こんにちは、栗鈴です。
今回の記事は、『褥瘡予防のアセスメントと観察・ケアの方法を解説!』です。
よろしくお願いします。
はじめに
褥瘡予防のケアは、看護・介護をする上で欠かせない重要なスキルになります。
褥瘡が発生するかしないかは、
褥瘡予防のケアがいかに適切に行えているかどうかによって決まるといっても過言ではありません。
担当するスタッフによる観察・ケア・家族指導などの介入次第で結果が決まります。
逆に言うと、褥瘡ケアはまさに
看護師の腕の見せ所です!
褥瘡予防のアセスメント、ケアをマスターして、【治るべくして治る】環境が整えられるように、勉強をしていきましょう!
褥瘡のアセスメント・予防
<褥瘡の予防>
褥瘡のリスクアセスメント
- アセスメントデータは患者の皮膚統合性や褥瘡発生の危険性、そして治癒過程の予測に関する重要な情報となる。
- アセスメントは定期的な間隔、術後など、状態が変化したときに行う。
褥瘡の予防と発生後のケアについて、
- 「皮膚の観察」
- 「褥瘡発生の予測」
- 「圧迫、ずれの排除」
- 「スキンケア」
- 「栄養管理」
- 「リハビリテーション」
- 「患者教育」
の7つの視点を常にもつ。
褥瘡リスク因子の観察項目
褥瘡危険因子の評価のため、以下を観察する。
- 基本的動作能力の程度
- 知覚異常の有無(脊髄損傷など)
- 循環障害(糖尿病による末梢神経障害など)
- 病的骨突出の有無
- 関節拘縮の有無
- 栄養状態低下の有無
- 貧血の有無
- 脱水症の有無
- 多汗・失禁などによる皮膚湿潤の有無・程度
- 浮腫の有無、程度
- 褥瘡や創傷の有無および既往歴
褥瘡発生リスクの評価スケール
褥瘡発生予測方法として、
- ブレーデンスケール
- K式スケール
- OHスケールなどが用いられる。
国際的には、ブレーデンスケールがよく用いられる。
ブレーデンスケール

- 日本褥瘡学会のガイドラインでは、ブレーデンスケールを用いることが勧められている(推奨度B)。
- ただし、高齢者には、褥瘡危険因子による評価、高齢者寝たきり患者においては、OHスケールを使用してもよいとしている (推奨度C1)。
OHスケール

OHスケールのリスクランク判定、マットレス選択基準(介護力あり・なし)

- 寝たきり入院高齢者ではK式スケール(金沢大学式褥瘡発生予測尺度)を使用してもよいとしている (推奨度C1)。
- スケールの使用により簡便に評価できる。また、評価者によるばらつきが少なくなり、継続的な評価が可能となる。
体圧分散マットレスの使用
- 患者の状態やリスクに応じて体圧分散マットレスを選択する。
- 日本褥瘡学会のガイドラインでは、褥瘡予防のために体圧分散マットレスを使用することが強く勧められている(推奨度A)。
- 高齢者には、2層式エアマットレスの使用(推奨度B)
- 急性期患者には低圧保持用エアマットレスの使用(推奨度B)
- 周手術期患者には圧切替型エアマットレスの使用(推奨度C1)が勧められている。
- 接触圧の体圧値が40mmHg以上のときは、褥瘡ができやすい。ブレーデンスケールの可動性2点以下の時は、体圧分散マットレスの使用を検討する。
- すでに使用している場合はマットレスの使用状況が適切かを確認し、必要時にはマットレスの変更を検討する。
- マットレスは底付きしないよう、圧力を調節する。
- マットレスの下(骨突出部の真下)に手掌を上にして手を差し込み、中指または示指を曲げて確認する。すぐに骨突出部に触れる状態を底付き状態という。
- 底付き状態の場合はマットの内圧を高くする。指を2.5cm曲げると骨突出部に触れる状態が適切な圧である。曲げても骨突出部に触れない場合は、過剰な圧力のため、マットの内圧を低くする。
- マットレス使用による患者の安楽や日常生活動作への影響についてもアセスメントする。
- マットレスは体圧分散に有効だが、体がマットレスに沈み込むと、自力での起き上がりや座位保持が困難となり、リハビリテーションを妨げることがあるため、リスクアセスメントと必要性の判断を定期的に行う。
体位変換

- 体位は枕やクッションを使用し、褥瘡好発部位の圧迫を避ける。
- 30度側臥位が褥瘡を予防するのに効果的であるが、患者にとって安楽な体位を工夫する。
- 同一体位による圧迫を解除する。
- 90度側臥位は下側の腸骨、大転子が圧迫されるのに比べ、30度側臥位は殿筋に圧が加わるため褥瘡発生のリスクが低いとされている。
- ただし、日本褥瘡学会のガイドラインでは、30度側臥位、90度側臥位ともに行ってもよい(推奨度C1)が、日本人の体格では検討されていないことと、30度側臥位は患者の安楽な姿勢に反していると報告されていることに留意する必要があるとしている。
- 体位変換の頻度は、可動性のレベル、全身状態、皮膚の状態のアセスメントおよび使用している体圧分散マットレスによって決定するが、最低でも4時間ごとを目安とする。
- 以前は2時間毎に体位変換を行うべきとすることもあった。患者・介護者の身体的負担や安楽・入眠が妨げられることから、特に在宅の場では推奨されなくなってきた。
- 体位変換時に、寝具や寝衣のしわが生じないように整える。
- 摩擦は褥瘡発生の要因であるため、患者を引きずらないよう注意する。
- ギャッチアップの実施は、ずれが発生しないよう注意し、背抜き(体を一度浮かせてずれを解除する)を行う。
- ギャッチアップ、ギャッチダウン後は、マットレスと体の接触面にずれが生じるため、背抜き(体を一度浮かせてずれを解除する)を行う。
スキンケア
- 皮膚の湿潤により皮脂を保護している皮脂膜が取れ、皮膚のバリア機能が損なわれると、浸軟、損傷、感染と皮膚の抵抗力は弱まる。
- また、皮膚の乾燥は摩擦やずれによって表皮が剥離しやすくなる。
- 日本褥瘡学会のガイドラインでは、高齢者の骨突出部位の褥瘡発生予防に、ポリウレタンフィルムドレッシング材、すべり機能つきドレッシング材を貼付することが勧められている(推奨度B)。
- 汗、便、尿を除去し、皮膚を清潔に保つ。
- 皮膚乾燥時には親水性クリーム、皮膚の摩擦部位には半透過性フィルムなどを使用する。
- 清拭をする際は、皮膚を強くこすって傷つけないよう注意する。
- 入浴や足浴などを行い、循環を促進させる。
栄養評価
定期的なリスクアセスメントを行い、血清アルブミン値3.0g/dl以下で、かつ血清ヘモグロビン値11.0g/dl以下の場合は、褥瘡のリスクが高いとし、必要に応じて栄養状態改善の看護計画を立案する。
- 低栄養、特に低蛋白は褥瘡発生のリスクを高めるため定期的にアセスメントし、早期に介入をはかる。
- 脱水によって、数値の上ではアルブミン値が高値となる場合もあるので注意する。
- 体重変化、消化器症状(悪心、嘔吐、下痢など)、電解質バランスも考慮してアセスメントする。
- 必要に応じて管理栄養士と連携し、栄養方針を検討する。
<褥瘡発生時の評価と観察>
1.褥瘡が発生したら、褥瘡の深さを評価する。
発生した褥瘡の深さは、NPUAP (National Pressure Ulcer Advisory Panel:米国褥瘡諮問委員会)分類で分類される。
- 客観的指標で評価し、医療従事者間の共通認識をはかる。
- 2007年よりNPUAP分類に「DTI(Deep Tissue Injury)疑い」と「判定不能(unstageable)」が加わった。「DTI疑い」とは、初期の段階では一見軽度な褥瘡に見えるが実際には皮下組織がすでに壊死に陥っているものを指す。
- DTIへの対策として大切なのは、まずDTIを疑うことである。
2.褥瘡局所状態の観察を行う。
- DESIGN®およびDESIGN-R®ツールを使用し、発生している褥瘡の重症度を分類し、治癒過程を数値で表して経過をみる。
- 客観的指標で評価し、医療従事者間の共通認識をはかる。
- DESIGN®およびDESIGN-R®は、基本的に医師と評価を行う。
- 毎日、褥瘡の状態を観察し、大きさやケア内容をカルテに記載する。必要に応じて褥瘡部の写真を撮る。写真を撮ると、状態や変化が把握しやすい。
以上になります!
いかがでしたでしょうか。
おわりに
今回の褥瘡予防のアセスメント・ケアを、自分だけが実践したとしても、それだけでは24時間、常に行き届いた褥瘡予防が出来るわけではありません。
褥瘡予防は、途切れることなくケアが持続できていなければ、いずれ褥瘡は発生し、悪化していきます。
褥瘡予防に携わる医療チーム全員が、統一したアセスメント・ケアができるように、実践していく看護を主体的に計画していきましょう!褥瘡ケアは1人でやるのではなく、チーム全員でやるものです!みんなで頑張りましょう!
おわり!
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横浜は台風ほぼ今は影響なし。カセットコンロのガス、湯煎で食える米、水、タンク、カレー、缶詰め、防災トイレ、防災セットは準備した!食う・出すがなんとかなれば、なんとか。自転車も吹っ飛ぶ可能性があるため、柵にくくりつけた。あとはなんとかご利用者様が無事で、川が氾濫しませんように…
— 栗鈴@ブログ6年目 (@maaiikanokokoro) September 18, 2022