
- 困難であれば吸引をする。
- 痰の喀出が見られない場合、患者に咳嗽を促し、痰の喀出を促す。
- また、 可能であれば飲水やほかの呼吸理学療法などと併用すると排痰に効果がある。
11.
実施後、喀痰の有無、量、呼吸音、喘鳴の有無、 経皮的動脈血酸素飽和度、両側の胸郭の動き、呼吸困難の改善、 胸部X線所見などを観察する。
- 効果を確認でき、次回実施時の参考となる。
12.
終了したことを患者に説明し、体位を整える。
13.
後片付けを行い、手指消毒をする。
- 微生物の伝播を予防する。
14.
処置の内容と結果をカルテに記録する。
バイブレーションの手順
1.~6.
スクイージングの手順の1~6参照。
7.
バイブレーションを行う。
患者に苦痛のない強さで、 脊椎や鎖骨には触れないように行う。
- 手・器具をあてる部位はスクイージングと同じである。
- バイブレーションの効果による咳嗽を期待して行う。
- 手術創の部位、肋骨骨折、 喘息の重積発作などの急性呼吸不全の患者には禁忌である。
<用手の場合>
最大呼吸位から呼気終末位まで、 患者の呼気が小刻みに切れるように振動をかける。
<器具を使用する場合>
着衣の上にタオルを掛け、その上から器具をあてる。
8.~14.
スクイージングの手順 8~14参照。
ハッフィング(強制呼出)の手順
1.
患者本人であることを確認し、目的を説明し同意を得る。
患者誤認防止のため、リストバンドでフルネームを確認する。
可能であれば患者に氏名を名乗ってもらう。
- 不安により痛みが増強したり呼吸困難症状が悪化したりするため、 患者に心身の緊張を解きリラックスすると呼吸も楽になることを説明し、患者の理解や協力を得る。
- 創部の痛みなどにより力強い咳が行えない場合に適応となる。 咳の代わりにハッフィングを行う。
2.
排泄の有無を確認する。
- 事前に排泄を行い途中中断することのないようにする。
3.
手指消毒をする。
- 微生物の伝播を予防する。
- 分泌物に触れる可能性がある場合は使い捨て手袋を装着する。
- CDC(米国疾病管理予防センター)の提言に従い、 血液および体液への偶発的な曝露を防ぐ必要がある 。
4.
医師の指示に基づき、実施前にネブライザーを用いて吸入させ、 排痰しやすくしておく。
- 分泌物の粘性が高い場合移動しにくい。
- 医師の指示に基づいて気管支拡張薬や去痰薬の吸入を実施する。 室内の湿度を上げたり、 少量の水分補給を促したりすることも効果的である。
5.
輸液ルート、膀胱留置カテーテルなどをチェックし、 閉塞や抜去を予防する。
- 胸部外科手術後の患者の場合は、全身状態、手術部位、 ドレーン挿入の部位などに注意する。
6.
患者に腹式呼吸をしてもらい、 その後ゆっくりと深呼吸をしてもらう。
7.
腕で胸郭を抱え込み、大きく吸気し、胸腔内圧を高める。 看護師は胸部・背部に手を添え、吸気時の胸郭の動きを補助する。
8.
「ハッ」と口から強く大きく、最大呼気まで吐き出してもらう。
- この時の「ハッ」は声にならない強い呼気の音である。
- 看護師は呼気時に両手をやや下方へ向け、力を入れて支える。
- 声門を開いたまま一気に強制呼出することで、 胸腔内圧が上がり過ぎるのを防ぐ。
- 鏡や窓を呼気でくもらせるときのように息を吐き出す 。
- 腹部に創傷がある場合は枕を抱えて実施するとよい。
9.
6~8を3~4回繰り返す。
10.~16.
スクイージングの手順8~14参照。
以上になります!
いかがでしたでしょうか。
おわりに
スクイージング、バイブレーション、ハッフィングは、特殊な器具がなくとも人の力だけで実施できる排痰法です。
病院の場合、
痰が絡んで出しづらいとくれば、すぐに
『よっしゃーじゃあ吸引だ!(・∀・)』
となってしまいがちですよねぇ…('・ω・')
でも、吸引にはみなさんご承知のとおり、
吸引そのものの苦痛や呼吸状態の悪化、鼻腔・気道・口腔内の粘膜を傷つける、などのリスクがあります。
患者さまが痰が出せなくて苦しんでいたら…
看護師は反射的に吸引をするのではなく、呼吸のフィジカルアセスメントを通してしっかり患者さまの状態を見て、患者さまがなるべく苦しまないように痰が出せるための最善の一手をとれるようにすべきなんだなぁ。
と今回勉強して感じました!
今まで私は、
スクイージング、バイブレーション、ハッフィングをほとんどやらずに患者さまを看させていただいていましたが、
ここぞ!(๑•̀ㅂ•́)و
という時に積極的にやってみたいと思いました!!
みなさんも、もしあまり呼吸理学療法の経験がない方がいましたら、ここぞ!という時にやってみることをオススメします。
状況によるかと思いますが、
うまくいけば吸引をせずに痰が喀出できますよ!
患者さまの安全・安楽のために、どんどんできる技を増やしていきましょうね!(≧▽≦)
おわり!ご意見をお待ちしています!