栗看

~くりかん~

胸腔ドレーンの挿入の手順(物品・準備・介助の方法)

みなさんこんにちは。栗鈴です。

今回は、胸腔ドレーンの挿入についての記事になります。

 

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はじめに

ところでみなさんは、

胸腔ドレーンについての知識や技術は詳しいですか?胸腔ドレーンの挿入の介助や、 ドレーンの管理を自信を持って行うことができますか?

正直、私は自信ないです!(¯―¯٥)

なんか、勉強してもよくわかんねぇんだよ胸腔ドレーンって…(^_^;)

看護師も人それぞれ、

各分野の得意とか苦手とかがあると思うのですが、私の場合はこの胸腔ドレーンが一番苦手でした…

 

  • チェストドレーンバッグの仕組みは訳わからんし、
  • 蒸留水の入れ方も、説明書みてもよく分からんし、
  • 胸腔内圧の見方も難しいし、
  • なんか不自然にチェストドレーンバッグからシューシュー音がいってるときあるし…

わりと経験年数がいっていても、なかなか理解できなかったんですよねぇ。ホントはフィジカルアセスメントや倫理綱領の記事を書こうと思っていたのですが、なんだかドレーンに自信がない自分に悔しくなってきたので、今回は胸腔ドレーンです!

さぁさぁ早速やっていきましょう!

 

必要物品

  • 消毒セット(滅菌綿球、滅菌摂子)
  • 消毒液(例:ポビドンヨード液)
  • 滅菌穴あきドレープ、もしくは滅菌覆布
  • 滅菌手袋
  • 使い捨てのシーツ
  • 局所麻酔薬
  • シリンジ(10ml)
  • カテーテルチップシリンジ (30ml)
  • 注射針(18G、23G)
  • 縫合セット(縫合用持針器、メス、ハサミ)
  • 縫合糸
  • 滅菌Yガーゼ
  • 滅菌ガーゼ
  • 固定用テープ、透明ドレッシングフィルム
  • 胸腔ドレナージボトル
  • 蒸留水
  • 滅菌済み体内留置排液用チューブ(トロッカーカテーテルⓇなど)
  • コネクター付き接続管 
  • 電動式吸引器、もしくは吸引システム
  • 結束用工具
  • 結束用バンド
  • チューブ用鉗子
  • 吊り下げ金具
  • 油性マジック
  • パルスオキシメーター

太字は一体型のチェストドレーンバッグのものがある。

 

[必要時]

  • ミルキングローラー
  • ドレナージチューブ(延長用)

 
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1つ1つの部位の仕組みを理解できるようにじっくり勉強していきましょう!

 

<ドレナージボトルの準備>


1.手指洗浄をする。 

  • 微生物の伝播を予防する。

 

2.
ドレナージボトルを開封し、破損、汚れがないか確認する。


3.
水封室へ滅菌蒸留水を指示量注入する。

  • 胸腔内を陰圧に保ちつつドレナージするため、 水封式持続吸引法が用いられる。
  • 注入された水は水位や気泡の有無を確認しやすいよう着色される。
  • 指示量より少ないと気密性や陰圧を維持できない可能性があり、 逆に多いと呼吸仕事量が増すため、指示量を守る。

 

4.
吸引圧制御ボトルへ設定圧の高さまで滅菌蒸留水を注入する。

  • 胸腔内圧は、水封室細管と吸引圧制御ボトルの水位の和となる。

 

5.
排液ボトルと吸引圧制御ボトルを連結チューブで接続する。

 

  • 電動式吸引器を使用する場合: ドレナージボトルの吸引ポンプ接続チューブと吸引器を接続する。
  • 壁式吸引器を使用する場合: ドレナージボトルに接続チューブを連結し、吸引器に接続する。

 

6.
気密確認のため、 胸腔ドレーン接続チューブを鉗子でクランプする。

  • 有鉤鉗子は鉤によってチューブを傷つけるリスクがあるため無鉤鉗子を用いる。
  • 確実にクランプするため鉗子は2本の向きを変えて交互にかける。

 

7.
吸引装置接続チューブを吸引装置へ接続し、吸引を作動させる。


8.
吸引システムに不良がないことを確認する。

  • 水封室に気泡が発生し、さらに吸引を続けると、 水封室の気泡は徐々に消失し、 吸引圧制御部の水中内に気泡が発生することを確認する。
  • 確実にクランプや接続がなされているにも関わらず、 水封室から気泡が出続けたり、 吸引圧制御部に気泡が発生しなかったりする場合はシステムが不良品である可能性がある

 

9.

気泡を確認したら、吸引装置接続チューブを吸引装置から外し、 水封室の水が細管を上昇し、20~ 30秒静止していることを確認する。

  • 水封により陰圧が維持されていることを確認する。

 

 

<胸腔ドレーン挿入の手順>

1.
患者本人であることを確認する。

  • 処置の必要性、所要時間、方法、 合併症などについて医師から説明を受けて理解しているか確認し、 必要時補足説明を行う。
  • 患者誤認防止のため、リストバンドでフルネームを確認する。
  • 可能であれば患者に氏名を名乗ってもらう。
  • 質問や不安を表出する時間を設ける説明により患者の不安が緩和され、 処置に対する協力を得やすくなる効果がある。

 

2.
排泄の有無を確認する。

  • 失禁や尿意を催すことにより、処置が中断されることもあるため、 尿意がなくても一応処置前にトイレに行っておくよう促すことが望ましい。

 

3.
バイタルサインを測定し、全身状態を観察する。


4.
十分なスペースを確保し、 羞恥心に配慮しプライバシーを保護する。

  • 必要時、 処置室などに移動する。
  • 必要時、室温を調節する。

 

5.
医師が体位を決定したら、 介助者はベッドの高さを調節し体位を整える。

  • 穿刺部位を露出する。
  • タオルケットやバスタオルを使用し、 不必要な露出を避ける。
  • 適切な位置にカテーテルを挿入できるよう、術野を準備する。
  • 挿入時の体位は、挿入位置( 排出される内容や貯留部位により異なる。) により決定される。


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  • 気胸の場合は、一般的に肺尖部付近(第2肋間)に挿入、12~ 16FRのカテーテルを使用することが多い。
  • 胸水、血胸の場合は、肺底部付近(第5または第6肋間)に挿入、 20~24FRのカテーテルを使用 ※病態に関わりなく中腋窩線上に挿入することが多い。
  • 後方よりにすると臥位時の安楽を妨げる。
  • 切開部位は、挿入部位の1つ下の肋骨である(上側は神経が通っているため神経損傷のリスクがある)
  • 通常仰臥位やセミファーラー位をとる場合が多いが、 貯留部位によってはやや後方からの挿入を行うために側臥位や座位 で行う場合もある。必ず医師に確認する。
  • 冷感、羞恥心を最小限にする。

 

6.
穿刺部位の皮膚状態をよく観察する。

  • 挿入前の呼吸音、呼吸回数、 胸郭運動、血圧、脈拍の状態を確認する。
  • 必要時モニタリングを行う。

 

7.
汚染防止のためディスポーザブルシーツを敷く。

  • 寝衣や寝具の汚染を防ぐ。

 

8.
看護師は手指消毒を行い、使い捨て手袋、マスクを装着する。

  • 微生物と体分泌物の伝播を減少させる。

 

9.
必要物品を医師が手に取りやすいように準備する。

  • 無菌で使用する物品は、ワゴンの上に清潔野を作り、 その上に用意する。
  • 処置をスムーズに進める。 
  • 使用予定の薬剤に対し、患者がアレルギーをもつ、 あるいはその可能性がある場合は薬剤を変更する。

 

10.
医師はキャップ、マスクを装着し、手指消毒を行う。

  • 看護師がガウンテクニックで介助し、医師は滅菌ガウン、 滅菌手袋を装着する。

 

11.
医師は、穿刺部周囲20~ 30cmの範囲を中心から外側へ向かって円を描くようにポビドン ヨード液で2回消毒する。

  • 消毒後は2分以上乾燥させる。
  • 穿刺部を無菌状態に保つ。

 

12.
看護師が穴あきドレープを無菌的に開封し、医師に渡す。

 

13.
広範囲に滅菌シーツがかかること、 挿入中は体を動かさないことを患者に説明する。

  • 医師は滅菌ドレープを取り出し、患者にかける。
  • 患者の協力を得ることでカテーテルの挿入をスムーズにし、 処置に伴う合併症を予防する。
  • 滅菌ドレープの上に手を出さないように説明する
  • ドレープが顔面にかかる場合は呼吸の妨げにならないよう注意する 。

 

14.
医師が使用する滅菌ガーゼ、シリンジ10ML、 注射針18Gと23G、メスを看護師が開封し清潔に渡すか、 ワゴンの清潔野に落とす。

  • 処置の間、患者さまの感覚を麻痺させることで痛みを減少させる 。
  • 局所麻酔は23Gを使用するが、18Gの方が太く、 早く吸い上げることができる。時間がかかってもよければ、 23Gだけよ用意でも構わない。
  • 医師が局所麻酔を行なうため、 看護師は局所麻酔薬のアンプルを清潔にカットし、 薬品名が上になるように傾けて差し出す。
  • 医師はシリンジに18G注射針を接続し、 不潔にならないように局所麻酔薬を吸い上げる。

 

15.
医師は18Gから23Gに針を付け替えた後、 患者に声をかけながら局所麻酔を行う。

  • 看護師は呼吸や循環動態を観察し、適宜患者に声かけをする。
  • 言葉かけを行い、次に行う処置を説明し、励まして、 安全に処置できるよう介助する。
  • 体動により刺入部確保が困難となる可能性があるため、 苦痛を感じたら声で伝えるよう説明する。
  • アナフィラキシーショックの出現に注意する。 

 

16.
医師は局所麻酔の効果を確認したら、 カテーテルの太さに合わせて皮膚を小切開する。

 

17.
挿入時は患者に声をかける。

  • 患者の苦痛を軽減すると同時に安全に処置を行えるようにする。
  • 動脈や肺実質の損傷などのリスクがあるため、バイタルサイン、 顔色、冷汗の出現に注意する。

 

18.
カテーテルの先端部が目的部位まで挿入されたら、 内針を抜去しカテーテルをクランプする。

  • 内針を抜去後、速やかにカテーテルをクランプしないと、 空気が胸腔内へ入り肺が虚脱する危険性がある

 

19.
医師はカテーテルとコネクター付き接続管をつなぐ。

  • 看護師は、 接続管のもう一方の先端を、医師より受け取り、 胸腔ドレナージボトルにつなぐ。
  • そして胸腔ドレナージボトルを電動式低圧吸引器もしくは壁型吸引器にセッティングする。
  • 設定圧を確認し、吸引を開始する。
  • 検体をとる必要があるときは、 このときに穿刺胸水をカテーテルチップで採取する。 看護師は医師よりカテーテルチップを受け取り、 滅菌スピッツなどに移す。このとき、注射器先端、 スピッツ入口は清潔にし、胸水を滅菌のままスピッツに入れる。
  • 急に高圧で吸引すると出血や穿孔を引き起こすリスクがあるため、 吸引圧は徐々に上げていく
  • 逆行性感染を防ぐため、 胸腔ドレナージボトルは胸腔ドレーンの挿入部の高さよりも下に、 理想的には胸の高さより60~90cm下に置かなければならない 。

 

20.
排液または排気を確認する。

  • カテーテルが適切に留置されたことを確認する。
  • 接続部が外れると気胸になるリスクがある。

 

21.
カテーテルの縫合固定を行う。

  • 看護師は、 カテーテルの太さと挿入の長さ、何針で固定されたか確認する。
  • カテーテルの脱落を予防し、 皮下気腫を予防するために適切な位置でしっかりと固定する 。

 

22.
滅菌ドレープを取り除く。

 

23.
挿入部を再度消毒し、滅菌Yガーゼ、滅菌ガーゼ、 固定用テープで固定する。もしくは透明フィルムドレッシングを挿入部に貼付する。

  • 止血できていないときは、滅菌ガーゼで圧迫固定を行う。 止血後に、フィルムドレッシングへ変更する。
  • 挿入部の気密性を保つ。

 

24.
カテーテルとドレーンチューブの接続部を、 結束用工具を使って結束バンドで固定する。

  • ほかのすべての接続部位もテープなどで固定する。
  • 胸腔内へのエアリークを防ぐためにドレナージシステム全体の気密性を確保する 。

 

25.
ドレーンチューブは体に沿って固定用テープで2ヵ所以上固定する 。

  • ドレーン誤抜去のリスクがあるため。

 

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こんな感じに。
 

26.
看護師は挿入部の観察を行い、バイタルサインを測定する。 ドレーンチューブにマジックでマーキングをしておく

  • ドレーン誤抜去のリスクがあるため。

 

27.
他に挿入されているドレーンやチューブがある場合、 混同しないよう整理し区別できるよう札などをつける。

 

28.
患者に終了したことを告げ、余分な消毒液をふき取り、 寝衣を整える。

 

29.
使用した物品を適切な方法で片付け、手指洗浄を行う。

 

30.
胸部レントゲンでカテーテル先端が正しい位置にあるかを医師が確認する。

  • 肺の拡張や貯留液の消失についても確認する。

 

31.
処置の内容と結果、カテーテルの太さと挿入の長さ、 何針で固定されたのかをカルテに記録する。



以上になります!
いかがでしたでしょうか。

 

おわりに

今回は私も記事を書いてみたことで、胸腔ドレーンのことがだんだん理解できるようになってきた気がします!(^o^;でもやっぱりまだまだ苦手だなぁ…(ーー;)もっと勉強しないと!(≧▽≦)

おわり!ご意見をお待ちしています!