栗看

~くりかん~

認知症の看護過程のポイント!(情報収集、症状【BPSD】、アセスメントも!)

みなさんこんにちは!訪問看護師の栗鈴です

今回の記事は『認知症の看護過程のポイント!(情報収集、症状【BPSD】、アセスメントも!』です。

看護計画は今回載せていないのですが、看護過程に必要な情報を13,000字に渡って皆様にお送りいたします!それではいってみましょう!

 

 

 

 

はじめに

現在私は訪問看護ステーションで働いています。

私は平成元年生まれなのですが、 30歳になるまでには、ある程度の在宅医療の知識を持っておきたいという気持ちが昔からありました。

研修でも、2025年には団塊の世代がみんな75歳以上になる!病院はいずれパンクするから在宅医療のニーズはすごく高まる!だから、訪問看護やるなら今だ!

と何度も言われ続けてきました…でも、確かになぁ、と思います。前に勤めていた病院はすでにパンク寸前でした。ベッドを増やして対応していたのですが…病棟を1つ増やすのに2年かかってました。やはり、いずれは患者さまが溢れてしまう可能性が高いのではないかと思う…そうした時、医療における充実が求められるのは、

  • 退院支援
  • 継続看護
  • 在宅医療

この3つは間違いない。

今では、実際に上記3つに関してはプロとなりました…!

とまぁ、在宅医療の話はまたの機会にして。今回のテーマは、認知症の看護 です。

在宅医療の現場でも、認知症の方はとても多いです。在宅における医療サービスは、大半が介護保険により提供されるのです。もはや、介護といったら認知症って言っても過言ではない。よって、訪問看護に携わる者にとって、認知症の看護の知識・技術を身につけることは必須と言っていいでしょう。

訪問看護に携わる看護師さん、認知症に携わる看護師さん、認知症を持つご家族様などは、今回の記事をぜひご一読してほしいと思います!私はまだ、ひよっこなので、説得力も何もないかもしれませんが…よろしくお願いします!では、やっていきましょう!

 

 

認知症の看護

 
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認知症の方をイメージしながら、一緒に勉強していきましょう

 

 認知症の情報収集

  • 認知症の症状がいつ出現したのか
  • 発症時の様子
  • どんな症状か
  • どのくらいの症状か(症状の程度)
  • 現病歴
  • 既往歴

について、本人および家族から情報を得る。

  • 認知症の原因となる疾患により、特徴となる症状や経過、予後は異なる。

 

2.ADLおよび生活リズム・パターンを把握する。

  • 認知機能の低下により、徐々にADLが障害され、生活リズムが崩れていく。

3.社会的背景を把握する。

  1. 生活環境
  2. 家族関係
  3. 対人関係
  4. 介護者の有無
  5. 介護状況
  6. 社会資源の活用状況
  7. 経済状況
  8. 職歴

など。

  • 認知症の症状は多様であり、個人の価値観や生きてきた背景、現在置かれている状況などが大きく影響する。

4.検査データ、認知症評価の結果を確認する。

  • 簡易機能検査
  • 画像診断
  • 身体状態(麻痺や神経症状の有無など)
  • 認知機能障害

の評価により、総合的に認知症を診断する必要がある。

 
a.簡易認知機能検査

簡易精神機能検査MMSE:Mini-Mental State Examination)

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 改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)

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柄澤式「老人知能の臨床的判断基準」

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 Functional Assessment Staging (FAST)

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など。

 

  • MMSEやHDS-Rは、質問式のアセスメントスケールであり、認知症のスクリーニングテストとして用いられている。
  • 柄澤式「老人知能の臨床的判断基準」は、観察式のアセスメントスケールであり、日常生活上の言動や態度、社会生活や作業遂行能力などから知的レベルを大まかな段階で評価することを目的としたものである。
  • FASTはアルツハイマー型認知症AD、以下AD)の重症度を評価するスケールである。
  • 質問式は対象者の協力が必要であり、また、視聴覚障害や失語が顕著である場合は適応にならない。
  • 観察式は対象者の普段の生活について十分に情報を得てから実施する必要がある。対象者の状態および目的に合わせて(スクリーニング、重症度の判定、薬物治療やケアの効果判定など)、適切に認知機能検査を使用する。

b.画像検査

CT、MRI、SPECT、PETなど

  • CTは特に正常圧水頭症慢性硬膜下血腫などの治療可能な認知症疾患の診断や鑑別に役立つが、ADなどの早期診断や鑑別診断においては限界がある。
  • MRIはADの初期における脳の萎縮の評価や、レビー小体型認知症との鑑別診断に有用である。
  • SPECTおよびPETは、認知症の早期診断と治療判定、予後予測の診断などが期待されている。PETはSPECTより優れた画像を得ることができるが、特殊な装置が必要となるため、SPECTが広く普及し利用されている。

c.血液データ

認知症に直接関係する検査値はないため、参考確認程度で。


認知症のアセスメント

1.バイタルサインおよび全身状態の観察により、身体状態を把握する。

  • 認知症の症状は、身体状態の影響を受ける。
  • 認知機能の障害により自分自身で身体の異常に気づき訴えることが困難である場合があるため、異常の早期発見に努める。

2.認知機能障害(中核症状)の種類と程度を評価する。

  • 認知機能障害(中核症状)は、認知症の原因疾患によってさまざまな特徴がみられる。簡易認知機能検査(質問式、観察式)などを用いて適切にアセスメントを行う。
  • 加齢による視聴覚機能への影響を十分に評価する。

認知機能障害

a.記憶障害

ほぼ全ての認知症で記憶障害を認める。新しい情報を学習したり、以前に学習した情報を想起したりすることができなくなる。短期記憶障害が目立ち、長期記憶は比較的残っていることが多い。特にエピソード記憶の障害を認め、ADでは顕著にみられる。

  • 加齢による物忘れとの違いに注意する。
 短期記憶の障害

数秒から数分前のことを記憶できない。

長期記憶の障害

エピソード記憶、意味記憶、手続き記憶が障害される。

b.見当識障害

記憶障害や理解力、判断力の低下のために、時間、場所、人物の見当がつかなくなる。

まず、時間に関する見当識が障害され、夜中に起きて出かけようとするなどの行動変化を伴う場合が多い。進行すると、迷子になったり、遠くに歩いて行こうとしたりするなど、場所の見当識が障害される。

人物の見当識障害では、自分の過去の体験に関連した人物に誤認することが多く、見当識障害がかなり進行してから現れる。

  • 加齢による物忘れの場合、見当識は保たれる。
時間の見当識障害
  • 日、月、年、時刻の順番で障害される。
場所の見当識障害
  • 今いる場所とほかの場所との位置関係が分からない場合(部屋を間違える、屋外で道に迷うなど)と、今いる場所が分からない場合(病院を自宅と間違える、自宅を自宅と思わないなど)がある。
 人物の見当識障害
  • 今ここにいる他者が誰か、どのような人か分からない状況 

c.失語・言語障害

言葉を見つけ出す、理解することが難しくなる。

 
換語困難
  • 言葉がうまくでてこない、言葉の言い換えが難しい。
語想起の低下
  • 単語を思い出すことが難しい。
言語理解の低下
  • 相手の言葉の内容が理解しにくい。
反響言語の出現
  • 相手の言葉をオウム返しする。

d.失行

運動機能が損なわれていないにも関わらず、動作を行うことができない。

  • 失行は、認知症の原因疾患や進行度によって発症が異なる。
構成失行
  • 立体図形や絵が模写できない。
観念運動失行
  • 単純な指示動作ができなくなる。

観念失行
  • 使い慣れた道具を使うことができなくなる。
着衣失行
  • 衣服の着衣ができなくなる。

e.失認

視覚機能が損なわれていないにも関わらず、対象物などを理解する、把握することができなくなる。

  • 失認は、認知症の原因疾患や進行度によって発症が異なる。
  視空間失認
  • 空間における物の位置、物と物の位置関係が理解できなくなる。
触覚失認
  • 日常使用しているものに触れても、それが何か分からなくなる。
手指失認
  • 何指なのかが分からなくなる。
身体失認
  • 自分の体の部分への認知ができなくなる。
鏡像認知障害
  • 鏡に映っている人物が誰なのか認識できない。

f.実行機能障害

計画を立てる、組織化する、順序立てる、抽象化するといった、物事を具体的に進めていく能力が損なわれる。

  • 実行機能障害は、前頭葉の損傷で多く認められるとされている。
  1.  行動の開始困難
  2. 自発性の減退
  3. 認知または行動の転換の障害(保続、固着)
  4. 行動の維持障害
  5. 行為の中断
  6. 活動の中止困難
  7. 衝動性・脱抑制
  8. 誤りの修正障害

など。

 

3.認知症の行動・心理症状BPSD:Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)の種類と程度を把握する。

  • BPSDは認知機能障害を背景として生じる知覚、思考内容、気分または行動の障害による症状である。
  • 症状は疾患により異なることが多く、また本人の性格や環境などの影響を受ける傾向にある。
  • 進行した認知症では、身体的および神経学的状態の悪化により、BPSDはみられなくなると報告されている。

BPSD(認知症の行動・心理症状)

a.妄想

妄想では行動障害を伴うことが多い。そのため、認知症高齢者本人に身の危険が生じる、介護者の負担が増すなどの状況に陥る可能性があり、状況の観察および評価を適切に行う必要がある。

  • ADにみられる特徴的な妄想は、物盗られ妄想である。
被害妄想
  • 人が物を盗む、自分の悪口を言うなど
誤認妄想
  • ここは自分の家ではない、配偶者は偽者であるなど

b.抑うつ

  • 認知症の初期段階では、自分の能力低下への不安から抑うつ状態となる場合がある。また、抑うつは認知症高齢者の引きこもりや食欲低下、社会との交流を拒絶するなど日常生活行動に影響する可能性がある。
  • うつ病と、認知症による抑うつとは異なる疾患であるため、鑑別する必要がある。

c.攻撃性

攻撃性は身体状況(疼痛、苦痛、便意、尿意など)への対応が不適切である、認知症高齢者の言うことを否定する、命令するなど、認知症高齢者が不快と感じるような状況で出現しやすい。そのため、適切な対応がなされているかアセスメントを行う。また、他者へ自分の意思や思いを伝えることができないなどのコミュニケーション不良や不満も攻撃性につながると考えられている。

  • ADに比べて、脳血管性認知症や前頭側頭型認知症において多くみられる。
身体的攻撃性
  • 叩く、押す、ひっかく、蹴るなどの暴力
言語的攻撃性
  • 大声で叫ぶ、ののしるなどの暴言、かんしゃくを起こすなど

d.徘徊

 徘徊は落ち着きなく過剰に歩き続ける状態であるが、認知症高齢者なりの一定のパターンや理由があるため、十分な観察およびアセスメントを行う。

 特に意識変容パターンは、せん妄に伴う症状であるため、普段とは目つきや顔つきが違って見えることが多い。

  • 原因疾患によっても徘徊への対応の在り方が異なる。例えば、見当識障害がみられるADの徘徊では、屋外での徘徊が道迷いの原因となり得るため、介護者が付き添って歩く。場合によっては、気分転換を促す声かけなどで徘徊を間接的に制止する関わりが求められる。
  • 一方、軽度のピック病に伴う常同行動としての徘徊では、「同じ道を通り同じ時間に同じ場所に帰る」ため、歩行状態に問題がなければ、様子観察でよい場合がある。
誤認パターンの徘徊
  •  今いる場所が分からず探索し歩き回る
願望パターンの徘徊
  • 「買い物に行きたい」「家に帰りたい」「貯金を下ろしたい」「会社に行く」などの欲求があり、外出し歩き回る
無目的情動パターンの徘徊
  • 目的があるようにはみえず、漠然としており、廊下を行ったり来たりなどを繰り返す
意識変容パターンの徘徊
  • せん妄に伴う幻覚や妄想のために歩き回る


4.認知機能障害(中核症状)およびBPSD が日常生活(生活リズム・パターン、歩行・移動、食事、排泄、清潔・整容など)に与える影響を評価する。

  • 認知機能障害(中核症状)およびBPSDにより障害されているADLの有無やその程度、また、残存機能に関するアセスメントを行う。
  • N式老年者用日常生活動作能力評価尺度(N-ADL)などが用いられる。

 

認知症の進行


a.軽度の生活障害が生じる時期≪初期≫

  • 約束を忘れる
  • 道に迷う
  • 駐車した自家用車の場所を忘れる
  • 通常の日常生活と本人のパターンのずれ
  • 夜中に電話をする

など

  • 記憶障害により生活の連続性が失われる、時間のずれが生じるなど、生活上の小さな失敗を繰り返すが、ADLには障害がないことが多い。

 i.
認知機能障害(中核症状)およびBPSDがどのようなときに起こるのか、時間、場所、特定の人への反応などの観察およびアセスメントを行う。

生活上の大きな失敗は少ないため、年齢によるものだと、認知症に気付かれないこともある。本人は物忘れや時間のずれが自覚できないことが多く、注意されると憤慨する、他者を非難するなど周囲との関係が悪くなる場合もある。

 
ii.
心理・精神的状態の観察およびアセスメントを行う。

  • 症状に対する自覚が乏しいが、本人は、なんとなく自分の異変と周囲の変化を感じ、消極的になる、漠然とした不安を抱くなど情緒不安定になりやすい。


b.日常生活に混乱を来し支障を生じる時期≪中期≫

  • 一人での買い物ができない、
  • 入浴・排泄・食事という行為が理解できない。
  • 認知機能障害(中核症状)、BPSDが進行すると、徐々にADLが障害され、日常生活に支障を来すようになる。

 c. 日常生活の自立が困難となる時期≪末期≫

  • 鏡に映る自分がわからない
  • 家族を親切な他人と思う
  • 声は出るが意味のある言葉を発せない
  • 限られた言葉しか話さない
  • 言われた言葉の意味が理解できない

など

  • 失語、失行・失認、実行機能障害が進行すると、食事、更衣、排泄、清潔を保つ行為そのものが自立できなくなる。
  • また、自分と他人あるいは周囲との関係についての基本的な認識および自分が誰かという認識が障害されていく。徐々に、歩行や嚥下機能などの運動機能も低下し、次第に寝たきり状態となる。

 
i.ADLの障害の程度、および視聴覚・言語障害の有無や程度を評価する。

  • ADLの自立度についてアセスメントを行い、必要な援助は何であるか検討する。
  • 認知症高齢者の状態をアセスメントするためには、対象者にとって効果的な方法や位置関係でコミュニケーションをとることが重要である。

 

 

認知症の日常生活援助におけるアセスメント


 食事のアセスメント

  •   食事動作
    例)箸やスプーンなどの使い方が分からなくなる、手で食べる、途中で食べるのを止める、箸やスプーンなどで遊ぶなど
  • 「食べる」という行為そのものは、認知症が進み日常生活に支障を来す段階においても、自立していることが多い。しかし、楽しみながら食べる、量を加減する、栄養のバランスを考えるなどが徐々にできなくなる。
  • 失行が現れると道具を認知することが難しく、適切に使えなくなるため、自立度は低くなる。
  • 食事摂取量:認知症高齢者は、夕方になると落ち着かなくなることが多いため、朝・昼・夕食ごとの食事量の配分を調整する必要がある。対象者の摂取状況を詳細に観察しアセスメントを行う。
  • 食事摂取後の様子:記憶障害により食べたことを忘れて食事の催促を繰り返すことがある。
  • 異食:例)目についた紙や花を食べるなど。食べることはできるが、食物とそうでない物を区別することができなくなる場合があり、誤飲や窒息の危険性がある。空腹ではないか、摂取カロリーは不足していないかなどの身体状態、周囲の状況、妄想などとの関連をアセスメントする。
  • 拒食:食事介助を急ぎ過ぎたときに起こった誤嚥の記憶、身体疾患、痛み、味覚の変化などが影響し、拒食となる場合がある。また、便秘や尿閉、褥瘡により座位をとると痛みが生じる場合などでも拒食となる可能性があるため、拒食の原因を多角的にアセスメントする。

排泄

  • 排泄および排泄動作
    例)尿意・便意の有無が分からない、衣服が脱げない、動作が遅く失禁する、排泄後のふく動作ができない。
  • 尿意・便意は、そわそわする、衣服を下ろそうとするなど、対象者なりのサインがみられる場合があるため、よく観察する。また排泄リズムについてアセスメントを行う。着脱行為ができない場合は、どの部分がどのように脱げないのかを観察する。失禁がみられる場合は、尿とりパッドの使用を検討する。
  • トイレの場所や使い方の理解:例)トイレの場所が分からない、使用後に尿や便を流さないなど
  • 排泄行為は可能だが、トイレの場所が分からない、使い方が分からない状態となる場合がある。
  • トイレの場所がわからないという見当識障害は、徘徊につながる可能性がある。
  • 弄便(ろうべん)と放尿:例)便を食べる、粘土のようにこねる・塗る、トイレ以外の場所で放尿する。
  • 弄便や放尿がなぜ生じるのかということをアセスメントする。弄便は、排泄物の不快感によるものが大きいと考えられている。また、失認が生じると、便は単純に”温かくやわらかいもの”という認識となる。よって、食べるという行為や、こねるという行為により、満足感や安心感を得ている場合がある。放尿は、特に男性の場合、施設の廊下を田畑、雑木林などの屋外と思い込んでいる場合がある。
  • 皮膚状態の観察および評価:陰部や臀部は皮膚トラブルを起こしやすいため、排泄援助のたびに皮膚状態を観察する必要がある。  

清潔・整容

  • 入浴および入浴動作
  • 着衣失行の有無
  • 皮膚状態の観察 など
  • 認知症高齢者は、お湯の入っている浴槽に対する恐怖感や、入浴手順が分からないなどの理由から、浴室や浴槽に入ることを拒否することがある。
  • 入浴拒否がみられる場合は、その理由をアセスメントする。また、浴室に入り石けんなどを渡すと体を洗い始めることもあり、残存機能の十分なアセスメントが必要である。
  • 着衣失行では、衣服の着衣だけでなく、季節や場所に適した衣服を選べないこともあるため、失行の程度を把握する。

 
ii.
情緒が安定する場面の観察および評価

  • 認知症高齢者には、動作が分からなくなり立ち往生する、失敗するなどが日常的にみられる。本人自身もそのような状態に当惑し、不安を感じているものの、置かれた状態については理解ができない。このような状態を十分に理解し関わる必要がある。できること、苦手なこと、よい刺激、悪い刺激などについてアセスメントし、安定した生活が送れるようにする。 

 
iii.
認知症高齢者一人ひとりが、日常生活を心地よく過ごすための援助について評価する。

  • 認知症高齢者の状況を共有する中からニーズを見出していく。

 

ⅳ.
事故が生じるリスクを評価する。

  • 転倒・転落、異食、誤嚥、身体拘束など
  • 認知症高齢者は、加齢に伴う運動器や感覚器などさまざまな機能の低下、および認知能力の低下により、危険回避ができない。そのため、少しの段差でもつまずき転倒する、ベッドから転落するなどの事故が生じる。
  • 身体拘束は、認知症高齢者の尊厳を著しく侵害する行為である。身体拘束による影響には、血行障害、動けないことにより引き起こされる廃用症候群、興奮の増大などがある。また、薬による鎮静を長く続けるなどもよいことではなく、事故につながる危険性がある。認知症高齢者の状態に合わせて、薬が適切に使用されているか評価する。

Ⅴ.

家族の介護力、社会資源の活用状況などについて評価する。
家族関係、介護者との関係、介護力、居住形態、社会資源の活用状況など

  • 家族に介護力があるのか、介護保険の申請は済んでいるのかなどアセスメントをする。また、居住地域の支援体制について把握する。
  • 認知症高齢者への対応など、認知症高齢者に対する知識が不十分である場合、家族の対応の仕方がBPSDなどの症状を悪化させる可能性がある。

 

認知症の看護の介入

1.手指衛生の実施

  • 微生物の伝播を予防する。

2.対象者の確認、およびコミュニケーション

  • 対象者の視聴覚・言語障害の程度を把握し、適切な方法や位置関係でコミュニケーションをとることは、コミュニケーションを円滑にするだけでなく、安心感を与えるなど信頼関係の構築に役立つ。
  • 過去、現在、未来のつながりが認識できない状態では、過去のこと、現在のこと、未来のことを細かく言うのではなく、本人の意向を聞きながら、現在の状況やその場所での行動をゆっくり話すようにする。

a.
対象者にとって効果的な方法や位置関係(向き合う、横に立つ、後ろから声をかけない、視野に入ってからアプローチするなど)でコミュニケーションをとる。
b.
身体を同じ高さにして、目線を合わせ、ゆっくり、はっきり、優しく敬意を込めて語りかける。 
c.
文字を利用する。

 

3.食事援助

 
a.
食事に集中できる環境調整
i.
人的環境を整える。

  • 特に咀嚼失行がみられる場合は、スタッフの早い動き、皿数の多さなどが混乱を悪化させる可能性がある。

ii.
認知症高齢者に適した食事用具を選ぶ。
・色や形の工夫
・リハビリテーション用食事用具の使用
・ワンプレートにする
など

  • 視覚に障害が生じている場合は、落ち着いた色でコントラストのはっきりしたお椀や皿・コップを選ぶと、誤ってこぼすことが少なくなる。半側空間無視がみられる場合は、ワンプレートにする、弁当箱の活用などにより、自力での食事摂取を促すことができる。

iii.
食事時間を調整する。

  • 認知症高齢者は、夕方に落ち着かなくなることが多い。また、徘徊がみられる場合は、数分以上座っていることが難しく、食事を中断することが多い。そのため、食事時には疲れてしまい食欲がない場合がある。

b.
食事内容や食事形態、摂取量の調整

  • 徘徊などにより、食事に集中できない場合は、少量でもカロリーが摂取できる食事内容に変更するなどの対応が必要である。失行により道具が使いにくい場合は、指でつかめる食事形体にするなどの工夫をする。

c.
食事介助
・窒息や誤嚥を回避する。
・半側空間無視に対する援助を行う。
・嚥下機能低下への援助およびリハビリを行う。
など
※食事介助の詳細は、「食事援助」(カテゴリー: 食事援助技術) を参照。
※嚥下機能低下への援助およびリハビリテーションについては、「嚥下訓練:間接訓練・直接訓練」(カテゴリー:食事援助技術) を参照。

  • 口腔内や喉の奥に大量の食物をためていることがあるため、嚥下を確認しながら食事介助を行い、窒息や誤嚥を回避する。半側空間無視がみられる場合は、一品ずつ食事を出す、食事の配置を途中で移動させるなどの配慮が必要となる。嚥下機能が低下している場合もあるが、咀嚼や嚥下を忘れていることもあるため、喉を触るなどの合図をして食事を促すことが必要となる場合がある。

d.
異食への対応
・環境整備を行う(危険なものは手の届くところに置かないなど)。
・異食時は食した内容を確認する。
・異食時は好みの食べ物と交換する。
など

  • 身体状態、周囲の状況、妄想などとの関連をアセスメントし、原因に応じた対応を行う。
  • 異食時は窒息や誤嚥を起こしていないことを確認し、食べ物でないものを食した場合は、医師に報告を行い適切な処置を実施する。

e.
拒食への対応
・食事が進む時間、場所、食事形態などを工夫する。
・好みの食べ物を摂取できるようにする
など

  • 身体疾患、口腔内の問題、周囲の状況、妄想などとの関連をアセスメントし、原因に応じた対応を行う。

4.排泄援助


a.
排泄行動への援助
・ 着衣失行では、着脱しやすいデザインの衣服へ変更する。
・尿意や便意が分からない場合は、排泄パターンに合わせてトイレ誘導を行う。場合によっては、ある程度時間を決めてトイレ誘導を行うこともある 3)。
・ 動作が遅く失禁する場合は、早めにトイレ誘導を行う。
・ 朝食後などの排便の反射が起きやすい時間にトイレ誘導するなど、排便リズムを整える。
・ 排泄後のふく動作ができない場合は、立ち会って声かけを行う、あるいは介助する。

  • 手続き記憶(運動的な熟練や技能の記憶)は最後まで残る傾向にある。対象者の排泄パターンを観察し、トイレ誘導を繰り返すことで、自立して行える可能性がある。排泄パターンが不明確である場合は、ある程度時間を決めて誘導することも必要となる。尿とりパッドやおむつの使用も一案だが、極力使用しない方向で検討する。
  • 排泄援助は、排泄行為そのものや陰部などをみられる行為であることを理解し、羞恥心や自尊心に配慮する。


b.
行動障害への援助
・トイレの場所や使い方の表示を分かりやすくする(ドアの色を目立つ色にする、トイレの照明を常時点けるなど)。

・ 行動に失敗する、問題となる行動を起こしても、その行動を柔軟に受け止め対応する。

  • 認知機能が障害されても、自尊心や羞恥心は残っている。行動を非難することで、状況の悪化を招くことがある。 

c.
弄便・放尿への対応
・ 排泄パターンに合わせてトイレ誘導を行う。場合によっては、ある程度時間を決めてトイレ誘導を行うこともある3)。


・ おむつの着用は最終手段とし、トイレ(ポータブルトイレ、床上便器なども含む)で行うようにする。おむつ着用時は歩行や動きの妨げとならないよう配慮する。

  • 弄便や放尿がなぜ生じるのかということをアセスメントし、認知症高齢者の排泄パターンに合わせて援助する。排泄パターンが不明確である場合は、ある程度時間を決めて誘導することも必要となる。

5.清潔・整容の援助

  • 浴槽への恐怖感、入浴手順が分からないなどの理由により、入浴に消極的となっている場合がある。
  • 個々のペースに合わせて、ゆっくりと声かけや説明をしながら誘導する。入浴拒否がみられる場合は、その理由をアセスメントし、対象者が気分のよい状態になるように援助する。着衣失行の場合は、一枚一枚、本人に声かけしながら、本人主導で選んだり着たりする雰囲気をつくり、できないところを援助する。
  • 「汚いからお風呂に入りましょう」と自尊心を損ねるような言い方をする、急がせるなど、不適切な関わりにならないように注意する。また、羞恥心へ配慮した対応を心がける。
  • 浴室への誘導を行う:例)好きな人にさっぱりしてから会いましょう、さっぱりして式典に出席しましょう、お手伝いさせてください(頼まれると嫌と言えない性格の場合に有効)
  • 着脱動作を援助する。
  • スキンケアを行う。


BPSDへの対応例


物とられ妄想

  • 室内の片付けをして、常に部屋は整理整頓されている。しかし、物をどこへしまったのか忘れ、「同室の患者が自分の財布をとった」と看護師に話す。
  • 物盗られ妄想は物が見つかると納得できるため、一緒に探すなどの対応が有効である。
  • 記憶障害に妄想などの症状が加わることにより生じる。病前の性格や人間関係が影響する。 

徘徊

[症例1]

看護師の交代時間になると、いつも出口に立ち外を見ている。看護師を娘だと思い、「学校から帰ってくる娘に会いにいかなきゃ」という。
[対応] 「娘さんのことを思っているのですね」など、思いを受け止め、気がかりにしていることを理解し、遂行のための支援者であるという態度で接する。また、看護師が帰る様子を目にしないよう、別の場所へ事前に誘導するなど、原因に応じて未然に対応することも効果的である。

[症例2] 

病室を訪問すると不在であり、院内を探していると、入口を通り過ぎようとしたと、守衛から連絡が入る。トイレを探しているという。
[対応] トイレの表示を分かりやすくすることや、排泄パターンのアセスメントに基づいてトイレ誘導を行う、歩行時に声をかけ一緒に行動するなどが有効である。

  • 安全確保のための環境整備が基本となる。徘徊の原因を見極め、原因に応じた対応を行うことが重要である。また、徘徊により、身体や他者へ影響を及ぼす危険性がある場合は、未然に徘徊を防ぐ介入が必要である。

 誤認

[症例]

「朝御飯を食べましたか」という問いかけに「ええ、子どもたちとわいわい食べましたよ」と、教師時代の給食のことを語る。
[対応] 食事に関する現在の質問であるが、本人の心が過去の人生が充実し楽しかったときにタイムスリップした状態である。まだ朝食を摂取してない場合は、「まだ朝食を食べ終えていない子どもがいるようなので、一緒にお願いしてもよろしいですか」など、対象者の世界を受け入れて対応する。

  • 認知症高齢者は、最近の記憶が失われ、古い記憶と現在の事柄に精一杯対応している。現在の問いではあるが、本人の心が過去の人生が充実し楽しかったときにタイムスリップすることがある。その世界にタイムスリップしている対象者をそのまま受け入れ、楽しさを共有することで安心感が生まれる。

認知症の事故防止策

  • 環境整備を行う。
  • 靴の紐がほどけていないか、衣服のすそが長過ぎないかなどの確認を行う。
  • 不必要な身体拘束を行わない。
  • 認知症高齢者は危険回避がうまくできない。よって、少しの段差でもつまずきやすい、ベッドからの転落等の危険性があるため、転倒・転落予防を行う。
  • 身体拘束は、自傷他害が激しいなど、身体拘束を行わないと安全が確保できない場合に一時的にやむを得ず使用する。本人、家族への説明を十分に行い、身体拘束の解除に関するアセスメントを適切に実施する。

認知症患者・家族への教育

1.
医療機関への早期受診を勧める。

  • 認知症の原因疾患によっては治療により治癒する場合があり、また、ADやレビー小体型認知症では、薬物療法により進行を遅らせることが可能となる。認知症かもしれないと思われる場合は、早期受診と早期診断を家族と高齢者本人に勧める。

2.
認知症について学習する機会を設ける。
地域包括支援センターや介護保険施設・事業所、医療機関などが主催する家族介護教室、テレビや書籍、新聞などからの情報など 

  • 家族が認知症高齢者の介護を通じて、喜びや悲しみを得て、やりがいを感じ、自己の成長を実感できるような過程をたどるためには、認知症について正しく理解することが必要となる。

3.
介護サービスの利用により、生活リズムの調整や無理のない介護を行うよう指導する。
デイサービスや訪問看護の利用など

  • 認知症高齢者の中核症状やBPSDが進行すると、家族も十分に睡眠がとれない、休養ができない、食事がゆっくり摂れないなど、生活リズムが乱れ、健康が損ないやすくなる。介護サービスを利用し、自宅での介護を無理なく継続できる方法をともに考える。

4.
認知症高齢者の介護について、早期相談を勧める。


※認知症の介護について相談できる主な機関

  • 地域包括センター
  • 認知症疾患医療センター
  • 都道府県・政令指定都市が設置しているコールセンター
  • 認知症の人と家族の会など

家族は、認知症高齢者の身体疾患の罹患時に、どの医療機関を受診したらよいか、認知症高齢者にどのように接したらよいのか、介護保険制度を利用するにはどのようにしたらよいのかなど、さまざまなことに悩みながら長期介護を行っていく。家族が、介護に関してどこに相談したらよいのかという情報を得ていることが重要となる。

 

5.
社会資源など支援体制の利用を促す。

  • 認知症サポーター
  • 見守り支援事業(やすらぎ支援事業)
  • 徘徊SOSネットワークなど
  • 家族だけで認知症高齢者を支えることは、家族の緊張と疲労が高まり、認知症高齢者を受け止めることが困難な状態となる。
  • 介護保険制度による介護サービスを利用することはもちろんであるが、地域にも認知症高齢者と家族を支援する人々がいるという情報を得ていると、ゆとりをもって介護することが可能となる。

 

以上になります!いかがでしたでしょうか。

 

おわりに

認知症を勉強すると分かってくるのが、認知症の方が過ごすのはやっぱり家が一番かなぁ、ということです。

もちろん、認知症による中核症状が凄まじかったり、介護者がいない、ネグレクト、虐待等によって、入院や施設入所せざるを得ない状況になることもあると思います。

それでも、認知症の患者様が一番落ち着いて暮らせる生活の場は、住み慣れた環境である自宅だということは、間違いないのではないかと思います。自宅での療養を無理なく行うためには、在宅医療を導入することが求められます。そしてそれを実現するためには、介護サービスを調べたり、居宅介護支援事業所に相談することが最初の一手になるかと思います。介護保険の仕組みはとても複雑で、全てを理解することはとても根気と努力がいります。正直私もまだ分からないことがいっぱいです。少しずつ勉強をしていきたいと思います!

 

以上!皆さまのご意見をお待ちしています。

 

腸閉塞(イレウス)の看護計画(OP・TP・EP)【これでばっちり】

こんにちは、訪問看護師の栗鈴です。

今回の記事は、腸閉塞(イレウス)の看護計画(OP・TP・EP)【これでばっちり】腸閉塞(イレウス)の看護計画(OP・TP・EP)【これでばっちり】』です。

よろしくお願いします。

はじめに

イレウスって、よく医療漫画や医療ドラマに出てくるんですが、イレウスというのは『腸閉塞』のことです。なんでわざわざ横文字にするんですかね?笑 いつも気になります…。

さておき、イレウスは特に外科病棟などでよくみられる病態です!外科病棟でなくとも、便秘の患者さまや、食事面に問題があったり高カロリー輸液を使用している患者さまなども結構な頻度でイレウスが起きる可能性があります。腹膜炎を治療中の患者さまなどにもリスクがあります。症状は急に生じることがあるので、油断できません!

どの診療科でも起こりうる病態ですので、しっかり勉強していきましょう!

それでは、早速やっていきましょう!

 

 

イレウス(腸閉塞)の概念

何らかの原因で、腸内容物の通過が障害された状態をイレウスという。

イレウス(腸閉塞)の病態生理・病因・増悪因子

機械的イレウス機能的イレウスに大別される。

機械的イレウス 

 機械的イレウスは、腸管の器質的な変化(物理的に腸が閉塞する)によって起こるものである。

  • 血行障害を伴わない単純性イレウス
  • 血行障害を伴う絞扼性(こうやくせい)イレウス

に分類される。

  • 機械的イレウスの約半数は、術後の腸管癒着が原因である。
単純性イレウス

原因として最も頻度が高いのは開腹術後の腸管癒着である。

 その他は、

  • 鎖肛
  • 十二指腸閉鎖

などの先天的な疾患によるもの

  • 胆石
  • 糞石
  • 食物残渣

など腸管内異物によるものなどが挙げられる。

絞扼性イレウス

原因として最も頻度が高いのは、 開腹術後の癒着や炎症生産物による絞扼(血管や組織が絞めつけられた状態)である。

その他は、

  • 腸管の軸捻転
  • 腸重積
  • ヘルニア嵌頓

などが挙げられる。

 

  機能的イレウス

 機能的イレウスは、腸管に器質的な変化がなく、腸管壁の運動を支配する神経や、筋の異常によるものである。

  •  機能的イレウスの殆どは、腹膜炎を原因とする。

 機能的イレウスは、

  • 腸管運動が麻痺して生じる麻痺性イレウス
  • 腸管が痙攣性に収縮し腸内容の輸送が障害される痙攣性イレウス

に分類される。

麻痺性イレウス

麻痺性イレウスは、

  • 開腹術後
  • 脳梗塞後

などによる長期臥床時にもよく発生するが、

  • 膵炎
  • 胆嚢炎
  • 虫垂炎

など腹膜炎による炎症の波及

  • 子宮外妊娠
  • 外傷などによる腹腔内出血

などによっても起こる。

痙攣性イレウス

痙攣性イレウスは、

  • 胆石発作や腎結石による疼痛
  • 外傷の刺激
  • ヒステリーなどの神経性因子
  • ニコチン、モルヒネなどによる薬物中毒

などにより起こる。

イレウス(腸閉塞)の診断

  • イレウスの診断ではまず全身状態を把握する音が重要である。
  • 機能的イレウスの分類である麻痺性イレウスなのか、機械的イレウスなのかをまずは鑑別する。
  • さらに、機械的イレウスと診断されたら、単純性か絞扼性かを鑑別しなければならない。
  • 絞扼性イレウスでショック状態に陥っている状態では緊急を要するため、 診断よりも治療が優先される
  • また、直腸診も腫瘍の有無や血便の確認には欠かせない診断法である。
腹部単純撮影(レントゲン)

イレウスが疑われるとき、まず始めに行うべき検査である。

  • 立位と臥位の像の比較が重要である。
  • 立位における鏡面形成と、 臥位における小腸ガス像は機械的イレウスに特徴的な所見である。だが、上部空腸での閉塞や小腸ガスの拡張像がないこともある。
  • また、小腸ガス像だけでなく大腸ガス像によっても病態を判断する。
腹部超音波検査
  • 腸管内の液帯貯留や腹水の確認ができる。
  • 腫瘍性病変の同定などに有効。
  • 非侵襲的であり、簡便な検査である。
  • 経時的腹部超音波検査は、 手術時期を決定する上で有効な検査法である。
腹部CT検査
  • 超音波検査より客観性がある。
  • 特に、単純性イレウスと絞扼性イレウスとの鑑別に有効である。
注腸造影検査
  • 大腸の閉塞が疑われるときに行われる。
  • 特に大腸癌によるイレウスの診断に有効である。
  • また、小児の腸重積症では、 診断と同時に整復加療も兼ねた検査法である。
小腸造影検査
  • イレウス状態でも閉塞を起こさない経口造影剤( ガストログラフィン)を使用し、 閉塞部位の同定と閉塞状況を判定するために行い、 手術適応の決定に重要な検査法である。

イレウス(腸閉塞)の検査値

  • 腸管内への腸内容の貯留や嘔吐などによる体液の喪失により脱水状態となるため、赤血球数、 白血球数やヘモグロビン値の増加が認められる。
  • また、 ナトリウム、クロール、カリウムなど電解質の喪失により酸- 塩基平衡の胃常(代謝性アルカローシス)が生じる。
  • 尿量は減少し、尿比重の増加が認められる。

イレウス(腸閉塞)の治療

イレウスの原因と病状によって治療法は異なる。

単純性イレウスの治療

  • 絶食・補液加療に加えて、経鼻胃管もしくはロングチューブ(イレウス管) を使用した腸管内容の吸引による保存的治療が主体となるが、 軽快しないときには手術が考慮される。
  • 腸管内異物が原因のイレウスの場合は、高圧浣腸を用いてイレウスを解除することもある。

絞扼性イレウスの治療

  • 結腸軸捻症や腸重積症では注腸造影もしくは大腸内視鏡で整復されることがあるが、絞扼性イレウスでは血行障害を伴うことが多く、 手術時期を逸しないことが肝要である。
  • 手術の場合は開腹してイレウス解除術を行う。

麻痺性イレウスの治療

  • 腸管麻痺の原因により治療法が異なる。
  • 腹膜炎が原因の場合には腹膜炎の治療に準じ開腹術が行われることもあるが、通常は経鼻胃管による腸管内容の吸引と、 腸蠕動亢進薬による薬物治療が主体となる。

使用される薬剤は

  • ネオスチグミン
  • パンテノール
  • ジノプロスト
  • メトクロプラミド
  • 大建中湯

などの薬剤が用いられることが多い。

痙攣性イレウスの治療

  • 痙攣性イレウスは、原因疾患の治療が重要となる。
  • 胆石発作や腎結石による疼痛、外傷の刺激、ヒステリーなどの神経性因子、ニコチン、モルヒネなどによる薬物中毒などが原因となり、症状を取り除くことで治療を行う。

イレウス(腸閉塞)の症状

  • 腹満感
  • 嘔吐
  • 腹痛
  • 脱水

 

 

イレウス(腸閉塞)の看護計画

#1 不安

看護目標

手術の必要性を理解し、手術前の準備ができる

観察計画

① 言葉による表現、表情、態度の表れ方

② 不安の内容と程度

③ 睡眠状況

④ キーパーソンの有無

⑤ 家族間のサポートシステム(家族構成と役割、社会的立場、信頼してくれる人

ケア計画

① 落ち着くまで患者と共にいる

② ゆっくりと静かに話す

③ 今、ここに焦点を合わせた会話をする

④ 共感的な理解を伝える

⑤ 本人と共に活動し成就出来る計画を立てる

⑥ 信頼関係を確立できるような関わりをする

⑦ 患者の感情を表現出来る様に援助する

⑧ 手術前の医師の説明に対する理解度をアセスメントする

⑨ 手術オリエンテーションを行う

⑩ 手術オリエンテーションの理解度をアセスメントする

⑪ 今後の指導、支援の必要性を評価する

教育計画

① 病気や治療に関して理解しやすい言葉で指導する

② 不安、不明な事があれば医療者に伝えるよう指導する

♯2 術後合併症

 看護目標

1.術後の合併症を起こさない
2.術後の苦痛が緩和する
3.早期に離床できる

観察計画

①手術中の状態

診断名・術式・麻酔法・出血量・輸液・輸血量・ドレーン挿入の 有無・バイタルサイン

②一般状態(顔色・チアノーゼ・四肢冷感・悪心、嘔吐の有無)

③バイタルサイン

④麻酔覚醒状態

⑤創部よりの出血の有無

⑥胃管カテーテルからの排液の量と性状

⑦腹腔内ドレーンからの排液の量と性状

⑧創痛の有無と程度

⑨喀痰出状況

⑩腹部症状の出現の有無・疼痛・膨隆・緊満・排ガス・腸雑音

⑪尿量・比重

⑫検査データー・血算・電解質・血液ガス・X 線検査所見など

ケア計画

①酸素吸入の管理

②バイタルサインの測定

③保温 電気毛布等を準備する

④各種ドレーン、胃チューブの管理

⑤深呼吸を促す

⑥痰喀出を促す

⑦輸液・輸血の管理

⑧水分出納のチェック

⑨体位交換、安楽な体位の工夫

⑩早期離床を促す

⑪疼痛時医師の指示による鎮痛・鎮静剤の投与

⑫包帯交換の介助

教育計画

①精神的慰安と激励に努める

#3 清潔保持困難

看護目標

清潔を保持できる

観察計画

① 入院前の生活習慣について情報収集する

② 疼痛の部位、時間をアセスメントする

③ 疲労の程度をアセスメントする

④ 身体可動性の程度、麻痺の有無を観察する

⑤ 安静度を確認する

⑥ 筋力の低下、麻痺の有無を観察する

⑦ 自力で行える部分と介助を必要とする部分についアセスメントする

⑧ 疼痛が増強する体位や状況を観察し、安楽な状態をアセスメントする

⑨ 皮膚の状態を観察する

ケア計画

① 安楽な体位を整え、ケアを実施する

② 自己で行える部分は行ってもらうように促し出来ない部分は介助する

③ 疼痛増強時や気分不快時は患者と相談し、必要最小限の清潔保持を行うか、時間をずらして症状軽減時に行う

教育計画

① 時間がかかっても自己で清潔を保つ事が出来る様に指導していく

② 自己で行えない部分は介助する事を説明する

③ 麻痺がある場合のケア方法について指導する

④ 入浴、シャワー前にはナースコール位置を説明し、何かあれば呼ぶように説明する

⑤ ケア中に気分が悪くなったら遠慮せず看護師に知らせるように話す

【考えられる看護診断名候補と共同問題】

1.不安
2.疼痛
3.呼吸機能の変調のリスク状態
4.感染のリスク状態
5.入浴/清潔セルフケア不足

 
 以上になります!いかがでしたでしょうか。

おわりに

イレウスとひとくちに言っても、大きく分けて2つのイレウスの分類があり、さらに1つの分類につき2種類のイレウスが存在します。そして1種類のイレウスごとに原因、治療法が変わってきます。1種類ごとにイレウスの知識を整理し、早期発見に努めていきましょう!特に、開腹術後腹膜炎発症時はイレウスを引き起こすリスクが高くなります!覚えておきましょう!

 

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おわり!ご意見をお待ちしています。

 

 

うつ病の看護計画の例(OP・TP・EP)【これでばっちり】

 みなさんこんにちは。訪問看護師の栗鈴(くりりん)です。

今回の記事のテーマは『うつ病の看護計画【看護過程・看護診断もこれで完璧!】』

です。よろしくお願いします!

 

 

 

はじめに

いきなりですが質問!

みなさん「うつ」になったことはありますか??

 

生きていると、1つや2つ、いやもっともっと!嫌〜なことがあったりしますよね。

しかも嫌なことが起きると、パッと心を切り替えるのってなかなか出来ないですよね!

 

個人差はあれど、ある程度の間、頭がモヤモヤする というか…忘れたくても忘れられない というか…ネガティブなことほど、頭に染み付いちゃいますよね!

 

わたしも毎月の奨学金20000円がきつくて…毎月憂鬱です…!(;一_一)

20年ローンはきついって…と、ちょっと話ズレたかな?

 

私のことはさておき…嫌な人と会ったり…都合の悪いことが起きたり…やる気が出ない課題をやらないといけなかったり…今から逃げたくて心の中でズルズルと引きずる…

そんなことを、誰もが経験していることかと思います!

 

 だったら、これが「うつ病」?嫌なことを心で引きずった状態≒うつ病?

いえいえ。答えはNOですっ('・ω・') 

 

ふとしたことで感じる「うつ」は、「うつ病」とは、全く違いますから!!

 

みなさんご存知の通り、うつ病は心の「病気」です。

診断も治療法も確立されています!

 

看護師は、「うつ病」をただの「うつ」だと思って、ナメちゃいけません!

 

うつ病には、うつ病に対応する看護の方法があります!

しっかり勉強していきましょう!というわけで、早速やっていきましょう!

朝が…もうすぐ、朝が…来てしまう…の図。

 

 

 

うつ病の看護

【うつ病の概念】

脳内の伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリンの働きが低下した状態になっていると考えられている。

【うつ病の病態生理】

  • 脳内の神経終末シナプス間隙のセロトニンノルアドレナリンを受け取る受容体の感受性が亢進(結合部位の数が増加)しているという仮説(神経伝達物質受容体機能亢進仮説) と、セロトニンやノルアドレナリンの濃度が減少しているという仮説 (神経伝達物質欠乏仮説)がある。
  • セロトニンやノルアドレナリンの動きが低下し、情報伝達がうまく行われなくなるために、 気分が落ち込んだり、意欲が低下するといったうつ病の症状があらわれると考えられている。

【うつ病の症状】

気分の落ち込みだけでなく、仕事に集中できない。家事ができないなど日常生活に支障をきたす状態が2週間以上続く

  • こころの症状として、抑うつ気分、思考力の低下、 意欲の低下などがみられる。
  • からだの症状として、睡眠の異常、 食欲の低下、易疲労感、倦怠感、月経不順、疼痛、便秘、動悸、めまい、耳鳴りなどがみられる。

【うつ病の診断】

米国精神医学会の「精神疾患の分類と診断の手引き(DSM―Ⅳ)」では、同じ2週間の間に抑うつ気分、興味・ 喜びの著しい減退のいずれかがあって、その他4項目以上がほとんど毎日存在するとしている。

 
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  • 薬剤や身体疾患によるうつ状態を除外する特異的な異常を示す検査値( 血液検査、髄液検査)はない。
  • 脳血流検査(SPECT)で前頭葉の血流低下がみられることが指摘されている。

【うつ病の治療】

  • 休息と薬物療法が基本となっている。
  • 自殺の危険性が高く緊急性がある場合や、薬物抵抗性の場合は電気痙攣療法(m-ECT)を用いることがある。
うつ病の薬物療法

抗うつ薬を用いて、脳内伝達物質のバランスの乱れを調整する。

抗うつ薬には、

  1. 選択的セロトニン再取り込阻害薬(SSRI)
  2. セロトニン・ノルアドレナリン再取り込阻害薬(NSRI)
  3. 三環系抗うつ薬(TCA)
  4. 非三環系抗うつ薬(non-TCA)

などがある。

  • 必要に応じて、抗不安薬睡眠導入剤を併用する。
  • また、抗うつ薬で効果が不十分な場合、 増強療法として気分安定薬非定型抗精神病薬を併用する。
電気痙攣療法
  • 手術室において麻酔科医の管理のもとに全身麻酔下で筋弛緩薬を用いて施工する。
  • 週2~3回で計6~12 回程度施行する。

 

 

うつ病の看護計画(看護問題・看護目標・看護計画)


#1解決できない悲嘆を体験し、喪失による症状が長期化している

長期目標

専門家の援助を求める意思を表現する

短期目標

1)喪失を認めることができる
2)悲嘆が未解決であることを認めることができる

観察計画(OP)

O:感情、意欲、行動面、思考面の観察

O:身体症状の観察

ケア計画(TP)

T:喪に服することは普通の行為であることを理解できるよう援助する

T:患者の感じている状況を話すように励ます

T:ストレッチ、有酸素運動など、大きな筋肉の運動をするよう促す

教育計画

E:過去に成功したコーピングを用いるよう強調する

 

#2自分に自信がもてない状態にある

長期目標

自分の肯定的な面を見出し、表現する

短期目標

1)非現実的な自己期待を修正できる

2)限界を受容したことを表現できる

3)自分の能力にあった将来計画を立てることができる

観察計画

O:患者の自己感覚の観察

ケア計画

T:活動への参加を促し、肯定的フィードバックを与える

T:運動(歩行、自転車など)を勧める

T:攻撃や不十分な衛生、黙考、自殺企図などの問題行動の制限をする

教育計画

E:友人・重要他者との面会時間をもったり、連絡をとるように指導する

E:自分のできる技能をリストアップするよう指導する

 

#3 他者とかかわることができない

長期目標

社会生活を再確立し、維持する

短期目標

1)他者との相互作用が機能する

2)活動に参加することができる

 観察計画

O:活動意欲の有無

O:表情・言動

ケア計画

T:個別的、援助的関係を確立する

T:家族へのケアを提供する

教育計画

E:他者がいる環境の中で過ごす時間を段階的に取り入れるように伝える

 

#4ストレスに対処することができない

長期目標

不安やストレス、 葛藤に対処する能力が高まったことを示す

短期目標

1)自分の感情を言葉に表現することができる

2) 自分のコーピングパターンとその効果を結びつけて理解することができる

3)自分の強みを見出し、他者からの支援を受け入れることができる

観察計画

O:気分の観察

O:突然の劇的行動の変化

ケア計画

T:活動能力に応じて補助具や介護用具を使用したり、介助方法を検討してみる

T:理学療法士などのスタッフと連携をとりながら、 薬物療法と並行してリハビリテーションの各段階に応じた援助を行う

教育計画

E:患者・家族に、 できるかぎりADLを自分で行うように指導する

 

#5食事を摂取することができない

長期目標

活動レベルにあった毎日の必要栄養量を摂取する

短期目標

1)食事に関心を示す

2)十分栄養を摂取することの大切さを言う

観察計画

O:食事摂取量

O:栄養状態

O:体重の変化

ケア計画

T:デイルームまで穏やかに誘導する。難しい場合には自室に運ぶ

T:悪心などの症状がある場合には、食べられる工夫をする

T:栄養状態が著しく悪いときは、他の手段での栄養補給をする

教育計画

E:献立に患者の好物を入れたり、 食欲が増進するような工夫をするように家族に指導する

 

#6長時間の睡眠がとれない

長期目標

休息と活動のバランスが最適になる

短期目標

1)日中の活動量が増加する

2)睡眠薬を服用することができる

3)入眠する方法を見出すことができる

 観察計画

O:感情状態、睡眠状態

O:活動量

ケア計画

T:就寝時にリラックスする方法を考える
T:無理のない起床時刻を設定する

T:日中の活動を促す

教育計画

E:患者に対し、心配や気がかりなことがないかを尋ね、 言語化させるよう指導す

E:休息が必要であることを繰り返し説明する

E:睡眠薬を服用するように指示する

 

#7 自力で清潔行為が実行できない

長期目標

毎日更衣し、整容することができる

短期目標

1)指示を受けて更衣・整容をすることができる

2)自分の外観について関心をもつ

3)自分から更衣・整容ができる

観察計画

O:感情、意欲

O:更衣・整容行動

O:皮膚の状態、感染の有無

ケア計画

T:洗顔、洗面に誘導し、必要に応じて介助する

T:更衣を促し、必要に応じて介助する

T:できたことを認め、フィードバックする

教育計画

E:患者に対して穏やかな言葉で声かけをし、セルフケアの必要性を繰り返し説明する

【うつ病で考えられる看護診断名候補】

  1. 悲嘆機能障害
  2. 自己尊重慢性的低下
  3. 社会的相互作用障害
  4. 非効果的コーピング 
  5. 栄養摂取消費バランス異常:必要量以下
  6. 睡眠剥奪
  7. 更衣/整容セルフケア不足

 

以上になります!いかがでしたでしょうか。

 

 

おわりに

うつ病が進行すると、活動意欲の低下が起こることがあります。

でも、仕事したくない…学校行きたくない…とか、そんなレベルではありません。

 

服を着替えるのも、お風呂に入ることも、できなくなることがあります。

ご飯も食えなくなることだってあるし、トイレにもいけなくなることだってあります!

 

患者さまができないことに対して、看護師が「介助」して、着替えや入浴を手伝うことはすぐにできます。

でも、基本的には出来る限り「介助」は行わず、「支援」することに徹底しましょう!

 

もちろん、状況によっては「介助」せざるを得ない時もあります。

ただし、「介助」は決して患者さまの自立支援を尊重する行動ではありません。

ある意味、看護師があきらめることによって「出来ないだろう」と患者さまを決めつけて関わっているようなものです。

 

だから出来る限りでよいので、患者さまの能力を信じましょう!

全面的に看護師が代わりに行うのではなくて、「支援」に徹するということです。必ず、少しだけでも患者さまが実際に行動できるように関わっていきましょう!

 

それがうつ病の看護の基本だと私は考えています(≧▽≦)

 

おわり!ご意見をお待ちしています!

 

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看護学生さんに有益になりそうな記事を書いています!

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腓骨神経麻痺の予防【病態・症状・看護計画もこれで完璧!】

みなさんこんにちは。栗鈴です。

今回の記事のテーマは、『腓骨神経麻痺の予防【病態・症状・看護計画もこれで完璧!】』になります。

おろしくお願いします。

はじめに

腓骨神経麻痺は寝たきりの患者さまや、整形外科領域における術後の患者さまなどによく起こる症状であります!

とくに注意なのが、褥瘡予防のために体交枕を使用して下肢を挙上したりしている場合です。

腓骨神経麻痺は、腓骨周囲が体交枕などで圧迫されるだけでも簡単に発生してしまいます。

きちんとした知識を持っていなかったばかりに、良かれと思って実践していた体位交換が、実は患者さまの腓骨神経麻痺を起こす原因になっていた…なんてことも、実際に起こった例があります。

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腓骨がどこの骨か、ちゃんと知ってますかぁ?

私はかなり怪しかった!

『腓骨神経麻痺?聞いたことはあるけど、ようわからん! 』

そう思っている方は、ぜひ今回の記事を読んで頂きたいと思います!

腓骨神経麻痺の予防を行う責任は、ほぼ看護師にあるといっていいと私は考えています。

看護師のケア次第で、腓骨神経麻痺が起こるか起こらないかがほぼ決定づけられるからです。

転倒・褥瘡と同じくらいの気持ちで、腓骨神経麻痺を予防していく意識を持って看護師全員が取り組んでいけたらなと思います!

ぜひ一緒に勉強していきましょう!

前置きが長くなりました!

それでは、やっていきましょう!
 

 

腓骨神経麻痺の予防

 
【腓骨神経麻痺の概念・病態生理】

腓骨神経麻痺は、外傷や骨折・脱臼などに合併して起こることが多い。

整形外科的治療・処置後に圧迫神経麻痺として医原性に起こることもある。

  • 医原性のものは、下肢のギプス固定や、強いサポーターの使用、挙上枕や手術台などでの腓骨頭部への圧迫に起因する。
  • 頻発する麻痺で、腓骨小頭部の浅い部位を総腓骨神経が走行するため、圧迫・外傷により運動麻痺を起こしやすい。

【腓骨神経麻痺の症状】

  • 腓骨神経領域の運動障害と知覚障害が起こる。
  • 腓骨神経領域は、第1・2趾間の付け根の皮膚における感覚第5足趾以外の足趾の運動、前脛骨筋・足関節の背屈運動などを支配しており、腓骨神経麻痺が生じると、支配領域の疼痛やしびれ感、感覚障害・運動障害を引き起こす。
  • 運動が障害されることにより、足底は低屈し、下垂足となる。


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左下肢側が下垂足。

 

腓骨神経麻痺の診断

  • 臨床症状に加えて、ティネルサイン(麻痺部位への刺激に生じる放散痛)があることを確認する。
  • 筋電図検査、X線検査、MRI検査、超音波検査などの検査により確定診断が行われる。

 


腓骨神経麻痺の看護問題の例

  • 下肢の外旋位の持続に関連する腓骨頭部の圧迫により疼痛・痺れ感を生じている

看護目標の例

  • 腓骨神経麻痺を起こさない

腓骨神経麻痺の看護計画

腓骨神経麻痺の観察計画

O:定期時間毎に知覚固有域の1-4足趾間の知覚異常の有無を観察する

O:同時に総趾伸筋の伸展、前脛骨筋・足関節の背屈など、腓骨神経支配領域の運動ができるかどうかを観察する

O:足趾の運動では趾を底屈だけすると、見た目はいかにも動かせるように見えるが、実は背屈できないという場合がある(腓骨神経 麻痺)。足趾の運動を見るときは、必ず背屈できるかどうかを観察する

腓骨神経麻痺のケア計画

T:下肢の肢位は回旋中間位をし、外旋位にならないように保持する

T:膝窩部が除圧されるように下肢の体勢を調整する

腓骨神経麻痺の教育計画

E:足関節・足趾の運動障害や腓骨神経領域のしびれ・知覚障害が出現したら速やかに看護師に申し出るよう指導する。

【腓骨神経麻痺で考えられる看護診断名候補と共同問題の例】

  • 末梢神経血管性機能障害のリスク

以上になります!
いかがでしたでしょうか。

 

おわりに

腓骨神経麻痺の看護のポイントは3点あります。

1つは、神経のフィジカルアセスメントを確実に行うこと。

下肢の疼痛やしびれ感、MMT、浮腫の有無や循環動態まで、しっかり観ましょう!

もう1つは、良肢位を保持すること。

定期的な体位交換を行いつつも、家族や医療スタッフではない人でもひと目で自然な姿勢だと分かるように体位を保ちましょう!( ´∀`)

最後に、腓骨を圧迫しないこと。
そのためには、体向枕の配置に注意することです。

腓骨骨頭に体向枕が当たらないように配置することを徹底していきましょう!

患者様に危害が加わることのない、安全・安楽なケアをぜひ目指していきましょうね!

おわり!

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全身性エリテマトーデス(SLE)の看護計画の例(OP・TP・EP)【これでばっちり】

みなさんこんにちは。栗鈴です。

今回の記事は、『全身性エリテマトーデス(SLE)の看護計画の例(OP・TP・EP)【これでばっちり】』になります!

よろしくお願いします。

 

 

はじめに

全身性エリテマトーデスは全身に症状を起こす疾患です。

膠原病であることから完治することが難しいため、国から「難病」 に指定されております。「難病」は、手続きによって助成金が得られる制度があります。

 

ところで、全身性エリテマトーデスを含む膠原病は、 全身におよぶ炎症を引き起こすものがあります。

  • 皮膚に炎症を起こしたり、
  • 血管に炎症が起きたり、
  • 神経に炎症が起きたり、

体のいたる所に炎症が起きてしまいます。そして、臓器に炎症を起こしてしまうこともあります。

 

例えば、腎臓に炎症が起これば、 それは糸球体腎炎となって腎機能が低下します。

場合によっては末期状態となり、 定期的に血液透析をしなければいけなくなる患者さまも少なくありません。

 

したがって、リウマチ科、膠原病科などだけでなく、腎臓内科でも全身性エリテマトーデスの患者様はよく入院となることが多いです。

また、間質性肺炎を併発して、呼吸器内科に転科することもあります。

またまた、心内膜炎を合併して循環器内科に移動することだってあります。

 

そういうわけで、全身性エリテマトーデスは、どのような診療科でも勉強しておくべき疾患だといえます


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若い女性に起こりやすいことも全身性エリテマトーデスの特徴の一つですね。

 

それでは、やっていきましょう!

 

 

全身性エリテマトーデス(SLE)の概念

  • 全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)は、慢性に経過する炎症性疾患で、一度発症すると寛解と再燃を繰り返し、多臓器病変を伴う慢性炎症性疾患である。
  • 我が国におけるSLE 患者は、女性が男性の約10 倍多く罹患し、15~40 歳の妊娠可能年齢に集中している。
  • 原因は不明であるが、体質、遺伝的素因、免疫機構の異常が関与すると考えられ、日光照射、薬物、感染、妊娠、出産、手術、外傷、 ストレスなどが発症の遠因および増悪因子とされている。

全身性エリテマトーデス(SLE)の病態生理

  • 本症はヒトにおける最も代表的な全身性の自己免疫疾患と考えられ ている。
  • この病態の多くは免疫複合物の組織の沈着に基づくものと理解されている。
  • また、自己抗体の産生に関しては、主として抗リンパ球抗体による抑制性T 細胞の機能低下に起因するとする考え方が主流である。

全身性エリテマトーデス(SLE)の症状

  • 臨床症状で最も特徴とする点は多臓器の全身性炎症性疾患である。しかし、全ての症状が一度に出そろうわけではない。


1)皮膚粘膜症状

a)顔面の蝶型紅斑

鼻根部を中心に両側の頬に左右対称型にみら れる紅斑で、本症に奇異的である。


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b)discoid 型紅斑

角化症の鱗屑の付着する紅斑で、時に色素沈着や脱失をみる。顔面のみでなく、耳たぶ、指関節背面、足趾関節背面などに好発する。SLE の紅斑は掻痒を伴わない。

c)レイノー症状

寒冷にさらされると、指先が蒼白になり、温まるとともに戻る現象である。

d)脱毛 

大量の頭髪が急に脱落することがある。

e)光線過敏症 

日光や紫外線照射により蝶型紅斑、discoid 型紅斑、時に水泡や紫斑を生じ、またすでに生じている紅斑が悪化する現象である。

f)口腔内病変 

口腔粘膜のびらんや潰瘍を生じることがある。

2)関節症状

  • 急性期に手指、肘などの小関節に多発性移動性の関節痛を生じる。
  • 疼痛に比して発赤、腫脹などの炎症所見に乏しく、慢性関節リウマチで見られるような関節破壊は起こさない。
  • 関節の変形をきたすことはあり、ジャクー関節症と呼ばれるが可逆性である。
  • 少数例では大腿骨頭の無菌性骨壊死を生じ、股関節の疼痛や歩行障害を起こす 。とくにステロイド長期投与中の例に起こることが多い。

3)循環器症状

  • 心外膜炎、心筋炎、心内膜炎のいずれも起こりうるが、最もよくみられるのは心外膜炎である。
  • 心外膜炎は、重症であれば心タンポナーデの原因となる。
  • リーブマン・サックス心内膜炎は主として僧帽弁に生じるが、弁膜症になることはなく、まれに認められるに過ぎない。
  • 腎症を伴う例では高確率で高血圧を生じ、それに基づく心不全もしばしば認められる。

4)腎症状

  • 糸球体腎炎(時に血管炎や間質病変を伴う)が高率に生じ、ループス腎炎と呼ばれる。
  • 無症候性の蛋白尿やネフローゼ症候群を呈することが多い。
  • 時に急速進行性腎炎の型で発病することもある。
  • 多くの例は数年ないし数十年の経過で慢性腎不全へ進展する。

5)精神・神経症状

  • 痙攣、意識障害などの中枢症状を呈するSLE は予後が悪く、とくに中枢神経ループスと呼ばれる。これらの症状は脳出血、梗塞、くも膜下出血などの血管性病変により生じる。
  • 幻覚、妄想、抑鬱などの神経症状もよく認められる。末梢神経では多発性神経炎を呈することが多い。

6)血液学的異常

  • 血小板・赤血球・白血球のいずれの値も低下する汎血球減少を呈する。
  • 溶血性貧血(自己免疫性溶血性貧血=AIHA)、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)を示す例があるAIHA とITP の合併する状態をエヴァンズ症候群と呼ぶが、実は本疾患の先行症状であることが多い。

7)呼吸器症状

  • 漿膜炎のひとつとしての胸膜炎は頻度が高い。いっぽう、間質性肺炎や肺高血圧の頻度はあまり高くない。むしろ起こりやすいのはニューモシスチス肺炎サイトメガロウイルス肺炎である。
  • 急性 ループス肺炎や肺血栓塞栓症も起きうる。

8)消化器症状

  • 吐き気、嘔吐、便秘、下痢、腹痛などが起きうる。
  • 血管炎による腸管の壊死を生じ、不屈、下血、時にイレウス症状を起こすことがある。
  • 特にルポイド肝炎と呼ばれる慢性肝炎が起きるが、特徴的な病理学的変化があるわけではない。
  • 本症による膵炎が起こることもある。一方ステロイドの副作用としても膵炎が起きうる。

9)発熱

  • SLE で頻発する症状。SLE の活動性と大いに関係する。
  • 一定の熱型はなく、39℃前後の高熱 が持続するケースもあれば、37℃台の微熱で経過することもある 。

10)眼底

  • 急性期には網膜の綿花状の滲出性病変を生じ、cytoid body またはcotton wool spot (綿花様白斑)と呼ばれる。小出血や白斑も一過性に認められる。


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全身性エリテマトーデス(SLE)の診断


全身性エリテマトーデス(SLE)の検査所見

1)炎症反応

活動期に赤沈の亢進、CRP 陽性、血清α-グロブリンの増加を呈する。

2)血液学的検査 
  • 活動期には2000~3000 と白血球数減少が認められる。症例によっては10 万以下の血小板減少も生ずる。
  • 一般に貧血は軽度であるが、溶血性 貧血をおこすと高度の貧血を生じる。この場合にはクームス試験が陽性となる。
3)梅毒反応の生物学的擬陽性
  • 梅毒血清検査に用いられるカルジオライピン・レシチンに対する抗体を生ずるために認められる現象。
  • 梅毒トレポネーマを抗原とする梅毒血清反応は陰性である。
4)検尿
  • ループス腎炎を生ずると、尿蛋白が持続性に陽性となる。
  • 沈渣はいわゆる望遠鏡的沈渣を呈する。
5)腎機能検査
  • ループス腎炎が進行するとPSP テスト、クレアチニン・クリアランスなどの低下がみられ、腎不全 に陥ると、BUN や血清クレアチニンの上昇が起こる。
6)免疫学的検査
  1. 抗核抗体陽性
  2. 血清補体価の低下
  3. 細胞性免疫:末梢リンパ球のT、B 細胞の減少(活動期には著明)
  4. 組織学的検査:腎生検、皮膚生検
  5. LE 細胞減少陽性
  6. DNA 抗体陽性

 

全身性エリテマトーデス(SLE)の治療

本症は原因不明のため原因療法はない。

 

SLE の臨床病態は、軽症から重篤なものまで幅広く、その病態により治療法は異なる。

 

急性期の炎症の抑制や鎮静、増悪因子の回避および除去、合併症の予防を図る。

 

治療薬の必要最小量の与薬で長期寛解導入を図ることが治療方針となる。

 

ただ、ステロイドの登場とともに生存率、 生活の質のいずれにおいても劇的に改善した病気である。


全身性エリテマトーデス(SLE)の合併症

1)感染症

免疫能の低下によるアスペルギウス、クリプトコッカス、カンジタ、ニューモシスチスーカリニ、サイトメガロウイルス 、結核菌などの感染

2)ステロイド剤の重篤な副作用

消化管穿孔、出血、血栓症など

3)他の膠原病

  • 抗リン脂質抗体症候群
  • シェーグレン症候群
  • 皮膚筋炎
  • 多発筋炎
  • 全身性強皮症

など。

全身性エリテマトーデス(SLE)の予後

  • SLE は寛解と再燃を繰り返す慢性疾患である。
  • まれに自然寛解もみられるが、急激に悪化することもある。
  • 現在では治療法の発展により90%以上の患者が10 年以上生存し、多くの患者は比較的症状も安定している。

 

主たる死因は、

  1. 腎病変
  2. 中枢神経障害
  3. 感染症

である。

 

 


全身性エリテマトーデスの看護計画の例


♯1 発熱や疼痛、しびれなどにより安楽を保持できない

長期目標

苦痛が改善される

短期目標

苦痛の原因を理解でき、安静が保持できる

OP
  1.  バイタルサイン、熱型
  2.  倦怠感、関節痛、筋肉痛など部位と程度
  3.  苦痛の頻度
  4.  食事や水分の摂食状況、脱水の有無
  5.  体力、ADL障害の程度
  6.  検査データ(炎症反応、白血球など)
  7.  表情、言動
TP
  1. 発熱時は冷罨法
  2.  医師の指示による投薬
  3.  環境整備
  4.  安楽な体位の工夫
  5.  必要時ADL介助
  6.  医師の指示による解熱鎮痛薬の投与
EP
  1.  安静度の確認
  2.  疾患活動性が治まれば症状は改善することを説明し安心させる
  3.  栄養価の高い食事摂取、水分摂取を促す
  4.  手洗い、うがい、保清など感染予防方法について指導する

 


♯2 疼痛など苦痛の増強により休息、睡眠がとれない

 <長期目標

活動と休息のバランスをとることができる

短期目標

睡眠不足が解消し、体力が回復する

OP
  1.  症状の出現状況、程度の観察
TP
  1.  服薬の時間と量の調節を医師に相談する
  2.  患者が安静に入眠できる環境を整える
EP
  1.  生活パターンを規則正しく整えるよう指導する

 

♯3 皮膚症状が改善せず、感染のリスクやボディイメージ障害のリスクを高める

長期目標

皮膚の炎症症状が改善する

短期目標

傷を悪化させることなく維持、改善する方法を身につけることができる

OP
  1.  皮膚症状の出現部位、種類、程度、疼痛の有無
  2.  脱毛の有無、程度
  3.  増悪の原因
  4.  レイノー現象の持続時間
  5. ADL、表情、言動
TP
  1.  紫外線曝露などのストレスを避けるため、窓側のベッドは避ける。蛍光灯も長時間あたらないよう注意する
  2.  潰瘍形成時の消毒、薬剤塗布などの処置
  3.  保温、保清
EP
  1.  治療による改善を説明し、意欲を保持する
  2.  日光過敏症がある場合は長袖着用、サンスクリーンの使用を促す
  3.  レイノー現象がある場合は寒冷刺激を避けるよう促す

 

♯4 皮膚症状や薬の副作用の影響によりボディイメージが障害される

長期目標

闘病意欲を低下させない

短期目標

精神的な苦痛の緩和方法を習得できる

OP
  1.  ボディイメージの混乱によって意欲の低下が起こっていないかを観察する
  2.  皮膚病変や副作用症状に対する受けとめ
  3.  疾患や治療に対する受けとめ方、理解の程度
  4.  増悪因子
  5.  薬物療法の効果
  6.  活動範囲、対人関係
  7.  食欲、食事摂取量、睡眠状態
TP
  1.  適切な処置
  2. 保清
  3.  外傷、外的刺激予防
EP
  1.  治療上必要な薬であることの説明、医師の指示通りの内服が行えて いるかどうか確認する
  2.  疾患活動性が治まり、薬の量が減ることで副作用症状は軽減するこ とを説明し意欲を保持する
  3.  増悪因子についての説明

 

♯5 過剰不安や知識不足により適切な治療が継続されない

長期目標

適切な服薬行動によって最大の治療効果が得ることができる

短期目標

疾患や治療について理解し、闘病意欲を損なうことなくセルフケアを行える

OP
  1.  症状の出現状況、程度の観察
  2. 適切な服薬が継続できているか
  3.  生活パターン
  4.  疾患や治療の受けとめ、理解度
  5.  妊娠希望の有無、妊娠計画
TP
  1.  医師の指示のもと、正確に配薬する

EP
  1.  疾患や治療についての説明
  2. 継続的な通院の必要性の有無
  3.  副作用や合併症、疾患再燃の徴候などの説明
  4.  悪化、再燃予防の行動についての説明
  5.  妊娠コントロールに関する情報提供

 

♯6 安楽の変調、意欲低下などにより自発的なセルフケアが維持、向上できない

長期目標

日常生活を立て直し主体的に生活できる

短期目標

主体的に、かつ安全なセルフケアを習得できる

OP
  1.  疼痛やしびれの有無
  2. 筋力低下の有無、程度
  3. ADL、活動状況表情、態度
  4.  疾患や治療に対する受けとめ
  5.  セルフケア習得の妨げとなるもの
TP
  1.  筋力回復のための運動
  2.  痛みなどがある場合は医師の指示により与薬
  3.  必要に応じてADL介助
EP
  1.  急性期を脱したら体力回復に努め、少しずつ生活を立て直すよう促 す
  2.  セルフケア習得の妨げとなるものを把握し、解決策をともに考える

 

♯7 活動制限や意欲低下により社会との接触が減少し、自身の存在価値 が低下する

長期目標

本来果たしていた社会的役割を果たすことができる

短期目標

社会との接触の重要性を認識し日常生活に結びつけることができる

OP
  1.  症状の出現状況、程度の観察
  2.  患者の疾患や治療に対する認識の確認
  3.  意欲
  4.  本来の社会的役割
  5.  環境、生活背景
TP
  1.  傾聴、対処方法の検討
EP
  1.  疾患による制限を認知し、可能な範囲で役割を果たすよう促す
  2. 焦る気持ちに配慮しつつ、徐々に進めていけるようペース配分する

 

♯8 患者、家族が疾患や治療に対する不安、人生設計再編に関する悩みを抱えている

長期目標

家族の不安が軽減され、患者、家族とも心身ともに安定した家庭生 活を送る準備ができる

短期目標

精神的安定が保持でき、治療が継続できる

OP
  1.  疾患や治療に対する受けとめ
  2. 表情、言動、態度、ADL、活動状況
  3.  睡眠や食事摂取状況
  4.  性格傾向
  5.  治療の効果
  6.  長期闘病生活による意欲の低下が起こっていないかを観察する
TP
  1.  環境整備
  2.  必要時、医師の指示により与薬
EP
  1. 疾患について患者、家族にわかりやすく説明する
  2.  必要時、患者会やピアカウンセリングなどの紹介
  3.  リフレッシュの促し
  4.  不安の表出の促し

全身性エリテマトーデス(SLE)で考えられる看護診断名候補と共同問題

  1. 安楽障害
  2. 消耗性疲労、不眠
  3. 皮膚統合性障害
  4. ボディイメージ混乱
  5. 非効果的治療計画管理リスク状態
  6. セルフケア不足シンドローム
  7. 社会的孤立
  8. 不安、無力


以上になります!
いかがでしたでしょうか。

おわりに

全身性エリテマトーデスは、膠原病の一つであります。


そして、慢性疾患の一つでもあります。


慢性疾患であるため、現代の医療では完治することは難しく、病気とはほぼ一生付き合わなくてはなりません。


慢性疾患に対して肯定的に捉えて元気に過ごす人もいれば、長い闘病生活に疲れ果てて抑うつ状態になってしまう人もきっといることでしょう。


日本は高齢化社会が進み、高齢者が増加していくにつれて、慢性疾患を持つ患者さまも比例して増加してきています。


今後さらにきっと、全身性エリテマトーデスのような慢性疾患の方とお付き合いすることが増えていくことでしょう!


ですから、今のうちに看護師は慢性疾患および難病についての知識をしっかり身につけて最善のケアが提供できるように出来る限り早く準備することをオススメしますよ!


今後も慢性疾患関連の看護過程はどんどん投稿していきたいと思います!よろしくお願いします!

 

おわり!

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気胸の看護計画の例(OP・TP・EP)【これでばっちり】

 みなさんこんにちは、栗鈴です。

今回の記事は、『気胸の看護計画の例(OP・TP・EP)【これでばっちり】』になります。

よろしくお願いします。

 

はじめに

皆さんは、身近に気胸を起こした人っていませんか?


私は高校生のときの友達が気胸を起こしことがありまして、お見舞いに行ったときにその友達の胸にドレーンが入っていて、『うわーきつそう…(・_・;)絶対なりたくないなぁ…』となった覚えがありますねぇ。

 

気胸は、若くて健康な人であっても起こりえます。


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自然気胸は、若くて背の高く痩せた男性に好発する病気です。

どのような診療科であっても知っておくべき疾患の一つです。

 

ぜひ今回の記事を一読していただき、皆さんの知識の助けになればと思います!

では、早速やっていきましょう!

 

気胸の概念

  • 胸腔に空気が貯留したため肺が虚脱状態になった病態を気胸という 。
  • 空気の流入経路から内因性外因性に分類される。

気胸の病態生理

  • 胸膜腔には普通少量の胸膜液しかない。
  • 何らかの原因によって、 胸腔に空気などの気体が入り込み、陰圧であるべき胸腔が外気と同じ圧になった状態気胸とよぶ。
  • 気胸になると、肺は収縮して無気肺の状態になる。

 

その成因によって、

  1. 自然気胸(特発性気胸)
  2. 外傷性気胸
  3. 人工気胸 などに分けられる。

1.自然気胸

主に肺尖部に生じる気腫性嚢胞(ブラ・ブレブ)が破裂することにより生じる。

ブラとは?

肺胞を囲む壁の一部が何らかの原因によって損傷し、複数の肺胞が損傷箇所を通して開通されることにより、一つの大きな気腫となった状態を指す。

ブレブとは?

ブラが肺の臓側胸膜に接触しているものを指す。ブラよりもさらに破裂しやすくなっている状態といえる。

2.外傷性気胸

胸部打撲や骨折に合併して発症するもの。

3.人工気胸

診断や治療の目的に意図的に肺を虚脱させる。肺結核の治療法の1つである。

気胸の症状

  •  突然の胸痛(発症した時間が特定できることが多い)
  • 乾性咳嗽
  • 呼吸困難
  • 胸部聴診にて患側の呼吸音の減弱~消失 打診上鼓音を認める。

気胸の合併症

緊張性気胸

空気が漏れている部位が一方向弁となっている状態。

  • 胸腔内に一方的に空気が漏れ出し、胸腔内圧は陽圧になる。
  • 胸部X線撮影では、縦隔の反対側へ胸腔が偏位していたり、横隔膜の低位がみられるようになる。
  • 高度の低酸素血症、血圧低下、頻脈がみられ、放置すればショック状態となり生命の危機に陥る。緊急の脱気が必要である。

血胸

胸腔内に空気とともに血液が貯留する気胸。

  • 外傷や、肺が虚脱するときに胸膜の血管を含む部分が離断されて出血が起こる。
  • 胸腔穿刺により血液が吸引されることで診断される。
  • 高度の貧血や血圧低下に陥る場合は、緊急の開胸手術の適応となる。

再膨張性肺水腫

最低3日間以上虚脱していた肺を急速に再拡張場合に、同一側に肺水腫が起こることがある。

  • 咳、泡沫状の痰、呼吸困難、チアノーゼなどがみられる。
  • 酸素療法で軽快することが多いが、利尿薬やステロイドが用いられることもある。

 

気胸の診断

胸部レントゲンまたは胸部CT検査により、肺の虚脱を認めれば診断は確定する。

気胸虚脱度分類

日本気胸・肺嚢胞性肺疾患学会 自然気胸治療ガイドライン案

 

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軽度

 肺尖が鎖骨レベルまたはそれより頭側にあるもの、またはこれに準ずる程度

中等度

軽度と高度の中間程度

高度

全虚脱またはこれに近いもの

気胸の治療

<内科的治療>

  1. 安静・経過観察
  2. 保存的治療

胸部レントゲン写真と臨床所見を総合的に判断し肺虚脱の改善を目的とする治療方法で、以下の3つの治療法が一般的である。

a)胸腔ドレナージ
b)胸膜癒着術
c)気管支鏡下気管支塞栓術


a)胸部ドレナージ

胸腔内にチューブを留置して肺虚脱を改善する治療方法である。

  • 脱気目的では8~20Fr のチューブが望ましい。
  • 胸水貯留例および長期間留置が予測される症例ではフィブリンにより閉塞するおそれがあり、20Fr 以上のチューブが望ましい。
  • 深呼吸や咳嗽でも空気漏れが無い事を確認後、半日以上ドレーンを クランプして、胸部単純X線写真で虚脱が無ければ抜管する。
  • 可能な場合はさらに半日後に胸部単純X線写真で再虚脱の無いことを確認する。
b)胸膜癒着術

癒着剤を胸腔に注入して、胸膜の癒着をはかり気胸再発を防止する 。


癒着剤として

  • テトラサイクリン系薬剤
  • OK-432
  • 自己血
  • フ ィブリン糊

などがある。

  • 一般には肺尖部分を中心に癒着剤が胸腔に広がるように体位変換することが重要である。
  • 空気漏れがあるのでクランプはせず、薬液がすぐに排出されないようにチューブを身体より高い位置にする。
  • 一般的には軽症例や手術非適応症例に施行する。

*薬剤の保険適応は認められていないが臨床的に多くの施設でおこなわれている。

c)気管支鏡下気管支塞栓術
  • 破裂したブラ・ブレブに通じる責任気管支を塞栓することにより空気漏れを無くす手技。
  • 気管支ファイバースコープ下バルーンカテーテル(フォガティーカテーテルなど)により、責任気管支を同定し、区域、亜区域気管支に塞栓子を充填する。
  • 塞栓物質として、フィブリン糊が一般的であるが、コラーゲン製止血剤も用いられている。
  • 一般には軽症例や手術非適応症例に施行する。


<外科的治療>


手術療法
  • 胸腔鏡下手術法が進歩しており、自然気胸は良い適応である。
  • 症例数も増加している。
  • 全身麻酔での手術適応となる。
手術適応
  1. 再発を繰り返す症例
  2. 空気漏れの持続例
  3. 両側性気胸
  4. 著明な血胸
  5. 膨張不全肺
  6. 社会的適応
手術の種類
  1. ブラ焼灼術(cauterizing)
  2. ブラ結紮術(looping、clipping)
  3. 肺縫縮術
  4. ブラ切除肺縫縮術
  5. 肺部分切除術
  6. 肺区域切除術
  7. 肺葉切除術
  8. 壁側胸膜切除術 
    *8は追加処置であり、擦過術、掻爬術も含まれる。

 


気胸の看護問題

♯1.呼吸困難や胸痛、咳などの呼吸症状がある

♯2.再発の恐れがある

気胸の看護目標・看護計画 

♯1.呼吸困難や胸痛、咳などの呼吸症状がある

長期目標

呼吸症状が軽減される

短期目標

安楽姿勢を保ち安静に過ごすことが出来る

観察計画(OP)
  • 2~4 時間毎に呼吸状態の観察をする(胸痛、息切れ、咳)
  • 肺音、呼吸パターンの聴診
  • 動悸、チアノーゼ、顔面蒼白などの循環器症状を観察する
  • 不安、錯乱、意識障害などの精神症状を観察する
ケア計画(TP)
  • 安静を促す
  • 呼吸が楽にできる姿勢をとらせる
  • 医師に従い、酸素療法を実施する
  • 胸痛があれば鎮痛剤を投与する
  • 四肢の運動を4 時間毎に行う
  • 乾燥、埃、塵などにさらされないように環境を整える
  • 体位変換、深呼吸を2~4 時間毎に行う
教育計画(EP)
  • 呼吸苦の増強があればすぐに連絡するよう説明する
  • 胸腔ドレーン挿入部は出来る限り動かさず安静にするよう説明する
  • 痛みがあれば遠慮せず伝えるよう説明する
  • 必要時、移動の希望時は移動前に連絡するように説明する

 


♯2.再発の恐れがある

長期目標

肺合併症が起こらない

短期目標

痛みが軽減したことを表出できる

観察計画(OP)
  • 呼吸状態の観察は継続する
ケア計画(TP)
  • 呼吸状態に注意しながら運動を勧める

教育計画(EP)
  • 禁煙を指導する
  • 粉塵や有毒な廃棄ガス等の吸入を避けるように指導する
  • 激しいスポーツは避けるよう伝える
  • 強い咳を控えるよう説明する
  • 突然の胸痛、呼吸困難があったらすぐに診察を受けるように指導する

挙げられる看護診断の例

  1. 手術創術中の体位・ドレーン挿入に伴う疼痛
  2. 入院・手術によるストレスの増大・侵襲的チューブ類の挿入による易感染状態

 
以上になります!
いかがでしたでしょうか。

 

おわりに

気胸の看護には、胸腔ドレーンの管理の方法も知識と技術が必要になります。

胸腔ドレーンの挿入介助・管理方法については別の記事で書いています!

ぜひ下記記事も参照ください!

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おわり!

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深部静脈血栓症(DVT)の看護計画の例(OP・TP・EP)【これでばっちり】

 みなさんこんにちは、栗鈴です。

今回の記事は、『深部静脈血栓症(DVT)の看護計画の例(OP・TP・EP)【これでばっちり】』です。

よろしくお願いします。

放っておくと、かなり怖い合併症が、あります…!

 

 

はじめに

おそらく多数の看護師が深部静脈血栓症という言葉をある程度理解し、予防に向けた看護を実際に行っていることかと思います。

ですので、今回の記事は深部静脈血栓症の原因と症状、 治療についてがメインになります。

ぜひ、御一読していただき、深部静脈血栓症の病態理解の助けになればと思います!

それでは、やっていきましょう!(^_^)

深部静脈血栓症(DVT)の概要



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下腿深部静脈の血栓性閉塞により、静脈の灌流障害、下肢のうっ血を来すもの。

  • 血栓が血流にのって肺動脈に詰まると肺血栓塞栓症(PTE) を合併し、突然の呼吸困難をきたす場合がある。
  • 急性期の治療が予後に大きく影響するので早期診断が重要である。
  • 肺塞栓を合併すると致命傷になることもある。

深部静脈血栓症(DVT)の発生の誘因

(1) 種々の原因による血液凝固亢進、線溶能低下

  • 手術侵襲
  • 進行期癌
  • 凝固阻止因子であるアンチトロンビンプロテインC の先天的欠乏症
  • SLEなど膠原病に合併してみられる抗リン脂質抗体陽性症候群

* 右下肢もしくは両下肢の血栓症は、血液学的異常に起因するもの、 あるいは進行期癌に合併するものが少なくないため、原因について厳重な検索が必要である。

抗リン脂質抗体症候群Antiphospholipid Syndrome(APS)

抗リン脂質抗体症候群(APS)は、動静脈血栓症や習慣性流産などの臨床症状と抗リン脂質抗体の出現を特徴とする自己免疫性の疾患である。

抗リン脂質抗体

血清中に存在する複数のリン脂質結合たんぱくに対する自己抗体の総称。

  • 抗β2-GPI依存性抗カルジオリピン抗体(aCL)
  • ループスアンチコアグラント(LA)
  • 抗プロトロンビン抗体

などが含まれる。

抗リン脂質抗体症候群(APS)の診断基準

臨床基準として血栓症が認められ、検査基準として、抗β2-GPI 依存性aCL、ループスアンチコアグラント(LA)、リン脂質依存性凝固因子(aPTT、KCT、dRVVT など)の延長が確認される。

  • 稀な例として、急速進行性多臓器不全をきたす劇症型APS が存在する。


(2) 全身的または局所要因による静脈血流の停滞

腸骨静脈圧迫症候群(左総腸骨動脈を右総腸骨動脈が騎乗する部位で 、同静脈が圧迫される)に代表される、手術中の長時間の同一体位 、砕石位での膝窩部の圧迫、長期臥床などによるもの。

(3) 静脈損傷、静脈炎、静脈瘤による静脈内皮の障害

  • 静脈損傷静脈炎静脈瘤の三つの因子( ウィルヒョウVirchow の3主微)によって静脈内腔に血栓が形成される。
  • 血管内皮の損傷は手術、外傷、 膠原病やベーチェット病等の血管炎による。
  • 一般的に静脈閉塞では、静脈内腔に血栓が形成されると数時間以内に二次性炎症が発生し、炎症が先行しても内腔に血栓形成を随伴する。そのため、静脈閉塞と静脈炎を臨床的に厳密に区別して診断することは困難で、両者は同義語として扱われている。
  • この中で血液変化とうっ血が主因となるものは、下肢の深部静脈系に生じるものを深部静脈血栓症(DVT)表在静脈に ついては血液性静脈炎(表在性血栓性静脈炎)と呼ばれる。

【深部静脈血栓症(DVTの)病態生理】

血液凝固性の亢進・綿溶能の低下

  • 水分脱失、熱傷、ショック、赤血球増多症、嘔吐、下痢などによって血液が凝縮したり、粘稠になったりすることで血栓をつくりやすくなる(泥状血栓)ことによって生じる。

 

【深部静脈血栓症(DVT)の症状】

(1) 軽~中等症

  • 下肢の腫脹
  • 鈍痛
  • 浮腫
  • 表在静脈拡張、立位における皮膚の色調 変化
  • 足関節の背屈により、腓腹筋部に疼痛を訴えるホーマンズ徴候
  • 大抵の場合、初期症状は軽く、下腿が張る、つるなど筋肉疲労様の症状を訴えることが多い。
  • 腫脹も立位で健側と比較しないとわかりにくい。

(2) 重症

  • 急激に進行する下肢の腫脹
  • 緊満痛および特有の色調(赤紫色)
  • 静脈灌流障害により動脈流入が阻害され、二次的な虚血症状を示すこともある。

*深在する主幹静脈の急性閉塞では、浮腫が急激に現れ、数時間で極限に達し、圧痕を呈する緊満感のある浮腫性腫脹が特有である。このような顕著な症状を呈する2~3日前より不定の下肢の違和感 、疲労感に気づく場合があり、実際の血栓発生はこのときにみなされる。


この軽佻な症状を示すものを潜在性血栓(silent thrombosis)というが、かえって肺塞栓症をおこしやすい危険な状態である。


閉塞が主に大腿静脈領域にあって二次的な動脈痙攣を伴う場合には 、全肢におよぶ腫脹がみられるが、皮膚はむしろ蒼白となり、皮下 小静脈は拡張して網状を呈し、有痛性青股腫(重症血栓症)と呼ば れる状態となり、栄養障害が高度な場合には静脈性壊疽をみることがある。

【深部静脈血栓症(DVT)の診断】

  • Dダイマー、FDP、TATの上昇
  • エコー検査や脈波計での血流低下を認める。
  • 下肢静脈エコー、MRI、造影CT、静脈造影で血栓を確認して診断する。
  • 深部静脈血栓症の急性期には、急性主幹動脈閉塞、急性リンパ管炎との鑑別が時に問題となる。
  • 通常は肢の腫脹の有無、色調、皮膚温、皮静脈拡張あるいは動脈拍動の有無などを詳細に検討すれば診断は困難ではない。
  • 慢性期になるとリンパ浮腫との鑑別がしばしば困難であるが、リンパ浮腫では皮膚と皮下組織が肥厚するので、単純X線像で特有な紋様状の陰影がみられる。

【深部静脈血栓症(DVT)の治療】

保存的治療

発症後早期(1~2 週間以内)であれば十分に血栓を溶解出来る可能性があるので、注射による血栓溶解凝固療法を施行する。

治療の例

  • 患肢足背静脈あるいは上肢静脈からのウロキナーゼの点滴静注(3 0~40 万単位/日)。
  • ヘパリンの持続的全身投与(5000~10000 単位/日)。
  • 抗凝固線療法施行時には、出血性基礎疾患(胃潰瘍、脳梗塞など) の有無に注する。 
  • 患肢の弾性包帯、もしくは弾性ストッキングによる圧迫。
  • 内服:約1週間の線溶療法後、内服治療に切り替える。中等から重症例に対してはワーファリンによる抗凝固療法を行い、トロンボテストで15~20%にコントロールする。アスピリンその他の抗血小板も有効である。
  • アンチトロンビン低下症に対するヘパリン投与、プロテインC低下症に対するワーファリンの投与法は要注意。


【深部静脈血栓症(DVT)の手術】


発症から48 時間以内の浅大腿静脈より中枢に限局した血栓であれば、血栓摘除術の適応となる。


肢全長におよぶ血栓でも、ごく早期であれば手術可能だが、下腿の血栓を完全に摘出するのは難しい。


造影上膝窩静脈以下に血栓が無ければ発症後1週間ぐらいまでは手術適応となるが再閉塞を来しやすい。


有痛性青股腫は手術の絶対適応とされる。


鼠径部にて大腿静脈を露出、これに横切開を加えてフォガティーカテーテルを用いて血栓摘除を行う。


血栓後遺症に伴う高度の静脈灌流障害に対しては、可能なら大伏在静脈によるクロスオーバーバイパス(Palma 手術)、あるいは人工血管を用いた大腿-大腿静脈クロスオーバー バイパスも行われる。

 

 

深部静脈血栓症(DVT)の看護問題

  • 肺血栓塞栓症、深部静脈血栓症を発症する危険性がある

長期目標

  • 肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症を起こさない

短期目標

  1. 肺血栓塞栓症、深部静脈血栓症を予防する行動がとれる
  2. 下肢の腫脹、疼痛、呼吸苦、胸痛などの異常の出現がある時は報告できる

観察計画(OP)

  • O:運動障害の有無と程度(足関節、母趾の背屈、母趾の基節の筋 収縮の有無
  • O:知覚障害(触覚、痛覚)の有無と程度(第1・2趾間、下腿から足背)
  • O:麻痺、疼痛、浮腫、骨折、脱臼の有無と程度
  • O:把持痛の有無 ホーマンズ徴候の有無

ケア計画(TP)

  • T:フットポンプ・弾性ストッキングの指示があれば施行する。また、必要性について医師に確認する。

教育計画(EP)

  • E:足関節の運動や足趾の運動は、下肢の血流を増大させるため、行うように説明する。

 

以上になります!
いかがでしたでしょうか。

 

おわりに

深部静脈血栓症の発生誘因を理解し、 リスクのある患者さまに発生の予防法を実践できるように努めていきましょう!

 

おわり!
ご意見をお待ちしています。

あと、ツイッター『栗鈴』もやっております!

プロフィールの方にアドレスがありますので、お暇があれば覗きにきてください~

記事のリクエスト、はてなブックマーク、コメントもお待ちしております!

ページの下の方なのですが、コメントくださった方には必ず返事しますので、よかったらどうぞ!

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肺がんの看護計画の例(OP・TP・EP)【看護過程・看護診断もこれでばっちり!】

みなさんこんにちは。栗鈴です。

今回の記事は、『肺がんの看護計画の例(OP・TP・EP)【看護過程・看護診断もこれでばっちり!】』になります。

人間のケアを生業とする看護師にとって、切り離すことの出来ない疾患がテーマとなっております!

よろしくお願いします。

 

 

 

はじめに

がんにも色々ありますので、その中から今回は「肺がん」をピックアップしたいと思います。今後、各臓器別にがんの看護過程を書いていけたらと思います。

ところで、このブログを見ているみなさんは、医療従事者の方がほとんどだと思います。そこで質問!

あなたは、がんの看護に詳しいですか?

 

私は循環器内科と腎臓内科の患者さまが入室する病棟で働いた経験があります。

専門ではありませんが、がんの患者さまも、今までに多く看護させていただきました。

ですが、いまだにがんの看護というものを自信を持って出来た試しはありません。

みなさんは、どうですか?

自信と覚悟を持って、がんの患者さまと真摯に向き合えていますか?

 
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ガンを(ふき)飛ばせるようなケアの力がありますか?

 

がんは、身体面、精神面、社会面においてあらゆる苦痛を伴う疾患の1つです。

また、治療法とケアのあり方は非常に多様になってきており、従来の西洋医学ににとどまらず、東洋医学や自然療法、アロマセラピーなども非常に発達してきています。

がんの患者さまは、自分のがんと立ち向かったり受け入れたりしながら、自分に合わせた治療を見つけて自分らしく生活できる権利があります。

でも、どうしてもがんの存在を受け入れられずに、治療に納得しきれず、精神的に病んでしまう人もいます。

そうした苦しみを持つ人たちのために、看護師はあらゆるケアの方法を提案して、その人が満足できるものを提供出来るようにしなければいけないと思います。

そのためには、

  1. まずはがんの知識を学ぶこと
  2. がんの看護を学ぶこと
  3. がんの看護に意欲を持つこと
  4. 以上の3点を継続すること

が、必要になるのではないかと考えています。

 

みなさんは、がんの看護を自信を持って実践できていますか?

本当は色々なことが出来るはずなのに、日々の業務をこなすだけのような看護をしてしまってはいないでしょうか。もしそう思う方がいたなら、私はその気持ち、よくわかります。私がそうだったので。

でも、ずっとこのままではいけない!と思い、ようやく勉強を始めてブログなんぞ書いている次第です。

みなさんも是非、知識欲とケアへの向上心を持ち続けて、患者さまとご家族様に自分が出来る最大限のケアを提供出来るように頑張っていきましょう!

 

肺癌の看護

【肺癌の概念】

  • 肺癌とは、気管支から肺胞間での間の上皮及び気管支粘膜腺から発生する悪性腫瘍である。

組織学的には

  1. 偏平上皮癌
  2. 腺癌
  3. 小細胞癌
  4. 大細胞癌

に分けられる。

 

癌の種類により、

  1. 発生する場所
  2. 進展の仕方
  3. 症状
  4. 検査方法
  5. 治療に対する反応

などに違いがある。

 

また、原発性肺癌転移性肺癌に区別される。

 

【肺癌の病態生理】


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1)腺癌
  • 末梢発生型が多く、肺癌全体の40%を占め、偏平上皮癌に比べ、リンパ組織への浸潤が強く、血行性遠隔転移の頻度も高い。
  • 骨・脳・膵・肝・副腎などに転移しやすい。
2)偏平上皮癌
  • 全体の40%を占め、中枢に発生し、男性に多く、喫煙との因果関係が強い。
  • 局所進展性が強く、空洞を形成しやすい。
  • 気管支内腔を閉塞するように発育するで、無気肺や閉塞性肺炎を合併しやすい。
3)小細胞癌
  • 肺癌の中で最も悪性度が高い。中枢発生が多く頻度は10~15%。男性に比較的多い。
  • 発育は速く、発見された時にはほとんどの症例に遠隔転移が認められ、全肺癌の中で最も予後不良。喫煙との関係が大きい。
4)大細胞癌
  • 末梢に好発する。頻度は10%弱。偏平上皮癌と腺癌の中間のような病理像を呈する。

 

 

 

<肺癌の病期分類>

Ⅰ期
  • 腫瘍が肺内に限局し、リンパ節転移はない。あっても肺葉内に限る。
Ⅱ期
  • 肺門リンパ節転移を生じる。
Ⅲ期
  • 腫瘍が胸壁、横隔膜または上大静脈、心嚢、反回神経など肺門、縦隔に浸潤しているか、縦隔リンパ節に転移が認められる。
Ⅳ期
  • 遠隔転移がある。

 

【肺癌の症状】

1)咳嗽、血痰、胸痛
  • 気管支壁、胸壁への刺激によって起こるが、肺癌特有ではなく、一般の肺疾患でもよく認められる。
  • 末梢発生型(腺癌)では転移や腫瘍が大きくならなければ症状は現れない。
  • 扁平上皮癌(一部未分化癌が含まれる)は気管支の内腔を狭窄又は閉塞するように増殖するので、早期から咳や痰、血痰が現れやすい。
  • 閉塞が進むと無気肺や肺炎を生じ、時には喘鳴を伴う事がある。
  • 浸潤が胸膜や肋骨、脊髄に及ぶと強い胸背部痛が現れる。
2)呼吸困難
  • 疾病が進行し、太い気管支の閉塞、両側肺への血行性転移、胸膜への浸潤による無気肺や胸水貯留により出現する。
3)体重減少、全身倦怠感、心悸亢進
  • 疾病の進行により出現する。
4)嗄声
  • 縦隔リンパ節転移により反回神経をおかされると出現する。
5)パンコースト症候群
  • 肩および上腕の神経痛様疼痛を示す症候群。肺尖部に原発した癌腫が胸膜を超え、肋骨や椎体に進展し、上腕神経をおかすことにより生じる。
6)上大静脈症候群
  • 縦隔へ進展し、上大静脈、腕頭静脈を圧迫・閉塞し、顔面、上肢の腫脹や胸壁静脈の怒張などが認められる。
7)嚥下困難、頻脈、不整脈、うっ血性不全
  • 腫瘍や転移リンパ節による食道と心臓の圧迫、および直接浸潤による。 
8)肺外症候群

①内分泌、代謝系異常
②神経・筋の異常
③皮膚・結合組織・骨の異常
④血液・血管系異常

 

 

 

 

【肺癌の診断】

  • 確定診断は細胞診または組織診の病理診断による。その方法として、

① 喀痰細胞診

② 気管支鏡検査

③ 超音波内視鏡

④ CTガイド下生検

⑤ 胸腔鏡下生検

⑥ 胸腔穿刺(細胞診)

がある。 

 

  • CTやPET-CT、必要に応じて気管支鏡下吸引細胞診によりリンパ節転移を診断し、さらに脳転移(頭部MRI)、肝転移(腹部CT、腹部エコー)、副腎転移(腹部CT)、骨転移(PET-CT、骨シンチグラム、単純X腺、MRI)の有無を調べる。
  • 血液検査

腫瘍マーカー CEA(癌胎児性蛋白) SCC(偏平上皮癌関連抗原)

  •  TNM分類により病期が決定される。T因子(腫瘍の大きさ、進展の程度)、N因子(リンパ節転移)、 M因子(遠隔転移)の各因子からⅠ期~Ⅳ期までの病期を決定する。
  • 小細胞癌は胸郭内に限局する限局型、胸郭外まで進展する進展型に分類される。

【肺癌の治療】

  • 組織型、TMN分類による病期、全身状態により治療方針を選択する。
① 手術療法
  • 非小細胞肺癌のⅠ~Ⅱ期、Ⅲ期の一部、小細胞肺癌のⅠ期症例では原則として手術療法が選択される。
② 化学療法
  • 切除不能なⅢ~Ⅳ期非小細胞肺癌、Ⅱ期以上の小細胞肺癌は化学療法が選択される。
③ 放射線療法
  • 局所にとどまる非小細胞肺癌、限局型の小細胞肺癌、小細胞肺癌の術後は化学療法と併用し放射線療法が行われる。 骨転移などの疼痛コントロールの目的でも行われる。

 

 

ここからは、肺癌の看護について書いていきます!…

 

肺癌の看護問題

♯1

病状悪化による呼吸困難や、転移からくる疼痛出現・増強の可能性がある

♯2

治療の副作用によるADL・QOL の低下やボディイメージ変化の可能性がある

♯3

呼吸困難や苦痛からくる予後に対する不安・悲嘆の可能性がある

 

肺癌の看護目標・看護計画

♯1病状悪化による呼吸困難や、転移からくる疼痛出現・増強の可能性がある。

長期目標
心身共に安楽に過ごすことが出来る。

短期目標
症状による苦痛が緩和される。

観察計画(OP)
  1. バイタルサイン
  2. 酸素化状態
  3. 肺聴診
  4. 呼吸状態(回数・性状)
  5. 咳嗽・喀痰の有無や性状
  6. 疼痛部位・程度(ペインスケール)
  7. 倦怠感の有無・程度
  8. 皮膚の性状・浮腫の程度
  9. 表情・言動
  10. 家族の言動・想い・要望など
  11. 鎮痛剤の効果
  12. 排泄状態
  13. 副作用(便秘・呼吸抑制・悪心・嘔吐など)
  14. 睡眠状態
  15. 食事摂取量・栄養状態
  16. ADL とセルフケアレベルの状態
ケア計画(TP)
  1. 傾聴(本人・家族)
  2. 罨法(温・冷)
  3. リラクゼーション
  4. 医師指示(医師との相談)により鎮痛剤や酸素の投与
  5. 安楽な体位の検討・工夫
  6. ADL に応じてのセルフケア援助
  7. 環境整備
  8. 喀痰喀出困難時はネブライザーを使用する
教育計画(EP)
  1. 疼痛時、疼痛増強時は我慢せずすぐ知らせるよう説明する
  2. 遠慮せず悩みやなど話すよう説明する
  3. 有効的な呼吸方法を説明する

 

 

♯2治療の副作用によるADL・QOL の低下やボディイメージ変化の可能性がある

長期目標

感染や出血を起こさない

短期目標

苦痛や悩みを相談し安楽に過ごすことが出来る

観察計画(OP)
  1. バイタルサイン
  2. 血液データ
  3. 肺聴診
  4. 呼吸状態(回数・性状)
  5. 咳嗽・喀痰の有無や性状
  6. 倦怠感の有無・程度
  7. 皮膚の性状・出血の有無
  8. 表情・言動
  9. 副作用(便秘・呼吸抑制・悪心・嘔吐など)
  10. 睡眠状態
  11. 食事摂取量・栄養状態
  12. ADL とセルフケアレベルの状態
ケア計画(TP)
  1. 環境整備
  2. マスク着用しケア前に手洗いする
  3. セルフケア援助
  4. 食事形態の工夫
教育計画(EP)
  1. 感染防御の必要性と方法の説明をする
  2. 転倒など外傷に注意を促す
  3. 面会者や家族に感染予防について説明をする

 

 

♯3呼吸困難や苦痛からくる予後に対する不安・悲嘆の可能性がある

長期目標

不安が軽減され心身ともに安定した生活を送ることができる

短期目標
不安や悲嘆を表現することができる

観察計画(OP)
  1. 表情や言動
  2. 訴え
  3. 睡眠状態
  4. 患者・家族間のコミュニケーション状態
ケア計画(TP)
  1. 傾聴
  2. 必要に応じ医師との会話調整
  3. 不安に対する効果的な方法の検討
  4. 環境整備
  5. 気分転換の促し・工夫
  6. ゆとりを持った対応をする
教育計画(EP)
  1. 遠慮せず悩みを話すよう説明する

 

 

【考えられる肺癌の看護診断名候補】

  1. 呼吸機能の変調
  2. 気道クリアランスの低下
  3. 安楽の変調
  4. 不安
  5. ボディイメージの混乱
  6. ケア提供者の役割緊張のリスク状態


以上になります!
いかがでしたでしょうか。

おわりに

私はがんの看護に関しては未熟なので、決してエラそうに言えないのですが、まずはしっかりと知識を持って看護をするという心構えが最低でも必要だと思います。

 

自信がなく不安があるままに看護をすることは、看護をする準備が出来ていないということに他なりません。

がんに関してだけではありませんが、
看護師である以上、自信がつくまで、継続して勉強し続けていきましょう!継続と習慣は必ず自分のため、人のためになりますからね!

是非一緒に少しずつ勉強していきましょう!おわり!

他にも色々疾患別に看護過程や、看護技術、ゴードンの看護アセスメントなど、

色々看護について有益になりそうな記事を書いております!

以下おすすめですので、よかったら見てくださいね!

 

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ご意見をお待ちしています。

脳梗塞の看護計画(OP・TP・EP)【知識から看護問題・看護診断もこれでばっちり!】

みなさん、こんにちは。栗鈴です。

今回は看護過程シリーズ第4弾。

 脳梗塞

 

の看護過程をみなさんと一緒に勉強していきたいと思います。

 

 

 

 

はじめに

 

脳梗塞および脳血管疾患は、

日本人の死因のランキングの中でも常に高い順位にありますね。

 

その年にもよりますが、

たいていの死因の1位は

やはり悪性新生物。つまり、がん。

 

2位は、心疾患。

 

そして3位に脳血管疾患

という順位になることが多いです。

 

 

しかし、

一昔前はがんよりも

脳血管疾患による死亡率の方が高かったのです。

 

理由としては、 

現代医療が進化したことで、

急性期・慢性期における外科・内科的治療が常にアップデートされていること。

 

そして、

少しずつ日本人の生活習慣をよりよいものに見直そうとする動きが、

政治やマスコミなどを通して社会全体に高まってきていること。

 

この2点が、

脳血管疾患の死亡率の低下に一役買っていると考えられます。

 

しかし、それでも脳血管疾患が死亡率の上位にあることには変わりありません。

 

 このことを、

看護師を含む医療従事者は、

みな心に重く受け止めなければなりません。


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脳梗塞で苦しむ人と同じくらい、

医療従事者も苦しみを共有し、共に乗り越える姿勢が必要です。

 

看護師のケアの質が向上することによって、

脳血管疾患の死亡率の低下に繋げることは

できるはずだからです。

 

 

キュア〈治療〉が発展しているからには、

ケア〈看護〉の質も維持・向上していく必要があることは自明の理です。

 

 

看護師として、脳血管疾患の患者様へのケアの質を高めていくことは、

日本全体の健康を高めていく大きな一歩となってきいきます。

 

 

ケアに対する自信のない方は、是非ともに勉強をしていきましょう!

 

前置きが長くなりました!

とういうわけで、やっていきましょう!

 

 

 

 

脳梗塞の看護

 

 

〈概念〉

脳梗塞とは、

脳の一部に血液供給が一時的にあるいは永久的に減少あるいは消失することにより、神経細胞の不可逆的変化(細胞死) をきたした状態を意味する。


〈病態生理〉

発症機序により、

  1. 脳塞栓症
  2. アテローム血栓脳梗塞、
  3. ラクナ梗塞

の3 タイプに大別される。

 

  • 心原性脳塞栓症は、 心腔内に生じた血栓が剥離して血流で運ばれ、 脳の動脈を閉塞して梗塞を生じる病態である。 種々の心疾患により生じるが、最も多いのは心房細動である。

 

  •  アテローム血栓性脳梗塞は主要な頭蓋内動脈のアテローム硬化症に起因する脳梗塞で、高血圧、糖尿病、脂質異常症(高脂血症) 、喫煙などの危険因子を有していることが多い。発症機序としては以下の3 つ機序が関与することがある。


(1)血栓性機序

アテローム硬化巣とそれに伴う血栓形成が脳動脈を閉塞することにより発生するもの。


(2)塞栓性機序

脳主幹動脈などのプラーク(粥種)から剥離した塞栓因子が、 より末梢の脳動脈を閉塞することにより発生するもの。


(3)血行力学性機序 

脳主幹動脈など比較的太い動脈の高度狭窄または閉塞がある症例において、血圧低下などの理由から、狭窄部以下の血流が異常に減少することにより発生するもの。

 

  • ラクナ梗塞は、 脳主幹部動脈から分岐する穿通枝1本の支配する領域(基底核、 視床、深部白質など)に生じる径1. 5cm以下の小梗塞である。これは、 穿通枝の硝子変性ないし血管壊死もしくは穿通枝分岐部の微小アテロームによる血栓性機序によって発生する。


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リダイレクトの警告

上図はラクナ梗塞。

穿通枝の壊死や、粥状組織の増加による血管肥厚などにより発生する。

 

 

〈病因・憎悪因子〉
  • 年齢・性別

加齢による発症率の増加は顕著であり、 男性のほうがリスク高い。

  • 高血圧

脳卒中の最大の危険因子。

血圧が高くなるほど、 脳梗塞発症率も増加する。

  • 耐糖能異常

女性では、統計学的に有意なリスクとなり、 男性でもリスクとなる傾向にある。

また、 耐糖能異常と高血圧の合併により脳梗塞のリスクが相乗的に上昇する。

  • 脂質代謝異常

LDLコレステロール値の上昇はアテローム血栓性脳梗塞の危険因子。

  • 肥満

肥満は脳梗塞のうち脳塞栓症の危険因子として重要である。

  • 喫煙

喫煙は動脈硬化を介するよりも脳血流量減少、 血液凝固亢進、 血栓形成促進などの要因を介して脳梗塞発症にかかわっているとされるが、有意な関連は報告されていない。

  • 飲酒

アルコールは脳出血の危険因子となる一方で、 脳梗塞には予防的に作用する。

しかし、 アルコール摂取量が多量になると、塞栓源の誘発、高血圧の増悪、 脳血流量減少をきたし、 脳梗塞の予防効果を相殺すると考えられている。

〈疫学・予後〉

日本を含め先進国における脳卒中(脳出血、脳梗塞)の死亡率は、 悪性腫瘍、心疾患に並ぶ主要死因の 1 つである。

 

かつて脳梗塞は死因の第1 位であった。

1981 年以降は低下傾向にあり、1997 年以降は第3位である。

 

実際、脳梗塞の死亡率は1970 年代半ばまで増加したあと、低下傾向に転じている。

 

 

 

〈症状〉
  • 心原性脳塞栓症

 

一般に比較的太い動脈の閉塞が急激に生じるので、発症は突発性完成型であり、しばしば意識障害を伴う。

 

重度の片麻痺に加え、失語、視野欠損などの症状をきたす。

 

広汎な梗塞では、脳浮腫が高度になり、 致死的転帰をとる場合も少なくない。

 

  • アテローム血栓性脳梗塞

 

前駆症状として、一過性脳虚血発作(TIA) が約40%と高確率に起こる。

 

発症時は意識障害がなくとも、軽度な症状から数日間に渡り徐々に進行したり変動したりする場合がある。

 

片麻痺や失語、 視野異常などの皮質下症状もしばしばみられる。

 

  • ラクナ梗塞

 

無症状性梗塞となることも少なくないが、 症候性の場合、部位に応じた特徴的な症状を示す。

 

しかし、意識障害や皮質下症状は認めず、進行性の経過を辿ることは少ない。

回復もよく、予後良好である。

 


〈診断・検査〉


発症したときの状況をよく聴取し、 意識障害を含めて神経学的に異常所見がみられたら、 脳血管障害を疑う。

 

ただちにコンピュータ断層法(CT) や磁気共鳴画像法(MRI)検査を行うことにより、 診断は容易である。

 

  • 検査


CTもMRIも脳卒中診療においては必須の検査である。

 

MRIは解像度と脳梗塞発症早期の病巣の検出の点で、 CTより優れている。


(1) CT

脳出血の診断はCTで容易であるが、 脳梗塞では発作直後は異常を認めず、多くは12 時間以上たってみえてくるので、後述するMRIが必要となる。


(2) MRI

急性期脳梗塞の診断、 とくに拡散強調画像は脳梗塞発症1~2 時間後の超急性期虚血巣の検出には威力を発揮する。

 

脳幹部や小脳梗塞、 ラクナ梗塞などの小梗塞の描出にも優れている。


(3) MRA(磁気共鳴血管撮影):

頭蓋内の主要血管の狭窄や閉塞所見のみならず、 頸部動脈病変の検索においても、無侵襲に行うことができる。


(4) 脳血管撮影

MRAの導入により、 あまり行われなくなった検査であるが、 脳循環動態や側副血行動態などの動的な情報を得るには、 今なお有用である。

 


〈合併症〉


神経系合併症

  • 脳梗塞の拡大
  • 出血性梗塞( とくに心原性脳塞栓症の場合)


内科系合併症

  • 腎機能障害
  • 心疾患
  • 内分泌疾患の悪化。


慢性期合併症

  • うつ状態
  • 意欲の減退
  • 重傷例や遷延性意識障害の患者で臥床状態の場合の慢性的呼吸器系・泌尿器系感染症

 


〈治療〉

 

  • 脳梗塞の急性期治療


急性期内科的治療
虚血組織を救い改善するには2つのアプローチがある。

 

1 つは虚血脳に対する血行改善。

たとえば、 血栓溶解や血液希釈などである。

 

2 つめは、虚血状態であるが、依然生存可能な神経細胞が、 毒性代謝産物によりさらに損傷することを防ぐ方法。

たとえば、 軽度低体温法の応用や、 各種脳保護的には次の4つにまとめられる。


(1) 血栓溶解療法

ウロキナーゼ、t-PA( 組織プラスミノーゲンアクチベータ)


(2) 抗凝固療法

ヘパリン、ワルファリン、選択的トロンビン薬( アルガトロバン) 


(3) 抗血小板療法

アスピリン、チクロビジン、 選択的TxA2阻害薬(オザクレルナトリウム) 


(4) その他の脳梗塞急性期の薬物療法

血液希釈療法、抗浮腫療法( D-マンニトール、グリセオール)フリーラジカル捕促薬( エダラボン)など。

 


急性期外科的治療


(1) 脳室ドレナージ術

小脳梗塞などで急性水頭症が生じている場合。


(2) 減圧開頭術

小脳梗塞などで脳幹部圧迫があり、 これによる昏睡を示す場合。

 

また、 一側大脳半球に及ぶ大きな梗塞で、 種々の内科的治療にもかかわらず、 脳幹部への圧迫をきたしている場合は頭蓋骨をはずして頭蓋内圧の低下を図る本法が勧められる。

 

  • 脳梗塞の慢性期治療


慢性期内科的治療


多くの場合は、

脳梗塞の再発を防ぐための二次的治療であり、薬物療法である。


(1) 抗血小板薬

アテローム血栓性脳梗塞およびラクナ梗塞に対して最も有効。


(2) 抗凝固薬

ワルファリン(心原性脳塞栓症の第一選択薬)


(3) その他の薬物療法

脳梗塞後のうつ状態や意欲減退に対して、 脳循環代謝改善薬、抗うつ薬、ドパミン遊離促進薬など。


(4) 脳梗塞の危険因子への対応


・ 高血圧

至適降圧レベルは、

治療開始後の一次目標として

血圧150/95mmHg未満。

最終目標値

血圧140/90mmHg未満。

(日本高血圧学会: 高血圧治療ガイドライン2004 年版)


・ 喫煙

喫煙により脳卒中の罹患率および死亡率は上昇する。


・ 心臓病

心房細動は脳梗塞発症のリスクが2~7 倍高くなる。


・ 糖尿病

脳梗塞二次予防の至適血糖値は

126mg/dL未満。


・ 血液脂質

種々の薬物療法によるLDLコレステロール低下は脳梗塞を減少させる。


慢性期外科的治療


(1) 頸動脈内膜剥離

頸動脈分岐部における狭窄の原因となる粥腫を外科的に切除する。


(2) 経皮的血管形成術とステント留置術

頸動脈内膜剥離術に代わる血管内治療。


(3) 頭蓋外-頭蓋内(EC-IC)バイパス術

頭蓋外血管から頭蓋内血管にバイパスして、 不足している頭蓋内血流を補う手術法。

 

 

 

 

続きまして、脳梗塞の看護に参ります…(゜∀゜)


脳梗塞の看護問題

 


♯1運動麻痺により嚥下が障害され食事を十分に摂取できない

 

♯2運動麻痺によってセルフケアが行えない

 

♯3運動麻痺により自由にすばやくトイレにいくことができず失禁してしまう

 

♯4運動麻痺や食事摂取量の低下、 自分で自由にトイレに行けないため便秘になりやすい

 

♯5失語症、構音障害のためにコミュニケーションがとりにくい

 

♯6半側空間無視があり空間を認識できない

 

♯7急激な身体変化と後遺症を受け入れられず、 治療やリハビリテーションを毎日の生活に組み込めない

 

♯8運動麻痺による身体の変化を受け入れられない

 

♯9長期にわたって介護を行うことにより、家族が身体的、 精神的苦痛を感じている

 

♯10見当識障害や知覚障害、視野欠損、 運動障害により身体の危険を認知する能力が低下している

 

 

脳梗塞の看護目標と看護計画

 

1運動麻痺により嚥下が障害され食事を十分に摂取できない

 

  • 長期目標

嚥下障害なく食事摂取できる

 

  • 短期目標

嚥下のリハビリテーションが行える

 

観察計画(OT)

O1食事摂取量
O2嚥下障害の状態
O3食べこぼしなどの状態
O4食べられる食物の形態
O5誤嚥性肺炎の徴候

 

ケア計画(TP)

T1食事は誤嚥防止のために介助者が見守り、介助を行う
T2飲み込みやすい食形態にしたり、 細かく刻むなどの工夫を行う。 酸味の強いものや粉っぽいものは誤嚥しやすいので避ける
T3患者があせらずに食事ができるように環境を整える
T4食事が1回で十分とれない場合は、回数をふやすか、 間食などで栄養がとれるよう工夫する
T5嚥下しやすい体位の工夫、嚥下練習を行う

 

教育計画(EP)

E1あわてず、ゆっくり食事をとるように指導する
E2嚥下障害をおこしやすい食物は避けるよう指導する
E3口腔ケアの必要性と方法について指導する

 

 

 


♯2運動麻痺によってセルフケアが行えない 

 

  • 長期目標

自分が望むことをできる範囲でおこなうことができる

 

  • 短期目標

1) セルフケアをするために必要なリハビリテーションを前向きに行うことができる
2)介助によって患者が望むことが充足される

 

観察計画(OT)

O1セルフケアを行う能力
O2障害の程度、部位

 

ケア計画(TP)

T1障害に応じて患者のADLを介助する
T2自力でできる範囲は行えるような環境を整える
T3セルフケアを自力で行えないことに対する気持ちを聞く
T4必要時に適切な自助具を選択する

 

教育計画(EP)

E1セルフケア不足に対する不快な気持ちや不満を言語化するように指導する
E2自分のペースを崩して、無理に行動しようとすることは、 事故や外傷の危険があることを指導する

E3自分でできる範囲の行動を自分のペースで行うことは、日常生活におけるリハビリテーションになり、セルフケア能力の向上に繋がるということを説明する

 

 

 


♯ 3運動麻痺により自由にすばやくトイレにいくことができず失禁してしまう

 

  • 長期目標

尿失禁することなくトイレで排尿できる

 

  • 短期目標

1)尿意を伝えられる
2)失禁しないための方策を考え実行することができる

 

観察計画(OP)
O1尿意の有無、排尿量
O2排尿感覚や回数
O3トイレまでの移動の状況
O4あきらめや心理的混乱の有無
O5麻痺の状態

 

ケア計画(TP)
T1排尿する時間をみはからい、事前に誘導する
T2トイレでの排尿がスムーズにおこなえるようなリハビリテーシ ョンを実施する
T3陰部を清潔保持する

 

教育計画(EP)
E1尿意があるときは遠慮せずに伝え、 トイレで排泄することの大切さについて指導する

 


♯4運動麻痺や食事摂取量の低下、 自分で自由にトイレに行けないため便秘になりやすい

 

  • 長期目標

規則正しい排便がある

 

  • 短期目標

腹部の不快感が消失する

 

観察計画(OP)
O1排便の回数、量、性状
O2食事摂取量
O3運動障害の程度
O4トイレへの移動手段

 

ケア計画(TP)
T1排便習慣をつける
T2毎日の運動を心がける
T3必要に応じて、腹部マッサージや温罨法を行う

 

教育計画(EP)
E1食後はトイレに行く習慣をつけ、 いきまず排便をすることの必要性を指導する

 


♯5失語症、構音障害のためにコミュニケーションがとりにくい

 

  • 長期目標

1)構音障害を減少させて、 コミュニケーションをとることができる
2)基本的ニーズを適切な方法で伝達できる

 

  • 短期目標

コミュニケーションの手段を知り、フラストレーションが減少する

 

観察計画(OP)
O1話す能力と伝える能力の程度
O2説明や相手の言動を理解する力
O3基本的ニーズが伝えられているか
O4フラストレーションの有無

 

ケア計画(TP)
T1患者が基本的ニーズを伝達できる方法をみつける
T2短い言葉や簡単な言葉を使ってコミュニケーションをとる
T3言語療法を実施する

 

教育計画(EP)
E1家族に対し、 会話はせかさず中断させないようにしてゆったりとした気分で接するように指導する

 

 

 


♯6半側空間無視があり空間を認識できない

 

  • 長期目標

知覚障害を認識し、日常生活が安全に送れる

 

  • 短期目標

環境を欠陥に適応させ日常生活が無理なく送れる

 

観察計画(OP)
O1罹患した四肢や体の存在の無視の有無と程度
O2空間認知の程度、出現状況

 

ケア計画(TP)
T1日常生活を送るために必要な物が患者の視野に入るように健側に置く
T2摂取した食事や薬が口腔内にたまっていないことを確認する
T3環境に適応し忘れていた部分が認識できるようにリハビリテー ションを行う

 

教育計画(EP)
E1食事は健側で食べ、 患側に残っていないか確認するように患者に指導する
E2家族には健側から近づき話しかけること、 健側に物品を置くなどの指導を行う

 


♯7急激な身体変化と後遺症を受け入れられず、 治療やリハビリテーションを毎日の生活に組み込めない

 

  • 長期目標

疾患からの回復や合併症予防のための健康行動がとれる

  • 短期目標

現在の身体の状況を理解し、 自分でリハビリテーションや健康管理を行いたいと思える

 

観察計画(OP)
O1身体の変化に対する認識、受け止め方
O2患者の疾患に対する認識の確認
O3自己効力感
O4発症までの日常生活

 

ケア計画(TP)
T1治療計画に対する十分な説明
T2不安や疑問を伝えられるような環境調整
T3患者がリハビリテーションを行いたいと思う動機付けを行う

 

教育計画(EP)
E1身体の変化を日常生活に組み込んでいくことは時間がかかるこ とを説明し、あせらず気長に行っていくことの大切さを指導する


♯8運動麻痺による身体の変化を受け入れられない

 

  • 長期目標

運動障害を受け入れ、 身体の状態を自分でコントロールできる

 

  • 短期目標

1)運動障害を知り、怖がらずに身体に触れることができる
2)つらい気持ちを表現できるする

 

観察計画(OP)
O1運動障害、麻痺による身体機能の変化に対する認識
O2機能の喪失に対しての言動・神定の表出

 

ケア計画(TP)
T1つらい気持ちを理解し、信頼関係を築く
T2身体に対するイメージが言語化できるように環境を整備する
T3家族や仲間と話す時間をつくり関係が深まるように調整する
T4障害の程度に応じてリハビリテーションを行う

 

教育計画(EP)
E1つらい気持ちを理解し、 少しでも表出することの大切さを説明する

 

 


♯9長期にわたって介護を行うことにより、家族が身体的、 精神的苦痛を感じている

 

  • 長期目標

介護の役割を家族だけが引き受けることなく、 社会資源を十分活用し精神的に安定する

 

  • 短期目標

ストレスになっていることやいらだちを言語化することができる

 

観察計画(OP)
O1家族の役割の変化、現状
O2家族間の罪悪感や怒り、非難、憤りの有無
O3家族の不安や精神状態

 

ケア計画(TP)
T1正確な情報を提供し、 現実的な見通しがつけられるように援助する
T2家族の頑張りを認める
T3不安などを言語化しやすい環境をつくる
T4外部の援助者の協力が得られるよう、 介護の支援づくりを援助する
T5地域の関連機関と連絡をとり、 在宅療養に社会資源が活用できるように支援を依頼する

 

教育計画(EP)
E1疾患について患者・家族にわかりやすく説明する
E2家族全体で協力し合い、疲労が蓄積しないように伝える

 


♯10見当識障害や知覚障害、視野欠損、 運動障害により身体の危険を認知する能力が低下している

 

  • 長期目標

外傷予防の対策ができる

 

  • 短期目標

麻痺などの身体の状況を把握できるうにする

 

観察計画(OP)
O1危険を回避する行動がとれるか
O2麻痺の有無と程度
O3麻痺の認識の程度、労作時の外傷の危険性の有無

 

ケア計画(TP)
T1危険予防のためのクッションの配置や防護柵などの設置
T2PT、OT、STのスタッフと連携をとりながら、 リハビリテーションの各段階に応じた援助を行う
T3環境を整備する

 

教育計画(EP)
E1ナースコールの使い方と説明し、危険を早期に回避する
E2患者が身体外傷防止の意識付けができるよう、説明・指導する
E3身体外傷の危険性について家族に指導する

 


【考えられる看護診断名候補と共同問題】


1.嚥下障害
2.セルフケア不足シンドローム
3.機能性尿失禁
4.便秘リスク状態
5.言語的コミュニケーション障害
6.片側無視
7.非効果的治療計画管理
8.ボディイメージ混乱
9.家族介護者役割緊張便秘リスク状態
10.身体損傷のリスク状態
11.皮膚統合性障害のリスク状態
PC:肺炎  

 
 

以上になります!

いやー長かったですね。

お疲れさまでした!

 

いかがでしたでしょうか。

 

 

 

脳梗塞の看護は、

必ずと言っていいほどに経験しなければいけない症例になります。

 

看護学生または看護師一年目のうちから、

少しずつでも勉強を重ねて、ケアの質を高めることが、

脳梗塞で死に至る人たちを減らすことに必ず繋がっていきます。

 

私も看護師すでに11年目(2022年現在)でようやく勉強をし直している身ですが、このブログを見て下さってるみなさんと、少しずつ精進して、僅かながらでも日本で暮らす人の健康に寄与できればと思います!

 

他にも色々な看護過程の記事や、

ゴードンの看護アセスメントの記事など、

看護学生さんに有益になりそうな記事を書いています!

よかったら見てみてくださいねえ~

 

 

www.aikoandsibajyun.info

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ここまで読んでいただき、ありがとうございました(*^ー゜)

おわり!

関節リウマチの看護計画【OP・TP・EP】(これでばっちり)

みなさん、こんちは。栗鈴です。

今回の記事は「関節リウマチの看護計画」です。

宜しくお願い致します。

 

 

はじめに

令和の時代となり、慢性疾患がアツくなってまいりました!

高齢者の方が増加していることで、慢性疾患も比例して増加傾向なんですね。

 

2025年になると団塊の世代がみな75歳以上になり、3人に1人が75歳以上になる時が来ると言われております。

 

すると、患者数の増大から、病院はパンク状態!

医師は患者さまを診察しきれなくなります…

 

そこで、厚生労働省は「地域包括ケア」という対策を打ち出しました。

地域包括ケアシステム
 

 団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供されるシステムを指す。

 

今後、認知症や高齢者の増加が見込まれることから、認知症や高齢者の地域での生活を支えるためにも、地域包括ケアシステムの構築が重要である。

 
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厚生労働省のホームページより 

 

っくり言うと、

『地域』で医療と介護のチームを作りましょう

という取り組みです。 

 

地域包括ケアシステムを活性化していくうえで、

  • 治療と介護
  • 介護と住まい
  • 住まいと疾病予防・生活援助
  • 疾病予防・生活援助と治療 など、

それぞれ同士の連携が、より大事になってくるでしょう。

 

地域包括ケアシステムの恩恵を受けるのは、高齢者や認知症の患者さまだけではありません。長期にわたり病気と付き合い続けなければならない、慢性疾患の患者さまも同様です。

 

したがって、看護師は高齢者・認知症・慢性疾患に特化して勉強をしていく必要があるでしょう。

 

というわけで今回は、慢性疾患の代表格を一緒に勉強していきます!
 

慢性疾患といったら膠原病!

膠原病といったらリウマチ !

てことで今回は関節リウマチの看護について書いていきたいと思います!

さっそくやっていきましょう!

リウマチってよく聞きますが、なかなか大変な疾患なんです。

 

関節リウマチの概念

  • 関節リウマチ(RA)は、しばしば各所の関節外症状を伴って慢性に経過する、多発性の関節炎である。
  • 関節には滑膜の炎症、肉芽腫性増殖が起こり、 病変が進行すると関節の変形と硬直を生じ、日常生活が困難な身体障害者となる。
  • 血清中、滑液中にはlgG に対する自己抗体(リウマチ因子)が証明されるので自己免疫疾患とみなされる。
  • 関節外症状は皮下結節、間質性肺炎など多彩であるが、 とくに全身の血管炎を生じた例は生命に対する予後が不良であり、悪性関節リウマチmalignant rheumatoid arthritis(MRA)と呼ばれる。
  • 我が国でのRA 患者は約100 万人に迫ると推定される。女性が男性に比べて3~5 倍多く、好発年齢は40 歳をピークとし、20 歳~60 歳代にわたる。


関節リウマチの病態生理

関節の病理

  • 初期の変化は滑膜の浮腫、フィブリン滲出、 細胞浸潤であり滑膜も増量する。滑膜の炎症が持続すると、滑膜は肥厚し、 一種の肉芽組織であるパンヌスが軟骨表面に増殖して次第に軟骨を破壊する。このため、 軟骨は消失し、関節面は繊維性もしくは骨性結合織に置き換えられて関節の硬直が起こる。

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リウマチ結節

  • 皮下、滑膜、ときに内臓(肺・心・眼など) にリウマチ結節と呼ばれる特異的な小結節を生ずる。
  • 結節中心部はフィブリノイド壊死に陥り、周辺部に単球が柵状に並び、さらに外側をリンパ球と形質細胞の浸潤が取り囲んでいる。 

 
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リウマチ因子

  • 患者の約80%の血清および滑液中にlgG に対する自己抗体が認められ、リウマチ因子と呼ばれる。
  • 滑液の炎症は滑液中のリウマチ因子が抗原のlgG と結合して免疫複合体となり、さらに補体が結合するために生ずると考えられている。 

関節リウマチの症状

1)関節症状

①手の関節
  • 軟部組織の腫脹を伴い、伸筋と屈筋の腱鞘炎をきたす。
  • 初期には朝のこわばりと呼ばれる症状が出現する。次に関節痛が起こる。これは手首、 肘、膝など体の中心に近い大きな関節の痛みへ変わっていく。
  • 進行するとスワンネック変形、ボタン穴変形などをみる。

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  • また、 軟骨および骨の破壊により、中手指節関節の亜脱臼を起こし、尺側偏位が生じる。
②腕

伸展尺側部に無症候性腫脹を認めたり、 正中神経障害を伴う手根管症候群を起こす。

③環軸関節

亜脱臼を起こすとともに、 知覚および錐体路徴候を伴った脊髄圧迫を起こす。

④輪状披裂関節

声帯が内転し喉頭閉塞の原因となる。

⑤顎関節

咀嚼障害を起こす。

⑥股関節

可動制限をきたし、進行すると膀胱・直腸障害を起こす。 合併症として無菌性骨壊死を伴うこともある。

⑦膝

リウマチ性滲出液が貯留し、ときとして下腿後面まで拡散することがある。

⑧中足趾節関節

亜脱臼、外反母趾をおこし、歩行時の激痛と歩行困難の原因となる。

2)関節外症状

①皮下結節

肘、手指、後頭部、 肩甲骨部など刺激や圧迫をうけやすい部位に認められる。

②血管炎に伴う症状
  • 爪周囲の小梗塞が多い。
  • レイノー現象は両側性の手指の虚血を示唆している。
  • 心臓では狭心症・心筋梗塞、肺では肺高血圧症、腎臓では糸球体硬化症、脳では脳梗塞が起こりうる。
③心症状

約30%に心外膜炎が認められる。

リウマトイド結節を生じることもある。

④肺症状

間質性肺炎、気道病変、胸膜病変、リウマチ結節、血管病変、 睡眠時無呼吸症候群(顎関節病変、輪状披裂関節病変)などを合併することがある。

⑤眼症状

上強膜炎・強膜炎、虹彩炎がみられる。

関節リウマチの診断


関節リウマチの検査所見

  •  血液検査

白血球増加、血小板増加等の炎症所見が見られ、 特にCRP 上昇、赤血球沈降速度亢進は活動性の指標となる。

リウマトイド因子は陽性であることがほとんどだが、誰でも高齢となるにつれて陽性の頻度は高くなるためこれをもって診断を確定することは出来ない。

  • 画像診断

単純レントゲン写真、CT、MRI、エコー


関節リウマチの診断基準

旧来より、米国リウマチ学会(ACR) の分類基準が広く一般的に使われている。


1、朝のこわばり(一時間以上持続する)
2、多関節炎(少なくとも3 領域以上の関節の腫れ)
3、手の関節の腫れ
4、対称性の関節炎の腫れ
5、リウマチ結節
6、リウマトイド因子(リウマチ因子)陽性
7、レントゲン検査で典型的な関節所見


以上7 項目のうち4 項目以上を満たせば、「関節リウマチ」と診断する。

 


関節リウマチの治療


1)基礎療法

患者と家族に疾患をよく理解させて患者の精神的安定を保ち、 適宜休養と運動を行わせる。
関節痛には非ステロイド消炎剤を投与し、必要に応じて温熱療法( パラフィン浴など)と関節可動域運動(ROM)を行う。


2)薬物療法

DMARDs

関節リウマチの病気の勢いそのものを弱める薬としては、

  • メトトレキサート(リウマトレックス)
  • スルファサラジン(アザルフィジン)
  • ブシラミン( リマチル)
  • レフルノミド(アラバ)
  • ミゾリビン
  • タクロリムス(プログラフ)

が使用可能である。

 

免疫抑制薬
  • アザチオプリン(イムラン)
  • シクロスポリン( ネオーラル)

も効果が示されているが、日本国内では適応はない。

 

メトトレキサートには重篤な副作用がみられることがあり、 慎重な対応が必要である。


生命にかかわる副作用としては骨髄抑制間質性肺炎がある。


ステロイド

ステロイドには病気の進行を遅らせる効果はないとされており、 対症療法として扱われていた。しかし臨床試験の結果、 ステロイドも病気の進行を遅らせる効果を示すことがわかった。また、DMARDs のみよりもDMARDs にステロイドを加えたほうが病気の進行をさらに遅らせるという研究結果も報告されている。


抗サイトカイン療法
  • インフリキシマブ(レミケード)
  • アダリムマブ(ヒュミラ)
  • トシリズマブ(アクテムラ)
  • エタネルセプト(エンブレル)
  • アバタセプト( オレンシア)

は新しく開発された薬で、これまでの製薬との違いとして、 始めからある機能を担うことを狙って作られた「分子標的薬」であることが上げられる。

 

インフリキシマブ、 アダリムマブ、エタネルセプトについては抗サイトカイン療法ではなく抗TNF- α療法と呼ばれることもある。これらはきわめて強力な治療効果を示し、 リウマチの診療そのものの姿を変化させつつある。しかしこれらは免疫に対する抑制効果が強く、しばしば感染症を引き起こすことがある。

3)理学療法

温熱療法、ROMの他にマッサージ、作業療法、 補装具の着用などを行う。

4)外科療法

関節形成術、関節固定術、滑膜切除術などが行われることがある。


関節リウマチの合併症

生命に対する予後に影響する合併症として、

  • 感染症
  • 肺線維症
  • アミロイドーシス
  • 過粘稠度症候群

などがある。

関節リウマチの予後

原因そのものを治す治療法は存在しない

しかし、発症早期(5 年以内)からの抗サイトカイン療法によって、30~50%の症例で臨床的寛解( DAS28<2.6)が得られることが分かってきており、中でもインフリキシマブにおいては、臨床的寛解後に突入後、一定条件を満たす事が出来れば投与を中止しても臨床的寛解がその後も持続することが確認されている。

 

抗サイトカイン療法の中止に加えて、その他のDMARDs、 ステロイド等を含む全ての治療薬を中止出来た状態は「真の寛解」と呼ばれ、 数年後の治療目標とされている。

 

 それでは、次に看護の方にまいりましょう!

 

 

 関節リウマチの看護問題

♯1 関節痛、しびれ、こわばり、変形や拘縮により安楽を保持できない

♯2 疼痛など苦痛の増強により休息、睡眠がとれない

♯3 関節および全身症状によりADLに支障をきたしている

♯4 関節症状や身体可動性障害、および意欲低下などにより自発的なセルフケアが維持、向上できない

♯5 関節症状や身体可動域障害により安全に活動できない

♯6 患者、家族が疾患や治療に対する不安、人生設計再編に関する悩みを抱えている

♯7 過剰不安や知識不足により適切な治療が継続されない

♯8 活動制限や意欲低下により社会との接触が減少し、自身の存在価値が低下する

♯9 変形や関節拘縮によりボディイメージが障害される

 

関節リウマチの看護目標・看護計画の例


♯1 関節痛、しびれ、こわばり、変形や拘縮により安楽を保持できない

<長期目標>

疼痛などの症状が緩和され、苦痛が軽減する

<短期目標>

疼痛緩和方法を習得し、適切に実行できる

観察計画(OP)

O1 症状の部位、程度、出現時期、出現の様子(突然か徐々にか)、持続時間、症状の強さの変動、運動時か安静時か、こわばりやしびれの有無と程度
O2 腫脹の出現部位、程度、熱感の有無
O3 変形や拘縮、骨粗鬆症、大腿骨頭壊死、圧迫骨折の有無と程度
O4 皮下結節の有無、部位
O5 関節可動域の変動、筋力低下の有無、ADL制限の程度
O6 バイタルサイン
O7 検査データ(CRP、赤沈、白血球、リウマトイド因子)
O8 薬物治療内容(リウマチ治療薬内容、服用状況、鎮痛薬の使用頻度、効果など)
09 活動と休息のバランス、睡眠の量と質
O10 表情、動作

ケア計画(TP)

T1 冷罨法、温罨法、室温調整(保温)
T2 医師の指示に基づく頓用鎮痛薬、湿布などの使用
T3 体位や姿勢の工夫、必要時関節保護、固定(サポーター、包帯)、マッサージ、深呼吸
T4 炎症反応が強い時期は安静の保持、自助具の使用工夫、必要に応じたADL介助
T5 安定期はセルフケア、リウマチ体操の促し

教育計画(EP)

E1 疼痛緩和方法、疼痛を引き起こしたり増強させない方法について確認する
E2 転倒、外傷予防について指導を行う
E3 標準体重を維持するよう伝える
E4 痛みを我慢しないよう伝える
E5 頓用薬の使用に関する不安の聴取、アドバイスする
E6 痛みや薬に対し適切な知識をもっているか確認する

 


♯2 疼痛など苦痛の増強により休息、睡眠がとれない

<長期目標>

量、質ともに充足した休息をとることができる

<短期目標>

活動と休息のバランスについて理解し、適切に休息をとることができる

観察計画(OP)

O1 疲労感、倦怠感
O2 疼痛、しびれ、こわばりの有無と程度
O3 睡眠の量と質(入眠障害、途中覚醒の有無)
O4 バイタルサイン、検査データ(炎症、貧血、栄養状態など)
O5ADL、活動量
O6 あせり、不安など心理面

ケア計画(TP)

T1 鎮痛薬や湿布、罨法などによる疼痛緩和
T2 安眠できる環境を整える
T3 体位や姿勢の調整
T4 睡眠薬使用の検討、医師の指示に基づいた使用

教育計画(EP)

E1 量、質ともに充足した休息の重要性を説明する
E2 疲れを感じたら休むよう説明する
E3 バランスのとれた食事(蛋白質、鉄分、ビタミンCが不足しないように)
E4 活動と休息のバランスについて、次の日に疲れが残らない程度の運動を勧める(運動の2倍の安静時間を確保)

 

♯3 関節および全身症状によりADLに支障をきたしている

<長期目標>

1、 最大限の筋力と関節可動域を維持する
2、 拘縮、血流うっ帯などを起こさない

<短期目標>

1、関節可動域を縮小させない
2、筋力を低下させない

観察計画(OP)

O1 関節可動域、筋力、変形や拘縮の有無と程度
O2 疼痛、疲労感、こわばり、しびれ
O3 活動状況、ADL、セルフケアの様子
O4 ステロイド薬の副作用による圧迫骨折、骨頭壊死の有無

ケア計画(TP)

T1 活動能力に応じて補助具や介護用具を使用する
T2 障害が強い場合は介助する
T3 理学療法士などと連携を図り、薬物療法と並行して各段階に応じたリハビリテーションを行う

教育計画(EP)

E1 緩慢な動作であっても見守る、家族にも同じ対応をするよう指導する
E2 廃用性変化や骨粗鬆症予防の必要性の認識確認
E3 安全、安楽な方法をともに検討し、実践する

 

♯4 関節症状や身体可動性障害、および意欲低下などにより自発的なセルフケアが維持、向上できない

<長期目標>

限界を把握したうえで、休息と活動のバランスをとり、自発的に安全に身の回りのことができる

<短期目標>

セルフケアの重要性を理解し、安全なセルフケア技術を習得、実践できる 

観察計画(OP)

O1 関節症状、全身状態、関節可動域、筋力、ADL、活動状況
O2 セルフケアに対する認識、意欲
O3 動ける時間帯の把握

ケア計画(TP)

T1 必要に応じて補助具や介護用具を使用し、日常生活を安全に一人で行えるよう練習する。必要時には介助する(食事、排泄、更衣、整容、配薬、開封など)
T2 疼痛やこわばりの強くない時間帯に活動する
T3 リウマチ体操により可動域維持、拘縮、ADL低下防止

教育計画(EP)

E1 患者、家族に、セルフケアの重要性に対する認識を確認し、認識が薄い場合は必要性を理解させる
E2 安全なセルフケア技術のアドバイス、検討
E3 環境調整、家族の協力の必要性の認識確認
E4 必要時には自助具や社会資源の活用を促す

 

♯5 関節症状や身体可動域障害により安全に活動できない

<長期目標>

転倒による外傷や骨折など損傷を起こすことなくADLが行える

<短期目標>

限界を把握し、安全にADLを行うことができる

観察計画(OP)

O1 関節可動域、筋力、ADL
O2 痛みやこわばり、しびれの強い時間帯の把握
O3 療養環境
O4 骨粗鬆症の程度
O5 あせりや不安、遠慮

ケア計画(TP)

T1 環境調節
T2 必要に応じて補助具や介護用具を使用して慣らす
T3 リスクが高い場合は介助する
T4 安静度(行動範囲)を定める
T5 苦痛の強い時間帯を避ける

教育計画(EP)

E1 起こりやすい事故と場面、その対策について患者、家族に説明する

E2 骨粗鬆症予防の食事メニューについて情報提供する

 

♯6 患者、家族が疾患や治療に対する不安、人生設計再編に関する悩みを抱えている

<長期目標>

医療者に相談することで不安軽減の糸口がみつかり、心身ともに安定した生活を送ることができる

<短期目標>

不安を抱え込まず、医療者や周囲の人に表出することができる

観察計画(OP)

O1 患者、家族の不安に関する表出内容(将来への不
安など)、表情、言動
O2 疾患や治療に対する理解度、対処方法
O3 家族の受け入れ体制
O4 社会的役割
O5 関節可動域の変動、ADL制限の程度
06 経済状況

ケア計画(TP)

T1 傾聴、対処方法の検討
T2 周囲の力や社会資源などを活用する

教育計画(EP)

E1 心理状態が身体症状や疾患を増悪させること、心理状態を安寧に保つことの重要性を認識させ、自発的にコントロールしていけるよう促す
E2 患者、家族に不安な点や困っていることなどについて相談するよう伝える
E3 すぐにあきらめず、可能なことから始めてみつように促す

 

♯7 過剰不安や知識不足により適切な治療が継続されない

<長期目標>

疾患や治療について適切に理解し、確実な治療を継続することができる

<短期目標>

疾患や治療内容について適切な知識をもつ

観察計画(OP)

O1 病状、進行の程度、治療内容と効果
O2 服薬状況(中断、調節の有無)
O3 患者、家族の疾患や治療に対する受けとめ、理解度
O4 患者および家族のキャラクター、社会的背景

ケア計画(TP)

T1 医師の指示のもと、正確に配薬する

教育計画(EP)

E1 過剰な不安を抱いている場合や知識不足の場合は、その内容を明らかにし、繰り返し丁寧に説明する
E2 確実に服薬するよう指導する
E3 安全なADLの重要性の認識確認と練習
E4 必要時は遠慮せず介助の手を借りるよう促す

 

♯8 活動制限や意欲低下により社会との接触が減少し、自身の存在価値が低下する

<長期目標>

本来果たすべき社会的役割を果たすことができる

<短期目標>

社会との接触の重要性を認識し、日常生活に結びつけることができる

観察計画(OP)

O1 身体可動性障害の程度、活動状況
O2 本来の社会的役割
O3 意欲、心理状態

ケア計画(TP)

T1 傾聴、対処方法の検討

教育計画(EP)

E1 疾患による制限を認知し、可能な範囲で役割を果たせるよう促す
E2 あせる気持ちに配慮しつつ、徐々に進めていくよう促す

 

♯9 変形や関節拘縮によりボディイメージが障害される

<長期目標> 

患者が関節の変形を受け入れられるようになる

 <短期目標>

ステロイド薬によるムーンフェイスなどが治療による一時的な症状だと理解し、現状の状態を受け入れられる

観察計画(OP)

O1 変形や拘縮の有無、程度
O2 ステロイド薬の副作用(ムーンフェイス、にきび、
肥満など)の有無と程度
O3 ボディイメージの障害による意欲低下、活動量減少

ケア計画(TP)

T1 患者が自分の長所をみつけるように援助する
T2 患者の状態について肯定的な変化を指摘する

教育計画(EP)

E1 患者が自分に救いがないと思わないようにする
E2 薬による一時的な副作用の場合、薬を使用しなくなれば消失することを説明し、副作用症状の対策をともに検討する

【関節リウマチで考えられる看護診断名候補と共同問題】

1.安楽障害
2.消耗性疲労、不眠
3.身体可動性障害
4.セルフケア不足シンドローム
5.身体損傷リスク状態
6.不安、無力
7.非効果的治療計画管理リスク状態
8.社会的孤立
9.ボディイメージ混乱

 

以上になります!

いかがでしたでしょうか。

おわりに

関節リウマチは、身体面・精神面・社会面のいずれもが大きく障害される疾患です。

進行状況や関節外症状よっては、重篤に陥ることさえあるのです。

 

しかし、適切な治療と看護を持ってすれば、健常者なみに生活していくことが出来る疾患でもあります。

 

ただし、慢性疾患である以上、治療には限界があるため、疾患自体とはほぼ一生付き合っていかなければなりません。

 

看護、そして介護や住まい、生活援助や症状の進行の予防に向けた多職種と地域の連携がかならず必要になるでしょう。

 

つまり地域包括ケアシステムの構築です。

 

看護師は、

『ただ看護をする』という時代はもう終わりに近づいているのかもしれません。

 

患者さまがその人らしく生きていくために、『看護師として』にプラスして、『同じ地域の人間として』支えられるように努めていきたいですね!!

 

おわり

ご意見をお待ちしています。

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間質性肺炎の看護計画の例(OP・TP・EP)【これでばっちり】

こんにちは、栗鈴です。

今回の記事は、『間質性肺炎の看護計画の例(OP・TP・EP)【これでばっちり】』です。

宜しくお願い致します。

 

 

はじめに

間質性肺炎というのは、原因がはっきりしていないものが多く、原因がわかっていても根治は難しい。やっかいな病気なんです。

 

息苦しさが常に生じるため、非常につらい病気の一つであることは間違いないです。

 

根治は難しいので、ステロイドによる治療がメインとなります。ステロイドによる治療で、炎症はかなり治まるのですが、今度はステロイドによる副作用がやっかいになってきます。

 

ステロイドは主にプレドニゾロンが使用されます。プレドニゾロンの作用・副作用は過去記事にて詳しいものを書いてありますので、そちらを参照にしていただければと思います!

 

www.aikoandsibajyun.info

 

この記事が、間質性肺炎を学ぶ助けに少しでもなれば幸いです。

それではやっていきましょう!

つらい疾患ですが、看護実習で看護過程を展開する機会も多いので、しっかり勉強しましょう!

 

間質性肺炎の看護

間質性肺炎のイメージ
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【間質性肺炎の概念】

  • 肺は血液中のガスを大気中のガスと交換する器官である。肺の内部は、大気を取り込む肺胞と毛細血管が接近して絡みあっている。それらを取り囲んで支持している組織が間質である。
  • 間質性肺炎とは、間質を主座とした炎症を来たす疾患の総称であり、治療の困難な難病の1つである。
  • 間質性肺炎の中には、原因の明らかなものと、原因不明のものがある。原因の明らかなものには、感染、膠原病、放射線、中毒、薬剤性がある。明確な原因を持たないものは、突発性間質性肺炎と呼ばれる。
  • 突発性間質性肺炎の中で最も多いのは、突発性肺繊維症で典型的な血液データと症状を示す。

【突発性間質性肺炎】

慢性型と急性型に分類される。

①慢性型

  • 突発性肺繊維症(IPF)→典型型が多い
  • 非特異性間質性肺炎(NSIP)→非典型型が多い
  • 突発性器質化肺炎(COP)
  • 呼吸細気管支炎を伴う間質性肺炎(RB-ILD)
  • 剥離性間質性肺炎(DIP)
  • リンパ球性間質性肺炎(LIP)

②急性型

急性間質性肺炎(AIP)→非典型型が多い

【間質性肺炎の病態生理】

  • 肺の支持組織、特に肺胞隔壁に炎症のおこるものである。
  • 原因の明らかなものと原因不明なものとに分かれる。
  • 原因不明のものは、 突発性間質性肺炎と呼ばれ経過が急激で予後の悪いものが多い。
  • 原因の明らかなものとしては、粉塵吸入、X 線照射、各種薬物、ウイルス感染、膠原病、 アレルギーなどがあげられ、二次性間質性肺炎と呼ぶことがある。

【間質性肺炎の症状】

  • 肺の持続的な刺激により咳がみられ、痰を伴わない。( 乾性咳嗽
  • その病態から呼吸困難や呼吸不全が主体となる。
  • 息を吸っても吸った感じがせず、常に苦しい。
  • 肺コンプライアンスの低下(拘束性換気障害)いわば、「肺が固くなる」。
  • 肺の支持組織が炎症を起こして肥厚することで、肺間質に腺維化が生じ肺の膨張・収縮が妨げられる。これによって肺活量が低下し、空気の交換速度も遅くなる。
  • 肺が膨らむ容量が低下するため、物理的に息が吸いにくくなる。

ガス交換能力の低下

間質組織の肥厚により毛細血管と肺が引き離される。その結果、血管と肺胞の間でのガス交換(拡散)効率が低下する。特に酸素の毛細血管内への拡散が妨げられる。

【間質性肺炎の診断】

  • LDH、KL-6、SP-D,SP-Aの上昇
  •  呼吸機能検査
  • 拘束性換気障害、拡散能の低下、 安静時あるいは運動時の低酸素血症
  • A-aDo2の増加
  •  胸部X線撮影:両側中下肺野、末梢側優位の網状陰影、容積減少
  •  胸部CT:網状陰影、牽引性気管支拡張、蜂巣肺、 局所的なスリガラス陰影
  •  外科的生検病理像:UIPパターン、 急性憎悪はびまん性肺胞障害の所見が加わる

【間質性肺炎の治療】

  • 副腎皮質ステロイド薬免疫抑制薬の併用。

  • 抗繊維化薬であるピルフェニドンも選択枝の一つである。
  •  急性増悪ではステロイドパルス療法を行う。
  •  高齢者、副作用のリスクが高い症例、 心疾患などの合併症を持っている症例、広範な蜂巣肺を認める症例では治療の適応に乏しい。
  •  急性増悪の予後はきわめて不良であり、気管挿管・ 人工呼吸器管理の適応は慎重に判断する必要がある。
  •  非侵襲的人工呼吸(NPPV) は免疫抑制状態にある呼吸不全患者に対し、人工呼吸器関連肺炎(VAP) のリスクも少なく施行可能な人工呼吸管理であり、急性増悪例にも積極的に試みてよいとされている。
  •  肺移植(待機時間の長い移植医療の現状を考えると、 現実的な治療とは言えない)。

【間質性肺炎の合併症】

主な合併症は、右心不全である。

 

www.aikoandsibajyun.info

【間質性肺炎の看護問題】

#1長引く咳により体力を消耗させる。

#2長引く咳により胸痛を招く可能性がある。

#3肺コンプライアンスの低下による呼吸苦がある。

#4持続する呼吸困難に対する苦痛と不安がある。

【間質性肺炎の看護目標】

♯1 長引く咳により体力を消耗させる。

⇒咳や痰による苦痛が軽減する。

♯2 長引く咳により胸痛を招く可能性がある。

⇒胸痛の症状が緩和する。

♯3 肺コンプライアンスの低下による呼吸苦がある。

⇒気道確保が確保され、呼吸数の異常がみられない。

♯4 持続する呼吸困難に対する苦痛と不安がある。

⇒呼吸困難感の軽減の表出がみられる。

【間質性肺炎の看護計画の例】

♯1 長引く咳により体力を消耗させる。

1-1.観察計画(OP)
  •  睡眠状況
  •  睡眠中断の回数
  •  熟眠感、睡眠の満足度
  •  日中の休憩状況
  •  呼吸状態
  •  体位
  •  不安の程度
1-2.ケア計画(TP)
  •  安楽な睡眠姿勢の考慮
  •  オーバーテーブルや枕の利用
  •  寝具や寝衣の工夫
  •  温度、室温、物品の配置などの環境調整
1-3.教育計画(EP)
  •  環境を整え、日中は呼吸状態に応じて適度な運動を行い、夜間の入眠のリズムをつくるように指導する。

♯2 長引く咳により胸痛を招く可能性がある。

 2-1.観察計画(OP)
  •  咳の程度
  •  症状の部位、出現状況、程度の観察
2-2.ケア計画(TP)
  •  可能であれば咳をおさえ、痛みを伴わないように配慮する。
  •  激しい痛みの場合は、必要に応じて疼痛緩和を行う。
2-3.教育計画(EP)
  1.  痛みを我慢せずに訴えるように促す。

♯3 肺コンプライアンスの低下による呼吸苦がある。

3-1.観察計画(OP)
  •  安静時と活動時の呼吸状態の変化の観察

(呼吸数・努力呼吸・換気状態・SPO2 )

  •  安静時と活動時の循環動態の観察(脈拍・血圧)
  •  ADL の行動範囲の変化
3-2.ケア計画(TP)
  •  呼吸、循環動態に応じて環境を調整する
  • モルヒネなど、麻薬系鎮痛薬の使用→副作用:便秘(怒責による呼吸苦)
  • 酸素療法→患者の呼吸を補助する治療法
  • 全身の管理・ケア→患者の体力を消耗させないように話しあう。
  • 患者のペースで行動できるようにADLに合わせて環境を調整する。
3-3.教育計画(EP)
  • 患者・家族に、日常生活の行動範囲を自分で調整できるように指導する。
  •  薬の効果に合わせて生活を調整するように指導する。

♯4 持続する呼吸困難に対する苦痛と不安がある。

4-1.観察計画(OP)
  • 不安・ 心配・緊張・興奮・自信の欠如
  • 無力感
  • 落ち着かない・イライラした態度
  • 困惑・恐れ・引きこもり
  • 注意力
  • 不安徴候を示す身体症状(呼吸数・心拍数の増加、発汗、悪心嘔吐、眩暈、頭痛、下痢、不眠)
4-2.ケア計画(TP)
  • 呼吸困難症状が改善
  • 不安の訴えをよく聴く
  • 疾患の認識に対する適切な情報提供
  • 呼吸状態に応じたコミニュケーションの配慮をする
4-3.教育計画(EP)
  •  患者・家族に疾患・治療予後について、わかりやすく説明する

【間質性肺炎で考えられる看護診断名候補と共同問題】

人工呼吸器装着時

  1. 無効な気道クリアランス
  2. 言語的コミュニケーションの障害
  3. 活動耐性低下
  4. (呼吸器装着、モニタリングに関連した)無力

人工呼吸器非装着時

  1. 呼吸機能の変調
  2. 睡眠パターンの混乱
  3. 予期悲嘆 不安 
  4. 非効果的治療計画管理

間質性肺炎で考えられる共同問題

  1. PC:低酸素症
  2. PC:右心不全

 

以上になります!いかがしたでしょうか。

 

おわりに

間質性肺炎は難病であり、関節リウマチから併発されている患者さまであれば、介護保険の特定16疾病に該当することになります。

 

従って、介護保険にも関わる疾患となりますので、在宅酸素療法や訪問リハビリテーションなど退院後のケアも含めた看護が必要になってくるでしょう。

 

超高齢化社会による影響で、慢性疾患はどんどん増加しています。

ですから、難病に関しては確実に知識を身に付けて適切なケアが出来るように日々勉強していきましょう!

 

おわり!

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ご意見をお待ちしています。

 

 

糖尿病の看護計画の例(OP・TP・EP)【これでばっちり】

こんにちは、栗鈴です。今回の記事は、『糖尿病の看護計画の例(OP・TP・EP)【これでばっちり】』です。よろしくお願いします。

糖尿病の看護について、詳しく情報を提供したいと思います!ぜひ、臨床や実習などで活用して頂ければと思います!

はじめに

糖尿病は、一般の方でも「血糖値が上がる」と知られている、認知度の高い病気です。

それでは、血糖値が上がると、体でどのような症状が起こるのか、知っていますか?

そもそも、なぜ血糖値が上がるのか、そのメカニズムを知っていますか?

 

病院の看護実習では、確実と言って良いくらいに、糖尿病の患者さまを受け持つことが多いです。他の疾患と比較するとイメージがしやすい疾患ですので、しっかりと病態を理解して、自信をもって看護ができるように勉強しておきましょう!

 
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ナッティ

アメリカのグロカワアニメのキャラクターです。

世にも珍しい、糖尿病のリスです!

気になった方は『ハッピーツリーフレンズ』でググってみよう!

(グロ注意!自己責任でお願いします…

では、本題にいってみましょう!

 

 

糖尿病とは

糖尿病は、 膵臓から分泌されるインスリンの作用が不足するために、 慢性的な血糖値の上昇と特有な代謝異常を引き起こす疾患である。

糖尿病の病態生理

  • 糖尿病には、1型糖尿病2型糖尿病がある。
  • 1型糖尿病と2型糖尿病は、互いに移行することはない。
  •  インスリンは膵臓のランゲルハンス島のβ細胞で合成され、血中に分泌される。β細胞の破壊によってインスリンの分泌が障害され、絶対的なインスリン作用不足を生じたのが1型糖尿病である。
  • ある程度のインスリンの分泌低下によりインスリン抵抗性が加わり、 相対的なインスリン作用不足を生じたのが2型糖尿病である。
  • 膵臓から血中に分泌されたインスリンは、肝臓、筋肉、脂肪組織などの細胞表面に存在するインスリン受容体に結合し、その刺激が細胞内に伝達され、さまざまな代謝調節作用を行う。その1つに血中のブドウ糖を細胞内に引き込む作用があり、その結果、血糖値は低下する。
  • 細胞内に引き込まれたブドウ糖は酸化されて水と二酸化炭素になり、その際に生じるエネルギーによりヒトはさまざまな活動が可能になる。しかし、インスリンに対する抗体、インスリン受容体の減少や異常、受容体にインスリンが結合した後の細胞内刺激伝達システムの異常などが生じると細胞内へのブドウ糖の引き込みが抑制され、血糖値が上昇する。すなわち、インスリン抵抗性を引き起こし、2型糖尿病を発症する。
  • 1型糖尿病、2型糖尿病以外には、膵疾患(膵炎、膵癌)による糖尿病、血糖値を上昇させるホルモン(副腎皮質ホルモン等)の増加を引き起こす内分泌疾患(甲状腺機能亢進症、クッシング症候群、褐色細胞腫など)、肝硬変などの2次性糖尿病と、妊娠糖尿病(妊娠は血糖値の上昇を起こしやすい)がある。
  • 40 歳以上に多いが、若年発症も増加している。体型は肥満が多く、 インスリン抵抗性を増悪させる。
  • 多くは、徐々に発症する。

糖尿病の症状

  • 糖尿病では高血糖、尿糖、口渇、多尿、頻尿、多飲、易疲労感、 空腹感、体重減少などの症状を認める。
  • 糖尿病ではインスリン作用の低下により、 細胞内にブドウ糖を引き込むことができなくなり、ブドウ糖は血中に蓄積される(高血糖)。
  •  血糖値を下げるためにブドウ糖を尿に排泄する(尿糖)。
  • 多量のブドウ糖を尿中に排泄するには多量の水分を必要とし、 尿量の増加(多尿)・頻回の排尿(頻尿)を生じる。
  • 多量の尿が排泄される結果、 脱水状態になる。
  • 脱水になると、著しい口渇感を生じ、多量の水分を摂取する(多飲)。
  • インスリン作用の低下により、 細胞内へのブドウ糖引き込みが抑制される。
  • 細胞内はエネルギー源であるブドウ糖が不足し、飢餓状態となるため、 著しい空腹感が起こる。
  • ブドウ糖の酸化によって生じるエネルギーが生成されず、 エネルギー不足状態になる(易疲労感)。

 

糖尿病の合併症

急性合併症と慢性合併症がある。

糖尿病の急性合併症

  • 糖尿病では、ブドウ糖の細胞内への取り込みが抑制されることで、細胞内でのブドウ糖の利用が低下するため、 代わりに体脂肪が酸化されてエネルギー源となる。その結果、過激に体脂肪が減少する(体重減少)。 脂肪は酸化されてケトン体となり、血中ケトン体が上昇する。ケトン体は酸性のため、血液は酸性となり、高血糖、 脱水が加わると糖尿病ケトアシドーシスになって、意識障害(糖尿病昏睡)を起こすことがある。
  • 糖尿病では免疫能が低下(易感染状態)し、皮膚感染尿路感染を生じやすい。

糖尿病の慢性合併症

  • 網膜症腎症神経障害は毛細血管の障害を認めることから細小血管症という。これらは糖尿病に特有な合併症であり、糖尿病の三大合併症という。一方、動脈硬化症は大血管に障害を認めることから大血管症という。
糖尿病性網膜症、白内障
  • 網膜症は網膜(眼底)が障害される合併症で、失明原因の第1位である。網膜症は網膜の広範な出血を伴うような重症にならないと、視力低下などの自覚症状は出現しない。
  • 網膜には毛細血管が網状に分布し、網膜に栄養や酸素を供給する。高血糖を持続すると、毛細血管瘤、出血、毛細血管の血栓を生じ、網膜に障害を起こす。網膜の障害を修復するために新生血管が増殖するが、この血管は破れやすく、出血の原因になる。出血が硝子体に広がり、その凝固塊が網膜を牽引する結果、網膜剥離を起こし、失明に至る。
  • 糖尿病性白内障は、レンズに糖が蓄積して、透明性が低下するため、視力障害を生じる。
糖尿病性腎症
  • 糖尿病性腎症の初期には少量のアルブミン尿が排泄され、これを微量アルブミン尿という。微量アルブミン尿は30mg/g・Cr未満が正常であるが、300mg/g・Cr以上になると、試験紙法による蛋白尿検査も陽性になる。
  • 大量の蛋白尿が排泄されると、低蛋白血症、浮腫を生じ、ネフローゼ症候群といいわれる状態になる。

 

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  • 腎糸球体の濾過機能が低下すると体内に老廃物が蓄積(血中クレアチニン、尿素窒素、カリウム、酸性物質が増加)し、尿毒症腎不全といわれる状態になり、血液透析(人工透析)が必要となる。現在、糖尿病性腎症は血液透析導入原因の第1位である。
  • 尿毒症、腎不全の状態では、腎から分泌されるエリスロポエチン(赤血球生成に必要なホルモン)の減少による腎性貧血を生じる。
  • 腎不全でのビタミンD活性化障害は、腸管でのカルシウム吸収の減少を生じ、低カルシウム血症となる。低カルシウム血症は二次性副甲状腺機能亢進症を引き起こし、骨吸収(骨から血中にカルシウムが溶け出す)が促進され、骨障害(腎性骨異栄養障害)を起こす。
  • 腎不全では、高血圧、心不全を生じる。

 

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糖尿病性神経障害(糖尿病性神経症)
  • 末梢神経障害では、下肢のしびれ、冷え、異常知覚(足が痛む、ジンジンするなど)、進行すると知覚低下を認める。知覚が低下すると、熱傷、靴擦れ、外傷などでも痛みを感じず治療が遅れて皮膚潰瘍や壊疽の原因になる。また、心筋梗塞でも胸痛を自覚せず治療が遅れることがある(無痛性心筋梗塞)。
  • 脳神経の単麻痺を生じる。顔面神経麻痺では顔面の表情筋が麻痺する。滑車神経、動眼神経、外転神経麻痺では眼球運動が障害される。脳神経の麻痺は軽症の糖尿病でも生じることがあり、3~6か月の経過で回復する。
  • 自律神経の障害を起こす。胃や腸の運動、消化液分泌が障害され、食欲不振、便秘、下痢を起こす。膀胱や直腸に尿や便が大量に蓄積しても尿意や便意を感じなくなる(膀胱直腸障害)。また、起立時の血圧低下を抑制する血管収縮反応が障害され、起立性低血圧を生じる。
動脈硬化症(大血管障害)
  • 動脈硬化症により、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、下肢動脈硬化症などを起こす。糖尿病患者は非糖尿病患者に比べて心筋梗塞発症リスクは2~3倍である。
  • 動脈硬化症の危険因子には糖尿病のほか、内臓脂肪型肥満、高血圧、脂質異常症、喫煙などがある。糖尿病は軽症でも動脈硬化リスクとなる。
  • 下肢動脈硬化症では間欠性跛行(一定距離を歩くと疲労感や下肢の痛みを生じる症状)を認める。

糖尿病の診断

糖尿病型」の判断基準

  1.   早朝空腹時血糖値126mg/dl 以上
  2.  75g 経口ブドウ糖負荷試験で2時間値200mg/dl 以上
  3.  随時血糖値200mg/dl 以上

1~3のいずれかを認めた場合「糖尿病型」と診断する

糖尿病」の診断

1.別の日に行った検査で、①~③が再確認された場合

2.1~3の糖尿病型で、以下の1)~4)のいずれかの場合

  1)口渇、多飲、多尿、体重減少などの、 糖尿病の典型的な症状がある場合

  2)同時に測定したHbA1c値が6.5%以上の場合

  3)確実な糖尿病網膜症が認められた場合

  4)過去に「糖尿病型」と示した資料(検査データ)がある場合

3. 上記の条件が満たされた記録がある場合は糖尿病の疑いをもって対応する

 75g 経口ブドウ糖負荷試験の判断

  •  「正常型」は早朝空腹時血糖値126mg/dl 以上または2時間血糖値200mg/dl 以上
  • 「糖尿病型」にも「正常型」にも属さない場合は「境界型」 と判定する

 


糖尿病の治療

現在の糖尿病治療は、糖尿病を治すことではなく、 糖尿病を良好な状態にコントロールすることが目標である。

 糖尿病の食事療法

  • 食事療法の基本は、適正なエネルギー摂取と栄養のバランスのとれた食品構成である。
  • 標準体重(kg)×身体活動別エネルギー量を計算する。
  • 標準体重は、理想的なBMIは22であり、BMIが22になるような体重〔22×(身長m²)〕を計算する。
  • 身体活動別エネルギー量は、軽作業(デスクワーク、主婦など)の場合は25~30kcal/1kg/日、普通の労作(立ち仕事の多い職業)の場合は30~35kcal/1kg/日、重い労作(力仕事の多い職業)の場合は35kcal/1kg/日以上とする。
  • 食品の含有エネルギーは80kcalの倍数であることが多いので、指示エネルギー量は80kcalの倍数とし、80kcalを1単位として単位数で示すこともある。
食事療法のカロリー計算の例
  • 糖尿病食1000:エネルギー1000Kcal 蛋白質 50g 脂質 25g 炭水化物 150g 塩分7g
  • 糖尿病食1200:エネルギー1200kcal 蛋白質60g 脂質30g 炭水化物180g 塩分7g
  • 糖尿病食1400:エネルギー1400Kcal 蛋白質60g 脂質40g 炭水化物200g 塩分7g
  • 糖尿病食1600:エネルギー1600kcal 蛋白質70g 脂質45g 炭水化物230g 塩分7g
  • 糖尿病食1800:エネルギー1800Kcal 蛋白質75g 脂質50g 炭水化物260g 塩分7g

糖尿病の運動療法

基本的には医師の指示に従い、運動を勧める。

  • 運動はインスリン抵抗性を改善し、血糖値や血清脂質値を改善する。
  • 適度な運動とは、運動時の脈拍が100~120/分で、「ややきつい」程度、歩行なら1回15~30分を1日2回、毎日行うことが望ましい。歩行のように、いつでも、どこでも、1人でもできる運動がよい。食後の高血糖の抑制、低血糖発作の回避のために食後の運動が良い。
運動の禁忌または制限が必要な場合
  1. 血糖コントロールが著しく悪い場合
  2. 網膜症が進行し、眼底出血を繰り返している場合
  3. 腎、心、肺機能に障害がある場合
  4. 著しい高血圧の場合

経口血糖降下薬療法

医師の指示に従い、食前または食後に内服する。

1.スルホニル尿素薬

例 アマリール(グリメピリド)、オイグルコン(グリベンクラミド)、グリミクロン(グリクラジド) 

SU薬と呼ばれる。膵臓からのインスリンの分泌を増やし、血糖を下げる。

2.速効型食後血糖降下薬

例 ファスティック(ナテグリニド)グルファスト(ミチグリニド)、シュアポスト(レパグリニド)

スルホニル尿素薬と同じ様に膵臓のβ細胞を刺激してインスリンの 分泌を促す。
スルホニル尿素薬に比べると、効果が早く出て、早く切れる。食後に急激な血糖値の上昇を抑えるのに使用する。

3.α-グルコシダーゼ阻害薬

例 グルコバイ(アカルボース)ベイスン(ボグリボース)セイブル(ミグリトール)

小腸で糖質がブドウ糖に分解される時に働く酵素の働きを抑える、 食物中の糖質の消化・吸収を遅らせて、食後の急激な血糖値の上昇を抑制する。

4.インスリン抵抗性改善薬

例 アクトス(ピオグリタゾン)

インスリン抵抗性を改善したり、 肝臓における糖新生を抑えて末梢での糖の利用を高める。

5.ビグアナイド薬

例 メトグルコ(メトホルミン)

筋肉での糖の利用を促したり、肝臓で糖が作られるのを抑制して血液中の糖を減らす。

6.DPP4阻害薬

例 ジャヌビア(シタグリプチン)、トラゼンタ(リナグリプチン)、ネシーナ(アログリプチン)

インスリンの分泌を促すGLP-1(グルカゴン様ペプチド‐1)という物質を分解するDPP4(ジペプチジルペプチダーゼ4)という酵素を阻害して、GLP-1の作用を高めて血糖値を下げる。

7.SGLT2阻害薬

例 カナグル(カナグリフロジン)

腎臓で糖を再吸収する役割を持つSGLT2(ナトリウム/グルコース共輸送体2)というたんぱく質を阻害して、血中の過剰な糖を尿糖として排泄することで、血糖値を下げる。

8.グリミン系(ミトコンドリア機能改善薬)

例 ツイミーグ(イメグリミン)

ビグアナイド薬のように筋肉での糖利用を促したり、肝臓での糖の生成を抑制して血糖値を改善する。

 インスリン療法

膵臓から出るホルモンであるインスリンを外から補充する方法。

  • 超速効型:例 ヒューマログ、ノボラピッド
  • 速効型:例 ノボリンR、イノレットR、ヒューマリンR、 ヒューマカットR、ペンフィルR
  • 中間型:例 ヒューマリンN、ノボリンN、ペンフィルN、 ヒューマカットN、イノレットN
  • 混合型(速効型+中間型):例 イノレット10R、20R、30R、 40R、50R、ペンフィル10R、20R、30R、40R、50R
  • 混合型(超速効型+中間型):例 ノボラピット30Mix ヒューマログMix25、50
  • 持効型:例 ランタス、レベミル

 

糖尿病の看護問題の例

#1 糖尿病の療養に関連する知識不足

#2 不規則な食生活でのインスリン療法実施により低血糖を引き起こす可能性がある

#3 糖尿病の合併症発症・進展の可能性に対する不安を生じている

#4 血糖コントロール不良により感染のリスクを生じている

#5 低血糖による意識障害により転倒・外傷のリスクを生じている

#6 糖尿病の自律神経障害に伴う消化器症状により適切な栄養の摂取が不足している

#7 糖尿病の療養に対して家族の協力が得られない状況にある

#8 糖尿病の療養における自己管理の必要性に対する理解が不足している

糖尿病の看護診断名の例

  1. 知識不足
  2. 身体損傷のリスク状態
  3. 不安
  4. 感染のリスク状態
  5. 転倒リスク状態
  6. 栄養摂取消費バランス異常:必要量以下
  7. 感染のリスク状態
  8. ノンコンプライアンス
  9. 非効果的治療計画管理リスク状態
  10. 恐怖
  11. 栄養摂取消費バランス異常

 

糖尿病の看護目標・看護介入(OP・TP・EP)

糖尿病の看護目標

  1. 糖尿病コントロールに向けて治療への積極的参加意思を述べることが出来る
  2. 糖尿病のある生活での自身の心理的・身体的安楽を表出できる 
  3. 適切な栄養摂取と消費バランスを理解し適正体重を目指した生活習慣習得への行動変容を説明できる 

糖尿病のOP(観察計画)

  1. 糖尿病の状態を知るため、口渇、多飲、多尿、体重減少など症状の有無と程度を観察する
  2. 糖尿病の程度、合併症の状態の把握
  3. 糖尿病コントロール指標(HbA1c 、血糖、グリコアルブミン) 
  4. 合併症のための検査所見(視力検査、眼底検査、尿中アルブミン排泄量定量 、尿蛋白定量、腎機能測定、腱反射、振動覚検査、R-R心電図)
  5. これまでの体重増減の経緯、20歳時の体重、肥満の程度から発症の経過と今後の目標体重の情報を得る
  6. 食事摂取量、内容、回数、バランス、身体活動、運動の種類、頻度、飲酒、喫煙習慣の有無、糖尿病に関連した知識の情報源、教育を受けた経験を確認する
  7. 糖尿病食を実際に見て食べることについて体感した反応を観察する
  8. 指示された運動実施の身体症状、感想を聴取し、運動療法に対する反応を観察する
  9. インスリン注射に対する反応を観察する
  10. 患者をとりまく環境に着目し、生活背景が及ぼす影響を確認する
  11. 栄養士による栄養指導行われた後、理解度を確認する
  12. インスリン注射や低血糖に対する恐怖の程度を観察する
  13. インスリン注射、低血糖に対する捉え方を観察する
  14. 不安のレベルを明らかにするために不安の症状、程度を観察する

糖尿病のTP(ケア計画)

  1. 現時点での糖尿病についての受け入れを確認するため患者がもつ糖尿病の理解と認識を引き出す
  2. 今後の生活での問題解決の向けての目標設定を患者と共に行う
  3. 糖尿病全般の新たな情報の習得を援助するため糖尿病教室の参加を促し、参加後の感想や疑問に対応する
  4. 患者の訴えに理解と共感を示し、インスリン注射に関する患者の手技や受け止めを十分に引き出す
  5. 不安を成長させないように、丁寧にゆっくりと患者のペースに合わせて話、患者の気持ちを理解できるよう、しっかりと聞き、安心感と安楽の提供と感情の表出を促す

糖尿病のEP(教育計画)

  1. 患者個々のライフスタイルや考え方の合わせて糖尿病についてわかりやすく説明する
  2. 患者個々のライフスタイルに合わせた低血糖の予防法、対処法を説明する
  3. 患者の課題を明確にした上で、運動療法、食事療法についてわかりやすく説明する
  4. 患者の理解度に合わせながらインスリン注射を説明する
  5. インスリンの作用に合わせた食事療法、運動療法の注意点と実施方法を説明する
  6. シックデイ対策について説明する

 

以上になります!

おわりに

糖尿病の療養には、食事療法、運動療法、薬物療法が不可欠です!

内服やインスリン注射を継続し、食事・運動を改善するということは、ライフスタイルを大きく変えるという意味でもあります。生活の仕方を変えて、かつ継続していくということは、並大抵の意志だけでは大変なことです。

患者さまが出来る限りストレスなく療養を継続できるように、看護師はできる限り食事・運動による精神的負担のハードルが下がるように励ましたり、できる限り取り組みやすく継続しやすいような指導を行うように努めていきましょう!

看護学生さんは実習が大変かと思いますが、無理せず頑張ってくださいね!応援しております。

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転倒リスク状態の看護計画の例【OP・TP・EP】

こんにちは、栗鈴です。

今回の記事は、『転倒リスク状態の看護計画【OP・TP・EP】』です!

よろしくお願いします。

 

 

 

はじめに

患者さまの安全を守るために、看護師がすべきことはなんでしょうか?

 

私はやはり、「事故を防止する」ということが第一かなぁと思います。

 

では、実際にはどんな事故があるでしょうか。
 
色々ありますが、私がすぐに思いつくのは患者さまの「転倒」および「転落」です。
どこの病院でもそうだと思うのですが、患者さまの転倒は、どうしても少なからず発生してしまうものだと私は思います。
 
看護師だって、何もない所でつまづいて、ずっコケちゃうこともありますからね。

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人生の中で一度も転んだことのない人は、誰一人いないんじゃないですかね
とはいえ、可能な限り転倒が起こらないような看護師は色々な角度から対応をしなくてはいけません。
転倒は時に交通事故レベルのダメージを身体に与えます!
例えば骨折とか‥
当たりどころ次第では、重い障害が残ることもしょっちゅうあります。
おどしてすみません!本題に入りましょう。
 
 

転倒リスク状態のリスク因子

転倒の3因子
早速ですが、転倒はなぜ起こるのでしょうか?
 
転倒が起こる要因には、大きく分けて3つの因子があります!
  1. 患者さま自身から生じる「生理的因子
  2. 患者さまのまわりから生じる「環境因子
  3. 薬による薬理作用から生じる「薬物因子

これらを、これから一つずつ勉強していきます!(^^)

1.生理的因子
いきなりですが、例えば、みなさんトイレに行きたくなったとします。
そうしたら、トイレまで歩いていきますよね。
 
「じゃあ、目を閉じたままトイレまで行ってきてください」
みなさんがこう言われたら、言うとおりに目を閉じたまま、トイレにたどり着くことができるでしょうか?
まぁなんとか気合でたどり着けるかもしれませんね。
 
では、知っている場所ではなく、知らない場所だった場合はどうでしょうか?
おそらく、たどり着くのは困難ではないでしょうか。そしたら失禁ですね( ゚д゚)
 
このように、
「目」が見えなくて転ぶとか、
「耳」が聞こえなくて、近くの人に気づかずにぶつかって転ぶとか、
「足」の筋力が低下していて、それだけで、立ったり座ったりしているだけでもバランスが取れずに転んでしまうとか‥
 
そうしたリスクのことを「生理的因子」とよびます。
 
ほかに例を挙げますと、
  1. 下肢切断、痛み、足の障害などによる「歩行困難
  2. 麻痺などによる身体の「可動性の障害
  3. メニエル病などによる「平衡機能の障害
  4. 起立性低血圧、貧血などによる「ふらつき、めまい
  5. 頻尿や過敏性腸症候群などの「排泄切迫」(慌てたり焦りなどで転んでしまう)
  6. 不眠」などにより視界不良な夜間に歩いて転んでしまう
  7. 急性期」における苦痛を伴う症状の存在
  8. 悪性新生物や低血糖などによる「倦怠感
  9. 移動に介助が必要にも関らず理解ができないことによる「認知機能の障害
などがあります。
わりと挙げるとキリが無いです。
 

 

 2.環境因子
「生理的因子」は、身体に関する転倒のリスク因子でした。
つまり、患者さまそのものに存在している「内的因子」である
といいかえることができると思います。
 
「内的因子」があれば、その反対の「外的因子」もあります。
「外的因子」それがイコール「環境因子」になります。
 
患者さまの周囲が原因で生じる転倒のリスクです。
 
例を挙げますと、
  1. 慣れない療養環境(普段布団で寝ていた患者さまが、ベッドに変わったことで眠れなくなったり、十分に休めなくなる等)
  2. 散らかった環境(チューブ、コード類等)
  3. 夜間の薄暗い照明による視界不良
  4. 排泄環境(トイレまでの距離が遠い、ポータブルトイレによる臭気や羞恥心等)
  5. 医療機器(酸素チューブや点滴、モニターのコード等)
  6. 補助器具(車椅子、歩行器、松葉杖等)
  7. 身体拘束
  8. 天候(雨や曇りで薄暗くなる等)
などがあります。
 
看護師は環境整備を日頃から行っていますが、
それを怠れば、転倒のリスクが高まると言いきっていいでしょう。
 
患者さまが気持ちよく生活できるために環境整備を行う事は、転倒の予防につながります!
 
決して手を拔かずにきっちりやっていきましょう!
 
また、入院中だけでなく退院後の生活も考えた場合は、
退院後の生活環境についても考慮しなければいけない場合もあります。
 
例えば、65歳以上で転倒リスクが高く、独居(一人暮らし)などの患者さまの場合は、必要に応じて介護保険サービスの導入や変更が必要になることもあるでしょう。
 

 

 3.薬物因子
患者さまにとって、治療のためのお薬は欠かせない場合が多々あるかと思います。
ただ、お薬は基本的に体のシステム(生理的機能)に直接働きかけるものが多く、それに伴う副作用の出現に注意が必要になります。
 
副作用の中には、転倒のリスクを高めるものがあります。
そうしたお薬を内服している患者さまは、十分な観察が必要かと思われます。
 
下記のお薬を内服している患者さまは転倒のリスクが高まりますので、注意していきましょう!
  1. 催眠薬』(中途覚醒により、足もとのふらつきが生じやすくなります:マイスリーなど)
  2.  『利尿薬』(尿回数の増えることで、移動回数も増えるため、転倒リスクが高まります:フロセミドなど)
  3.  『降圧薬』降圧作用により、ふらつきがでやすくなる(起立性低血圧を生じる:アダラートなど)
  4.  『麻薬』(約50%程度の患者さまが眠気の副作用を生じる:オキシコンチンなど)
  5.  『抗精神病薬』(不穏、せん妄、興奮など気分変動により、危険な行動や転倒の可能性が高まります:パキシルなど)
  6.  『抗うつ薬』(眠気、注意力低下などの中枢神経症状が出やすくなる:トリプタノールなど) 
  7. 抗不安薬』(注意力低下などの症状がでやすくなる:アタラックスPなど)
  8.  『アルコールの飲用』(注意力の低下が生じる:アルコール中毒など)
   
このように、転倒のリスクをずらりと上げると、かなりの量になることが分かりました。
 
実際には、ここで挙げている以外にも、様々な要因で転倒が起きてしまっているかと思います。
 
患者さまの転倒リスクの要因を1つでも除去し、転倒が少しでも減るように行動出来るようになりましょう!
 

 

転倒リスク状態の観察計画(OP)

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1.意識レベル、精神状態(穏やかであるかどうか)

見当識がない患者さまは、時間・空間の感覚が理解できないことがあります。
すると、夜に徘徊したり、歩いている道がわからずに迷ったりすることがあります。
不穏・興奮などを生じている患者さまは、異常行動の有無に注意が必要です。
 
歩けないレベルのADLであっても、ベッドから転落する可能性があります!

2.認知症の既往の有無

認知機能低下により、異常行動や夜間徘徊、不穏を生じている場合は、転倒リスクが高い!!
 

3.治療のコンプライアンス(治療拒否、入院理由が分からないなどの訴え)

認知機能低下の有無の評価に繋がる観察となります。認知機能低下≒転倒リスク高い!!

4.麻痺の有無

麻痺で生じる感覚機能障害により、移動が困難になります。


5.運動障害の有無(下肢切断、外傷、関節拘縮、下肢筋力低下など) 

下肢切断などで移動が困難な患者さまは、転倒リスクが高まるといってよいでしょう。
 

6. ADLの状態(食事・更衣・入浴・排泄・移動)

 補助具の使用の有無を確認しましょう(杖、松葉杖、車椅子、シルバーカー、歩行器など)。

 

補助具の使用の有無によって、環境要因として転倒リスクにつながってきます。
 

7. 視力・聴力の程度(眼鏡や補聴器の使用の有無) 

麻痺と同様に、感覚障害のある患者さまは転倒リスクが高まるといってよいでしょう。
 

8.めまい、ふらつき、気分不快の有無

めまいやふらつきの程度によっては、立っていられずに倒れ込んでしまうことがあります。
 

9. 環境(ベッドの高さ、柵・ポータブルトイレの有無、廊下の障害物)

散らかっていたり、不適切な場所に補助具を置くなどの要因により転倒リスクが高まります。
 

10.衣服・靴(活動しやすいものであるかどうか) 

患者さまの身につけているものも環境要因として観察するようにしていきましょう。
 

11.検査データ(Hb、血糖、その他異常値)、 脱水症状、出血傾向の有無 

貧血や脱水症状により、めまいやふらつきを生じやすくなります。
循環血液量の低下により、ショックを起こすことがあるからです。
 

12.ドレーン、ルート類の有無・状態(固定の状態や部位、絡んでいないか等)

整理れていないルート類は、転倒や自己抜去のリスクが高まります。

 
13.薬物の使用状況と離脱症状の有無

薬物

  1. 降圧薬
  2. 利尿薬
  3. 睡眠薬
  4. 抗うつ・抗不安薬
  5. 麻薬

離脱症状

  1. 眩暈
  2. せん妄
  3. 発熱
  4. 嘔吐
  5. 痙攣
  6. 不穏 
薬剤によってはめまい、ふらつき、意識レベル低下などを起こすことがあります。
確認しておくようにしましょう。
 

14.羽ばたき振戦、痙攣発作の有無(肝機能の異常、アンモニア値の異常など)   

肝性脳症の既往に注意しましょう。
 
意識レベル低下や異常行動をおこすことがあります。
 

 

転倒リスク状態のケア計画(TP)

1. 転落アセスメントスコアシートを用いたアセスメント

 施設によりますが、患者様が入院した時点で転倒リスクの程度を評価することが多いですね。転倒リスクの程度を、点数として表示している施設が多いのではないでしょうか。例えば、
  • 歩行に見守りや介助が必要なら 1点
  • 歩けなければ         2点
  • 軽度の認知症があれば     1点
  • 重度の認知症があれば     2点
  • 頻尿・失禁があれば      1点
など、転倒のリスク因子を点数化して評価をします。
 

ちなみに、私が以前勤めていた病院では、上記の評価項目で、5点以上となった患者さまは要注意としてリストアップしていました。患者識別用の腕ベルトに黄色いリボンをつけ、転倒への注意喚起を行っていました。

2. ベッド周囲の環境整備 

  •  ベッドは座った状態で床に足底がつく高さにする 。
  • 患者の状態に応じてベッド柵を使用し、使いやすいように柵の種類や位置を選択する。
  • 床頭台、オーバーテーブル、ポータブルトイレ、尿器の位置を使いやすいように整理する 。

3. 離床センサーの使用

  • ナースコールを押さずに移動するなど、指示が守れない患者さまは少なくありません。離床センサーを使用して、早期に危険行動を察知し転倒を予防しましょう。

4. 転倒を起こしやすい症状があれば安静を促す

痙攣発作、意識レベル低下、めまい、ふらつきの症状の可能性がある場合は、安静を促す!

5.チューブ類の管理を行う

 ドレーンや点滴ルート類で移動が制限されている患者さまは、ルート類を整理しましょう。

• 不要なルート類がある場合は除去しましょう。• 歩行時の転倒のリスクが高い場合、一旦ルート類を外し、ヘパリンロックするのもアリ!

6. 入院前の生活に近づける

入院前の患者の環境や生活リズムに近づけるように支援しましょう。


例えば、

  • トイレまでの距離を自宅の環境に近づける。
  • 自宅で使用していた寝具を用意していただく。

など。

7. 日中の活動を促す

出来る限り日中の活動を増やし、筋力の低下の予防や気分転換を図りましょう。

8.履き物を変える 

履き物は、滑りにくくつまづきにくい運動靴などをすすめましょう。運動靴をご家族様に購入してもらうことも検討します。

9. 排泄リズムを把握しておく

排泄行動に介助を要する患者さまは、排泄が切迫しないように早めに誘導しましょう。

  • 状況に応じて尿器、ポータブルトイレをベッドサイドに準備しましょう。
  • ポータブルトイレ時の移動で転倒が懸念される場合は滑り止めマットを敷きましょう。
  • 夜間は足もとの照明やヘッドライトで適切な照度を保ちましょう。
  • 必要時、病室やトイレに目印やラインを引き、わかりやすく表示するのもアリ!

10.補助具を用いる 

歩行が不安定な時は付き添い、必要時は車椅子などで移動を行いましょう。

11. オリエンテーションを行う

病院では転倒が起こりやすくなるということを根拠を持って説明しましょう。治療や検査、手術などで療養環境が変化する場合も、時にはあるでしょう。事前に、今後の環境の変化についてイメージできるようオリエンテーションを行いましょう。 

12. 手すりや滑り止めを使用する

入浴・シャワー時には浴槽の滑り止めや手すりについて説明し、使用してもらいましょう。

 

 

転倒リスク状態の教育計画(EP)

患者さまがはじめて入院するとき、患者さま・ご家族さまはこう考えているかも…

病院は、家よりも安全な場所だ」と。

 

一般的には、それで間違いないでしょう。

病院は、治療を行いながら落ち着いて過ごすことができる環境であるべきです。

安全・安心が保証されることは当然だと思います。

 

ですが、


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  • 廊下にモニター類などの機器があり、障害物がある
  • 車椅子、歩行器、ストレッチャーなどの用意で廊下が阻まれることがある
  • 点滴類に繋がれながら生活するなどにより、歩きづらくなる
  • 状態により、行動範囲を制限されたり、ベッド上に安静にしなくてはいけなくなる
  • 慣れない環境である
  • 医師・看護師・他の患者様などの出入りでぶつかってしまうなどの可能性がある
など、実は病院は事故が起こりやすい環境の温床になっています
したがって、病院は事故および転倒の危険性がある施設だといえるのです。
 
入院時や検査・手術の際に、患者様とご家族様に転倒リスクについて説明をした方がよいでしょう。
 
事前に転倒の可能性を意識してもらうことで、「転ばないように気をつけよう!」と思っていただけますよ。

1.ベッドサイドの環境調整方法を説明する   

  • ベッドの高さの調整やベッド柵の上げ下ろしの方法を説明しましょう。
  • ヘッドライト、床頭台、オーバーテーブル、ロッカーの使用法を説明しましょう。
  • 散らかすことなく、安全な環境で生活するように説明しましょう(*´∀`)
  • 転倒のリスク因子について説明しましょう。
  • 転倒を起こしやすい要因について、できるかぎり簡単な言葉を使って説明しましょう。

また、転倒を予防するための方法について説明しましょう。

 

例えば、降圧剤や催眠薬を内服している患者さまは、めまい・ふらつきを起こす可能性が高まります。なので、そのことについて分かりやすく説明しましょう。

それに加えて、起き上がり時や立ち上がり時は急に動かずにゆっくり動くようにお伝えしましょう。

そうすることで、患者さま自身が転倒に対する予防行動をしてくれることにつながりますよ。

2.可能ならば、日中はできるだけ活動を増やすよう説明する

安静が必要でなければ、できるだけ日中の活動を促すことが望ましいでしょう。

日中の活動が少ないと、夜間における不眠や倦怠感が起こりやすくなります。

それによってふらつきや注意力の低下など、転倒に直結する症状に繋がる可能性があります。

日中の活動の必要性について説明することで、転倒リスク因子を減らすことができますよ。

3.家族にも転倒のリスクについて説明する

患者さまの本来の生活の場は病院ではありません。

病院を退院すれば、自宅で過ごしたり、介護施設などに転院するでしょう。

病院を退院しても、患者さまの転倒のリスクは完全になくなるわけではありません。

患者様だけでなく、サポートを行うご家族様にも、転倒のリスク因子や安全な環境の必要性について説明しましょう。

自宅や介護施設での転倒を防ぐことは、骨折や脳出血などの重篤な外傷を防ぎ、臨時の再入院を減らすことにつながります。

 

以上になります!

いかがでしたでしょうか。

 

 

おわりに

日頃から転倒のリスク因子の有無を評価し、意識的に観察を行いましよう!

すると、自然に患者様・ご家族様への説明・指導ができるようになっていくと思います!若い人でも、病気のない人でも、全ての人に転倒が起こる可能性があるということを意識しましょう。

日頃から、全ての患者さまに対して転倒のリスク因子が無いかアセスメントしましょう。

そうすることで、転倒を予防するあなたの「看護力」が鍛えられると思います!

私も日々の中で五感を研ぎすまし、家のなかでも家族の転倒ゼロを目指していますよ。

 

おわり!

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