こんにちは、栗鈴です。
今回の記事は『【全部わかる】白内障の看護計画 OP・TP・EP(看護問題・看護診断も!)』になります。
よろしくお願い致します!
はじめに
白内障だけの患者さまを看護実習で受け持つことはおそらくないと思いますが、既往歴に白内障がある患者さまはとても多いので、白内障に対する看護の知識を十分に学習しておくことは大切です。看護師になってからだと、白内障の患者さまは沢山いて、手術出しや術後の処置・観察をする機会は多いので、一緒に勉強していきましょう!
白内障の看護計画が詳しく立てられている学生さんは少ないので、うまくいけば実習先でもポイントが非常に高いと思いますよ!
それではみていきましょう!
白内障の看護の概念
白内障は、水晶体の前嚢下、後嚢胞下、皮質、核が局所的、 もしくは組み合わさって混濁している状態であり、 かすみやまぶしさといった視力障害が生じる。
白内障の病態生理
- 原因別では先天性と後天性がある。
- 後天性としては原因別として、 臨床的に最も多い老人性(加齢性)や、外傷性、併発性、 放射線性、糖尿病によるもの、薬剤性があげられる。
- 老人性白内障では、部位別に皮質白内障では部位別に皮質白内障、 核白内障、嚢下白内障の3つ型に分類される。
後天性白内障
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老人性白内障
水晶体は25歳を過ぎる頃から透明な色調から黄色の色調を帯び、 透明性が減じてくる。この現象は加齢現象であり、 原因として紫外線による影響が最も大きいといわれている。 この色調の変化すなわち白内障は水晶体の蛋白の変性によると考えられており、加齢とともに混濁の程度は増強していく。
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外傷性白内障
外傷により、 水晶体嚢が破壊されることによって、水晶体繊維が変性、膨化し、 混濁する。
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併発性白内障
長期にわたるぶどう膜炎、網膜剥離、 網膜色素変性、アトピー皮膚炎などの眼病変に伴って、 水晶体の栄養障害が生じ、混濁が発生する。
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放射線性白内障
放射線エネルギーによって水晶体細胞のDNA障害が生じ、 混濁が発生する。後嚢下白内障が多い。
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糖尿病性白内障
糖尿病患者では白内障が発生しやすい。 血糖コントロール不良例では発生頻度が増える。 糖質は水晶体において透明性維持のため重要な成分であるが、 過剰な糖質は水晶体膜や核酸の合成阻害を生じ、 蛋白質の糖化による混濁が生じる。後嚢下や皮質白内障が多い。
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薬剤性白内障
後嚢下混濁をきたす副腎皮質ホルモン製剤(ステロイド)が有名であるが、 これ以外でも難治性不整脈治療薬であるアミオダロン塩酸塩や抗マ ラリア薬である硫酸クロロキン、フェノチアジン系の向精神薬であ るクロルプロマジンなど、いくつかの薬剤の投与により水晶体の混濁を生じることが知られている。
先天性白内障
・先天要因として遺伝背景が認められることがある。また、 胎内感染によるものもあり、代表的なものとして妊娠初期の母胎の 風疹感染による先天風疹症候群がある。
白内障の症状
程度には個人差があるが、視力障害が主な症状である。
- 霞んで見える(霧視):雲がかかったように見える事が多い。 進行すると水晶体全体に濁りが及ぶとともに症状は悪化する。
- まぶしくなる(羞明): 水晶体の濁りで光が反射するために生じる。
- 近くが見えやすくなる:核白内障では近視化することにより、 一時的に近見が改善することがある。
- だぶって見える:月や街灯が二重、 三重に見えるようになることがある。片眼性であることが特徴である。
- 進行は一般的に両側性で緩徐である。
- 矯正視力が0.6~0. 7になると自覚的に視力低下を訴えることが多いが、 矯正視力がよくても羞明感が強い場合は生活上の不便さを訴える事が多い。
白内障の診断
- 問診や視力検査を行い、外傷や糖尿病、 特殊な薬剤の使用や治療の既往を確認する。
- 細隙灯検査により水晶体の混濁の部位、程度を確認する。
- 一般に50歳以上でほかに原因が無ければ、 老人性の白内障と診断する。
- 混濁が進行すると眼底の透見が困難な例もあるため、 その場合は超音波検査やCTあるいはMRI で網膜に大きな異常がないか、 あらかじめ検査しておく事が必要である。
白内障の治療
白内障に対する治療法としては、 予防や進行を遅らせることを目的とした点眼による薬物療法と、根治的な手術療法がある。 すでに混濁している水晶体を透明にするような根治的な薬物療法は、現在のところ確率されていない。 進行例に対しては手術療法を選択している。
白内障の薬物療法
- 白内障治療薬は点眼が主体であり、現在ピレノキシン製剤( カリーユニ、カタリン)とグルタチオン製剤(タチオン)がある。
- ピレノキシン製剤は水様性蛋白とキノイド物質の結合を阻害する事で白内障の進行を抑制する。
- グルタチオン製剤は抗酸化作用を持ち 、白内障の進行を抑制する。
- いずれの薬剤も白内障の進行を予防、 遅らせる効果はあるものの、 すでに混濁している水晶体を透明にする効果はない。
白内障の外科療法
- 基本的には、 白内障により日常生活に支障を来すようであれば手術適応となる。
超音波水晶体乳化吸引術(PEA)
3mm 程度の小切開創での手術が可能な事などによる低侵襲性と、人工眼内レンズ(IOL)挿入術の普及に伴い、 現在では標準の術式である。水晶体の前嚢を円形に切開したあと、 超音波により水晶体核を乳化粉砕しながら核および皮質を吸引し、 水晶体嚢内に人工眼内レンズを挿入固定する。創口が小さいため低 侵襲であり術後卵子の発生も小さい。
水晶体嚢外摘出術(ECCE)
PEAでは粉砕できないような高度に進行した症例に対し行う。 角膜輪部に沿って約1/2周切開し、 水晶体の前嚢を円形に切開した後、水晶体核を創口から圧出し、 水晶体嚢内に人口眼内レンズを挿入固定する。 PEAと比べ比較的術後乱視が出やすい。
水晶体嚢内摘出術(ICCE)
水晶体をカプセルごと摘出する方法である。水晶体脱臼、 亜脱臼や網様(体)小靱帯脆弱例などが適応になる。 ECCE同様に角膜輪部に沿って約1/2周切開したあと、 水晶体前面の一部を凍結用チップで凍結固定し水晶体を取り出す。 必要があればIOL を眼球内に逢着し固定する。
白内障の看護問題
♯1眼表面への手術侵襲に続発する易感染性に関連した感染のリスク状態
看護目標
感染徴候なく過ごすことが出来る
観察計画(OP)
- O1:眼症状(疼痛、流涙、充血、熱感、血性浸出液、眼脂、腫脹) の有無と程
- O2:感染徴候の有無。(発熱、炎症)
- O3:随伴症状(発熱、頭痛、倦怠感など)検査値。
ケア計画(TP)
- T1:患者個人の衛生習慣をアセスメントする。
教育計画(EP)
- E1:眼帯は指示があるまで、はずさないように説明する。
♯2視覚制限、慣れない環境、運動制限、術後の眼帯着用に関連し た身体損傷リスク状態
看護目標
視力障害、片眼帯着用でも、損傷を起こさない
観察計画(OP)
- O1:移動動作時の観察。(段差、危険物の確認)
O2:食事、排泄、清潔動作時等の安全に対する理解力。
ケア計画(TP)
- T1:セルフケア不足に対する援助を行う。
- T2:環境整備(ベッド周囲に歩行の妨げになるものを置かない)
- T3:必要あれば、誘導、介助する。
教育計画(EP)
- E1:所用時は連絡するように説明し、 ナースコールの置き場所を説明する。
- E2:遠近感がつかめていないときは、 ゆっくり確認して歩行するように指導する。
- E3:必要に応じてベッド柵を使用する。また、 その説明を十分行う。
♯3許可された活動や制限された活動、薬物治療、合併症、 継続ケアについての知識不足
看護目標
疾患に関連する正しい知識を獲得し、安全に行動できる
観察計画(OP)
- O1:退院後の生活環境(退院後の他者の援助の必要性の有無)
ケア計画(TP)
- T1:不安の要因を明らかにし軽減する。
- T2:患者と話し合ってライフスタイルに治療・処置計画を組み入れ るよう計画する。
教育計画(EP)
- E1:眼科用パンフレットを用いた退院指導の実施。
(日常生活について:洗顔、シャワー浴、洗髪、飲食・嗜好品、 手術した眼の保護、目薬の使い方)
♯4 手術に関連した急性疼痛
看護目標
- 疼痛の緩和に向けたケアを継続し、疼痛が緩和する
- 疾病の回復、再発や合併症の予防に必要とされる健康行動が退院時まで実践できる
観察計画(OP)
- O1:疼痛部位、程度、持続時間、VS の変動の観察。
- O2:本人の訴え、表情、随伴症状の観察。
- O3:ペインスケールにて評価する。
ケア計画(TP)
- T1:痛みを軽減するにどんな方法が良いかを患者と一緒に決める。
教育計画(EP)
- E1:疼痛時、ペインスケール4以上は知らせるようにと説明する。
- E2:医師指示の指示薬使用。
白内障で考えられる看護診断名候補
- ♯1 眼表面への手術侵襲に続発する易感染性に関連した感染のリスク状態
- ♯2 視覚制限、慣れない環境、運動制限、 術後の眼帯着用に関連した身体損傷リスク状態
- ♯3 許可された活動や制限された活動、薬物治療、合併症、 継続ケアについての知識不足に関連した非効果的自己健康管理
- ♯4 手術に関連した急性疼痛
- ♯5 活動制限、 視覚障害に続発する日常生活活動の遂行不能に関連した家事家政障 害リスク状態
- ♯6 視力障害、転倒、 落下に対する恐怖に関連した孤独感リスク状態
白内障で考えられる共同問題
♯1.出血
以上になります!
いかがでしたでしょうか。
おわりに
白内障は感覚器の疾患で、転倒リスク、外傷リスク、術後の管理不足による非効果的治療計画管理、疼痛や感染リスクなど、実は考えられる看護問題がとても多いんですね。
手術に対する不安も強くなりやすいので、術前から術後・退院後まで、患者様が安心して過ごせるように看護をしていきましょう!
おわり
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