栗看

~くりかん~

便秘の看護計画の例(OP・TP・EP)【これでばっちり】

こんちには、栗鈴です。

今回の記事は『便秘の看護計画の例(OP・TP・EP)【これでばっちり】』になります!

 

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それでは、よろしくお願いします。

 

はじめに

 ほとんどの人が便秘を経験したがあるかと思います。一般的にいわれるしつこい便秘は慢性便秘とよばれるもので、原因疾患がないものでは生活習慣の改善が便秘解消のポイントになります。しかし、原因疾患のある便秘や、一部の急性便秘は緊急度・重症度の高いものがあり、放置すると危険な状態に移行するものがあります。「便秘は下剤を飲んでおけばそれでOK」という看護では、本当に便秘を解消したことにはなりません!しっかり勉強しておきましょう!

便が出るはずなのにでない…実際はかなりの苦しみです。筋力が少ない人ほど苦しみやすいです。



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便秘の病態生理

  • 便秘とは何らかの原因によって排便に困難を生じ、身体症状に苦痛を感じることをいう。
  • 一般的に便秘は週2回以上の排便がない状態が1か月以上続くことと定義されるが、排便習慣は個人差が大きく回数のみでは規定されない。
  • 排便回数が少なくても身体症状が伴わなければ便秘とはいえない。
  • 口から摂取された食物は小腸で消化吸収され、残った食物残渣が結腸を移動するに伴い水分が吸収されて便塊となってS状結腸に貯留される。
  • 結腸の蠕動によって脊髄を介して排便反射が起こる。排便しようとする刺激の一方で、大脳からは中枢性に排便抑制排便促進の指示を出すことによって、日常生活に支障をきたさないよう排便がコントロールされる。
  • 便秘は一過性かつ短期間で生じる急性便秘と、持続性かつ長期間に生じる慢性便秘に分類され、それぞれ機能性、器質性などに分けられる。
  • 機能性便秘には、①弛緩性便秘:大腸の蠕動運動の低下、②直腸性便秘:排便反射低下により直腸内の便排出困難をきたす、③緊張亢進(痙性)便秘:大腸の緊張が亢進し、痙攣性収縮が起こり、腸内容物の移動が障害される、④薬剤性便秘:薬剤の副作用に伴う便秘、などがある。
  • 器質性便秘には、①大腸がんなどの悪性疾患による腸管の通過障害、②炎症性癒着による通過障害、③症候性便秘:中枢神経疾患・内分泌代謝疾患に伴う便秘、などがある。

便秘の原因または考えられる疾患

急性便秘

機能性便秘:環境変化などによる一過性便秘、急性偽性腸閉塞、機能的イレウス(腹腔内急性炎症など)

器質性便秘:機械的イレウス(大腸がん、腸管癒着、内ヘルニアなど)、腸軸捻転

慢性便秘

機能性便秘:過敏性腸症候群(便秘型)

症候性便秘:神経疾患、代謝・内分泌疾患、膠原病・筋疾患

神経疾患:

  • 中枢神経疾患:多発性硬化症、脊髄疾患、パーキンソン病、脳血管障害、頭部外傷など 
  • 神経原性疾患:末梢神経疾患、ヒュルスプルング病、シャーガス病など

代謝・内分泌疾患:糖尿病、甲状腺機能低下症、高カルシウム血症、低カリウム血症、妊娠、ポルフィリア、汎下垂体機能低下症、褐色細胞腫など

膠原病・筋疾患:全身性硬化症、アミロイドーシス、多発性筋炎、皮膚筋炎、筋ジストロフィーなど

薬剤性便秘:麻酔薬、抗コリン作用をもつ薬剤(抗うつ約、鎮痙薬、向精神薬、抗パーキンソン薬など)、陽イオン含有薬(鉄剤、アルミニウム、カルシウム薬、硫酸バリウム、金属中毒)、オピオイド系薬剤、降圧薬(Ca拮抗薬など)

器質性便秘:瘢痕性狭窄(クローン病など)、術後狭窄、腫瘍性狭窄

便秘の患者の訴え方

  • 排便回数が少ない
  • 排便量が少ない
  • 残便感がある
  • 便が固いために苦痛がある 
  • お腹が張る(腹部膨満感)
  • 悪心・嘔吐
  • お腹が痛い

など。

便秘の診断

  • 急性便秘で腹痛、悪心・嘔吐症状がある場合は、何らかの原因で消化管狭窄をきたし腸閉塞(イレウス)などを発症していることが高率にあり、腹部X線検査などで早期診断・治療が必要となる。
  • 慢性便秘では、まずは食事や日常生活習慣の聴取、現病歴、既往歴、常用薬剤の聴取などにより、鑑別を行う。

便秘の治療法・対症療法

  • 緊急性があるのかどうか、重症かどうかを適切に判断し、腸閉塞などの恐れのある場合は診断・治療を開始する。
  • 原因疾患のある便秘に対しては、原因疾患の治療を行う。または薬剤などによる便秘に対しては、原因疾患に合わせて内服薬の再検討を行う。
  • 慢性期脳性便秘に対しては、生活習慣に問題のあることも多く、生活指導や食事療法などの非薬物治療と、薬物治療を効果的に組み合わせて行うことが大事である。

機能性便秘に対する主な治療薬

膨張性下剤

  • 硬化した便塊に浸透して便容積を増大、軟化させる。
  • カルメロースナトリウム(バルコーゼ)など。

塩類下剤

  • 腸管内で水分再吸収を抑制し便を膨張・軟化させる。
  • 酸化マグネシウム(マグミット)など。

刺激性下剤

  • 大腸粘膜およびアウエルバッハ神経叢に作用し大腸蠕動運動を亢進させ水分吸収を抑制する。
  • センノシド(プルゼニド)、センナ配合剤(アローゼン)、ピコスルファートナトリウム水和物(ラキソベロン、チャルドール)など。

浸潤性下剤

  • 便の表面張力を低下させて便通を改善する。
  • ジオクチルソジウムスルホサクシネート・カサンスラノール配合剤(ビーマスS)など。

糖類下剤

  • 浸透圧作用で水分を保持し、便を軟化させる。
  • ラクツロース(モニラック)など。

消化管運動改善薬

  • 5-HT₄受容体刺激により消化管運動機能を改善する。
  • モサプリドクエン酸塩水和物(ガスモチン)など。

過敏性腸症候群治療薬

  • 腸管の水分を吸収し膨潤、ゲル化し便の水分バランスを調整する。
  • ポリカルボフィルカルシウム(コロネル、ポリフル)など。

経口腸管洗浄剤

  • 腸管内の水分を保持する。
  • ナトリウム・カリウム配合剤(ニフレック)など。

 

 

便秘の看護問題の例

#1 便秘による腹部の違和感がある

#2 栄養のバランスが崩れ、栄養状態が低下している

#3 悪心がある

#4 腹鳴・体臭(口臭)による自尊心の低下がみられる

#1 便秘による腹部の違和感がある

看護診断

便秘

診断指標

腹痛、排便パターンの変化

排便回数や量の減少

腹部の膨隆

直腸の充満感、圧迫感

腸音の異常(減弱、亢進、鼓腸、打診時の濁音)

排便時の苦痛(いきみ、排便困難、排便に伴う苦痛、直腸内のペースト状の便の存在)

長期目標

規則的な排便がある

短期目標

規則正しい排便習慣の必要性が理解できる

観察計画(OP)

  • 前回の排便の時期、性状、量
  • その後の便意の様子や排便時の苦痛感の様子
  • いきみを防げる要因の有無(腹筋の損傷、足の骨折のため足底をつけた安定した座位をとれないなど)
  • 便意を我慢する要因の有無(排便時間確保の困難、プライバシー確保の困難)
  • 便秘をもたらすような薬剤の使用の有無と種類
  • 尿量、尿意、体重変化、腹部膨満の様子
  • 排ガスの有無、臭気
  • 口臭の様子
  • 下剤の服用の有無と効果、常用している下剤の有無と種類
  • 嘔吐、腹痛の有無、食事との関連性
  • 腸蠕動音、腹部の打診によるガス充満部位や程度
  • 触診によるS状結腸の便の停滞の有無
  • 頭痛、倦怠感の有無と程度

ケア計画(TP)

  • 便秘の病因を確認し、腸の絞扼や捻転、腫瘍が否定された際に以下の介入をする
  • 水分摂取、腹部の保温やマッサージ、歩行を促す
  • S状結腸に便が停滞していれば、浣腸、坐薬により排便を促す
  • 排便に際してプライバシーを確保した環境を整える
  • 十分ないきみができない、またはいきんでも十分な腹圧をかけることができない場合は摘便を行う
  • 嘔吐時は、うがいや口腔清拭を行う
  • 肛門に近い側にガスの充満がある場合、ブジーにより排ガスを促す
  • 口臭がある場合は、うがい(緑茶、薄めたレモン水なども一時的に効果がある)を勧める
  • 頭痛や倦怠感が強い場合は、安楽な姿勢を勧める

教育計画(EP)

  • 排便のための効果的ないきみを指導する
  • 便意を我慢しないですむような生活習慣、環境整備を指導する
  • 意思の指示に基づく下剤の使用方法を指導する
  • 副作用として便秘になるような内服薬は、医師に相談し、指示された薬剤に変更する
  • 腹部のマッサージ、水分補給、歩行の重要性を指導し、実施を促す
  • 排便を促すような食事の種類や摂取方法を指導する
  • 便秘による口臭がみられる場合は予防を指導し、実施を促す

#2 栄養のバランスが崩れ、栄養状態が低下している

看護診断

栄養摂取消費バランス異常:必要量以下

診断指標

1日推奨食物摂取量より少ない

不十分な食物摂取の訴え

食物摂取し始めた直後の満腹感の出現

毛細血管の脆弱性

蒼白な粘膜

筋緊張の低下

長期目標

栄養状態が改善する

短期目標

許可された範囲で食物を摂取することが出来る

観察計画(OP)

  • 体重
  • 悪心・嘔吐の有無
  • 食欲、食事水分摂取量の程度
  • 食事後の満腹感の出現のタイミング
  • 粘膜の色調、出血しやすさ
  • 浮腫の有無
  • 活気、機嫌、表情
  • 血清総蛋白、アルブミン、電解質

ケア計画(TP)

  • 輸液から栄養補充する場合は、指示された量を投与する
  • 強化された範囲で、消化しやすい食べ物を少量ずつ開始する
  • 粘膜、毛細血管の脆弱がみられる場合は、刺激の強い食べ物を避け、食後の口腔ケアを丁寧に実施する

教育計画(EP)

  • 無理して食事を摂取しないよう指導する
  • 栄養摂取と排便を促進するための食事内容について患者・家族に指導する
  • 粘膜のケア、口腔ケアの方法と実施の重要性を指導する

 

#3 悪心がある

看護診断

悪心

診断指標

食物に対する嫌悪感

嚥下数の増加

悪心の訴え、嘔吐

唾液分泌の増加、口腔内の酸っぱい味

長期目標

悪心による食事への不快感や苦痛の遷延がない

短期目標

悪心・嘔吐、誤嚥がない

観察計画(OP)

  • 発熱
  • 胸部X線所見、血液検査結果
  • 悪心の推移、嘔吐の有無、量、嘔吐時の体位
  • チアノーゼ、発熱、バイタルサイン
  • 意識レベル

ケア計画(TP)

  • 悪心・嘔吐の症状がみられたら、側臥位にする
  • 腸管内の減圧を促すためにイレウス管か胃管を挿入している場合は、ミルキングなたは吸引をする
  • 口腔内を清潔にする
  • 誤嚥リスクの高い患者には吸引の準備をする

教育計画(EP)

  • イレウス管が挿入されている場合は、悪心予防として、腸管内の減圧を促進するため歩行が効果的であることを説明し、歩行を促す
  • 安全な栄養摂取方法を説明する

#4 腹鳴・体臭(口臭)による自尊心の低下がみられる

看護診断

自己尊重状況的低下

診断指標

自己に対する否定的な感情を言葉に出して表す

朱智真や罪悪感を表明する

状況や出来事に対処できないと自分を評価する

意思決定をするのが困難

社会的孤立

長期目標

将来に対する肯定的な見通しを表明し、以前の機能レベルに回復する

短期目標

自己尊重を脅かす原因を見つけ、その問題に対処できる

観察計画(OP)

  • 腹鳴・体臭(口臭)の認識の程度
  • 症状に対する質問の有無、内容
  • 対人関係、自尊心に関する発言の有無、内容
  • 周囲の人(家族、同室者)の対応の様子
  • 他者との関わり方の変化の有無

ケア計画(TP)

  • 身体変化に対する感覚や知覚が表出できるような態度で接する
  • 腹鳴を減少させるよう、腸管内の減圧チューブが挿入されている場合は十分な減圧の管理をする
  • 減圧チューブが挿入されていない場合は、ガスの排出を促進するために腹部の保温やマッサージまたは歩行を促す
  • 体臭(口臭)を緩和させるために飲水が可能であればレモン水などの服用を勧め、飲水が許可されていない場合はうがいを勧める
  • 体臭(口臭)が室内にこもるのを防ぐために防臭シートを使用したり、適宜、換気をしたりする。この場合は説明を十分に行い、心配や質問がないか聞き、丁寧に答える
  • 治療や処置をする場合は、十分に説明し、心配し質問がないか聞き、丁寧に答える
  • 気分転換を勧める

教育計画(EP)

  • 身体機能の変化に伴う症状(臭い、腹鳴など)を調整する方法を指導し、自己管理を促す

おわりに

便秘の原因は様々ですが、慢性便秘に関しては食事、運動、排泄習慣、下剤の服用方法などの生活習慣に着目し、症状への対応のみならず、生活習慣の見直しと改善に向けた指導を行う必要があります!情報収集と、対話の都度の精神的支援を十分に行い、個別性に合わせたケアを実施できるように努めて、「看護の力」で患者さまの便秘を改善させていきましょう!

参考文献

緊急度・重症度からみた症状別看護過程+病態関連図 801‐817P:編集 井上智子/佐藤千史:医学書院

 

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