電解質の1つである、マグネシウムについてまとめてみました!
- はじめに
- マグネシウムの正常値
- マグネシウムの体内分布
- マグネシウムの体内での利用
- マグネシウムイオンとカルシウムイオンの拮抗作用
- マグネシウムの筋肉への作用
- マグネシウムの緩下作用
- マグネシウムの塩基作用
- 低マグネシウム血症
- 高マグネシウム血症
- おわりに
はじめに
カリウムやカルシウム、ナトリウムなどと比べて、やや地味かつ、よくわからない感じがする電解質であるマグネシウム。
でも、体内で少なくなりすぎたり、多くなりすぎたりすると、実はエラいことになってしまう恐れあり!
ぜひ今回の記事を参考にして、マグネシウムについての知識を身に付けて活用してください!
では、いってみよう!
マグネシウム光線!!!!(∩´∀`∩)嘘
マグネシウムの正常値
- 血清マグネシウム濃度の正常値は1.7~2.4mg/dl です。
マグネシウムの体内分布
- 血清および細胞外液中に存在するマグネシウムは体内総マグネシウムの約1%にすぎません。約50~60%は骨組織や歯の中に存在し、残りは筋肉の組織や、赤血球の中に存在しています。したがって、血清マグネシウム濃度が必ずしも体内マグネシウムの総量を反映するわけではありませんので注意が必要です。
マグネシウムの体内での利用
- マグネシウムは、骨や歯の形成や、タンパク質の合成、エネルギー代謝などの際に必要とされる電解質であります。よって、マグネシウムの欠乏は骨粗鬆症、筋力低下、糖尿病などの代謝異常を生じる疾患の原因のひとつとなっていると考えられています。
マグネシウムイオンとカルシウムイオンの拮抗作用
- マグネシウムは、主に骨の表面近くにマグネシウムイオンとして保存されています。マグネシウムが血中にて不足した場合には、カルシウムイオンと置き換わることによって、マグネシウムが体内に補充されるようになっています。
マグネシウムの筋肉への作用
- マグネシウム欠乏症の治療と予防に用いられるほか、足のつれ(こむら返り)の緩和に有効なのです。
マグネシウムの緩下作用
- 腸管からのマグネシウムの吸収率は、マグネシウム摂取量が多ければ吸収率が低下し、摂取量が少なければ吸収率は高くなるといわれています。したがって、サプリメントなどによってマグネシウムを過剰摂取すると、吸収率の低下によって、排泄が亢進され、下痢を起こします。この作用を利用し、クエン酸マグネシウム(マグコロールPなど)は、大腸検査のときの下剤として使われています。また、便秘の不快症状を緩和する目的の下剤として、酸化マグネシウム(マグミット錠など)が投与される場合もあります。
マグネシウムの塩基作用
- 弱い塩基である酸化マグネシウムや水酸化マグネシウムは、胃酸中和のために胃腸薬に配合されることがあります。
では、ここから
低マグネシウム血症
高マグネシウム血症
について、説明していきます!
低マグネシウム血症
血清マグネシウムが正常であっても、体内マグネシウムが欠乏している場合があるので注意!
低マグネシウム血症の原因
- 消化管からの吸収の低下(低栄養、慢性下痢などによる)
- 腎臓からの排泄増加
- 利尿薬
- 高カルシウム血症…カルシウムが過剰になると、マグネシウムの排泄が促進され、増えにくくなる
- シスプラチン=腎毒性があり、腎機能低下によりマグネシウムの再吸収が低下する など
- その他
- ハングリーボーン症候群…副甲状腺機能亢進症による骨吸収作用により高カルシウム血症が誘発される=マグネシウムの排泄が促進される)
低マグネシウム血症の症状
- 電解質異常
- 低カルシウム血症
- 低カリウム血症…約50%が併発する。また、マグネシウムを補正しないとカリウムの排泄が促進され、低カリウム血症が治りにくくなる。
- 神経・筋症状
- 筋力低下
- 食欲低下
- テタニー症状…低マグネシウム血症、低カルシウム血症によって起こる手足のしびれや震えや痙攣などを引き起こす症状。
低マグネシウム血症の治療
- マグネシウムの補給(マグミット錠、硫酸マグネシウムなど)
高マグネシウム血症
血清マグネシウム濃度が4.8mg/dlを超えると様々な症状が現れる。高マグネシウム血症は非常にまれな症例であり、便秘症を持つ人が下剤として酸化マグネシウム(マグミット錠)などを大量摂取した場合などに起こることがある。
私も、一度だけ下剤の飲み過ぎで高マグネシウム血症になり施設から転院してきた患者さまを看させていただいたことがあります…
下剤の飲み過ぎは危険ということがよく分かりますね…(;´Д`)
高マグネシウム血症の原因
- 腎機能低下(マグネシウムの排泄低下)
- 医原性(マグネシウム含有製剤の投与)
高マグネシウム血症の症状
- 中枢神経症状
- 意識混濁
- 昏睡 など
- 神経・筋症状
- 深部腱反射消失
- 筋の麻痺・弛緩 など
- 心臓・呼吸器症状
- 低血圧
- 徐脈
- 心伝導系ブロック
- 呼吸抑制 など
高マグネシウム血症の治療
- 腎機能低下を認めており、明らかな症状がみられている場合…速やかな血液透析療法の実施
- 心伝導系の異常がみられる場合…カルシウム製剤静注(マグネシウム拮抗作用を有する)
以上になります!いかがでしたでしょうか。
おわりに
マグネシウムは、カルシウムと密接な関係を持っており、カリウムの保持や排泄にも関わっていたんですね。
また、高マグネシウム血症、低マグネシウム血症はいずれも危険な症状や、他の電解質の異常を引き起こすことがあることがわかりました。
症状が出てからでは遅いことも多く、緊急状態になりやすいため、日頃のルーチンの採血結果をしっかり確認するようにしていきたいです!
また、下痢や便秘薬の飲み過ぎなど、低・高マグネシウム血症を引き起こす原因が発生したときは、注意深く経過を観察して、早期発見、早期治療が出来るように医療チーム一丸となって頑張っていきたいです!
みなさんも、マグネシウムの異常にはくれぐれもご注意くださいね!
ご意見をおまちしています。